この記事は2026年10月24日時点の公式情報に基づきます。
和歌山県紀の川市で空き家を買った(借りた)ものの、水回りと屋根の見積もりを見て手が止まっている──そんな方に向けた記事です。
「補助金があるらしい」とは聞いていても、紀の川市の公式サイトでは空き家の補助が地域創生課と住宅政策課の2つの課に分かれて掲載されており、しかも県の制度まで重なるため、自分がどれを使えるのか分かりにくいのが実情です。
意外に知られていないのが、和歌山県の空き家改修補助金(1/2・上限100万円)は、紀の川市では「旧粉河町・旧那賀町・旧桃山町」のエリアしか対象になっていないという点です。旧打田町・旧貴志川町エリアの物件は、県のチラシの対象地域に名前がありません。
この記事では、紀の川市の定住促進支援事業補助金(リフォーム2/3・上限60万円)を中心に、引っ越し・片付け・仲介手数料・建物状況調査の各メニュー、県制度との違い、申請の落とし穴までを、市と県の公式ページの原文だけで整理します。
最後に、公式サイトに書かれていない=問い合わせないと分からない項目も、はっきり「要確認」として挙げています。
誰が:紀の川市の空き家バンク物件に移り住む、5年以上の定住の意思がある移住者・移住予定者(片付けは空き家バンク登録所有者)
いくら:リフォーム工事費の3分の2以内・上限60万円/引っ越し代10/10以内・上限10万円/片付け10/10以内・上限10万円
いつまで:市のページに受付期間の記載はなく、予算の上限に達した場合は受付終了(事前に問い合わせが必要)。実績報告の期限は補助事業が属する年度の3月31日
どこへ:紀の川市 企画部 地域創生課(0736-77-2511)
| 制度名 | 紀の川市定住促進支援事業補助金(定住支援事業/空き家片付け支援事業) |
|---|---|
| 実施主体 | 紀の川市(企画部 地域創生課) |
| 対象者 | 5年以上の定住の意思がある移住者または移住予定者/空き家片付け支援事業は空き家バンクに登録していた所有者 |
| 補助率・上限 | リフォーム工事費:補助対象経費の3分の2以内(上限60万円・千円未満切り捨て)/引っ越し代:10分の10以内(上限10万円)/片付け:10分の10以内(上限10万円) |
| 申請期間 | 市ページに期間の明記なし。「予算の上限に達した場合は、申請受付を終了」との記載あり(令和8年度/2026年度) |
| 窓口 | 紀の川市 企画部 地域創生課 TEL 0736-77-2511 |
| 公式URL | 紀の川市「定住促進支援事業補助金」 |

紀の川市の空き家改修補助の本命は「定住促進支援事業補助金」
紀の川市で空き家の改修費そのものに補助が出るのは、地域創生課が所管する「定住促進支援事業補助金」です。
この補助金は、空き家の屋根、外壁、居室、台所、玄関、階段、廊下、トイレ、浴室等のリフォームが対象で、補助額は補助対象経費の3分の2以内・上限60万円です。
同じ補助金の中に引っ越し代(引っ越し業者に依頼した場合の経費、10分の10以内・上限10万円)のメニューがあり、さらに別区分として空き家片付け支援事業が設けられています。
片付けのほうは移住者ではなく、空き家バンクに登録していた所有者側が申請する補助です。空き家バンクを通じて賃貸借契約または売買契約が成立した空き家に付随する家財・家具等の片付けが対象で、10分の10以内・上限10万円となっています。
つまり紀の川市の制度は、「借り手・買い手=改修と引っ越し」「売り手・貸し手=片付け」という役割分担になっています。空き家の売買の両当事者がそれぞれ市に申請できる形です。
なお、紀の川市 地域創生課の「移住・定住」のページでは、関連する支援として移住支援金、移住促進支援事業補助金、定住促進支援事業補助金、若者定住促進住宅取得奨励金、空き家仲介手数料補助金、空き家流通促進奨励金の名称が案内されています。本記事では改修に直接関わるものを中心に扱います。
対象者の要件|「5年以上の定住」と「3親等内の親族は対象外」
補助を受けられるのは、要件を満たした移住者・移住予定者と、空き家バンク登録所有者に限られます。
市のページで確認できる主な要件は次のとおりです。
- 5年以上の定住の意思がある移住者または移住予定者であること(定住支援事業)。交付要綱では「空家バンク利用希望者台帳に登録している移住者又は1年以内に移住を予定している者」と定義されています
- 空き家片付け支援事業は、対象物件を空き家バンクに登録していた所有者であること
- 同一世帯に市税その他市に対する債務を滞納している方、暴力団関係者がいる場合は対象外
- 3親等内の親族との売買・賃貸借契約は対象外
- リフォームは市内事業者に施工を依頼した場合のみ対象(片付けも市内事業者に依頼した場合のみ)
- 対象になるのは、市(空家バンク運営委託先事業者を含む)の立会による内見を経て売買又は賃貸借契約に至った空き家バンク登録物件(交付要綱第3条)
- 交付申請日から3年未満で市外へ転出した場合は全額、3年以上5年以内の転出は半額の返還(交付要綱第13条・第14条)
「3親等内の親族との契約は対象外」は見落としやすい要件です。実家や親族名義の空き家を安く譲り受けて直す、というパターンはこの補助の対象から外れます。
リフォーム分の申請に必要な書類としては、世帯全員の住民票の写し、紀の川市税の滞納がないことを証する書類、納税状況等調査同意書兼誓約書、契約書の写し(インスペクションの結果を契約内容に反映したもの)、補助事業の内容と金額の内訳が確認できる書類、事業実施箇所の現況写真、インスペクション結果報告書と既存住宅状況調査技術者の講習修了証明書の写しなどが挙げられています。現況写真が必要ということは、工事に手を付ける前の状態を撮っておく必要があるという点と、契約の前にインスペクションを済ませておく必要があるという点に注意してください。
補助額の一覧|紀の川市の空き家関連5メニューを表で比較
紀の川市の空き家関連の補助・奨励金を、対象者と金額で並べると使える順番が見えてきます。
| 制度名 | 主な対象者 | 補助額・上限 | 主な条件 |
|---|---|---|---|
| 定住促進支援事業補助金(リフォーム) | 5年以上の定住の意思がある移住者・移住予定者 | 補助対象経費の3分の2以内・上限60万円(千円未満切り捨て) | 市内事業者に施工を依頼した場合のみ |
| 定住促進支援事業補助金(引っ越し) | 同上 | 10分の10以内・上限10万円 | 引っ越し業者に依頼した場合の経費 |
| 空き家片付け支援事業 | 空き家バンクに登録していた所有者 | 10分の10以内・上限10万円 | 契約成立後の家財・家具等の片付け/市内事業者 |
| 空き家仲介手数料補助金 | 移住者・移住予定者または空き家バンク登録所有者 | 宅地建物取引業者に支払った仲介手数料・上限5万円 | 申請期限は支払った日の属する年度の3月31日まで |
| 建物状況調査奨励金 | 空き家バンク登録空き家の所有者等(市税の滞納がないこと) | 空き家1棟あたり上限30,000円(1棟につき1回限り) | 調査完了年度の3月31日までに地域創生課へ申請 |
対象外の経費も明記されています。定住促進支援事業補助金のリフォームでは、倉庫及び車庫のリフォーム、備品購入費、住宅における居住部分以外のリフォーム、ふすま又は障子の張替え・畳替え・ガラスの入替え等の簡易なリフォーム、その他市長が適当でないと認めるものが補助対象外です(令和8年度)。
「簡易なリフォーム」は市のページと交付要綱にふすま又は障子の張替え、畳替え、ガラスの入替え等と例示されており、畳の表替えだけ・ふすまの張替えだけといった工事は対象外です。壁紙の張り替えなど例示にない小規模な工事を予定している場合は、申請前に地域創生課に確認してください。

和歌山県の空き家改修補助金(1/2・上限100万円)は旧3町エリアのみ
紀の川市の物件には、県の空き家改修補助金が上乗せで使える可能性がありますが、エリアと年度の制約が大きい制度です。
和歌山県が移住者向けに設けている「空き家改修補助金」は、改修工事にかかる経費の1/2・上限100万円です。県外から和歌山県内の補助対象地域へ移住するにあたり空き家を改修する方が対象で、申請者は移住者または空き家所有者のいずれかとされています。
ここで重要なのが対象地域です。令和8年度版のチラシでは、対象地域は22市町村に限定されており、紀の川市は「旧粉河町・旧那賀町・旧桃山町」と括弧書きで限定されています。海南市(大崎、塩津)、みなべ町(上南部、清川、高城)、白浜町(日置川)と同じ扱いで、市内全域が対象ではありません。
令和8年度の空き家改修補助金は、県の移住ポータル「わかやまLIFE」に「予算に達した為、募集を終了しました。」と表示されています(2026年10月24日時点)。令和9年度の募集の有無・開始時期は発表されていないため、県の公式ページで最新の受付状況を確認してください。
| 県の制度 | 補助率・上限 | 紀の川市での対象地域 | 2026年10月24日時点の受付状況 |
|---|---|---|---|
| 空き家改修補助金 | 改修工事にかかる経費の1/2(上限100万円) | 旧粉河町・旧那賀町・旧桃山町 | 予算に達したため募集終了 |
| 空き家お片付け補助金(県チラシの表記は「空き家片づけ補助金」) | 1物件あたり最大8万円 | 旧粉河町・旧那賀町・旧桃山町(改修補助と同じ対象地域) | ページに終了の記載なし(要確認) |
| わかやま既存住宅状況調査補助金 | 調査に要する経費の1/2(上限5万円) | 県内全域対象 | ページに終了の記載なし(要確認) |
県の空き家改修補助金には、独自の補助条件が付きます。わかやま住まいポータルに登録された空き家であること、改修前の段階で申請すること、県内の不動産業者に売買・賃貸借契約の仲介に入ってもらうこと、空き家のインスペクション(建物状況調査)を実施していることの4点が必須とされ、実績報告の提出期限は毎年2月末日(この日までに改修工事と住民票の移転を完了する必要があります)です。増築工事、別棟の物置や外構工事、エアコン等家電や家財道具の設置、事業の目的に用いる箇所の工事は対象外です。なおインスペクションは紀の川市の定住促進支援事業補助金でも申請書類として求められるため、市・県のどちらを使う場合も契約前の実施が前提になります。
問い合わせ先は和歌山県 地域振興課 地域支援班(TEL 073-441-2426)です。なお県のポータルサイト本文には別の番号(073-441-2930)も掲載されているため、電話の際は用件を「空き家改修補助金について」と伝えると確実です。
詳細はわかやまLIFE「住まいの支援制度」で確認できます。
申請の流れと紀の川市の窓口
紀の川市の空き家改修補助は、物件探しの段階から窓口が決まっています。
- 紀の川市空き家バンクで物件を探し、利用登録(空家バンク利用希望者台帳への登録)をする(利用登録を済ませてから現地内覧が可能になります)
- 市(空家バンク運営委託先事業者を含む)の立会のもとで内見し、所有者と売買・賃貸借契約を結ぶ(3親等内の親族との契約は対象外。契約内容にインスペクションの結果を反映させます)
- 工事を発注する前に地域創生課へ相談し、予算の残りと申請時期を確認する
- 市内事業者からリフォームの見積もりを取り、現況写真を撮影しておく
- 交付申請書(様式第1号)、納税状況等調査同意書兼誓約書(様式第2号)、契約書の写し、内訳書などを提出
- 工事・引っ越しの実施後、補助事業が属する年度の3月31日までに実績報告書(様式第7号)を提出し、額の確定通知を受けて交付請求書(様式第9号)を提出
根拠となるのは「紀の川市定住促進支援事業補助金交付要綱」(令和3年3月29日告示第47号、令和8年3月16日改正・令和8年4月1日施行)です。要綱は交付申請(第6条)→交付決定(第7条)→実績報告(第10条)の順で定めており、実績報告の期限は補助事業が属する年度の3月31日とされています。ただし「着工前に申請」と明記した一文は市のページにも交付要綱にもないため、契約・発注の前に必ず地域創生課に順序を確認してください。
窓口は次のとおりです。
- 紀の川市 企画部 地域創生課(TEL 0736-77-2511/〒649-6492 紀の川市西大井338番地)…空き家バンク、定住促進支援事業補助金、空き家仲介手数料補助金、建物状況調査奨励金
- 紀の川市 建設部 住宅政策課(TEL 0736-77-2511/住宅施策班)…不良空家の除却に係る補助金、住宅の耐震診断・改修等の補助
- 和歌山県 地域振興課 地域支援班(TEL 073-441-2426)…県の空き家改修補助金・空き家お片付け補助金・わかやま既存住宅状況調査補助金の問い合わせ先
- 那賀振興局 地域づくり部 地域づくり課(TEL 0736-61-0014)…わかやま既存住宅状況調査補助金の紀の川市・岩出市分の申請窓口(県チラシ記載)
市の窓口一覧は紀の川市 地域創生課と紀の川市 住宅政策課のページから辿れます。耐震改修とあわせて検討する場合は、和歌山県の住宅耐震化のページも参考になります。
よくある落とし穴5つ
紀の川市の空き家改修補助でつまずきやすいのは、金額より「順番」と「相手」です。
1. 市外の工務店に頼むと対象外になる
定住促進支援事業補助金のリフォームは市内事業者に施工を依頼した場合のみ対象です。片付けも同様に市内事業者に依頼した場合のみとされています。知人の紹介で市外の業者に頼む前に、この条件を思い出してください。
2. 親族からの購入・賃借は対象外
3親等内の親族との売買・賃貸借契約は対象外です。空き家バンクを通した第三者間の取引が前提の制度だと理解しておきましょう。
3. 空き家バンクを通していない物件は前提から外れる
定住促進支援事業補助金(リフォーム・引っ越し)、仲介手数料補助金、空き家片付け支援事業、建物状況調査奨励金はいずれも紀の川市空き家バンクへの登録が要件です。一般の不動産サイトだけで物件を決めてしまうと、これらのメニューは使えなくなります。
4. 県補助はエリアと年度の二重の壁がある
県の空き家改修補助金は紀の川市では旧粉河町・旧那賀町・旧桃山町エリアのみが対象で、令和8年度は募集終了です。「県100万円+市60万円」を前提に資金計画を立てるのは危険です。
5. 市の補助と県の補助の併用条件が公表されていない
紀の川市のページにも県のページにも、両制度の併用可否や調整方法の記載は確認できませんでした。県内には「県補助金額を除いた額の2分の1」と調整する市もあるため、両方を狙う場合は市・県の双方に併用可否を確認してください。
直さず解体する場合|不良空家除却補助金は4/5・上限100万円
改修ではなく解体を選ぶ場合は、住宅政策課の別制度になります。
紀の川市の「不良空家の除却に係る補助金交付事業」は、市で定める不良空家の判定基準で評点が100点以上となる建築物が対象です。居住を停止してから1年以上経過し、周辺に悪影響を及ぼしている(またはそのおそれがある)ことも条件とされています。
補助額は、除却工事費と国が定める標準除却費のいずれか少ない方の金額に5分の4を乗じた金額(上限100万円)です。工事は建設業法の許可または建設リサイクル法の登録を受けている者が行うものとされ、市税の滞納がないことが条件になります。
注意したいのは受付の仕組みです。令和8年度は事前相談の受付期間が令和8年5月14日〜6月12日とされており、「予算の範囲内での調査のため、認定調査を実施できる件数には限りがあります」と明記されています。年度初めに動かないと間に合わない制度です。詳細は紀の川市「不良空家の除却に係る補助金交付事業」で確認してください。

よくある質問
紀の川市の空き家改修補助は結局いくらもらえますか
紀の川市定住促進支援事業補助金のリフォーム分で、補助対象経費の3分の2以内・上限60万円(千円未満切り捨て)です。あわせて引っ越し代が上限10万円、仲介手数料が上限5万円まで対象になります。いずれも令和8年度の要件を満たし、予算に残りがある場合の上限額であり、審査があります。
空き家バンクに載っていない物件でも補助を受けられますか
紀の川市定住促進支援事業補助金交付要綱第3条は、補助の対象を「市(空家バンク運営委託先事業者を含む)の立会により、空家バンクに登録されている空家の内見を経て売買又は賃貸借契約に至った空家」と定めています。したがって空き家バンクを通さない物件は対象外です。仲介手数料補助金・建物状況調査奨励金も空き家バンク登録が要件です。個別の判断は地域創生課(0736-77-2511)にご確認ください。
和歌山県の空き家改修補助金と紀の川市の補助は両方使えますか
併用の可否は市・県いずれの公式ページにも記載が確認できませんでした。また県の制度は紀の川市では旧粉河町・旧那賀町・旧桃山町エリアのみが対象で、令和8年度は予算到達により募集を終了しています。両方を前提にする場合は事前に両窓口へご相談ください。
旧打田町・旧貴志川町エリアの空き家は県の補助の対象ですか
令和8年度の県の空き家改修補助金のチラシに記載されている紀の川市の対象地域は「旧粉河町・旧那賀町・旧桃山町」で、旧打田町・旧貴志川町の記載はありません。ただし既存住宅状況調査補助金(1/2・上限5万円)は県内全域が対象とされています。
県外からの移住ではなく、市内での住み替えでも使えますか
交付要綱は「移住」を「直近1年の間に本市の住民基本台帳に登録されていない者が本市に転入し、生活の拠点を移すこと」、「移住者」を「交付申請日以前2年の間に転入により住民登録された者で、転入前1年間は本市に住民登録がなかった者」と定義しています。したがって市内での住み替えは対象外ですが、県外からに限られてはおらず、県内他市町村からの転入でも要件を満たし得ます。一方、県の空き家改修補助金は「県外から」の移住が明確な要件です。
紀の川市の空き家改修補助の軸は定住促進支援事業補助金(リフォーム2/3・上限60万円)。引っ越し10万円・片付け10万円・仲介手数料5万円・建物状況調査3万円が周辺メニューとしてそろいます。条件は空き家バンク経由・市内事業者施工・3親等内の親族は対象外の3点。県の空き家改修補助金(1/2・上限100万円)は旧粉河町・旧那賀町・旧桃山町エリア限定で令和8年度は募集終了です。まずは工事を発注する前に、紀の川市 地域創生課(0736-77-2511)へ予算の残りと申請の順序を確認してください。
この記事は2026年10月24日時点の公式情報に基づきます。補助率・上限額・受付状況は年度途中でも変わるため、申請前に必ず紀の川市および和歌山県の公式サイト(公募要領・交付要綱)でご確認ください。
