この記事は2026年10月22日時点の公式情報(商工会地区 持続化補助金事務局・紀の川市・紀の川市商工会・和歌山県)に基づきます。
「チラシを刷り直したい」「ネット注文に対応したい」「展示会に出たい」。和歌山県紀の川市で店や工房を営む方が、販路を広げるときにまず名前が挙がるのが小規模事業者持続化補助金です。ただ、紀の川市は少し事情が複雑です。市内には「紀の川市商工会」と「那賀町商工会」の2つの商工会があり、申請に必須の書類(様式4)は自分の事業所がある地区の商工会にしか頼めません。しかも第20回公募は2026年12月15日17時締切、様式4の発行依頼は12月4日までと、動き出しが遅れると間に合いません。
結論を先にまとめます。
・いくら:補助率2/3、上限50万円。インボイス特例+50万円、賃金引上げ特例+150万円(両方で+200万円=最大250万円)
・いつまで:申請受付2026年11月5日〜12月15日17:00。様式4の発行依頼は12月4日まで
・どこへ:電子申請のみ。様式4は紀の川市商工会(粉河)または那賀町商工会のうち、事業所の地区を管轄する商工会へ
この記事では、紀の川市の事業者が「自分は対象か」「いくら使えるか」「どの商工会に行くか」「市の創業支援補助金と併用できるか」を公式情報だけで整理します。最後に、申請で踏みやすい落とし穴とよくある質問をまとめました。

紀の川市の持続化補助金は「商工会地区」の制度として申請する
紀の川市には商工会議所がなく、市全域が商工会地区です。申請先の事務局も公募要領も「商工会地区版」を使います。
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が経営計画を作成し、それに基づいて行う販路開拓の取組等の経費の一部を補助する国の補助金です。全国に「商工会議所地区」と「商工会地区」の2系統の事務局があり、公募要領(第8版・2026年7月21日改訂)によれば第20回の補助事業者(事務局)は商工会地区が株式会社ニューズベース、商工会議所地区が株式会社日本経営データ・センターです。
和歌山県商工振興課の商工会・商工会議所一覧を見ると、県内の商工会議所は和歌山・海南・橋本・紀州有田・御坊・田辺・新宮の7か所で、紀の川市にはありません。一方、商工会の一覧には紀の川市商工会と那賀町商工会の2団体が載っています。つまり紀の川市の事業者は、全員が商工会地区の事務局(小規模事業者持続化補助金【一般型・通常枠】公式サイト)に申請します。
対象になる「小規模事業者」の人数要件
公募要領の定義は次のとおりです。従業員数は「常時使用する従業員」で数えます。
- 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く):常時使用する従業員5人以下
- サービス業のうち宿泊業・娯楽業:常時使用する従業員20人以下
- 製造業その他:常時使用する従業員20人以下
紀の川市で多い果樹の直売所や加工所、飲食店、理美容、小売、建設業の個人事業主などは人数要件を満たせば対象になり得ます。業種区分で迷う場合(たとえば農産物の販売と加工を兼ねている場合)は、様式4を頼む商工会に先に確認してください。
| 制度名 | 小規模事業者持続化補助金〈一般型 通常枠〉第20回公募 |
|---|---|
| 実施主体 | 商工会地区:全国商工会連合会系の事務局(補助事業者:株式会社ニューズベース) |
| 対象者 | 紀の川市内の小規模事業者(商業・サービス業5人以下、宿泊・娯楽業と製造業その他20人以下) |
| 補助率・上限 | 2/3、上限50万円。インボイス特例+50万円、賃金引上げ特例+150万円(赤字事業者は3/4)、両方で+200万円 |
| 申請期間 | 2026年11月5日(木)〜12月15日(火)17:00。様式4発行受付締切 12月4日(金) |
| 窓口 | 様式4:紀の川市商工会(0736-74-3000)または那賀町商工会(0736-75-4026)。市の相談:紀の川市 農林商工部 商工労働課(0736-77-2511) |
| 公式URL | 持続化補助金とは(商工会地区) |
補助率2/3・上限50万円、特例で最大250万円。使える経費は8費目
基本は「経費の2/3、上限50万円」です。インボイス登録や賃上げの条件を満たすと上限が積み上がります。
| 区分 | 補助率 | 補助上限 |
|---|---|---|
| 通常 | 2/3 | 50万円 |
| インボイス特例 | 2/3 | 50万円上乗せ(計100万円) |
| 賃金引上げ特例 | 2/3(赤字事業者は3/4) | 150万円上乗せ(計200万円) |
| 両特例 | 2/3(赤字事業者は3/4) | 200万円上乗せ(計250万円) |
インボイス特例の対象は、公募要領では「2021年9月30日から2023年9月30日の属する課税期間で一度でも免税事業者であった事業者、または2023年10月1日以降に創業した事業者」のうち、適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者です。賃金引上げ特例は「補助事業実施期限日を終点とした連続する12か月とその前年同月の12か月を比較し、従業員1人あたり給与支給総額を3.0%以上増加させること」が要件で、達成できない場合の扱いも要領に定められています。赤字事業者(直近の課税所得がゼロ以下)はこの特例で補助率が3/4になります。
補助対象経費は8費目。広報費とウェブ関連費には30万円の上限
公募要領の費目は次の8つです。
- 機械装置等費
- 広報費
- ウェブサイト関連費
- 展示会等出展費
- 旅費
- 新商品開発費
- 借料
- 委託・外注費
申請の流れと締切。様式4は12月4日、申請は12月15日17時、郵送は不可
第20回は電子申請のみです。商工会での様式4発行に日数がかかるので、11月中に商工会へ相談するのが現実的なスケジュールです。
- GビズIDのアカウント取得:電子申請システムの利用に必要です。発行に時間がかかるため、最初に手続きします。
- 経営計画書・補助事業計画書の作成:販路開拓の目的、取組内容、経費内訳を書きます。商工会の経営指導員に相談しながら作れます。
- 様式4(事業支援計画書)の発行依頼:商工会地区は電子申請システム内で地域の商工会へ発行を依頼します。発行受付締切は2026年12月4日(金)です。
- 電子申請:受付期間は2026年11月5日(木)〜12月15日(火)17:00。公募要領は「郵送での申請は一切受け付けません」と明記しています。
- 採択発表:2027年3月頃の予定。
- 補助事業の実施:交付決定後に発注・支払いを行い、事業実施期限は2028年3月31日、実績報告書の提出期限は2028年4月10日です。
交付決定前に支払った経費は対象になりません。「採択されたら発注」が原則です。

紀の川市の窓口は「紀の川市商工会(粉河・4支所)」と「那賀町商工会」。地区で分かれる
様式4は、事業所がある地区を管轄する商工会にしか依頼できません。旧打田・粉河・桃山・貴志川町域は紀の川市商工会、旧那賀町域は那賀町商工会が目安です。
| 窓口 | 所在地 | 電話 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 紀の川市商工会(本所) | 〒649-6531 紀の川市粉河878番地2 | 0736-74-3000(FAX 0736-74-3002) | 8:45〜17:30、土日祝休 |
| 打田支所 | 〒649-6417 紀の川市西大井350-1 | 0736-77-4832 | — |
| 粉河支所 | 〒649-6531 紀の川市粉河878-2 | 0736-73-5079 | 本所と同所 |
| 桃山支所 | 〒649-6122 紀の川市桃山町元376 | 0736-66-4128 | — |
| 貴志川支所 | 〒640-0412 紀の川市貴志川町上野山28 | 0736-64-4181 | — |
| 那賀町商工会 | 公式サイトで確認(確認日時点で接続不可) | 0736-75-4026 | 旧那賀町域が対象 |
| 紀の川市 農林商工部 商工労働課 | 紀の川市役所 | 0736-77-2511 | 市の創業支援・利子補給の窓口 |
紀の川市商工会の支所名(打田・粉河・桃山・貴志川)に旧那賀町が無いのは、那賀町商工会が別団体として残っているためです。紀の川市の創業支援事業のページでも、連携機関として紀の川市商工会と那賀町商工会の両方が列挙されています(紀の川市創業支援事業について)。自分の事業所がどちらの地区か分からない場合は、どちらかの商工会に電話すれば案内してもらえます。事務局の公式サイトにも地区・所轄確認用の問い合わせ先(03-6634-9307)が載っていますが、商工会地区の個別相談は「各地域の商工会へ」が原則です。
なお、紀の川市商工会のサイト(紀の川市商工会)には、確認日時点で持続化補助金の個別案内ページはありませんでした。相談は電話か来所で進めるのが確実です。
紀の川市の創業支援補助金・創業型200万円との関係
紀の川市には市独自の「創業支援補助金(50万円)」があり、創業セミナーを受けた人は持続化補助金〈創業型〉(上限200万円)にも申し込めます。
紀の川市は国の認定を受けた特定創業支援等事業(創業セミナー)を実施しています。市のページによれば、セミナーを受講して証明を受けると、登録免許税の軽減、創業関連保証の前倒し利用、日本政策金融公庫の貸付利率引き下げに加えて、小規模事業者持続化補助金〈創業型〉(補助上限200万円)への申込ができます。創業型の第4回公募(受付締切2026年12月15日)は、締切日から過去1年以内に特定創業支援等事業の支援を受けた日と開業日の両方が入っていることが要件です。該当する方は、一般型(50万円)ではなく創業型を検討する価値があります。
さらに市独自の令和8年度 紀の川市創業支援補助金は、対象経費の合計額100万円(税抜)以上の創業に対して50万円を補助する制度です。対象経費は店舗取得費・店舗借入費・店舗改修費・設備費・広報費。要件は「市内在住で市内で創業(創業までに移住する場合も可)」「創業セミナーを受講し商工会が認めた事業計画を有する」「商工会に加入または加入予定」「新たに事業を開始する」などで、申請期間と件数は市のページに記載がないため、商工労働課(0736-77-2511)に確認してください。
既存事業者向けには、市の中小企業・小規模事業者支援施策ページ(中小企業・小規模事業者支援施策について)に「紀の川市小規模事業者経営資金利子補給」やセーフティネット保証の認定が載っています。補助金で2/3をまかない、残り1/3の自己負担分を融資で手当てする場合に関係します。同じページには持続化補助金そのものの記載はなく、紀の川市独自の上乗せ補助は確認できませんでした。
紀の川市の事業者が踏みやすい落とし穴5つ
締切を守っても、計画の組み方で対象外になるケースがあります。
- 商工会を取り違える:旧那賀町域の事業所が紀の川市商工会に様式4を頼んでも発行できません。先に地区を確認します。
- ホームページ代だけで申請する:ウェブサイト関連費・広報費はそれぞれ上限30万円(税込)で単独申請不可です。
- 交付決定前に発注する:対象経費は交付決定後の発注・支払いが原則です。繁忙期の前に設備を入れたい場合も、順番は守る必要があります。
- GビズIDの取得が遅れる:電子申請のみで郵送は一切不可。アカウント発行待ちで締切を逃す例が多いので最初に申請します。
- 過去採択の再申請制限を忘れる:公募要領には、過去に採択され事業を実施した事業者は「事業実施期間終了日の属する月の翌月から1年間が経過し、事業効果および賃金引上げ等状況報告書の提出を完了」していることが条件です。さらに第20回で採択された事業者は、報告書の提出完了後さらに1年が経過してからでないと再申請できません(公募要領第8版)。該当する方は要領の該当箇条で確認してください。

よくある質問
紀の川市商工会の会員でなくても申請できますか?
申請できます。商工会地区の事務局公式サイト「持続化補助金とは」の基本要件に「商工会会員、非会員を問わず、応募可能です」と明記されています。紀の川市商工会のサイトには持続化補助金の相談受付方法が載っていないため、非会員の方は電話で相談の受け方を確認してください。なお、市の創業支援補助金は「商工会に加入または加入予定」が要件で、こちらは加入が前提です。
紀の川市の果樹農家や直売所も対象になりますか?
対象は商業・サービス業・製造業その他の「小規模事業者」で、業種区分と常時使用する従業員数で判定します。農産物の加工・販売を事業として行っている場合は該当し得ますが、農業収入のみの場合などは要領の対象者要件に沿って個別判断になります。様式4を依頼する商工会に、事業内容を伝えて確認してください。
第20回に間に合わない場合、次の公募はありますか?
2026年10月22日時点で、商工会地区の公式サイトに第21回以降の日程は掲載されていません。第20回は様式4の発行受付が12月4日、申請締切が12月15日17:00です。間に合わない場合は、公式サイトのお知らせで次回公募を確認し、先に商工会で経営計画の相談を始めておくと次回に備えられます。
市の創業支援補助金(50万円)と持続化補助金は同時に使えますか?
市のページに持続化補助金との併用可否は明記されていません。一般に、同じ経費に国と市の補助金を重ねて受けることはできないため、店舗改修費は市の補助金、販路開拓の広報費や機械装置は持続化補助金、というように経費を分けて計画するのが基本です。具体的な切り分けは商工労働課(0736-77-2511)と商工会の双方に確認してください。
補助金はいつ振り込まれますか?
持続化補助金は後払いです。採択(2027年3月頃予定)の後に交付決定を受け、事業を実施して実績報告書(提出期限2028年4月10日)を出し、確定検査を経て支払われます。事業中は全額を自己資金か融資で立て替える必要があるため、資金計画に市の利子補給や公庫融資を組み合わせることも検討してください。
この記事は2026年10月22日時点の公式情報に基づきます。公募要領は改訂されることがあるため(第20回は2026年7月21日に第8版へ改訂。補助率・上限額・締切に変更なし)、申請前に商工会地区 持続化補助金 公式サイトの最新版と、和歌山県の商工会・商工会議所一覧で窓口を確認してください。
