「紀の川市で従業員に研修を受けさせたいが、費用がネックになっている」「人材開発支援助成金は聞いたことがあるけれど、紀の川市の会社はどこに申請すればいいのか分からない」。そんな経営者・人事担当者の方は多いのではないでしょうか。
紀の川市には市独自の研修費補助が無いため、従業員の訓練費用を支える柱は国の人材開発支援助成金です。ただし、申請先は市役所ではなく和歌山労働局で、しかも紀の川市を管轄するハローワークは橋本ではなくハローワーク和歌山です。ここを取り違えると、計画届の提出が遅れて訓練開始に間に合わなくなります。
結論:紀の川市の雇用保険適用事業所が、職務に関連した10時間以上のOFF-JT訓練を計画届どおりに実施すれば、中小企業で訓練経費の45%(要件達成で加算)と賃金1人1時間800円が助成されます。計画届は訓練開始日の6か月前から1か月前までに和歌山労働局へ提出します。
この記事では、令和8年度(2026年度)の厚生労働省「ご案内」(令和8年8月3日版)と紀の川市・和歌山労働局の公式ページをもとに、対象者・助成率・上限額・申請の流れ・紀の川市の窓口・落とし穴をまとめます。最後に、市のDX推進支援補助金と併用できるかどうかも整理します。
この記事は2026年10月23日時点の公式情報に基づきます。

結論:紀の川市の事業者が人材開発支援助成金で受けられる助成
紀の川市の事業者は、国の人材開発支援助成金(人材育成支援コース)を使って、中小企業なら訓練経費の45%と訓練中の賃金1人1時間800円の助成を受けられます。
- 誰が:紀の川市内の雇用保険適用事業所の事業主(事業内職業能力開発計画の策定・周知と職業能力開発推進者の選任が必要)
- いくら:経費助成45%(中小企業以外30%)+賃金助成800円/時(400円)。経費の限度額は訓練時間に応じて1人あたり15万円・30万円・50万円。1事業所1年度1,000万円まで
- いつまで:訓練開始日の6か月前から1か月前までに計画届、訓練終了日の翌日から2か月以内に支給申請
- どこへ:和歌山労働局 職業対策課(073-488-1161)。紀の川市の管轄ハローワークは「和歌山」
| 制度名 | 人材開発支援助成金(人材育成支援コースほか全7コース) |
|---|---|
| 実施主体 | 厚生労働省(和歌山県内の窓口は和歌山労働局) |
| 対象者 | 雇用保険適用事業所の事業主。紀の川市独自の上乗せ・市独自の研修費補助は無し |
| 補助率・上限 | 人材育成訓練:経費45%(30%)・賃金800円/時(400円)・経費限度額15/30/50万円・1事業所1年度1,000万円。事業展開等リスキリング支援コース:経費75%(60%)・賃金1,000円/時(500円)・限度額30/40/50万円(20/25/30万円)・1年度1億円 |
| 申請期間 | 計画届:訓練開始日の6か月前〜1か月前/支給申請:訓練終了日の翌日から2か月以内(通年) |
| 窓口 | 和歌山労働局 職業対策課 073-488-1161(〒640-8581 和歌山市黒田二丁目3番3号 和歌山労働総合庁舎5階)/紀の川市 商工労働課 0736-77-2511(市の支援制度の相談) |
| 公式URL | 厚生労働省 人材開発支援助成金 |
括弧内は中小企業以外の額です。「中小企業」に当たるかどうかは業種ごとの資本金・常用労働者数で判定されるため、自社の区分はご案内「中小企業事業主の範囲について」の表(人材育成支援コース版はP.13、事業展開等リスキリング支援コース版はP.12)で確認してください。
人材開発支援助成金とは:国の制度であり紀の川市に独自の上乗せは無い
人材開発支援助成金は国の雇用保険二事業による助成金で、紀の川市役所は申請窓口ではなく、市独自の研修費補助や上乗せも現時点では存在しません。
厚生労働省は制度を「事業主等が雇用する労働者に対して、職務に関連した専門的な知識及び技能を習得させるための職業訓練等を計画に沿って実施した場合等に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度」と説明しています。令和8年度(2026年度)のコースは次の7本です。
- 人材育成支援コース(人材育成訓練・認定実習併用職業訓練・有期実習型訓練・中高年齢者実習型訓練)
- 教育訓練休暇等付与コース
- 人への投資促進コース
- 事業展開等リスキリング支援コース
- 建設労働者認定訓練コース
- 建設労働者技能実習コース
- 障害者職業能力開発コース
各コースの「ご案内」パンフレットは令和8年8月3日版が最新で、本記事はこの版の数値を使っています。
紀の川市側はどうでしょうか。市の「奨励金制度について」のページ(更新2026年8月21日)に載るのは企業立地奨励制度・宿泊施設奨励制度・ワークライフバランス推進事業の3本で、研修・人材育成に関する記述はありません。「商工業者に対する支援」の一覧(更新2026年8月14日)も市・県・国あわせて23制度を載せていますが、「研修」「人材育成」「訓練」の語を含む行はありません。つまり、紀の川市で従業員研修の費用を補助してもらう制度は、国の人材開発支援助成金が事実上の本命です。
唯一の例外が、後述する紀の川市DX推進支援補助金の「DXに関する自社研修開催」「DXに関する外部研修参加」の区分です。ただし国の助成金との併用には制限があります。
対象となる事業主と訓練の要件(紀の川市の事業者が確認すべき3点)
助成を受けるには、事業主側の体制要件と、訓練そのものの要件の両方を満たす必要があります。
事業主の要件
ご案内に書かれている主な要件は次のとおりです。
- 雇用保険適用事業所の事業主であること
- 労働組合等の意見を聴いて事業内職業能力開発計画を作成し、その計画を労働者に周知していること
- 職業能力開発推進者を選任していること
事業内職業能力開発計画とは、会社として「誰に・どんな能力を・どう身につけさせるか」を定めた社内文書です。計画届の提出時までに整えておく必要があるため、従業員数人の小規模事業者でも先に着手してください。
訓練の要件
人材育成訓練の対象は「職務に関連した知識及び技能を習得させるための10時間以上の訓練(OFF-JT)」です。OFF-JTとは、通常の業務から離れて行う座学や実習を指し、外部の研修機関への受講も社内講師による研修も対象になり得ます。実訓練時間数が10時間未満の研修は対象外です(ご案内では「一部除く」とされています)。
人材育成支援コースの4つの訓練類型
- 人材育成訓練:10時間以上のOFF-JT。正社員にも非正規社員にも実施できる基本型
- 認定実習併用職業訓練:OFF-JTとOJTを組み合わせ、厚生労働大臣の認定を受けた訓練
- 有期実習型訓練:有期契約労働者等を正社員化する目的で行うOFF-JTとOJTの組み合わせ
- 中高年齢者実習型訓練:訓練開始日に45歳以上の労働者を対象にしたOFF-JTとOJTの組み合わせ
助成率・助成額の早見表(令和8年8月3日版)
人材育成支援コースの助成は「経費助成」「賃金助成」「OJT実施助成」の3種類で、賃金要件または資格等手当要件を満たすと加算されます。
| 訓練類型 | 経費助成率 | 賃金助成(1人1時間) | OJT実施助成(1人) |
|---|---|---|---|
| 人材育成訓練 | 45%(30%)→加算後60%(45%) 受講者が有期契約労働者等の場合70%→加算後85% |
800円(400円)→1,000円(500円) | — |
| 認定実習併用職業訓練 | 45%(30%)→加算後60%(45%) | 800円(400円)→1,000円(500円) | 20万円(11万円)→25万円(14万円) |
| 有期実習型訓練 | 75%→加算後100% | 800円(400円)→1,000円(500円) | 10万円(9万円)→13万円(12万円) |
| 中高年齢者実習型訓練 | 60%(45%)→加算後75%(60%) | 800円(400円)→1,000円(500円) | 10万円(9万円)→13万円(12万円) |
括弧内は中小企業以外。加算の条件は「訓練修了後に行う訓練受講者に係る賃金改定前後の賃金を比較して5%以上上昇している場合、又は、資格等手当の支払を就業規則等に規定した上で、訓練修了後に訓練受講者に対して当該手当を支払い、かつ、当該手当の支払い前後の賃金を比較して3%以上上昇している場合」です。
経費助成の限度額は1人1訓練あたり、実訓練時間が10時間以上100時間未満で15万円(10万円)、100時間以上200時間未満で30万円(20万円)、200時間以上で50万円(30万円)です。1事業所・1事業主団体等の1年度あたりの限度額は1,000万円です。
紀の川市の小規模事業者で多い例を当てはめると、従業員1人に外部研修(20時間・受講料10万円)を受けさせた場合、経費助成は10万円×45%=4万5,000円、賃金助成は20時間×800円=1万6,000円で、合計6万1,000円が上限の目安になります。実際の額は審査と要件充足により変わります。
DX・新分野なら事業展開等リスキリング支援コースが有利
新しい事業分野への進出や、社内のDX化・グリーン化に必要な訓練は事業展開等リスキリング支援コースの対象で、助成率は人材育成訓練より高く設定されています。
- 経費助成率:75%(中小企業以外60%)
- 賃金助成:1,000円/時(500円)
- 経費限度額:30万円・40万円・50万円(中小企業以外20万円・25万円・30万円)
- 1事業所1年度の限度額:1億円
- 設備投資加算(中小企業のみ):導入費用の50%(1人15万円、10人以上は150万円が限度)
対象となる訓練は「事業展開を行うにあたり、新たな分野で必要となる専門的な知識及び技能」「企業内のデジタル・デジタルトランスフォーメーション(DX)化やグリーン・カーボンニュートラル化」「企業内の人事及び人材育成に関する計画に基づき、今後従事することが予定される職務」の3類型です。このコースは「令和4年~8年度の期間限定の助成金として創設」と明記されており、令和8年度(2026年度)が区切りの年度です。令和9年度以降の扱いは公式に発表されていないため、活用を検討している紀の川市の事業者は早めに計画届を出すことをおすすめします。
教育訓練休暇等付与コース(有給の教育訓練休暇制度を導入した場合の定額助成)と人への投資促進コース(高度デジタル人材訓練など)の詳細は、厚生労働省の制度ページから各コースのご案内でご確認ください。

申請の流れと期限:計画届は訓練開始の6か月前から1か月前まで
申請は「計画届の提出→訓練実施→支給申請」の順で、計画届を出さずに始めた訓練は助成対象になりません。
- 事業内職業能力開発計画の策定と職業能力開発推進者の選任(社内の準備)
- 訓練計画届の提出:訓練開始日から起算して6か月前から1か月前までの間に、事業所の所在地を管轄する労働局(和歌山労働局)へ
- 訓練の実施:計画どおりに実施し、出席状況・経費の支払いを記録
- 支給申請:訓練終了日の翌日から2か月以内に提出
- 審査・支給
提出先についてご案内は「事業所または事業主団体の事業所の所在地を管轄する労働局」とし、「都道府県によっては、ハローワークでも受け付けている場合もあります」と添えています。和歌山県でハローワーク和歌山が計画届を受け付けるかどうかは公式資料に明記が無いため、提出前に和歌山労働局 職業対策課へ電話で確認してください。
電子申請も可能で、厚生労働省のページから雇用関係助成金ポータルへ進めます。電子申請にはGビズIDの取得が必要なので、初めて使う場合は先にIDを申請しておきましょう。
紀の川市の窓口:労働局・ハローワーク和歌山・市商工労働課・商工会
紀の川市の事業者が実際に相談・提出する先は、制度の申請は和歌山労働局、地域の相談は市商工労働課と2つの商工会に分かれます。
| 窓口 | 役割 | 連絡先 |
|---|---|---|
| 和歌山労働局 職業対策課 | 人材開発支援助成金の申請・審査(「雇用に係る助成金に関すること」) | 073-488-1161/FAX 073-475-0115。〒640-8581 和歌山市黒田二丁目3番3号 和歌山労働総合庁舎5階。開庁8時30分〜17時15分(土日祝・年末年始は閉庁) |
| ハローワーク和歌山 | 紀の川市を管轄する公共職業安定所(管轄:和歌山市、岩出市、紀の川市) | 073-425-8609/FAX 073-424-3121。〒640-8331 和歌山市美園町5丁目4-7 |
| 紀の川市 農林商工部 商工労働課 | 市の商工業者支援制度(DX推進支援補助金など)の相談 | 0736-77-2511。〒649-6492 紀の川市西大井338番地 |
| 紀の川市商工会 | 事業計画・研修計画の相談 | 0736-74-3000 |
| 那賀町商工会 | 同上 | 0736-75-4026 |
紀の川市内にハローワークは無く、管轄は橋本ではなく「ハローワーク和歌山」です。和歌山労働局の案内では、ハローワーク橋本の管轄は「橋本市、伊都郡」で紀の川市を含みません。岩出市や和歌山市の事業所と同じ扱いになります。
和歌山労働局には訓練課(073-488-1162)もありますが、こちらの担当は求職者支援制度・求職者支援訓練・認定職業訓練実施奨励金で、人材開発支援助成金の窓口ではありません。電話をかける際は職業対策課を指名してください。
よくある落とし穴:市のDX補助金との併用・訓練経費の自己負担
紀の川市の事業者が特に注意したいのは、市のDX推進支援補助金との二重取りができない点と、訓練経費が無料になるわけではない点です。
- 市のDX推進支援補助金と同じ経費では併用不可:2026年度紀の川市DX推進支援補助金には「DXに関する自社研修開催」「DXに関する外部研修参加」の区分(補助率2分の1・上限5万円)がありますが、補助対象外経費に「他制度による補助金等の対象となる経費」と明記されています。国の助成金を受ける研修費を市にも申請することはできません。研修が10時間未満で国の助成対象にならない場合などに市の補助金を検討するのが現実的です
- 訓練経費は無料にならない:厚生労働省は「『訓練経費』は無料になりません」と注意喚起しています。経費助成はあくまで一部で、返金を受けるなどして事業主が実際に全額を負担していない場合は支給要件を満たしません
- 計画届の期限切れ:訓練開始日の1か月前を過ぎると計画届を出せません。外部研修の申込と同時に労働局への届出を進めてください
- 不正受給は公表される:出席簿や経費の証拠書類は正確に保管し、実態と異なる申請はしないでください
なお、市の「奨学金返還支援事業助成金」(奨学金返還額の2分の1・年間上限12万円・累計上限60万円)は従業員個人が申請する制度で、企業側の要件はありません。紀の川市で若手を採用・定着させたい事業者は、従業員に案内する材料として知っておくと役立ちます。

よくある質問
紀の川市役所に人材開発支援助成金の申請はできますか?
できません。申請先は事業所の所在地を管轄する和歌山労働局(職業対策課)です。紀の川市 商工労働課は市独自の支援制度の窓口で、人材開発支援助成金の受付はしていません。
パート・契約社員の研修も対象になりますか?
対象になります。人材育成訓練では、受講者が有期契約労働者等の場合に経費助成率が70%(加算後85%)に上がります。有期契約労働者を正社員化する目的なら有期実習型訓練(経費75%、要件達成で100%)も選べます。いずれも雇用保険の被保険者であることが前提です。
社内の先輩が講師を務める研修でも使えますか?
職務に関連した10時間以上のOFF-JTであれば、社内講師による訓練も対象になり得ます。ただし講師要件や経費の範囲はご案内に細かな定めがあるため、計画届を出す前に和歌山労働局へ確認してください。
紀の川市のDX推進支援補助金と一緒に使えますか?
同じ研修費に両方を充てることはできません。市の補助金は「他制度による補助金等の対象となる経費」を対象外としています。研修は国、テレワーク環境整備や設備導入は市、のように経費を分ければ両方を活用できる可能性があります。
令和9年度(2027年度)も同じ条件で申請できますか?
事業展開等リスキリング支援コースは「令和4年~8年度の期間限定」と明記されており、令和9年度以降の継続は未発表です。他のコースも年度ごとに助成率や要件が改定されるため、最新のご案内で確認してください。
- 紀の川市に研修費の市独自補助は無く、従業員訓練の本命は国の人材開発支援助成金
- 人材育成訓練は経費45%(中小)+賃金800円/時、限度額15/30/50万円。DX・新分野ならリスキリング支援コースで経費75%+賃金1,000円/時
- 計画届は訓練開始日の6か月前〜1か月前、支給申請は終了翌日から2か月以内
- 提出先は和歌山労働局 職業対策課(073-488-1161)。紀の川市の管轄ハローワークは「和歌山」
- 市のDX推進支援補助金の研修区分(上限5万円)とは同一経費で併用不可
助成率・上限額は令和8年8月3日版のご案内に基づく数値で、審査により支給額は変わります。申請前に必ず和歌山労働局と紀の川市の商工業者支援ページで最新情報をご確認ください。
この記事は2026年10月23日時点の公式情報に基づきます。
