この記事は2026年11月6日時点の兵庫県公式情報(実施要綱確定版・Q&A)に基づきます。
介護記録はタブレットで入力できるのに、請求ソフトには結局また打ち直している。兵庫県内の特別養護老人ホームやデイサービスで、いまも珍しくない光景です。
「介護ソフトを入れ替えたい。でも300万円の見積もりを、どう理事会に説明するか」。兵庫県の介護ソフト・ICT導入補助金を調べはじめる施設長や事務長の多くは、機器選びよりも「結局いくら戻るのかが読めない」という一点で止まっています。
意外に知られていないのは、兵庫県の令和8年度事業では介護ソフトの補助基準額が「買う金額」ではなく「職員数(常勤換算)」で決まる点です。31人以上なら250万円、条件を満たせば265万円。1〜10人の事業所は100万円が天井です。同じソフトを入れても、戻る額は事業所規模で2倍以上変わります。
結論(令和8年度・ICT等区分)
- 誰が:兵庫県内の介護保険施設・介護サービス事業所など(有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅は特定施設入居者生活介護の指定が必要)
- いくら:補助率4/5。介護ソフトは職員数(常勤換算)別に100万〜250万円が基準額。要件該当で+15万円・+5万円。1事業所の上限は3区分合計で700万円
- いつまで:令和8年度の申請見込額調査は令和8年7月6日17時で受付終了。事業期間は交付決定日〜令和9年1月31日、実績報告は事業完了後20日以内または令和9年2月7日の早いほう
- どこへ:兵庫県福祉部高齢政策課 介護基盤整備班(兵庫県電子申請システムから電子申請)
この記事で分かること:ICT等区分で対象になる経費と対象外費用、職員数別の基準額と2つの加算、介護ソフトに課される追加要件、申請から実績報告までの日程、兵庫県特有の落とし穴、神戸市など市町の制度との関係です。
令和8年度の受付はすでに終わっていますが、兵庫県は「申請見込額調査の提出がない事業所は補助対象外」という入口を設けており、公募が始まってから動いたのでは間に合いません。県の介護ロボット・見守り機器まで含めた全体像は兵庫県の介護補助金で整理しています。

兵庫県の介護ソフト・ICT導入補助金の全体像【令和8年度】
兵庫県の介護ICT補助金は単独事業ではなく、介護ロボットと同じ1本の事業の中に「ICT等」という区分として置かれています。
正式名称は「令和8年度 介護業務における介護テクノロジー導入支援事業」。実施主体は兵庫県(福祉部高齢政策課 介護基盤整備班)で、目的は実施要綱第1に「介護サービス事業所等における介護ロボットやICT機器等の介護テクノロジーの導入に対して補助を行い、介護現場の生産性向上による職場環境の改善を図る」と定められています。
補助メニューは(1)介護ロボット等、(2)ICT等、(3)介護テクノロジーのパッケージ型の3つで、介護ソフト・タブレット・Wi-Fiは(2)に入ります。補助率はいずれも4/5で、1事業所あたりの上限は3区分の合計で700万円です(実際の申請状況によって上限額を変更する可能性があると要綱に明記)。消費税額は補助対象経費に含みません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 事業名 | 令和8年度 介護業務における介護テクノロジー導入支援事業(補助メニュー(2)ICT等) |
| 実施主体 | 兵庫県 福祉部 高齢政策課 介護基盤整備班 |
| 対象施設 | 兵庫県内に所在する介護保険施設/介護保険法に基づく介護サービス事業所(有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅は特定施設入居者生活介護の指定を受けていること)/老人福祉法に基づく養護老人ホーム・軽費老人ホーム |
| 対象機器 | 記録・情報共有・請求業務までが転記不要(一気通貫)になる介護ソフト等、その付帯経費(情報端末・Wi-Fi環境整備)、バックオフィスソフト(電子サインシステム・給与・勤怠管理等) |
| 補助率・上限 | 補助率4/5。介護ソフトは職員数(常勤換算)別に100万〜250万円(職員数非連動の契約は一律250万円)。要件該当で+15万円、+5万円。1事業所あたり3区分合計700万円 |
| 申請期間 | 令和8年度:申請見込額調査が令和8年7月6日(月)17時まで(受付終了)。交付申請は県からの案内メール到達日から1か月以内 |
| 窓口 | 兵庫県福祉部高齢政策課 介護基盤整備班 電話078-341-7711(内線73506)/FAX 078-362-9470/koreiseisaku@pref.hyogo.lg.jp |
| 公式URL | 令和8年度介護業務における介護テクノロジー導入支援事業の実施(兵庫県) |
国の制度としての位置づけは介護テクノロジー導入支援事業の全体像で解説しています。補助率4/5や職員数別の基準額という骨格は国の考え方に沿ったもので、違いが出るのは上限額の置き方・選定方法・県独自要件です。大阪府の介護補助金や京都府の介護補助金と見比べると、その差がはっきりします。
対象となる事業所と、ICT等区分で補助対象になる経費
ICT等区分では「何を買うか」だけでなく「何と一緒に買うか」で対象可否が変わります。
対象施設は実施要綱第2のとおりです。有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅については、特定施設入居者生活介護の指定を受けていることが条件で、指定のない住宅型有料老人ホーム等は対象になりません。神戸市・姫路市・西宮市・尼崎市・明石市など市域による区別は要綱に設けられていません。対象経費は次の3本立てです。
| 区分 | 対象になるもの | 補足 |
|---|---|---|
| ア 介護ソフト | 記録業務、情報共有業務(事業所内の情報連携のみならず、居宅サービス計画やサービス利用票等を他事業所と連携する場合を含む)、請求業務までが転記不要(一気通貫)になるための機器・ソフト等 | 導入済みの介護請求ソフトと連携することで一気通貫となる場合は、介護記録ソフトも補助対象(Q&A33) |
| イ 付帯経費 | Wi-Fi環境の整備(配線工事=Wi-Fi環境整備のために必要な有線LANの設備工事を含む、モデム・ルーター、アクセスポイント、システム管理サーバー、ネットワーク構築等)/アで導入する機器等と一体的に使用するための情報端末(PC・タブレット端末・スマートフォン) | 主たる機器の導入費用と合計して、主たる機器の補助上限額の範囲内で対象。主たる機器以外の上限額までは使えない(Q&A29) |
| ウ バックオフィスソフト | 電子サインシステム、給与、勤怠管理等の導入にかかる経費 | 付帯経費は対象外。令和7年度は介護ロボット区分だったが令和8年度からICT区分に変更(Q&A43) |
実務でいちばん多い誤解が、端末やWi-Fiの単独購入です。兵庫県のQ&Aは「Wi-Fi環境整備のみ」も「PC・タブレット・スマートフォンの単独導入」も補助対象外と明記しています(Q&A30・31)。すでに導入済みのテクノロジーを使うための端末も対象外です(Q&A32)。新たに導入する介護テクノロジーと一体的に使うものに限る、という整理です。
製品ごとの機能差の見方は介護記録ソフトの比較、センサー類と組み合わせる場合は見守りセンサーの比較・選び方も参考にしてください。
補助額の決まり方|職員数別の基準額と2つの加算
介護ソフトの補助額は、見積額ではなく職員数の階段で頭打ちが決まります。
計算は「補助対象経費の4/5」と「補助基準額(上限額)」を比べて低いほうです。職員数に応じて必要なライセンス数が変動するなど職員数により合計金額が変動する契約は下表の階段、それ以外の方式の契約は一律250万円が基準額になります。アカウント数でライセンス料が変動する場合は一律ではなく階段を使う、というのが県の回答です(Q&A35)。
| 職員数(常勤換算) | 補助基準額(上限額) | +15万円の加算に該当する場合 |
|---|---|---|
| 1〜10人 | 100万円 | 115万円 |
| 11〜20人 | 150万円 | 165万円 |
| 21〜30人 | 200万円 | 215万円 |
| 31人以上 | 250万円 | 265万円 |
| 職員数により合計金額が変動しない方式の契約 | 一律250万円 | 一律265万円 |
加算は2種類です。+15万円は、介護ソフトの導入と合わせて情報端末(PC・タブレット端末・スマートフォン)/ソフトを利用するためのWi-Fi環境整備に必要な経費/ベンダーによるサポート費用(操作説明費等)のいずれかが必要となる場合(バックオフィスソフトは加算対象外)。+5万円は、訪問介護事業所等の居宅サービス事業所または居宅介護支援事業所(介護予防を含む)であって、令和8年度中に「ケアプランデータ連携システム」により5事業所以上とデータ連携を実施する場合です。
| 職員数の数え方(実施要綱3(2)③エ〜カ) |
|---|
| 訪問介護員等の直接処遇職員のほか、ICT機器を使用する管理者や生活相談員等の人数も算入して差し支えない |
| 申請時点における常勤換算方法で算出した人数(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 第2条第8号等の規定に基づき計算した人数)とし、小数点以下は四捨五入 |
| 訪問系サービス事業所は、居宅を訪問してサービスを提供する職員(訪問介護員、居宅介護支援専門員等)および管理者・生活相談員等について、常勤・非常勤の別を問わず実人数で記載可 |
| 各種上限額は「導入費用の上限」ではなく「補助額の上限」(Q&A16)。総事業費が補助基準額以内でも事業者負担(1/5)は必ず求められる |

介護ソフトを申請するときに追加される要件
兵庫県は介護ソフトについて、サービス種別ごとに機能要件を上乗せしています。
共通の前提として、対象となる機器・ソフト等は常時トラブル等に対するサポートが受けられ(有償・無償を問わない)、研究開発品ではなくメーカー保証の製品であることが必要です。そのうえでサービス種別ごとに次の条件が加わります。該当ソフトかどうかは厚生労働省の介護テクノロジーの利用促進に掲載された機能調査結果で確認できます。
| 対象 | 介護ソフトに求められる機能(実施要綱3(2)③) |
|---|---|
| 居宅介護支援事業所/介護予防支援事業所/居宅サービス事業所/介護予防サービス事業所 | 国民健康保険中央会が実施するベンダー試験結果および厚生労働省が情報提供する「介護ソフトの機能調査」の結果において、①「ケアプランデータ連携標準仕様」に準じたCSVファイルの出力・取込機能を有していること、②国民健康保険中央会が運営する「ケアプランデータ連携システム」の活用促進のためのサポート体制が整っていることが確認できるもの |
| 施設サービス事業所/地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護事業所 | 上記に加え、厚生労働省「介護ソフトの機能調査結果」において、科学的介護情報システム(LIFE)に掲載されている「CSV連携仕様書(LIFE)」に準じたCSVファイルの出力機能を有していることが確認できるもの |
さらに事業全体の補助要件として、実施要綱4(1)にア〜クの8項目が並びます。ICT区分でとくに落とし穴になるのは、基礎編研修を「申請見込額調査の回答前に」視聴完了しておく必要がある点です(Q&A40)。前年度に受講済みでも、改めての受講が必要とされています(Q&A48)。
| 補助要件(実施要綱4(1)) | ICT区分での実務ポイント |
|---|---|
| ア 県が指定する介護テクノロジー導入支援研修「基礎編」を受講し、アンケートへの回答が完了していること | 令和8年度は動画配信(計160分程度)。申込・視聴は令和8年6月3日〜7月6日17時、アンケート回答は7月10日まで。申請見込額調査の回答前に視聴完了が必須 |
| イ 生産性が向上したことで収支が改善した場合に、その利益を給与へ還元する旨を介護従事者等従業員へ周知すること | 実績報告時に周知文書(メール文・チラシ等)を提出 |
| ウ IPAの「SECURITY ACTION」★一つ星または★★二つ星のいずれかを宣言し、十分なセキュリティ対策を講じること | 対象外の事業所は同等の対策を宣言。宣言は交付申請時(9月以降を想定)までに(Q&A45) |
| エ 厚生労働省の公表資料を参考に業務改善に取り組み、「業務改善計画」の作成と「業務改善に係る効果の報告」を行うこと | 計画は申請時に要提出。効果の報告は補助を受けた翌年度から3年間。作成や取り組みは原則としてひょうご介護テクノロジー導入・生産性向上支援センターに相談 |
| オ LIFEによる情報収集に協力すること | — |
| カ 厚生労働省等が実施する効果検証事業等に可能な限り協力すること | 厚生労働省等から直接協力依頼の打診がある場合がある |
| キ 要綱に列挙されたサービスは、利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会(名称は問わない)を設置すること | 短期入所生活介護、認知症対応型共同生活介護、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院など |
| ク 要綱に列挙された居宅系サービスは、令和8年度内に「ケアプランデータ連携システム」の利用を開始すること | 訪問介護・通所介護・居宅介護支援など。「利用開始」とはデータ連携の実績があることを指す(Q&A46) |
宣言の手順はIPAの介護テクノロジー導入支援事業向けSECURITY ACTIONページに案内があります。相談先となるひょうご介護テクノロジー導入・生産性向上支援センターは兵庫県立福祉のまちづくり研究所内(神戸市西区曙町1070、電話078-925-9282)に置かれ、相談・機器の体験・試用貸出・導入後のフォローアップをワンストップで受けられます(ひょうご介護テクノロジー導入・生産性向上支援センター)。
申請の流れと令和8年度のスケジュール
兵庫県の最大の特徴は、公募開始より前に「申請見込額調査」という関門があることです。
流れは①申請見込額調査 → ②交付申請 → ③交付決定 → ④実績報告の4段階。①の段階ですでに、基礎編研修の受講、業務改善が必要な現状や取り組むべき課題の抽出、導入に関する委員会の開催(機器使用が予定される介護職員等の要望や意見を踏まえた議論)が求められます。②では原則として入札または見積り合わせ(2者以上)により業者を決定し、購入業者・整備業者との契約は交付決定後に行うことが明確に定められています。
| 時期(令和8年度実績) | 手続き | この時点でやっておくこと |
|---|---|---|
| 令和8年6月3日〜7月6日17時 | 介護テクノロジー導入支援研修「基礎編」の視聴(動画計160分程度)とアンケート回答(7月10日まで) | 申請見込額調査の回答前に視聴完了が必須 |
| 令和8年7月6日(月)17時まで | 申請見込額調査の提出(受付終了) | 提出がない事業所は補助対象外。見積書が間に合わない場合は概算提出可(Q&A39) |
| 令和8年8月下旬〜9月上旬頃 | 補助対象事業所の選定結果の通知 | 結果は別途通知 |
| 令和8年9月上旬〜10月頃 | 申請可能事業所へメールで交付申請の依頼、順次交付申請受付開始 | 交付申請の締切は県からの案内メール到達日から1か月以内(Q&A49)。案内メールは10月上旬頃までに送付予定(Q&A50) |
| 令和8年10月下旬〜11月下旬 | 順次交付決定(当初申請分は11月末頃までに完了予定/Q&A52) | 交付決定通知書は電子申請システム上で発行 |
| 交付決定日〜令和9年1月31日(日) | 事業期間。契約・購入・納品・支払のすべてを完了 | 導入機器を使用する職員に事前研修を実施し操作方法を熟知させること |
| 事業完了後20日以内または令和9年2月7日(日)のいずれか早い日 | 実績報告書の提出 | 納品書・請求書・領収書、給与還元の周知文書を提出 |
申請は兵庫県電子申請システム(a-hyogo.pref.hyogo.lg.jp)から行います。提出書類は要綱8(1)のア〜カで、ICT区分で注意が要るのは次の点です。
| 書類 | ICT区分での注意点 |
|---|---|
| ア 連絡票 | 様式は県ホームページに掲載 |
| イ 勤務シフト表 | ICTの区分で申請する場合のみ必要。職員数により合計金額が変動しない契約形態の場合は不要。申請日時点の在職職員数が分かるもの(申請時点で作成されている最新のもの/Q&A58) |
| ウ 導入機器等の見積書 | 2者以上から見積りを取り、最も見積額が低い見積書を提出(すべての見積書を保管)。宛名は法人名および事業所名・施設名、金額の内訳記載が必要(Q&A53は9月4日追記で「法人名または申請する事業所名」としており、要綱の表記と異なる)。2者以上が難しい場合は取れる1者分を最安値の見積りとして提出(Q&A55) |
| エ カタログ・パンフレット | メーカーサイト掲載の電子パンフレットやHPでも可。導入済みの介護請求ソフトと連携して一気通貫となる介護記録ソフトを導入する場合は、一気通貫となることが確認できる資料と、当該請求ソフトが導入済みと確認できる資料(請求ソフトの画面等)も必要 |
| オ SECURITY ACTION宣言が分かる書面写し | 自己宣言申込後に届くメールの写し、またはログイン後の申し込み状況のページを印刷したもの。メールが残っていない場合はIPAの宣言事業者一覧に掲載されていることが分かる画面でも可(Q&A56) |
| カ 厚生労働省「業務改善計画書」 | 様式は県ホームページに掲載 |
交付申請から実績報告までの一般的な進め方は補助金申請の流れ・必要書類、制度そのものの考え方は介護テクノロジー補助金の完全ガイドにまとめています。
兵庫県特有の注意点|事業所単位・リース・併用不可・市町の制度
同じ国の枠組みでも、兵庫県は事業所の数え方と選定方法に独自色があります。
事業所単位の考え方と700万円の上限
1事業所あたりの補助上限額は700万円で、併設事業所がある場合はサービス種別ごとに1事業所として取り扱います。Q&A5はさらに踏み込み、原則として事業所番号が同一であるか否かに関わらず、サービス種別ごとに1事業所として扱うと整理しています。例外は2つで、同一建物内に従来型とユニット型が併存するものはいずれか一方の申請とし(それぞれが独立した建物で運営され、機器の一体利用が困難な場合はそれぞれ1事業所)、他のサービス種別と同一建物内で実施する介護予防サービスや市町独自の訪問型・通所型サービスは、同一建物内の他のサービス種別の申請に含めます。見積書・納品書・請求書・領収書等も事業所毎に作成が必要で、一つの事業所宛てに合算したものは不可です。
リース・月額利用料の扱い
リース費用も補助対象ですが、期間の切り方に注意が要ります。Q&A20は「5年リース契約の場合、全額を事業期間(令和9年1月31日)までに支払い、利用を開始したものは、全額今年度事業の補助対象となる。1年毎に支払う場合、来年度以降に支払う予定の金額は補助対象外」としています。月額の利用料、保守経費、サポート費、機器説明にかかる費用等も、事業期間内に支払いを行った費用に限り対象です(Q&A34)。一方、過年度に導入した機器・介護ソフト等のランニングコスト(リース期間の更新費用を含む)は対象外と明記されています。
他補助金との併用と、補助事業者として決定されないケース
実施要綱5(2)は、ア(申請資料等を運営法人関係者以外の者が作成した場合)、イ(経済産業省が実施している「IT導入補助金」等、他の補助金によって助成されている場合)、ウ(導入計画書の記載内容等から補助の必要性が認められない、または受けることが相応しくないと判断される場合)は、補助事業者として決定しないと定めています。要綱9(3)ウも、販売業者を通じて申請手続き等を行ったことが判明した場合は補助対象施設・事業所から除外することもある、としています。申請書類はベンダーではなく施設・事業所が自ら作成することが、兵庫県では採否に直結する要件です。
対象外になる費用
| 対象外とされているもの(実施要綱5(6)ほか) |
|---|
| プリンタ、複合機等の機器 |
| 通信料(端末・Wi-Fi機器等、携帯会社等の割賦販売による通信料が含まれる契約についても補助対象外) |
| メーカー保証以外の保証延長にかかる費用 |
| アクセサリ類(画面保護シート、カバー・ケースなど) |
| ICTの活用に向けたリテラシーの習得に必要な研修等の経費 |
| 本事業や他の補助金等により過年度に導入した機器・介護ソフト等のランニングコスト(リース期間の更新費用含む) |
| 予備としての購入(ICT・パッケージ型であっても対象外/Q&A28) |
| その他申請内容を審査した上で対象と認められない機器等 |
情報端末については、タブレット端末等を導入する際は介護ソフトをインストールする等、業務にのみ使用することとされ、業務用であることを明確に判別するための表示(シール等による貼付)を行うなどの工夫が求められます。テレビ会議システム等を用いて離れた場所にいる利用者家族等が面会を行う際に本事業で導入したタブレットを利用することは差し支えない、とも明記されています。
予算を超過したときの選定順位
申請総額が予算内であればすべての申請を対象に審査・交付決定へ進みますが、超過した場合は要綱9(1)イの①〜④の順で選定されます。令和8年度からは「過去に本事業で受けた補助額の総額」が基準になり、令和7年度の「補助を受けた年度」基準から変更されました(Q&A43)。なお令和8年度は実際に申請見込総額が予算額を超過し、県は令和8年8月6日に「補助を受けたことがない事業所は厳正な抽選を行って申請可能な事業所を選定し、補助を受けたことがある事業所は予算の都合により補助対象外とする」と公表しました(選定結果の通知は8月下旬〜9月上旬頃)。同時に県独自の補助対象機器一覧が廃止され、TAISで「介護テクノロジー」に選定された機器と、それらと機能等が同水準と判断された機器が中心になっています。TAIS掲載機器がすべて対象になるわけではなく、「介護テクノロジー」マークが付いた機器が対象です(Q&A18、福祉用具情報システム(TAIS))。
| 順位 | 選定の対象(実施要綱9(1)イ) |
|---|---|
| ① | 当補助金の交付実績がない事業所のうち、「介護テクノロジー導入時伴走型フォローアップ支援事業」または「介護業務における生産性向上支援(業務改善支援)事業」の実施が決定した事業所 |
| ② | 当補助金の交付実績がない事業所(①該当を除く)。申請総額が予算を超える場合は厳正な抽選 |
| ③ | 当補助金の交付実績がある事業所のうち、上記2事業の実施が決定した事業所。超過する場合は厳正な抽選 |
| ④ | ①②③の結果で予算が残った場合、平成28年度以降に本補助事業により受けた補助額の総額が少ない事業所から順に |
神戸市など市町の制度との関係
兵庫県には政令指定都市の神戸市、中核市の姫路市・尼崎市・西宮市・明石市があります。県の実施要綱は対象を「兵庫県内に所在する事業所等」とするだけで市域を除外していないため、神戸市内の特養やデイサービスも県事業に申請できます。一方、神戸市には「神戸市社会福祉施設等ICT化推進事業補助金」という別制度がありますが、2026年度は障害福祉施設(療養介護、施設入所支援、共同生活援助、障害児入所支援)のみが対象と市が明記しており、高齢・介護分野は対象外です(補助率1/2、在宅サービス75,000円、施設サービスは職員1〜19人75,000円・20人以上150,000円。申請期間2026年10月6日〜12月31日、問い合わせは福祉局障害者支援課)。神戸市の介護事業所にとって、令和8年度の介護ICT投資の受け皿は県事業が中心ということになります(神戸市社会福祉施設等ICT化推進事業補助金)。政令市と県事業の切り分けは自治体ごとに異なり、広島県の介護補助金や愛知県の介護補助金、東京都の介護補助金と比べると、兵庫県は「県に一本化している」タイプだと分かります。

よくある質問
兵庫県のQ&A(全58問)から、介護ソフト・ICTの申請で質問の多い論点を整理します。
介護ソフトだけを導入して、パソコンやタブレットは自前のものを使ってもよいですか
問題ありません。付帯経費は必須ではなく、介護ソフト単独での申請も可能です。逆に、PC・タブレット端末・スマートフォンの単独導入は補助対象外です(Q&A31)。すでに導入済みのテクノロジーを利用するための端末も対象外です(Q&A32)。なお端末に1台あたりの上限額は設けられておらず、付帯元の介護テクノロジーの上限額の範囲内で対象になります(Q&A26)。
交付決定の前に契約や発注をしてしまうと、どうなりますか
補助対象外になります。実施要綱9(3)イは「事業の実施については、交付決定日以降に行うこと。事前着手した場合は補助の対象とならないことに留意すること」と定めています。Q&A41はさらに具体的で、契約・納品・請求・支払のすべてを交付決定日以降に行うよう求めています。いずれか1つでも交付決定日前に行っていた場合は対象外になるため、見積取得までにとどめ、発注は交付決定通知を受けてから行う運用が必要です。
すでに一気通貫型の介護ソフトを導入済みです。タブレット入力型の記録システムだけ追加できますか
可能です。ただし申請する区分が変わります。県は「介護ロボットの介護業務支援(インカムを除く)の区分で申請してください。数量は、接続端末数(ライセンス数、アカウント数、ID数等)としてください」と回答しています(Q&A37)。一方、一気通貫型の介護ソフトの導入にあわせてタブレット入力型の記録システムを導入する場合は、介護ソフト+タブレット入力型の記録システムとしてパッケージ型の区分で申請できます(Q&A36)。パッケージ型の補助上限額(基準額)は700万円です。
IT導入補助金と両方使うことはできますか
同じ経費について併用することはできません。実施要綱5(2)イは「経済産業省が実施している『IT導入補助金』等、他の補助金によって助成されている場合」は補助事業者として決定しないと定めています。どちらを使うかは補助率(本事業は4/5)、上限額、スケジュール、申請要件を比べて事業所単位で判断することになります。最新の要件は必ず兵庫県の公募要領・実施要綱と窓口でご確認ください。
令和8年度に申請できなかった場合、次はいつ動けばよいですか
令和9年度の実施有無・内容は2026年11月6日時点で公表されていないため、兵庫県の公式サイト(公募要領)でご確認ください。令和8年度の日程を参考にすると、6月上旬に基礎編研修の配信が始まり、7月上旬に申請見込額調査の締切が来ています。提出がない事業所は補助対象外という仕組みのため、年度が明けてから情報収集を始めたのでは間に合わないおそれがあります。前年度のうちに支援センターへの相談、委員会の設置、業務改善計画の下書き、SECURITY ACTIONの宣言まで済ませておくと、調査回答から交付申請までを無理なく進められます。なお審査があり、予算超過時は抽選や優先順位による選定が行われるため、申請すれば必ず採択されるわけではありません。
まとめ|兵庫県の介護ソフト・ICT導入補助金で押さえる5点
兵庫県の介護ICT補助金は、金額よりも「段取り」で差がつく制度です。
- 区分は「令和8年度 介護業務における介護テクノロジー導入支援事業」の(2)ICT等。補助率4/5、1事業所あたり3区分合計700万円が上限
- 介護ソフトの基準額は職員数(常勤換算)別に100万〜250万円。端末・Wi-Fi・ベンダーサポートのいずれかが必要なら+15万円、居宅系でケアプランデータ連携5事業所以上なら+5万円
- Wi-Fiのみ・端末のみの導入は対象外。過年度導入分のランニングコスト、通信料、プリンタ・複合機も対象外
- 基礎編研修の受講は申請見込額調査の回答前に完了が必須。SECURITY ACTIONは交付申請時までに宣言
- 契約・納品・請求・支払のすべてを交付決定日以降、令和9年1月31日までに完了。実績報告は完了後20日以内または令和9年2月7日の早いほう
とくに重要なのは、兵庫県では「申請見込額調査に回答していない事業所は補助対象外」という入口が設けられている点です。見守り機器や介護ロボットも含めた県全体の制度は兵庫県の介護補助金に、国の制度設計は介護テクノロジー導入支援事業の全体像にまとめています。
記載の内容は要件を満たした場合の上限や原則であり、審査があります。交付決定前の契約・発注は対象外です。最新の要件・金額・日程は、必ず兵庫県の公式サイト(公募要領・実施要綱)および高齢政策課へご確認ください。この記事は2026年11月6日時点の公式情報に基づきます。
出典(すべて公式)
- 兵庫県「令和8年度介護業務における介護テクノロジー導入支援事業の実施」
- 兵庫県「令和8年度介護業務における介護テクノロジー導入支援事業実施要綱(確定版)」(PDF)
- 兵庫県「令和8年度介護テクノロジー導入支援事業 Q&A」(PDF)
- 兵庫県「介護テクノロジー導入支援研修等の実施について」
- ひょうご介護テクノロジー導入・生産性向上支援センター
- 神戸市「神戸市社会福祉施設等ICT化推進事業補助金について」
- 厚生労働省「介護テクノロジーの利用促進」
- 公益財団法人テクノエイド協会「福祉用具情報システム(TAIS)」
- IPA「介護テクノロジー定着支援事業・介護テクノロジー導入支援事業:SECURITY ACTION」
