この記事は2026年10月1日時点の公式情報に基づきます。
「和歌山県で漁業に使える補助金は、結局どれなのか」と探していませんか。
漁船や機器の更新、燃油や飼料の値上がり、後継者の確保と、漁業の経営課題はどれもお金がかかります。ところが制度は県・国・市町・漁協系の団体に分かれていて、自分が申請できるものと、市町や漁協しか申請できないものが混ざって見えるのが実情です。
1. 県の入口は「水産業支援ナビ」。漁場・漁船/機械・経営/技術・加工/販売などの分野別に、対象者と担当班の電話番号が一覧になっています。
2. 漁業者が直接使いやすいのは、スマート水産業推進事業(補助率3分の1以内・上限200万円/令和8年度は12月18日まで募集)、新規就業者の初期投資支援(県1/3・市町1/3・自己負担1/3、上限300万円)、無利子の沿岸漁業改善資金です。
3. 迷ったら県水産振興課(073-441-3000)か、地元の漁業協同組合・振興局に相談するのが最短です。
この記事では、和歌山県の漁業補助金・助成制度の全体像、目的別の制度と金額、市町ごとの違い、申請の流れ、よくある落とし穴までを公式情報だけで整理します。最後に、補助金と融資をどう組み合わせるかの考え方もまとめました。

和歌山県の漁業補助金の全体像|入口は県の「水産業支援ナビ」
和歌山県の漁業向け支援は、県公式の「水産業支援ナビ」に分野別でまとまっており、まずここで対象者と担当班を確認するのが近道です。
県農林水産部が公開している水産業支援ナビ(和歌山県公式)は、支援制度を「漁場」「漁船・機械・施設」「経営・技術」「加工・販売」「安全・安心」「海外進出等」「その他」に分けて掲載しています。
注意したいのは対象者の欄です。
- 漁業者・養殖事業者が対象:スマート水産業推進、沿岸漁業改善資金、漁業近代化資金、漁業共済・積立ぷらす、漁業経営セーフティネット構築(燃油・飼料)など
- 漁協・漁業者グループが対象:不漁に強い漁業経営グループ創出、もうかる漁業創設支援、水産業物価高騰緊急対策事業など
- 市町・漁協等が対象:沿岸漁場の整備(藻場造成など)、漁業経営構造改善事業、海業取組促進事業、次代につなぐ漁村づくり支援など
市町や漁協が対象の制度は個人では申請できませんが、その事業を通じて研修や漁船・漁具の整備支援が漁業者に届くものがあります。地元で実施されているかは、漁協か市町の水産担当課にご確認ください。
| 制度名 | 和歌山県の漁業向け補助金・支援制度(水産業支援ナビ掲載の各制度) |
|---|---|
| 実施主体 | 和歌山県(農林水産部 水産局 水産振興課・資源管理課ほか)、国(水産庁)、県内市町、漁業関係団体 |
| 対象者 | 制度により異なる(漁業者・養殖事業者/漁協・漁業者グループ/市町など) |
| 補助率・上限 | スマート水産業推進事業:3分の1以内・上限200万円/新規就業者の初期投資支援:県1/3・市町1/3・自己負担1/3(上限300万円)/資格取得支援:県1/2以内(上限5万円)/不漁に強い漁業経営グループ創出事業(令和8年度・漁協を通じた支援):設備取得価額の1/2以内、補助限度額は漁業者グループ1団体当たり5,000千円(500万円) |
| 申請期間 | スマート水産業推進事業(令和8年度):令和8年8月6日(木)〜令和8年12月18日(金)。沿岸漁業改善資金は随時。その他は各制度の公式ページ・担当班でご確認ください |
| 窓口 | 和歌山県 水産振興課(073-441-3000)、同 経営指導班(073-441-3004)、資源管理課 漁業調整班(073-441-3010)、各振興局、最寄りの漁業協同組合 |
| 公式URL | 水産業支援ナビ(和歌山県) |
和歌山県の漁業補助金|機器導入・設備投資に使える制度
設備投資では、県独自の「スマート水産業推進事業」と、漁業者グループ向けの「不漁に強い漁業経営グループ創出事業」が金額の明示された代表的な制度です。
スマート水産業推進事業(令和8年度)
スマート水産業推進事業(和歌山県公式)は、水産業のスマート化(ICT機器などを使って操業や養殖を効率化すること)に取り組む漁業者等を支援する補助金です。
- 補助率:3分の1以内
- 上限額:200万円
- 対象:「スマート水産業推進事業補助金交付要綱」の別表に掲げる機器等の新規導入
- 令和8年度の募集期間:令和8年8月6日(木)〜令和8年12月18日(金)
- 提出先:各振興局の農林水産振興部を通じて県資源管理課へ(電話 073-441-3010)
対象機器は要綱の別表で決まっているため、発注前に担当課で確認してください。令和8年度の交付要綱では、補助対象経費の総額が15万円以上であること、国の補助金や県の他の補助金を充当しないことが条件です。審査があり、県ページには「予定した補助金額に達した場合は、事業計画書の受付を終了します」と書かれています。
不漁に強い漁業経営グループ創出事業
不漁に強い漁業経営グループ創出事業(和歌山県公式)は、1つの魚種や漁法に頼らない経営づくりを後押しする制度です。県ページでは次のように案内されています。
- 対象:3人以上の漁業者で組織する漁業者グループ(代表者の定めがあり、規約を有すること)を支援する漁業協同組合。県の補助金は漁協に交付され、漁協がグループに設備をリースするか、グループの設備取得に補助します
- 対象経費:漁船、漁船附帯設備、漁具、養殖用資材、畜養資材、水産物加工機器など漁業用設備等の取得に係る経費
- 補助率:リース事業は対象経費の1/2以内。補助事業は、漁協がグループに行う補助(設備取得価額の1/2以内)に要する経費の10/10以内。県の事業概要では「補助率1/2以内(補助限度額500万円)」と案内されています
- 補助限度額:1団体当たり5,000千円(500万円)
- 問い合わせ先:最寄りの振興局農業水産振興課、または県水産振興課 企画流通班(073-441-3000)
県の事業概要には令和8年度予算の事業として掲載されていますが、募集期間の記載は確認できませんでした。令和8年度の募集状況は所属の漁協か県水産振興課でご確認ください。
国の事業(漁船リース・機器導入)
水産業支援ナビには、国の「浜の担い手漁船リース緊急事業」「競争力強化型機器等導入緊急対策」も掲載されています。補助率と締切は各事業の公募要領でご確認ください。
和歌山県で漁師になる人への補助金|就業・研修・初期投資
新しく漁業を始める人には、相談から研修、漁船などの初期投資、資格取得までを段階的に支える仕組みがあります。
窓口は和歌山県漁業就業者確保育成センター(和歌山県公式)です。県庁(和歌山市小松原通一丁目1番地)の水産振興課内にあり、電話は073-441-3000、受付は平日9:00〜17:00と案内されています。
| 段階 | 内容 | 金額・期間(県公式の記載) |
|---|---|---|
| 相談 | 漁業就業に関する情報提供・相談 | — |
| 体験・研修 | 漁業体験、トライアル研修、長期研修 | 漁業体験は1日〜/トライアル研修は1か月/長期研修は独立型が最長23か月、雇用型が最長5か月。研修中は給付金(独立型:最大15万円/月)または賃金を支給 |
| 初期投資支援 | 中古漁船の購入・改修、魚群探知機等の購入など | 負担割合は県1/3・市町1/3・自己負担1/3(上限300万円) |
| 資格取得支援 | 小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許 | 県1/2以内(上限5万円) |
ポイントは、初期投資支援が「市町が実施する事業に対して県が補助する」形であることです。つまり、就業する市町がこの事業を実施しているかどうかで使えるかが変わります。上限300万円が補助額と事業費のどちらに掛かるのかなど細かな条件も、就業先の市町と県水産振興課にご確認ください。
全国の求人や就業フェアの情報は、県ページからもリンクされている全国漁業就業者確保育成センターで探せます。

補助金と併用を考えたい和歌山県の水産制度資金・経営安定策
漁船の取得など金額の大きい投資は、補助金だけでは足りないため、無利子・低利の制度資金と経営安定の仕組みを合わせて検討します。
制度資金とは、県や国が利子補給などで条件を良くした公的な融資のことです。水産制度資金(和歌山県公式)の主な内容は次のとおりです。
| 資金名 | 対象 | 貸付限度額 | 利率 | 償還期間 |
|---|---|---|---|---|
| 沿岸漁業改善資金 | 沿岸漁業従事者(個人・団体)、従業者20人以下の漁業会社など | 10万〜2,500万円(合計5,000万円) | 無利子 | 2〜12年以内(据置0〜5年以内) |
| 漁業近代化資金 | 漁業を営む個人・法人(従業者300人以下、漁船3,000トン以下)、水産加工業者、漁協など | 個人1,800万〜9,000万円、その他法人9,000万円、20トン以上漁船資金3億6,000万円、漁協等12億円 | 3.30%(令和8年9月18日現在) | 5〜20年以内(据置2〜3年以内) |
| 漁業経営維持安定資金 | 漁業経営再建計画の認定を受けた中小漁業者 | 4,000万〜1億5,000万円 | 3.30% | 10年以内(据置3年以内) |
沿岸漁業改善資金は無利子で、申請は随時です。窓口は最寄りの漁業協同組合または各振興局の農業水産振興課と案内されています。ただし県ページには、国・県等の補助金を受けて実施する事業(補助残に対する借入)は対象にならないこと、連帯保証人が必要なこと、原則として中古機器は対象にならないことが書かれています。補助金の自己負担分に充てる資金は、漁業近代化資金など別の資金を窓口でご相談ください。
漁業近代化資金は融資率が事業費の80%以内で、融資機関はなぎさ信用漁業協同組合連合会と農林中央金庫です。制度の目的と対象資金は漁業近代化資金のご案内(水産庁)でも確認できます。利率は改定されるため、借入時点の利率を必ず確認してください。
経営安定の仕組みとしては、水産業支援ナビに漁業共済、積立ぷらす、漁業経営セーフティネット構築事業(燃油・養殖用配合飼料)が掲載されています。燃油や飼料の価格高騰時に補てん金が出る仕組みで、実施要領は漁業経営セーフティーネット構築事業(水産庁)にあります。水産業支援ナビでは、養殖用飼料について「令和8年度分は募集終了」と記載されています。発動条件や加入時期は実施要領または所属の漁協でご確認ください。
和歌山県内の市町ごとの違い|漁業補助金は市町の上乗せ・独自制度も確認
県の制度に加えて、市町が独自の漁業補助金を持っている場合があり、内容は市町ごとに違います。
公式サイトで内容を確認できた2市の例を表にまとめます。
| 市 | 制度名 | 対象 | 補助率・上限(市公式の記載) | 窓口 |
|---|---|---|---|---|
| 海南市 | 新規漁業就業者支援事業 | 市内在住で申請年度4月1日時点50歳未満、漁業経営を開始予定または開始後1年以内の人(所定の研修修了者を優先) | 補助率3分の2(上限600万円、1点あたり15万円以上の購入)。対象は漁船の建造・取得、機器・施設の設置、漁具の購入 | 産業振興課 農林水産班 073-483-8464 |
| 海南市 | 漁業新規就業者資格取得支援事業 | 市内在住で漁業に従事予定、または従事後2年以内の人 | 補助率2分の1、上限5万円(小型船舶操縦士免許・海上特殊無線技士免許の講習費・受検費用) | 同上 |
| 有田市 | 有田市漁業後継者支援事業(資格取得) | 15歳以上50歳未満で、漁業に従事または新規就業予定の人 | 事業費の1/2以内、上限20万円 | 経済部 産業振興課 水産係 0737-22-3628 |
| 有田市 | 有田市漁業後継者支援事業(家賃補助) | 15歳以上50歳未満の新規就業者で、世帯総収入800万円以下 | 月額家賃の1/2以内、上限月2万5千円。支給開始月から2年間 | 同上 |
出典は新規漁業就業者を支援するための補助金について(海南市公式)と有田市漁業後継者支援事業(有田市公式)です。
海南市のページは2026年2月17日更新、有田市のページは平成30年9月26日更新で、年度ごとの申請期間は記載されていません。令和8年度の実施状況と締切は各市の担当課にご確認ください。田辺市・串本町など他の市町の制度は今回公式ページで確認できなかったため、各市町の水産担当課でご確認ください。

和歌山県の漁業補助金|申請の流れ・窓口・落とし穴
申請は「対象者の確認→窓口へ事前相談→計画と見積の準備→申請→交付決定後に発注」の順で進めるのが基本です。
- 目的を決める(機器導入・漁船の取得・就業・資金繰り)
- 水産業支援ナビで対象者と担当班を確認する
- 窓口に事前相談する(県の担当班、振興局、漁協、市町の水産担当課)
- 計画・見積書などをそろえて申請する(必要書類は交付要綱・公募要領で確認)
- 交付決定を受けてから発注・購入する
県の主な問い合わせ先は次のとおりです(水産業支援ナビ・各制度ページの記載)。
| 相談内容 | 担当 | 電話 |
|---|---|---|
| 漁業就業、漁船リース・機器導入(国事業)、グループ創出、海業 | 水産振興課 企画流通班 | 073-441-3000 |
| 制度資金、漁業共済、燃油のセーフティネット | 水産振興課 経営指導班 | 073-441-3004 |
| スマート水産業、養殖業の支援、配合飼料 | 資源管理課 漁業調整班 | 073-441-3010 |
| 漁場整備(市町・漁協向け) | 水産振興課 漁場整備班 | 073-441-3008 |
よくある落とし穴
対象外になる原因の多くは、「順番」と「対象者の読み違い」です。
- 交付決定前に買ってしまう:補助金は一般に、交付決定より前に発注・購入した経費は対象外になります。発注前に窓口で手順を確認してください。
- 対象者を読み違える:市町・漁協向けの制度に個人では申請できません。逆に、グループを組めば使える制度もあります。
- 補助金は後払い:支払いは事業完了後が基本なので、立て替える資金が必要です。制度資金を合わせて検討します。
- 古い年度の情報で動く:補助率や締切は年度で変わります。申請前に公式ページの最新情報と照らし合わせてください。
なお、直販や加工品の販売など販路づくりには、水産業支援ナビの「加工・販売」分野に、わかやま農商工連携ファンドや農林水産業デジタルマーケティング総合支援などが掲載されています。内容は各担当課でご確認ください。
よくある質問
和歌山県の漁業補助金は、個人の漁業者でも申請できますか?
制度によって異なります。スマート水産業推進事業や沿岸漁業改善資金は個人の漁業者も対象です。一方、不漁に強い漁業経営グループ創出事業は3人以上の漁業者グループを支援する漁協、漁場整備などは市町や漁協が対象です。県の水産業支援ナビで「対象者」の欄を確認してください。
これから和歌山で漁師になりたい場合、最初にどこへ相談すればよいですか?
和歌山県漁業就業者確保育成センター(県水産振興課内・電話073-441-3000、平日9:00〜17:00)が相談窓口です。漁業体験から研修、初期投資支援、資格取得支援までを案内しています。初期投資支援は市町の事業を県が補助する形のため、就業先の市町にも実施の有無を確認してください。
補助金と制度資金(融資)はどう違いますか?
補助金は審査を通った場合に経費の一部が交付されるもので、原則として返済は不要です。制度資金は融資なので返済が必要ですが、沿岸漁業改善資金は無利子、漁業近代化資金は長期・低利で借りられます。
スマート水産業推進事業の令和8年度の募集はいつまでですか?
県公式ページでは、令和8年度の募集期間は令和8年8月6日(木)から令和8年12月18日(金)までと案内されています。補助率は3分の1以内、上限額は200万円で、各振興局の農林水産振興部を通じて県資源管理課に提出します。
市町村独自の漁業補助金はありますか?
あります。たとえば海南市は新規漁業就業者支援事業(補助率3分の2・上限600万円)と資格取得支援事業(補助率2分の1・上限5万円)を、有田市は漁業後継者支援事業(資格取得は事業費の2分の1以内・上限20万円、家賃補助は月額家賃の2分の1以内・上限月2万5千円)を公式サイトに掲載しています。実施状況と申請期間は各市の担当課でご確認ください。
まとめ|和歌山県の漁業補助金は「対象者」と「窓口」から逆算する
- 入口は県の水産業支援ナビ。対象者(漁業者/漁協・グループ/市町)を最初に確認する
- 機器導入はスマート水産業推進事業(3分の1以内・上限200万円、令和8年度は12月18日まで)
- 新規就業は漁業就業者確保育成センターに相談。初期投資支援は市町の実施が前提
- 大きな投資は無利子の沿岸漁業改善資金・低利の漁業近代化資金も検討する(沿岸漁業改善資金は補助金を受ける事業の補助残には使えない)
- 市町独自の制度(海南市・有田市など)は年度ごとに担当課へ確認する
補助金はいずれも審査があります。まずは県水産振興課(073-441-3000)か地元の漁協に、自分の計画で使える制度を相談してください。
この記事は2026年10月1日時点の公式情報に基づきます。補助率・上限額・募集期間は変更されることがあります。申請前に必ず各制度の公式ページ・公募要領をご確認ください。
