この記事は2026年10月23日時点の公式情報に基づきます。
「人手が足りないから機械を入れたいが、紀の川市で使える補助金はどれか」「市のホームページには『随時』と書いてあるが本当か」と迷っていませんか。
紀の川市は桃や柿などの農産物加工、製造業、旅館・飲食が多く、どの業種でも人手不足が設備投資の動機になっています。ところが省力化投資補助金は一般型とカタログ注文型で上限も締切も違い、市の支援一覧の記載だけでは正しい締切が分かりません。
結論を先に3行で示します。
いくら:一般型は補助率1/2(小規模事業者は2/3)で上限750万〜8,000万円、カタログ注文型は1/2以下で上限500万〜1,000万円(いずれも従業員数で変動、賃上げで増額あり)。
いつまで:一般型第9回は2026年11月上旬公募開始・12月下旬締切(いずれも予定)。カタログ注文型は公募期間内に販売事業者と共同申請。
どこへ:申請は事務局の電子申請(GビズIDプライム必須)。相談は紀の川市商工会・那賀町商工会・市商工労働課。
この記事では、紀の川市の事業者が省力化投資補助金を使うときの対象者・補助率・上限額・第9回のスケジュール・市内の相談窓口を事務局と市の公式情報から整理します。後半では紀の川市独自のDX推進支援補助金・固定資産税特例・割増償却との組み合わせ方と、市の支援一覧を読むときの落とし穴まで扱います。

紀の川市の事業者が使える省力化投資補助金は国の制度で、市独自の上乗せはない
中小企業省力化投資補助金は中小企業庁の事業で、紀の川市は窓口や上乗せ補助を持たず、市の役割は相談先の案内と関連する税制・市独自補助の運用です。
中小企業省力化投資補助金は、人手不足に悩む中小企業等が省力化効果のある設備やシステムを導入する費用を国が補助する制度です。事務局は独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営する専用サイトで、申請も採択発表もすべてそこで行われます。
制度は2つの型に分かれます。
- 一般型:自社の業務に合わせたオーダーメイド設備やシステム構築が対象。公募回ごとに締切があり、審査を経て採択されます。
- カタログ注文型:事務局のカタログに登録された汎用製品(IoT・ロボット等)を、登録済みの販売事業者と共同で申請します。
紀の川市の商工労働課が公開している「商工業者に対する支援」ページの主な支援制度一覧(更新日2026年8月14日)には、No.23として「中小企業省力化投資補助金」が国の制度として掲載されています。市独自の上乗せ補助や市の申請窓口は、この一覧にも商工労働課のページにもありません。御坊市・田辺市・新宮市と同じく、紀の川市でも省力化投資の本体は国制度だけです。
ただし紀の川市には、設備投資と組み合わせて使える市独自の制度が複数あります。この点は後半でまとめます。
対象者と対象経費|一般型は賃上げ4要件、カタログ注文型は人手不足の状態が条件
一般型は労働生産性と賃上げの数値目標が申請要件で、カタログ注文型は人手不足の状態にある中小企業等がカタログ製品を導入する場合に対象になります。
一般型の基本要件(4つ)
事務局サイトの一般型の案内には、基本要件として次の4点が原文で示されています。
- 労働生産性の年平均成長率+4.0%以上増加
- 1人当たり給与支給総額の年平均成長率を3.5%(日本銀行が定める「物価安定の目標」+1.5%)以上増加
- 事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+30円以上の水準
- 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等(従業員21名以上の場合のみ)
ここで和歌山の事業者に直接関係するのが3番目です。和歌山労働局の告知によれば、和歌山県の最低賃金は令和8年10月3日から時間額1,101円です。したがって紀の川市の事業所で一般型を申請する場合、事業所内最低賃金は1,131円以上が目安になります(1,101円+30円の計算値。申請時点の最低賃金で改めてご確認ください)。
一般型の対象経費(7費目)
補助対象経費は「機械装置・システム構築費(必須)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費」の7費目です。機械装置・システム構築費が必須と明記されており、この費目を含まない計画は申請できません。補助事業の実施期間は「交付決定日から18か月以内(採択発表日から20か月以内)」です。
カタログ注文型の対象
カタログ注文型は「人手不足の状態にある中小企業等」が「カタログに登録された製品等」を導入する場合が対象です。申請は販売事業者と共同で事業計画を策定し、販売事業者からの招待を受けて専用フォームから行います。実施期間は「交付決定日から原則12か月以内」で、その後「3年間を効果報告期間」として毎年度の報告が必要です。
補助率と上限額|一般型は最大8,000万円、カタログ注文型は最大1,000万円(賃上げで増額)
一般型は従業員数5区分で750万〜8,000万円、カタログ注文型は3区分で500万〜1,000万円が上限で、どちらも大幅な賃上げを行う場合はカッコ内の額まで引き上がります。
| 従業員数 | 補助上限額 |
|---|---|
| 5人以下 | 750万円(1,000万円) |
| 6〜20人 | 1,500万円(2,000万円) |
| 21〜50人 | 3,000万円(4,000万円) |
| 51〜100人 | 5,000万円(6,500万円) |
| 101人以上 | 8,000万円(1億円) |
一般型の補助率は「中小企業 1/2(2/3)、小規模企業者・小規模事業者、再生事業者 2/3」です。中小企業のカッコ内2/3は最低賃金引上げ特例に該当する場合で、原文では「2024年10月から2025年9月までの間で、『当該期間における地域別最低賃金以上〜2025年度改定の地域別最低賃金未満』で雇用している従業員が全従業員数の30%以上である月が3か月以上あること」が条件です。もともと2/3の小規模事業者には適用されません。
大幅賃上げ特例は、給与支給総額の年平均成長率を基本要件の+3.5%に「さらに+2.5%以上(合計+6.0%以上)」とし、事業所内最低賃金を「最低賃金+50円以上」にする場合に上限がカッコ内の額になります。和歌山では1,151円以上が目安です(計算値)。原文には「いずれか一方でも未達の場合、各申請枠の従業員規模区分別の補助上限額との差額について補助金を返還」とあるため、賃上げ計画は実現可能な数値で組んでください。
| 従業員数 | 補助上限額 |
|---|---|
| 5名以下 | 500万円(750万円) |
| 6〜20名 | 750万円(1,000万円) |
| 21名以上 | 1,000万円(1,500万円) |
カタログ注文型の補助率は「1/2以下」です。事務局ページには「2026年3月18日以前(制度改定前)」のタブも残っていますが、新規申請は改定後の表で考えれば足ります。また「2回目以降の交付申請では、累計補助上限額(各申請時点の補助上限額×2)や追加要件があります」と明記されています。
申請の流れと締切|一般型第9回は2026年12月下旬締切(予定)、第8回は締切済み
一般型は年3〜4回の公募制で、第8回は2026年10月16日に締め切られ、第9回は11月上旬公募開始・12月下旬締切の予定です。
事務局サイトのスケジュールページ(2026年10月23日確認)には次の日程が載っています。
| 公募回 | 公募開始 | 申請受付開始 | 申請締切 | 採択発表 |
|---|---|---|---|---|
| 第7回 | 2026年6月5日 | 2026年7月1日 | 2026年7月31日 17:00 | 2026年11月中旬(予定) |
| 第8回 | 2026年8月18日 | 2026年9月18日 | 2026年10月16日 17:00(締切済) | 2027年2月上旬(予定) |
| 第9回 | 2026年11月上旬(予定) | 2026年12月上旬(予定) | 2026年12月下旬(予定) | 後日お知らせします |
同ページには「公募回は年3〜4回を予定しています」「第10回の公募のスケジュールは詳細が確定次第更新いたします」との注記があります。また「本事業へ応募申請・交付申請中の事業者及び交付決定を受け事務局からの補助金支払が完了していない事業者は申請できません」とあるため、第8回に申請中の方は第9回に重ねて申請できません。
申請の流れは一般型・カタログ注文型とも概ね次のとおりです。
- GビズIDプライムアカウントの取得。中小企業庁の第8回公募ページでも「取得未了の方は、早めにGビズIDプライムアカウント取得手続きを行ってください」と案内されています。発行には日数がかかるので最初に着手してください。
- 一般型は事業計画の作成(労働生産性・賃上げの数値目標を含む)。カタログ注文型はカタログから製品を選び、販売事業者一覧から販売事業者を選定して共同で計画を策定。
- 公募期間内に申請受付システムから申請(カタログ注文型は販売事業者からの招待で専用フォームへ)。
- 採択・交付決定後に設備を導入。交付決定前の発注・契約は対象外になるのが補助金の原則なので、見積段階で止めておきます。
- 実績報告→補助額確定→支払請求→補助金受領。その後、効果報告(カタログ注文型は3年間)。

紀の川市の相談窓口|商工会は2つ、市の担当は商工労働課、制度の質問は事務局コールセンター
紀の川市には商工会議所がなく、旧那賀町域は那賀町商工会、それ以外は紀の川市商工会が地区を分けており、制度そのものの質問は事務局コールセンターに直接聞くのが早道です。
| 窓口 | 役割 | 所在地・電話 |
|---|---|---|
| 中小企業省力化投資補助金 事務局コールセンター | 制度・申請システムの問い合わせ | 0570-099-660(IP電話 03-4335-7595)平日9:30〜17:30 |
| 紀の川市商工会(本所) | 事業計画の相談、小規模事業者の支援 | 紀の川市粉河878-2・0736-74-3000(打田・粉河・桃山・貴志川に支所) |
| 那賀町商工会 | 旧那賀町域の事業者の相談 | 紀の川市名手市場144-1・0736-75-4026 |
| 紀の川市 農林商工部 商工労働課 | 市独自補助・先端設備等導入計画・割増償却の確認申請 | 紀の川市西大井338・0736-77-2511 |
| 紀の川市 総務部 税務課 固定資産税班 | 先端設備等導入計画に係る固定資産税特例 | 0736-77-2511 |
| 和歌山県 商工企画課 | 県の中小企業成長促進補助金(令和8年度は受付終了) | 073-441-2725 |
紀の川市は平成17年に旧打田町・粉河町・那賀町・桃山町・貴志川町の5町が合併してできた市ですが、商工会は那賀町商工会が別団体として残っています。自社がどちらの商工会地区かを先に確認してから相談に行くと、持続化補助金など他制度の相談もまとめて進められます。
一般型は審査がある公募制なので、事業計画の数値目標(労働生産性+4.0%、給与支給総額+3.5%)をどう根拠づけるかが採択を左右します。商工会の経営指導員や、和歌山県よろず支援拠点などの公的支援機関に計画を見てもらうことをおすすめします。
紀の川市独自の制度との組み合わせ|DX推進支援補助金・先端設備等導入計画・固定資産税特例・割増償却
紀の川市には設備投資に使える市独自の補助と税制が4つあり、省力化投資補助金の対象外経費や、補助金とは別の税負担軽減として組み合わせられます。
紀の川市DX推進支援補助金(補助率1/2・上限5万〜50万円)
市の商工労働課が運用する「紀の川市DX推進支援補助金」(更新日2026年4月20日)は、市内の商工業者を対象に補助率2分の1で次の区分を補助します。
| 事業区分 | 補助上限額 |
|---|---|
| DX推進に向けた現状診断及び実施計画策定 | 50万円 |
| DXに関する自社研修開催/外部研修参加 | 各5万円 |
| テレワーク等のリモートワーク環境整備 | 20万円 |
| 先端設備等導入計画認定を受けた設備導入 | 50万円 |
| 先端設備等導入計画の対象外設備導入 | 10万円 |
| ECサイト導入又はホームページ開設 | 10万円 |
注意点は2つあります。補助対象外経費に「パソコン、タブレット、スマートフォン等の端末の購入経費及び他制度による補助金等の対象となる経費」と明記されているため、省力化投資補助金で補助を受ける設備そのものには市の補助を重ねられません。また「補助対象者1者につき同一事業年度内に1回限り」です。使い方としては、省力化投資補助金の申請前に行う現状診断・計画策定の外注費を市補助で、設備本体を国補助で、と分けるのが現実的です。受付期間や予算残額は市のページに記載がないので、申請前に商工労働課へ電話で確認してください。
先端設備等導入計画と固定資産税の特例
紀の川市は先端設備等導入促進基本計画を策定しており、市の計画では対象地域は市内全域、対象業種は全業種、計画期間は令和7年4月1日から令和9年3月31日までです。市の認定を受けた先端設備等導入計画に基づいて設備を取得すると、固定資産税(償却資産)の課税標準が軽減されます。
市の税務課のページ(更新日2025年10月20日)によれば、令和7年4月1日〜令和9年3月31日に取得した設備について、賃上げ率1.5%以上で3年間課税標準を2分の1に、3%以上で5年間4分の1に軽減されます。提出は償却資産申告書に特例適用申請書・計画書の写し・認定書の写し・認定支援機関の確認書の写し・賃上げ表明書面の写しなどを添えて2月2日まで。「先端設備等導入計画の認定前に設備を取得されると、計画認定や固定資産税の特例措置が受けられませんのでご注意ください」と明記されているので、省力化投資補助金の交付決定と計画認定の順番を設備発注前に揃える必要があります。
過疎法・半島振興法による割増償却
紀の川市では旧粉河町・旧那賀町・旧桃山町が過疎地域に該当し、製造業・旅館業・農林水産物販売業・情報サービス業等が一定額以上の機械や建物を取得した場合、機械・装置は32%、建物等は48%の割増償却を5年間受けられる制度があります。半島振興法でも同率の割増償却があり、取得価額の資本金区分が過疎法と異なります。いずれも税務申告前に商工労働課へ確認申請書を提出します。補助金ではなく税制なので、省力化投資補助金と重ねて使えるかは顧問税理士と商工労働課に確認してください。

よくある落とし穴|市の一覧の「随時」「上限1,500万円」をそのまま信じない
紀の川市の支援施策一覧は国制度を簡略化して載せているため、一般型の公募回や上限額の違いが落ちており、申請直前に慌てる原因になります。
- 落とし穴1:市の一覧No.23は「上限1,500万円、補助率2分の1 随時」。この数値はカタログ注文型の賃上げ時上限(21名以上)と一致しますが、一般型は公募回ごとの締切があり上限は最大8,000万円です。締切と上限は必ず事務局サイトで確認してください。
- 落とし穴2:GビズIDプライムの取得遅れ。第9回は12月下旬締切(予定)です。アカウント発行に時間がかかるため、11月の公募開始を待たずに今から取得を始めます。
- 落とし穴3:市のDX推進支援補助金との二重取り。「他制度による補助金等の対象となる経費」は市補助の対象外です。同じ設備に両方を申請すると市側が不採択になります。
- 落とし穴4:先端設備等導入計画の認定前に発注。固定資産税特例は認定前取得が不可です。補助金の交付決定と計画認定の両方が揃ってから発注します。
- 落とし穴5:賃上げ要件の未達による返還。大幅賃上げ特例は未達なら差額返還です。和歌山の最低賃金1,101円を基準に、1,131円(基本要件)・1,151円(特例)の水準を人件費計画で先に試算します。
- 落とし穴6:県の成長促進補助金を当てにする。和歌山県中小企業成長促進補助金は令和8年度分の新規受付を終了しています(市の一覧でも「申請受付終了」)。
よくある質問
一般型とカタログ注文型は両方申請できますか?
事務局の一般型FAQには「同じ補助対象に対して併用することは不可としておりますが、別の補助対象に対してであれば可能です。」とあります。同じ設備に二重には使えませんが、別の設備なら型を分けて申請できます。ただしスケジュールページの注記により、申請中・補助金支払未完了の間は一般型の新たな申請はできません。
紀の川市の農業法人や個人事業主も対象ですか?
中小企業等に該当し、従業員規模や賃上げ要件を満たせば業種を問わず申請できます。農産物の選果・加工・包装の省力化は一般型・カタログ注文型のどちらにも想定される用途です。個人事業主の場合も法人と同じく従業員数区分で上限が決まります。なお市のDX推進支援補助金は「農業協同組合法第2条第1項に規定する農業者」を対象外としているため、市補助側の対象可否は商工労働課に確認してください。
紀の川市に申請書を出す窓口はありますか?
ありません。申請は事務局の電子申請システムのみで、紙や市役所経由の提出はありません。紀の川市商工会・那賀町商工会は事業計画の相談先、商工労働課は市独自補助と先端設備等導入計画・割増償却の窓口です。
第9回の公募要領はいつ公開されますか?
スケジュールページでは第9回の公募開始が「2026年11月上旬(予定)」です。公募要領は公募開始と同時に事務局サイトで公開されるのが通例ですが、2026年10月23日時点では未公開です。第8回の公募要領を先に読んで、要件と添付書類を把握しておくと準備が進みます。
参考(公式):中小企業省力化投資補助金 一般型(事務局)/一般型 公募スケジュール(事務局)/カタログ注文型(事務局)/第8回公募のお知らせ(中小企業庁)/商工業者に対する支援・主な支援制度一覧(紀の川市)/紀の川市DX推進支援補助金(紀の川市)/先端設備等導入計画に係る固定資産税の特例(紀の川市)/和歌山県最低賃金の改定(和歌山労働局)/和歌山県中小企業成長促進補助金(和歌山県)
この記事は2026年10月23日時点の公式情報に基づきます。最新の公募要領・締切・市独自補助の受付状況は、各公式サイトと紀の川市商工労働課でご確認ください。
