この記事は2026年10月25日(日本時間)時点の公式情報に基づきます。
岩出市で工場や作業場の機械を入れ替えたい。そう思って「ものづくり補助金」と検索したら、公式サイトに「本補助金の公募は終了しております」と表示されて手が止まった——。そんな方のための記事です。
設備投資は、見積りを取り、融資の相談をし、現場の段取りを組んでようやく動き出します。そこへ「制度が終わっていた」「申請には1週間かかるIDが要る」と後から分かると、半年単位で計画がずれます。実際、旧「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」はすでに新規受付を終えており、いま応募できるのは名称も金額も違う別の補助金です(中小企業基盤整備機構 ものづくり補助金総合サイト)。
・いま岩出市の事業者が応募できるのは「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」で、第1回の申請締切は令和8年10月30日(金)18:00厳守です。
・補助上限は従業員規模と枠で750万円〜7,000万円、補助率は枠により1/2または2/3(要件を満たす場合)です。
・岩出市に市独自の上乗せ補助はありませんが、先端設備等導入計画・工場設置奨励・半島振興法の3つの優遇措置が市の窓口で使えます。
この記事では、①いま応募できる制度の正体、②岩出市の事業者が対象になるかの判定、③補助率と上限額の表、④申請の流れと締切、⑤岩出市・和歌山県の窓口と併用できる市の優遇3制度、⑥はまりやすい落とし穴、の順に、すべて公式サイトの原文から確認した内容だけでまとめます。最後の「落とし穴」は、他の記事に載っていない岩出市特有の注意点です。
【結論】岩出市の事業者がいま押さえる基本情報
岩出市に市独自のものづくり補助金は無く、使うのは国(中小企業基盤整備機構)の補助金です。
| 制度名 | 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(旧「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」とは異なる補助金) |
|---|---|
| 実施主体 | 独立行政法人中小企業基盤整備機構(補助金総合サイトを運営) |
| 対象者 | 中小企業者等(業種別の資本金・従業員数の要件あり)。岩出市内の製造業・サービス業・小売業・宿泊業などが該当しうる |
| 補助率・上限 | 革新的新製品・サービス枠=1/2(2/3)、小規模企業・小規模事業者と再生事業者は2/3/上限750万〜2,500万円(賃上げ特例時 850万〜3,500万円)。新事業進出枠1/2(2/3)・グローバル枠2/3/上限2,500万〜7,000万円(同3,000万〜9,000万円) |
| 申請期間 | 第1回:公募開始 令和8年6月29日(月)/申請受付 令和8年9月30日(水)/申請締切 令和8年10月30日(金)18:00厳守/採択発表 令和9年1月(予定) |
| 窓口 | 申請は電子申請システムのみ。岩出市内の相談先は岩出市産業振興課 商工観光係(0736-63-5840)、岩出市商工会(0736-62-7111) |
| 公式URL | 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公式サイト |

「ものづくり補助金」は名前が変わった:旧サイトは公募終了
検索で上位に出る旧サイトはすでに受付を終えており、応募先を間違えると申請できません。
旧制度のものづくり補助金総合サイトには、現在「本補助金の公募は終了しております」「新規の受付は『新事業進出・ものづくり商業サービス補助金』まで」と明記されています。同サイトでは令和8年8月7日(金)に第23次締切分の採択結果が公表されたのが直近の動きで、以後の新規公募はありません。
一方で、新しいサイトのトップには※「中小企業新事業進出補助金」と「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」とは異なる補助金です。という注記があります。つまり「前身」「統合」といった説明ではなく、別の補助金として設計された新制度という位置づけです。旧制度の公募要領や採択実績をそのまま持ち込むと、要件を読み違えます。
違いが特にはっきり出るのが基本要件です。新制度のトップページに掲げられている3つは次のとおりで、補助事業終了後3〜5年の事業計画期間について求められます。
- 付加価値額の年平均成長率が4.0%以上増加する見込みであること
- 従業員1人あたり給与支給総額の年平均成長率を3.5%以上増加させる見込みであること
- 毎年、事業場内最低賃金が補助事業実施場所の都道府県の地域別最低賃金より30円以上高い水準であること
和歌山県の地域別最低賃金は1,101円(発効日 令和8年10月3日)です(和歌山労働局)。したがって岩出市内に事業場を置く場合、3つ目の要件が意味するのは1,131円以上という水準です(+30円は編集部の計算値。実際の判定は申請時点の最低賃金額と公募要領でご確認ください)。
解説記事やブログには付加価値額「年平均3.0%以上」という旧制度時代の数字が残っていますが、現行制度の基本要件は年平均成長率4.0%以上です(新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公式サイト)。旧制度の要件の数値は旧サイトの公募要領が公開を終えており現在は公式に確認できないため、古い数字をそのまま使わず、必ず現行の公募要領でご確認ください。
岩出市で対象になるのは誰か・何に使えるか
業種ごとの資本金と従業員数のどちらかを満たす中小企業者等が対象で、使える経費は枠ごとに違います。
公募要領の中小企業者の定義は業種別です。岩出市に多い業種を抜き出すと次のようになります(いずれも資本金または常勤従業員数のいずれかを満たせば該当します)。
| 業種 | 資本金 | 常勤従業員数 |
|---|---|---|
| 製造業、建設業、運輸業 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く) | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| 旅館業 | 5,000万円以下 | 200人以下 |
宿泊施設を営む事業者は、サービス業(従業員100人)ではなく旅館業の200人の行で判定される点に注意してください。
補助対象経費は3つの枠で範囲が異なります。
- 革新的新製品・サービス枠:機械装置・システム構築費/運搬費/技術導入費/知的財産権等関連経費/外注費/専門家経費/クラウドサービス利用費/原材料費/広告宣伝・販売促進費
- 新事業進出枠:上記に加えて建物費が対象
- グローバル枠:さらに海外旅費・通訳・翻訳費が対象
機械装置を入れるだけなら革新枠、工場や店舗を建てて新分野に出るなら新事業進出枠、というのが大まかな切り分けです。建物費が要る計画を革新枠で出すと、その経費は認められません。
補助率・上限額は従業員規模で決まる
枠と従業員数で上限が階段状に決まり、賃上げ特例を適用すると上限が引き上がります。
| 枠 | 従業員規模 | 補助上限額(基本) | 賃上げ特例適用時 |
|---|---|---|---|
| 革新的新製品・サービス枠 (下限100万円) |
1〜5人 | 750万円 | 850万円 |
| 6〜20人 | 1,000万円 | 1,250万円 | |
| 21〜50人 | 1,500万円 | 2,500万円 | |
| 51人以上 | 2,500万円 | 3,500万円 | |
| 新事業進出枠・グローバル枠 (下限750万円) |
1〜20人 | 2,500万円 | 3,000万円 |
| 21〜50人 | 4,000万円 | 5,000万円 | |
| 51〜100人 | 5,500万円 | 7,000万円 | |
| 101人以上 | 7,000万円 | 9,000万円 |
補助率は枠ごとに次のとおりです。
- 革新的新製品・サービス枠:中小企業者 1/2(2/3)、小規模企業・小規模事業者および再生事業者 2/3
- 新事業進出枠:中小企業者(小規模企業・小規模事業者、再生事業者を含む)1/2(2/3)
- グローバル枠:中小企業者(同上)2/3
括弧内の補助率は、地域別最低賃金引上げ特例の適用を受ける事業者に適用されるものです。「全員が2/3」ではありません。
ここで岩出市の事業者が見落としやすいのが下限額です。新事業進出枠とグローバル枠は補助下限750万円。補助率1/2なら事業費1,500万円規模が前提になります。従業員数名の工務店や食品加工所で「まず数百万円の機械を1台」という計画なら、現実的な選択肢は革新的新製品・サービス枠(下限100万円)です。

申請の流れと、10月30日までにやること
申請は電子申請システムのみ。GビズIDプライムの発行に1週間程度かかるため、ID取得が最初の関門です。
- GビズIDプライムアカウントの取得。公募要領に「発行には、1週間程度時間を要します。」と明記されています。未取得なら真っ先に着手してください。
- 枠の選択と事業計画の作成。付加価値額4.0%・給与支給総額3.5%・事業場内最低賃金+30円以上の3要件を満たす計画にします。
- 見積りの取得と経費区分の整理。枠ごとに対象経費が違うため、建物費や海外旅費の有無で枠が変わることがあります。
- 電子申請システムから提出。公式サイトに「申請は、電子申請システムでのみ受け付けます。」とあります。郵送・持参は不可です。
- 採択発表(令和9年1月予定)→交付決定→発注。
第1回の日程は、公募開始 令和8年6月29日(月)/申請受付 令和8年9月30日(水)/申請締切 令和8年10月30日(金)18:00厳守/採択発表 令和9年1月(予定)です。公式の公募スケジュールには、当初予定だった受付8月31日・締切9月30日・発表12月の日程が取り消し線付きで残っています。古い日程を見て「もう終わった」と判断しないでください。
補助事業の実施期間は、革新的新製品・サービス枠が交付決定日から10か月以内(採択発表日から12か月以内)、新事業進出枠とグローバル枠が交付決定日から14か月以内(採択発表日から16か月以内)です。
なお、第2回以降の公募日程は2026年10月25日時点で公表されていません。今回を逃すと次がいつかは分からない前提で判断してください。
岩出市・和歌山県の窓口と、併用を検討できる市の優遇3制度
岩出市に補助金の上乗せはありませんが、税の優遇措置が3本あり、設備投資の実質負担を下げられます。
相談窓口
- 岩出市産業振興課 商工観光係:〒649-6292 岩出市西野209番地/電話 0736-63-5840/ファクス 0736-63-5841/開庁時間 午前8時45分〜午後5時30分(土・日・祝日および12月29日〜1月3日を除く)
- 岩出市商工会:〒649-6232 岩出市荊本77-3/電話 0736-62-7111(和歌山県の支援機関一覧による。受付時間は公式サイトで確認できなかったため、事前に電話でご確認ください)
- 和歌山県商工企画課:073-441-2725
① 先端設備等導入計画の認定(固定資産税の軽減)
岩出市は中小企業等経営強化法に基づく導入促進基本計画を定めており、計画期間は令和7年4月1日〜令和9年3月31日。市の認定を受けると、対象設備の固定資産税の課税標準が賃上げ方針1.5%以上の表明で3年間1/2、3%以上で5年間1/4に軽減されます(設備の取得期間も令和7年4月1日〜令和9年3月31日)。
市のページには「新規申請時に賃上げ方針を表明していなければ特例の適用対象となりません」と明記されています。賃上げ方針を表明しない場合は軽減そのものが受けられません。また、固定資産税特例の対象設備は機械装置160万円以上・測定工具及び検査工具30万円以上・器具備品30万円以上・建物附属設備60万円以上で、ソフトウェアは含まれません。設備の取得は市の認定後に行う必要があります。
② 岩出市工場設置優遇措置(奨励金)
岩出市工場設置奨励条例に基づく制度で、市内に製造業または加工業に供する工場を新設・増設した者が対象です。要件は投下固定資産総額2,700万円以上(土地に係る分は除く)、新たに雇用する常用雇用者が20人以上(うち5人以上は岩出市内雇用者)、市税を完納していること、市の産業振興上適当であること。新設または増設部分の固定資産税を限度に、課税された最初の年度から3年間、予算の範囲内で奨励金が交付されます。申請の手続き・期限はページに記載がないため、産業振興課へ事前にご確認ください。
③ 半島振興法に基づく産業振興促進計画制度
岩出市は半島振興法の対象地域で、産業振興促進計画制度により製造業、農林水産物等販売業、旅館業及び情報サービス業等を営む事業者に、国税の5年間の割増償却(法人税または所得税の繰り延べ)と、地方税の3年間の固定資産税の不均一課税措置が用意されています。手続きは事前に「産業振興機械等の取得等に係る確認申請書」を産業振興課へ提出する流れで、登記事項証明書・資産一覧・取得価格確認書類・位置図・機械設備明細等の添付が必要です。割増償却率や取得価額の要件はページに記載がないため、産業振興課にご確認ください。
和歌山県の補助金(令和8年度は受付終了)
県の設備投資系メニューとしては和歌山県中小企業成長促進補助金があり、補助率2/3以内・上限1,000万円(下限100万円)、要件は「生産性向上及び従業員の賃金向上に向けた事業計画を作成すること」、申請期間は令和8年5月18日(月)〜7月31日(金)でした。ただし同ページには「本補助金は予算上限額に達したため、新規申請の受理を終了しました。」とあります。令和9年度の実施有無は未発表です。
岩出市の事業者がはまりやすい5つの落とし穴
制度の切り替わり期であるため、情報の新旧が混在しているのが今年特有のリスクです。
- 落とし穴1:旧サイトに申請しようとする。「ものづくり補助金総合サイト」は公募終了済みです。申請先は新サイトの電子申請システムのみです。
- 落とし穴2:付加価値額3.0%で計画を組む。現行の基本要件は4.0%以上です。
- 落とし穴3:交付決定前に発注してしまう。公式サイトに「交付決定日より前に補助事業に係る製品の購入や役務の提供に係る契約(発注を含む)等した経費は、補助対象になりません。」とあります。採択発表(令和9年1月予定)から交付決定までの間の発注も危険です。
- 落とし穴4:先端設備等導入計画で賃上げ方針を表明しない。表明がないと固定資産税の軽減は受けられません。また、補助金で導入するソフトウェアはこの固定資産税特例の対象設備に含まれません。
- 落とし穴5:GビズIDの取得を後回しにする。発行に1週間程度かかります。締切(10月30日18:00)までの残り日数から逆算してください。

よくある質問
岩出市には市独自のものづくり補助金の上乗せはありますか。
岩出市産業振興課の事業者向けページ(商工関係)に掲載されている制度は、移住支援金・セーフティネット保証・和歌山県最低賃金の改正・地方就職学生支援金・市内企業就職促進奨学金返還助成・創業支援事業計画・工場設置優遇措置・半島振興法の産業振興促進計画・危機関連保証・導入促進基本計画・労働保険で、ものづくり補助金への上乗せ補助はありません。代わりに固定資産税の軽減(先端設備等導入計画)、工場設置奨励金、半島振興法の割増償却が使えます。
締切に間に合わない場合、次の公募はいつですか。
2026年10月25日時点で、公式の公募スケジュールに第2回以降の記載はありません。日程が決まり次第、公式サイトで公表されます。間に合わない場合は、次回に備えてGビズIDプライムの取得と事業計画の骨子づくりを先に進めておくのが現実的です。
補助金は必ずもらえますか。採択率はどのくらいですか。
審査がある補助金なので、要件を満たしても採択されるとは限りません。また、新制度は第1回の採択結果がまだ公表されていないため、採択率は不明です。参考として、旧制度の第23次締切分(令和8年8月7日公表)は申請者数1,275・採択者数448でした(ものづくり補助金総合サイト)。ただし同サイトの採択結果は全国の合計のみで、都道府県別の件数は掲載されていません。「和歌山県の採択率」を示す公式数値は確認できない点にご注意ください。
岩出市の飲食店や小売店でも対象になりますか。
中小企業者の定義(小売業は資本金5,000万円以下または従業員50人以下など)を満たし、革新的な新製品・新サービスの開発や新事業への進出という事業内容であれば、業種として排除されるわけではありません。ただし補助下限は革新的新製品・サービス枠で100万円、新事業進出枠では750万円です。小規模な設備更新や販路開拓であれば、小規模事業者持続化補助金など別の制度のほうが合う場合があります。岩出市商工会または産業振興課にご相談ください。
申請書の作成を外部に任せてもよいですか。
公募要領では、助言を受けることは差し支えないとしつつ「必ず申請者自身で作成してください」とされています。認定経営革新等支援機関や商工会への相談は有効ですが、計画の中身を丸投げすることは想定されていません。
岩出市の事業者が今日動くなら、①新サイトの公募スケジュールで第1回締切(令和8年10月30日18:00)を確認、②GビズIDプライムの取得、③枠の選択(下限100万円の革新枠か、下限750万円の新事業進出枠か)、④産業振興課 商工観光係(0736-63-5840)に先端設備等導入計画と工場設置奨励・半島振興法の適用可否を相談、の4つです。補助率・上限額・締切は年度や公募回で変わります。申請前に必ず公式の公募要領でご確認ください。
この記事は2026年10月25日時点で、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公式サイト、ものづくり補助金総合サイト、岩出市公式サイト、和歌山県公式サイト、和歌山労働局の公開情報を確認して作成しています。
