この記事は2026年10月6日時点の公式情報(日本政策金融公庫・日本商工会議所・海南商工会議所・海南市・下津町商工会)に基づきます。
「銀行に相談したら保証人か担保を求められた」「運転資金が足りないが、保証協会の枠はもう使い切った」。和歌山県海南市で商売をしていると、そんな壁に当たる場面があります。
日方や黒江、下津の店や工場は、家族や数人の従業員で回している事業所がほとんどです。信用力だけで評価されると、どうしても不利になりがちです。
そこで知っておきたいのが、商工会議所・商工会の推薦で借りる「マル経融資(小規模事業者経営改善資金)」です。結論を先に3行でまとめます。
・いくら:上限2,000万円・無担保・無保証人、返済10年以内(据置2年以内)、利率は特別利率F(日本政策金融公庫公式で年3.05%・令和8年10月1日現在)
・どこへ:海南地域は海南商工会議所(073-482-4363)、下津地域は下津町商工会(073-492-4300)。融資後は海南市の利子補給金(支払利子の2分の1・上限20万円)も申請できます
この記事では、マル経融資の仕組み、海南市の事業者が満たすべき要件、申込から入金までの流れ、海南市独自の利子補給金、審査で止まりやすいポイントまで、公式資料に書かれている範囲で整理します。
補助金と違い「返す必要があるお金」ですが、補助金の採択後に先払いする自己資金を用意する手段としても使われます。最後に補助金との組み合わせ方にも触れます。

海南市で使えるマル経融資とは(国の制度を商工会議所経由で使う)
マル経融資は国(日本政策金融公庫)の融資制度で、海南市では海南商工会議所と下津町商工会が窓口になります。
正式名称は「小規模事業者経営改善資金」です。「経営改善」の頭文字を丸で囲んで書いたことから「マル経」と呼ばれています。
仕組みは次の3者で成り立っています。
- 日本政策金融公庫(国民生活事業):実際にお金を貸す機関。審査と融資実行を行います
- 商工会議所・商工会:日頃の経営指導を行い、事業者を公庫に「推薦」します。海南市では海南商工会議所と下津町商工会がこの役割です
- 海南市:融資そのものには関与しませんが、支払った利子の一部を利子補給金として後から給付します
日本政策金融公庫の制度概要では、マル経融資は「無担保・無保証人(保証協会の保証も不要)」と明記されています(日本政策金融公庫:小規模事業者経営改善資金(マル経融資)制度概要)。
つまり、経営者本人の連帯保証も、信用保証協会の保証料も不要です。この点が県の制度融資や銀行プロパー融資との最大の違いです。
| 制度名 | 小規模事業者経営改善資金(マル経融資) |
|---|---|
| 実施主体 | 日本政策金融公庫(国民生活事業)/推薦:海南商工会議所・下津町商工会 |
| 対象者 | 海南市内(商工会議所・商工会の地区内)で最近1年以上事業を営み、原則6か月以上の経営指導を受け、税金を完納している小規模事業者(商業・サービス業は従業員5人以下、製造業その他は20人以下) |
| 融資限度額・利率 | 上限2,000万円。特別利率F(日本政策金融公庫公式サイトで年3.05%・令和8年10月1日現在。利率は改定されるため最新は公庫で要確認) |
| 返済期間 | 10年以内(うち据置期間2年以内)。海南商工会議所の案内では運転資金・設備資金とも10年以内 |
| 担保・保証人 | 不要(保証協会の保証も不要) |
| 申請期間 | 通年(随時受付。商工会議所・商工会の審査日程による) |
| 窓口 | 海南商工会議所(海南市日方1294-18・073-482-4363)/下津町商工会(海南市下津町丸田105・073-492-4300) |
| 公式URL | 日本政策金融公庫/海南商工会議所 融資・資金 |
海南市の事業者が満たすべき対象要件(従業員数・経営指導・納税)
要件は「規模」「経営指導」「事業歴」「納税」「業種」の5つで、どれか1つでも欠けると推薦を受けられません。
日本政策金融公庫と日本商工会議所の公式ページに書かれている要件を、海南市の事業者向けに言い換えると次のとおりです(日本商工会議所:マル経融資)。
1. 従業員数が小規模事業者の範囲内であること
商業・サービス業は常時使用する従業員5人以下、製造業その他は20人以下です。公庫の制度概要では、サービス業のうち「宿泊業及び娯楽業」は20人以下の区分に入ると記載されています。
海南市は家庭用品・漆器・みかん関連など製造業と商業が混在する地域です。自社がどちらの区分に当たるかは、窓口で業種分類を確認してもらうのが確実です。
2. 商工会議所・商工会の経営指導を原則6か月以上受けていること
公庫は「原則6カ月以上、商工会、商工会議所等の経営指導」を受けていることを要件にしています。
海南商工会議所の案内でも「従前から海南商工会議所の経営指導を受けている方」と書かれています。「今日相談して来月借りる」という使い方は原則できません。資金が必要になりそうな時期の半年以上前から、記帳や経営の相談を始めておくことが実務上の第一歩です。
3. 最近1年以上、その地区内で事業を営んでいること
海南商工会議所は「市内で引き続き1年以上営業している事業所」としています。創業1年未満の方は、マル経ではなく公庫の創業融資や、海南市の創業支援事業(海南商工会議所・下津町商工会が相談窓口)を先に検討する流れになります。
4. 税金を完納していること
公庫は「所得税、法人税、事業税及び都道府県民税や市町村民税(均等割りを含む。)を原則としてすべて完納」を求めています。海南市の市民税・固定資産税などに未納があると、推薦も、後述の市の利子補給金も対象外になります。
5. 日本政策金融公庫の融資対象業種であること
公庫の国民生活事業で融資対象外とされる業種(一部の金融業・投機的事業・風営法上の一部業種など)は使えません。該当するか迷う場合は窓口で確認してください。
融資額・利率・返済期間の条件(上限2,000万円・特別利率F)
上限は2,000万円、返済は10年以内、利率は公庫が定期的に見直す「特別利率F」が適用されます。
| 項目 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 融資限度額 | 2,000万円 | 日本政策金融公庫・海南商工会議所 |
| 返済期間 | 10年以内(うち据置期間2年以内)。海南商工会議所の案内では運転資金10年以内・設備資金10年以内 | 日本政策金融公庫・海南商工会議所 |
| 利率 | 特別利率F。日本政策金融公庫公式サイトでは年3.05%(令和8年10月1日現在)。公庫が改定するため申込時点の利率を確認 | 日本政策金融公庫 |
| 担保・保証人 | 不要(保証協会の保証も不要) | 日本政策金融公庫 |
| 1,500万円超の場合 | 融資前に事業計画の作成、融資後に半年ごとの経営指導訪問が必須 | 海南商工会議所 |
利率について1点注意があります。マル経の特別利率Fは公庫が定期的に改定しており、日本商工会議所の案内では令和8年9月1日現在2.90%でしたが、公庫の金利情報では令和8年10月1日現在3.05%に上がっています。過去の改定経緯は日本政策金融公庫の公式サイトでご確認ください。
本記事の数値は執筆時点の公開値です。申込時点の適用利率は、必ず日本政策金融公庫の利率ページまたは窓口で確認してください。

申込から融資までの流れ(経営指導→商工会議所の審査→公庫の審査)
流れは「経営指導を受ける→推薦依頼を出す→商工会議所・商工会の審査→公庫の審査→融資実行」の5段階です。
日本商工会議所の公式ページに示されている流れを、海南市の窓口名に置き換えて整理します。
- 経営指導を受ける(原則6か月以上)
海南商工会議所または下津町商工会の経営指導員に、記帳・決算・資金繰りなどの相談を継続して受けます。会員でなくても経営指導は受けられる地域が多いですが、海南市での扱いは窓口に確認してください。 - 推薦依頼(申込)を窓口に提出
資金使途(運転・設備)、希望額、返済計画を経営指導員と一緒に固め、必要書類を揃えます。一般に、直近2期分の決算書または確定申告書、税金の納付を確認できる書類、設備資金なら見積書、商業登記簿謄本(法人)などが求められます。海南市での具体的な書類一覧は窓口でご確認ください。 - 商工会議所・商工会による調査・審査
経営指導員が事業内容と返済能力を調査し、商工会議所内の審査を経て、日本政策金融公庫へ推薦します。 - 日本政策金融公庫による審査
公庫が改めて審査します。推薦が出ても公庫の判断で減額や謝絶となる場合があります。 - 融資実行
公庫との契約後、指定口座に入金されます。
日程面では、商工会議所側の審査会を経てから公庫の審査に進むため、申込から入金までの所要期間を見込んで早めに動くのが安全です。海南商工会議所・下津町商工会の審査スケジュールと所要期間は公式サイトに掲載がないため、各窓口へ電話でご確認ください。
海南市の窓口はどこか(海南商工会議所・下津町商工会・市役所産業振興課)
融資の相談先は旧海南市域なら海南商工会議所、旧下津町域なら下津町商工会で、利子補給金の申請先は海南市役所産業振興課です。
海南市は2005年に旧海南市と旧下津町が合併した市で、商工団体も2つに分かれたままです。事業所の所在地によって相談先が変わる点に注意してください。
| 窓口 | 役割 | 所在地 | 電話 |
|---|---|---|---|
| 海南商工会議所 | 旧海南市域(日方・黒江・冷水・巽・亀川・大野・北野上・中野上・南野上など)のマル経推薦・経営指導 | 〒642-0002 海南市日方1294-18 | 073-482-4363(FAX 073-482-7370) |
| 下津町商工会 | 旧下津町域(下津町全域)のマル経推薦・経営指導 | 海南市下津町丸田105 | 073-492-4300 |
| 海南市役所 産業振興課 商工観光班 | 中小企業不況対策振興融資資金利子補給金の申請受付 | 海南市南赤坂11番地 | 073-483-8460 |
海南商工会議所の公式サイトでは、「各種の制度融資の斡旋」に加え、「経営指導を受けている方には無担保・無保証人で低金利のマル経融資を斡旋」している旨が案内されています(海南商工会議所)。
下津町商工会の案内ページでは、所在地は「和歌山県海南市下津町丸田105番地」、電話は073-492-4300と記載されており、経済産業省gBizINFOの登録所在地とも一致します。ただし同ページは会員数などが平成10年時点の古い記載のままで、開所時間は公式サイトで確認できません。訪問前に下津町商工会へ電話で確認することをおすすめします(下津町商工会 情報ページ)。

海南市の利子補給金でマル経の金利負担を軽くする(支払利子の2分の1・上限20万円)
マル経融資を受けた海南市内の事業者は、支払った利子の2分の1(1事業者あたり上限20万円)を海南市から給付してもらえます。
これは海南市独自の「中小企業不況対策振興融資資金利子補給金」という制度で、対象融資の筆頭に「小規模事業者経営改善資金貸付(日本政策金融公庫)」、つまりマル経融資が挙げられています(海南市:中小企業不況対策振興融資資金利子補給金について)。
| 項目 | 内容(海南市公式サイトより) |
|---|---|
| 対象者 | 市内に本店を有する法人、または市内に住所を有し市内に事務所・事業所を有する個人事業主で、前年度分までの市税を滞納していない中小企業者 |
| 対象融資 | 小規模事業者経営改善資金貸付(マル経)/生活衛生改善貸付/和歌山県中小企業融資制度/セーフティネット保証による融資 など |
| 補給額 | 対象利子のうち支払った総額の2分の1。1事業者あたり上限20万円 |
| 対象となる利子 | 利子の支払いを開始した月から12か月間のうち、令和7年4月1日〜令和8年3月31日に支払った利子(令和7年度分) |
| 申請期間(令和7年度分) | 令和8年4月1日(水)〜令和8年7月31日(金) |
| 必要書類 | 交付申請書・交付請求書・同意書・相手先登録申請書・金融機関等利子計算証明書(金融機関記入) |
| 提出先 | 海南市役所 産業振興課 商工観光班(南赤坂11番地・073-483-8460) |
ポイントは「利子支払開始年度ごとに申請できる」と市のページに書かれていることです。例えば、2026年中に融資を受けて利子の支払いが始まった場合、令和8年度分(令和8年4月1日〜令和9年3月31日に支払った利子)として、翌年度の申請期間に申請する形になります。
ただし、令和8年度分の申請期間や制度継続は、海南市の予算と要綱の改定によります。令和8年度分の受付については、海南市産業振興課の公式ページで最新情報をご確認ください。また、市のページには「予算の範囲内で交付」とあり、中小企業基盤整備機構の特別利子補給の対象となる融資は、その補給が及ばない部分だけが市の対象になります。
よくある落とし穴(経営指導の期間・納税・資金使途)
断られるケースの多くは「経営指導の期間不足」「税金の未納」「資金使途の不一致」の3つです。
- 「会員になればすぐ借りられる」と思っている
要件は会員かどうかではなく、原則6か月以上の経営指導を受けていることです。資金需要が見えた時点で、まず経営指導員との面談を始めてください。 - 市民税・固定資産税の分割納付中
公庫も海南市も「完納」「滞納なし」を求めています。納付計画中でも対象外になる可能性が高いため、先に税の整理が必要です。 - 借入金の借り換えや、事業と関係ない支出に使おうとしている
マル経の資金使途は事業の運転資金・設備資金です。使途が曖昧だと推薦段階で止まります。見積書や発注計画で使途を具体化してください。 - 他の公庫融資と合算で考えていない
上限2,000万円は公庫の他制度と別枠で判断されますが、返済能力は合算で審査されます。既存借入がある場合は、資金繰り表を作って返済可能性を示すことが大切です。 - 利子補給金の申請期間を過ぎる
令和7年度分は令和8年7月31日締切です。融資が実行されたら、金融機関の利子計算証明書を取る段取りをカレンダーに入れておきましょう。
補助金との組み合わせ方(持続化補助金・IT導入補助金の「先払い」資金に)
補助金は原則「後払い」なので、採択後の支払いをマル経融資でつなぎ、入金後に繰上返済や据置活用で調整する使い方が現実的です。
小規模事業者持続化補助金やIT導入補助金は、採択されても事業者が先に全額を支払い、実績報告後に補助金が振り込まれる仕組みです。ホームページ制作や機械導入で数百万円を先払いする局面で、無担保・無保証人のマル経は相性のよい資金源です。
海南商工会議所・下津町商工会は持続化補助金の「事業支援計画書(様式4)」を発行する窓口でもあります。補助金の計画相談とマル経の経営指導を同じ指導員に並行して相談すると、資金計画全体に一貫性が出ます。
ただし、補助金が不採択になった場合でも融資の返済は続きます。採択を前提にした借入は避け、不採択でも返せる金額に抑えることが原則です。
よくある質問
Q. 海南商工会議所の会員でなくてもマル経融資を申し込めますか?
公庫・日本商工会議所の要件は「原則6か月以上の経営指導を受けていること」であり、会員資格そのものは要件に書かれていません。ただし、経営指導の受け方や扱いは各商工会議所の運用によるため、海南商工会議所(073-482-4363)または下津町商工会(073-492-4300)に直接確認してください。
Q. 下津町に事業所がある場合はどこに相談しますか?
旧下津町域(海南市下津町)は下津町商工会(海南市下津町丸田105・073-492-4300)が窓口です。旧海南市域は海南商工会議所(海南市日方1294-18)が窓口です。両方の地区にまたがる場合は、本店所在地の団体に相談してください。
Q. 利率はいくらですか?固定ですか?
マル経融資には日本政策金融公庫の「特別利率F」が適用され、公庫の公式サイトでは年3.05%(令和8年10月1日現在)と案内されています。利率は公庫が定期的に改定するため、申込時点の利率を公庫の利率ページまたは窓口でご確認ください。契約後の利率は原則固定です。
Q. 創業したばかりでも使えますか?
マル経融資は「最近1年以上その地区内で事業を営んでいること」が要件のため、創業1年未満の方は原則対象外です。創業期は海南市の創業支援事業(海南商工会議所・下津町商工会が相談窓口)や、公庫の創業向け融資を検討してください。
Q. 海南市の利子補給金は、マル経以外の融資でも受けられますか?
はい。海南市の中小企業不況対策振興融資資金利子補給金は、マル経のほか、生活衛生改善貸付、和歌山県中小企業融資制度、セーフティネット保証による融資なども対象です。補給額は支払利子の2分の1、1事業者あたり上限20万円で、申請先は海南市産業振興課商工観光班(073-483-8460)です。
・海南市の窓口は海南商工会議所(旧海南市域)と下津町商工会(旧下津町域)。原則6か月以上の経営指導が前提
・利率は特別利率F(日本政策金融公庫公式で年3.05%・令和8年10月1日現在)。改定があるので申込時に確認
・融資後は海南市の利子補給金(支払利子の2分の1・上限20万円)を産業振興課へ申請できる
・補助金の先払い資金として組み合わせる場合も、不採択でも返せる額に抑えるのが原則
まずは、資金が必要になる半年以上前に、海南商工会議所または下津町商工会の経営指導員へ相談の予約を入れることが、海南市でマル経融資を使う最短の一歩です。
この記事は2026年10月6日時点の公式情報に基づきます。利率・申請期間・窓口情報は変更されることがあります。最新情報は日本政策金融公庫、海南商工会議所、下津町商工会、海南市の公式サイトでご確認ください。
