この記事は2026年10月16日時点の公式情報に基づきます。
和歌山県田辺市で「受注が止まり、従業員を休ませる日が増えてきた。それでも解雇はしたくない」という局面に立っていませんか。
休業手当は払う、売上は落ちている、助成金の話は聞いたことがあるけれど、検索して出てくるのはコロナ特例時代の古い数字ばかり——これが今、田辺市の事業者が雇用調整助成金(雇調金)でつまずく最大の原因です。
実際、現在の通常制度では「中小企業は3分の2」という助成率すら固定ではありません。支給を受けた日数が通算30日を超えると、教育訓練をどれだけ実施したかで助成率が2分の1まで下がる仕組みになっています。
この記事では、厚生労働省の「雇用調整助成金ガイドブック(令和8年8月1日現在)」と和歌山労働局・ハローワークの公式情報だけを使い、田辺市の事業者が「自社は対象か・いくら・いつまでに・どこへ出すか」を判断できるところまで落とし込みます。田辺市は平成17年の合併で市域が広く、本宮町だけ申請先のハローワークが違うという田辺特有の注意点もあります。最後まで読めば、明日電話する先が1つに決まります。
誰が:雇用保険の適用事業所の事業主で、売上高などの生産指標が前年同期比10%以上減少し、労使協定に基づいて休業・教育訓練・出向を行う事業主(要件を満たせば)。
いくら:休業手当等の負担額に対し中小企業は3分の2(上限は1人1日あたり9,110円=令和8年8月1日時点)。教育訓練には1人1日1,200円または1,800円の加算。
いつまで:締切型の公募ではなく通年。ただし計画届は休業等を開始する日の前日まで、支給申請は支給対象期間(1つまたは連続する2〜3つの判定基礎期間)の末日の翌日から2か月以内。
どこへ:ハローワーク田辺(0739-22-2626)または和歌山労働局 職業安定部 職業対策課(073-488-1161)。田辺市のうち本宮町はハローワーク新宮(0735-22-6285)の管轄です。
| 制度名 | 雇用調整助成金(通常制度) |
|---|---|
| 実施主体 | 国(厚生労働省)/窓口は都道府県労働局・ハローワーク |
| 対象者 | 雇用保険適用事業所の事業主。経済上の理由で事業活動の縮小を余儀なくされ、労働者を解雇せず雇用を維持して休業等を行う事業主 |
| 補助率・上限 | 休業手当等負担額の中小企業2/3・大企業1/2(支給日数が通算30日に達した後は教育訓練実施率で変動)。1人1日あたりの上限は雇用保険基本手当日額の最高額(令和8年8月1日時点で9,110円)。教育訓練加算1人1日1,200円または1,800円 |
| 申請期間 | 通年(締切型の公募ではない)。計画届=休業等開始日の前日まで/支給申請=支給対象期間末日の翌日から2か月以内 |
| 窓口 | ハローワーク田辺(〒646-0027 田辺市朝日ヶ丘24の6/0739-22-2626)、本宮町はハローワーク新宮(〒647-0044 新宮市神倉4丁目2番4号/0735-22-6285)、和歌山労働局 職業安定部 職業対策課(073-488-1161) |
| 公式URL | 厚生労働省:雇用調整助成金/ガイドブック(令和8年8月1日現在・PDF) |

田辺市の事業者にとっての雇用調整助成金とは(国の制度・梅干製造業には市の上乗せあり)
雇用調整助成金は田辺市の制度ではなく国の制度で、申請先も市役所ではありません。
厚生労働省の説明では、雇用調整助成金は「経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者を解雇せず雇用を維持する場合に助成」する制度です(ガイドブック 令和8年8月1日現在版)。原資は雇用保険の二事業で、実施主体は国。実際の受付・審査は都道府県労働局とハローワークが行います。
田辺市役所の商工振興課には「雇用・労働施策」という業務カテゴリーがありますが(田辺市 商工振興課)、2026年10月16日時点で梅干製造業に限って、国の雇用調整助成金の支給決定を受けた事業者を対象とする市の上乗せ補助金があります。「田辺市梅干製造業雇用維持支援補助金」で、補助額は休業等を実施した場合の休業手当または教育訓練を実施した場合の賃金に相当する額の6分の1以内(市上限単価日額2,277円=令和8年8月1日現在)×対象労働者の月間休業等の延べ日数、1事業者あたりの上限額は500,000円です。休業等対象期間は令和7年10月1日から令和9年3月31日まで(令和8年9月30日付で延長)、申請締切は国の助成金の支給決定を受けた日の翌日から起算して60日以内または令和9年10月31日のいずれか早い方で、提出先は市の商工振興課です(田辺市梅干製造業雇用維持支援補助金)。梅干製造業以外の業種では、雇調金そのものに市が上乗せする制度は公式ページで確認できません。
なお田辺市のウェブサイトは「令和8年2月27日にネットワーク切り替えを行いました」と告知されており、旧「/shoukou/」配下のページは現在404になります。市の支援制度を調べるときは組織ページ(商工観光部 商工振興課)から辿るのが確実です。
対象になる事業主・労働者の要件(生産指標10%減・休業規模1/20)
雇調金は「売上が落ちた」だけでは足りず、生産指標・雇用量・休業規模の3つの要件を同時に満たす必要があります。
ガイドブックの原文では、主な要件は次のように整理されています。
- 生産指標要件…「売上高または生産量などの事業活動を示す指標の最近3か月間の月平均値が前年同期に比べ10%以上減少していること」
- 雇用量要件…「雇用保険被保険者数および受け入れている派遣労働者の最近3か月間の月平均値が、前年同期と比べ、大企業の場合は5%を超えてかつ6人以上、中小企業の場合は10%を超えてかつ4人以上増加していないこと」
- 休業規模要件…休業等の延日数が「所定労働延日数の1/20(大企業の場合は1/15)以上」であること
- 雇用保険の適用事業所であること、労使間の協定に基づいて休業等を行うこと
休業規模要件は見落としがちです。従業員20人の事業所で1か月の所定労働延日数が約400人日なら、その1/20=20人日以上の休業が必要という計算になります。1人だけ数日休ませた、という規模では届きません。
対象となる労働者は雇用保険の被保険者ですが、判定基礎期間の初日の前日まで同一の事業主に引き続き被保険者として雇用された期間が6か月未満の方は対象外です。春に採用したばかりの従業員は人数に数えられない可能性があるため、休業の割り当てを考える段階で確認しておきましょう。
休業の形は「所定労働日の全1日にわたるもの、または所定労働時間内に当該事業所における対象労働者について1時間以上行われるもの(短時間休業)」。教育訓練は「受講者の所定労働時間の全日または短時間(2時間以上で所定労働時間未満)にわたり行われるもの」と定義されています。田辺市の宿泊業や飲食業のように繁閑の波がある業種では、全日休業だけでなく短時間休業を組み合わせる設計が現実的です。
助成率と上限額の表(通算30日を超えたら助成率が変わる)
最重要の注意点は、助成率が「中小2/3」で固定ではなく、支給日数が通算30日に達した後は教育訓練の実施率で3区分に分かれることです。
| 区分 | 中小企業 | 大企業 | 教育訓練加算(1人1日) |
|---|---|---|---|
| 支給日数が通算30日に達するまで | 2/3 | 1/2 | 1,200円 |
| 30日経過後・教育訓練実施率10%未満 | 1/2 | 1/4 | 1,200円 |
| 30日経過後・実施率10%以上20%未満 | 2/3 | 1/2 | 1,200円 |
| 30日経過後・実施率20%以上 | 2/3 | 1/2 | 1,800円 |
| 1人1日あたりの上限額 | 雇用保険基本手当日額の最高額(令和8年8月1日時点で9,110円) | ||
| 支給限度日数 | 1年間100日・3年間150日(ガイドブック記載) | ||
ガイドブックには「支給日数30日に達した判定基礎期間の次の判定基礎期間より教育訓練実施率により変動」と明記されています。長期化しそうな休業なら、30日を超える前に教育訓練の計画を組み込んでおくかどうかで、助成率が2/3と1/2に分かれます。田辺市の事業者なら、接客研修・衛生管理・ITツールの操作研修など、休業日に充てられる訓練を早めに設計しておくと効果的です。
中小企業の範囲も確認しておきましょう。ガイドブックでは小売業=資本金5,000万円以下または従業員50人以下、サービス業=資本金5,000万円以下または従業員100人以下、卸売業=資本金1億円以下または従業員100人以下、その他=資本金3億円以下または従業員300人以下とされています。田辺市内の事業者はほぼ中小企業区分に入ると考えられますが、判定は必ず窓口で確認してください。
申請の流れと期限(計画届は休業開始日の前日まで)
雇調金は「休業してから申請」ではなく「休業の前に計画届」が原則で、ここを外すと助成の対象になりません。
- 労使協定を結ぶ…休業の対象者・期間・手当の支払率などを取り決めます。
- 休業等実施計画届を提出…「支給対象期間中の休業等開始日の前日まで」。初回は休業開始の2週間前までをめどに提出するよう案内されています。
- 休業・教育訓練を実施し、休業手当を支払う…実績は判定基礎期間(1か月単位)で判定されます。
- 支給申請…「支給対象期間末日の翌日から2か月以内」。休業手当または賃金の支払日以降に申請します。
- 労働局による審査・実地調査を経て支給決定。
主な提出書類は、支給申請書(休業等)(様式第5号(1))、助成額算定書(様式第5号(2))、休業・教育訓練実績一覧表及び所定外労働等の実施状況に関する申出書(様式第5号(3))、支給要件確認申立書(共通要領様式第1号)、賃金台帳・出勤簿等の実績確認書類です。日々の出勤簿と賃金台帳が整っていない事業所は、まずそこから着手するのが近道です。
和歌山労働局は「休業・教育訓練等の実施計画届を提出していただいた事業所に対して実地調査を行っています」と公表しています(和歌山労働局)。実際に休業していたかどうかは現地で確認される前提で、記録を残してください。
電子申請については、厚生労働省の雇用関係助成金ポータル(esop.mhlw.go.jp)で雇用調整助成金の電子申請ができるとされており、「雇用調整助成金に係る電子申請マニュアル」(令和8年4月1日版)が公開されています。必要なGビズIDの種類など細部は、雇用関係助成金ポータル(厚生労働省)の公式サイトでご確認ください。
田辺市の窓口はどこか(本宮町だけ申請先が違う)
田辺市の事業者の申請先はハローワーク田辺ですが、旧本宮町地域だけはハローワーク新宮の管轄です。
| 窓口 | 所在地 | 電話 | 管轄・役割 |
|---|---|---|---|
| ハローワーク田辺 | 〒646-0027 田辺市朝日ヶ丘24の6 | 0739-22-2626 | 田辺市(本宮町は除く)、西牟婁郡(すさみ町は除く)、日高郡のうちみなべ町 |
| ハローワーク新宮 | 〒647-0044 新宮市神倉4丁目2番4号 | 0735-22-6285 | 新宮市、田辺市のうち本宮町、東牟婁郡(串本町・古座川町は除く) |
| 和歌山労働局 職業安定部 職業対策課 | 〒640-8581 和歌山市黒田二丁目3番3号 和歌山労働総合庁舎5階 | 073-488-1161 | 雇用調整助成金の相談・問い合わせ先 |
| 田辺市 商工振興課(参考) | 〒646-8545 田辺市東山一丁目5番1号 本庁舎4階 | 0739-26-9970 | 市の商工・雇用労働施策。雇調金の申請窓口ではない |
ハローワークの開庁時間は「8時30分から17時15分まで(毎週土、日、祝日、年末年始は閉庁)」です(和歌山県内ハローワークの所在地と管轄地域一覧)。本宮町で宿や飲食店を営む事業者が、距離の近さからハローワーク田辺に書類を持ち込むと管轄違いになり得ます。合併前の旧町村域で管轄が分かれるのは、持続化補助金で商工会議所地区と商工会地区に分かれるのと同じ構図です。最初の1本目の電話は、自社の所在地がどちらの管轄かの確認から始めてください。
厚生労働省の窓口一覧では、雇用関係助成金の窓口受付は各ハローワークでも行うとされています(ハローワーク和歌山およびその付属施設は除く)。ハローワーク田辺での助成金担当窓口名や受付時間は公式に明記がないため、訪問前に電話で確認するのが安全です。

田辺市の事業者が踏みやすい落とし穴5つ
問い合わせの多いつまずきを、公式資料で裏が取れる範囲に絞って挙げます。
- 「中小は必ず2/3」と思い込む…支給日数が通算30日を超えた後は教育訓練実施率で1/2に下がる場合があります。長期化見込みなら教育訓練の設計が実質的な金額差になります。
- コロナ特例の数字で試算する…特例及びその経過措置は令和2年4月1日から令和5年3月31日までの間に適用されたもので、終了しています。現行の通常制度の助成率・上限額・休業規模要件(1/20・1/15)で考えてください。
- 休業してから計画届を出す…計画届は休業等開始日の前日まで。後出しは認められません。
- クーリング期間を知らずに再申請する…ガイドブックには「1つの対象期間の満了後、再び本助成金を受給する場合、前回の対象期間内の助成金が支給された最後の判定基礎期間末日若しくは支給対象期末日(いずれか遅い日)の翌日から起算して1年間以上空けないと、新たな対象期間を設定することができません」とあります。
- 書類のつじつま合わせ…不正受給は不支給・取消しと全額返還に加え、不正受給の日の翌日から納付の日まで年3%の延滞金、返還を求められた額の20%に相当する額が請求され、支給を取り消した日から5年間は助成金等が支給されません。
いずれも審査があり、要件を満たしても満額が約束されるものではありません。金額を当て込んだ資金計画は立てず、まず窓口で自社の数値を当ててもらうのが順序です。
雇調金と併せて田辺市で確認したい制度
休業が長引くときは、雇用維持以外の資金・販路の制度も同時に当たると判断が早くなります。
田辺市独自の制度としては、田辺市中小企業信用保証料補助金があります。和歌山県中小企業融資制度のうち経営支援資金および小企業応援資金(一般・小口枠)の利用にかかる信用保証料の1年間相当分(千円未満切り捨て)を補助するもので、1年度内1事業者につき1融資限り、申請期限は融資実行日より60日後とされています(田辺市中小企業信用保証料補助金)。運転資金を借り入れて雇用を維持する局面では、保証料負担の軽減が効いてきます。
販路開拓や設備投資に踏み出すなら、小規模事業者持続化補助金も選択肢です。田辺市は田辺商工会議所地区と市内5商工会地区(牟婁商工会・龍神村商工会・中辺路町商工会・大塔村商工会・本宮町商工会)に分かれ、持続化補助金は地区によって事務局が別系統になります。6団体の住所・電話は田辺市創業支援等事業計画のページに掲載されています(田辺市創業支援等事業計画)。雇調金は国の窓口、持続化は商工団体の窓口と、相談先が別であることを押さえておきましょう。
よくある質問
従業員5人の田辺市内の事業所でも雇用調整助成金は使えますか。
雇用保険の適用事業所であり、生産指標・雇用量・休業規模の各要件を満たせば、規模が小さくても対象になり得ます。ただし休業規模要件(所定労働延日数の1/20以上)があるため、休業の日数・人数が少ないと届かないことがあります。自社の数値での判定はハローワーク田辺または和歌山労働局 職業対策課(073-488-1161)にご確認ください。
助成率は必ず3分の2になりますか。
いいえ。中小企業2/3・大企業1/2が基本ですが、支給を受けた日数が通算30日に達した判定基礎期間の次の期間からは、その期間の教育訓練実施率で変動します。実施率10%未満では中小1/2・大企業1/4になります。
コロナのときのような上限額や高い助成率は使えますか。
新型コロナウイルス感染症の特例及びその経過措置は、令和2年4月1日から令和5年3月31日までの間に適用されたもので、現在は終了しています。現行の通常制度では1人1日あたりの上限は雇用保険基本手当日額の最高額(令和8年8月1日時点で9,110円)です。特例時代の金額は現行の公式資料に記載がないため、必ず最新のガイドブックで確認してください。
田辺市役所に申請書を出せばよいのでしょうか。
いいえ。雇用調整助成金は国の制度で、申請・相談はハローワーク田辺(0739-22-2626)や和歌山労働局が窓口です。田辺市商工振興課(0739-26-9970)は市の商工・雇用労働施策の担当で、雇調金の申請窓口ではありません(梅干製造業の方は、国の支給決定後に市の上乗せ補助金を商工振興課へ申請できます)。なお田辺市のうち本宮町はハローワーク新宮(0735-22-6285)の管轄です。
一度受給が終わったら、すぐにまた申請できますか。
できません。前回の対象期間内の助成金が支給された最後の判定基礎期間末日若しくは支給対象期末日(いずれか遅い日)の翌日から起算して1年間以上空けないと、新たな対象期間を設定できないとされています。再度の活用を見込む場合は、この期間を踏まえた計画が必要です。
まとめ:田辺市で雇調金を使うなら、まず管轄確認と計画届
・雇用調整助成金は国の制度。田辺市の申請先はハローワーク田辺、本宮町はハローワーク新宮。
・要件は生産指標10%以上減少・雇用量要件・休業規模1/20(大企業1/15)以上と労使協定。被保険者期間6か月未満の方は対象外。
・助成率は中小2/3・大企業1/2が基本。通算30日経過後は教育訓練実施率で変動。上限は1人1日9,110円(令和8年8月1日時点)。
・計画届は休業開始日の前日まで、支給申請は支給対象期間末日の翌日から2か月以内。実地調査があります。
・市独自の上乗せは、梅干製造業向けの田辺市梅干製造業雇用維持支援補助金(6分の1以内・1事業者50万円上限)のみ確認できます。資金面は田辺市中小企業信用保証料補助金、販路面は持続化補助金(商工会議所地区/5商工会地区)を併せて検討してください。
補助率・上限額・要件・様式は改正されます。この記事は2026年10月16日時点の公式情報に基づくものです。申請前に必ず厚生労働省のガイドブック(令和8年8月1日現在)と和歌山労働局の案内でご確認ください。

