この記事は2026年10月19日時点の公式情報に基づきます。
「新宮市で機械を入れ替えたい。でも『ものづくり補助金』で検索すると、締切が過ぎたページばかり出てくる」——そこで手が止まっていませんか。
和歌山県新宮市には、製造業だけでなく水産加工・木材・飲食・宿泊と、設備で勝負が決まる事業者が少なくありません。それなのに国のサイトは名前の似た制度が並び、どれが今公募中なのか分かりにくいのが実情です。
じつは「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」(通称ものづくり補助金)は、公式ホームページに「本補助金の公募は終了しております」と明記されています(2026年10月19日時点)。いま公募中なのは、中小企業基盤整備機構(中小機構)の「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」という別名の制度です。
誰が:新宮市内で設備投資を伴う事業計画を立てる中小企業・小規模事業者(業種別の規模要件あり)。
いくら:革新的新製品・サービス枠は従業員規模に応じて750万円〜2,500万円(補助率1/2または2/3、補助下限額100万円)。
いつまで・どこへ:第1回公募の応募締切は令和8年10月30日(金)18:00厳守、電子申請のみ。新宮市に上乗せ補助は確認できず、国の公募へ直接申請します。
この記事では、対象者の規模要件、補助率・上限額・補助下限額、基本要件と和歌山県の最低賃金の関係、対象経費、締切、新宮市の窓口と市・県の関連制度、落とし穴までを公式情報だけで整理します。補助下限額の読み違いは採択取消につながる要件なので、後半の落とし穴まで目を通してから準備に入ってください。

| 制度名 | 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(革新的新製品・サービス枠/新事業進出枠/グローバル枠) |
|---|---|
| 実施主体 | 独立行政法人中小企業基盤整備機構(事務局業務は全国中小企業団体中央会を主幹事としたコンソーシアム) |
| 対象者 | 中小企業者・小規模企業者・小規模事業者、特定事業者の一部(資本金10億円未満)など。業種別の資本金「又は」常勤従業員数の要件を満たすこと |
| 補助率・上限 | 革新的新製品・サービス枠:1/2(小規模企業者・小規模事業者と再生事業者は2/3)、上限750万〜2,500万円・補助下限額100万円/新事業進出枠:1/2、上限2,500万〜7,000万円・補助下限額750万円/グローバル枠:2/3、上限2,500万〜7,000万円・補助下限額750万円 |
| 申請期間 | 第1回公募:公募開始 令和8年6月29日(月)/申請受付開始 令和8年9月30日(水)/応募締切 令和8年10月30日(金)18:00厳守/採択発表 令和9年1月(予定) |
| 窓口 | 申請は電子申請システム(GビズIDプライム必須)。新宮市内の相談は新宮商工会議所 0735-22-5144、新宮市商工観光課 0735-23-3333、和歌山県よろず支援拠点 073-433-3100 |
| 公式URL | 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公式サイト |
結論:新宮市で使える「ものづくり補助金」は国の公募1本
新宮市の事業者が令和8年度に設備投資で狙える本命は、国(中小機構)の公募1本です。市独自の上乗せは公式サイトで確認できませんでした。
混同しやすい制度が3つあります。①ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、公式ポータルに「本補助金の公募は終了しております」「新規の受付は『新事業進出・ものづくり商業サービス補助金』まで」と掲載されており、採択結果は第23次締切(採択発表 令和8年8月7日/申請者数1,275者・採択者数448者)が最後です(ものづくり補助事業公式ホームページ)。②中小企業新事業進出補助金は「本補助金の公募は終了しております」と明記されています。そして③いま公募中なのが新事業進出・ものづくり商業サービス補助金です。
注意したいのは、③の公式サイトに「『中小企業新事業進出補助金』と『ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金』とは異なる補助金です」という注記があることです。「後継制度」「統合された」という説明は公式に確認できません。過去の制度は終了、今出せるのは別制度と割り切って読み替えてください。
枠は革新的新製品・サービス枠/新事業進出枠/グローバル枠の3つです。既存事業の生産性を上げる設備投資は、多くの場合いちばん上の革新的新製品・サービス枠が入口になります。
対象者:新宮市のどんな事業者が申請できるか
対象かどうかは、業種ごとの資本金「又は」常勤従業員数のどちらかが下表の数字以下であれば満たせます。公募要領の原文も「資本金又は常勤従業員数が下表の数字以下であること。」です。「資本金も従業員数も下回ること」という“かつ条件”で紹介されている例がありますが誤りです。
| 業種 | 資本金 | 常勤従業員数 |
|---|---|---|
| 製造業、建設業、運輸業 | 3億円 | 300人 |
| 卸売業 | 1億円 | 100人 |
| サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く) | 5,000万円 | 100人 |
| 小売業 | 5,000万円 | 50人 |
| ソフトウェア業、情報処理サービス業 | 3億円 | 300人 |
| 旅館業 | 5,000万円 | 200人 |
| ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く) | 3億円 | 900人 |
| その他の業種(上記以外) | 3億円 | 300人 |
新宮市で多い業種に当てはめると、水産加工や木材加工などの製造業は3億円/300人、小売店は5,000万円/50人、旅館・ホテルは5,000万円/200人です。熊野の観光客を受け入れる宿泊業は、サービス業ではなく旅館業の行で判定します。
補助率が上がる小規模企業者・小規模事業者は常勤従業員数だけで判定します(製造業その他20人以下、商業・サービス業5人以下、宿泊業・娯楽業20人以下)。新宮市の商店や飲食店の多くはこの区分に入り、革新的新製品・サービス枠なら補助率2/3が適用されます。
補助率・上限額・補助下限額と対象経費
上限額は枠と従業員規模で決まり、賃上げ特例を適用すると引き上がります(以下はいずれも第1回公募・令和8年度の公募要領の数値です)。
| 枠 | 従業員数 | 補助上限額(基本) | 賃上げ特例適用時 |
|---|---|---|---|
| 革新的新製品・サービス枠 | 1〜5人 | 750万円 | 850万円 |
| 6〜20人 | 1,000万円 | 1,250万円 | |
| 21〜50人 | 1,500万円 | 2,500万円 | |
| 51人以上 | 2,500万円 | 3,500万円 | |
| 新事業進出枠/グローバル枠 | 1〜20人 | 2,500万円 | 3,000万円 |
| 21〜50人 | 4,000万円 | 5,000万円 | |
| 51〜100人 | 5,500万円 | 7,000万円 | |
| 101人以上 | 7,000万円 | 9,000万円 |
補助率は革新的新製品・サービス枠が中小企業者1/2(2/3)と小規模企業者・小規模事業者および再生事業者2/3の2段構え、新事業進出枠は1/2(2/3)、グローバル枠は2/3です。かっこ内の2/3は誰でも使えるものではなく、公募要領の注記は「地域別最低賃金引上げ特例の適用による補助率の引上げを受ける事業者の場合、括弧内の補助率を適用」です。
補助下限額(革新的新製品・サービス枠100万円、新事業進出枠・グローバル枠750万円)は補助対象経費ではなく補助金額に対する下限です。公募要領には、交付決定額の減額により補助金額が補助下限額を下回ることとなった場合は採択取消となる旨が書かれています。革新枠で補助率2/3なら対象経費150万円、1/2なら200万円がおおよその目安です(この換算額は当サイトの計算値です)。「設備が100万円あるから射程内」と考えると要件を外します。
対象経費は枠で違います。革新的新製品・サービス枠は機械装置・システム構築費/運搬費/技術導入費/知的財産権等関連経費/外注費/専門家経費/クラウドサービス利用費/原材料費/広告宣伝・販売促進費の9費目。新事業進出枠はこれに建物費、グローバル枠はさらに海外旅費・通訳/翻訳費が加わります。
必須経費も要確認です。革新的新製品・サービス枠は機械装置・システム構築費が必須、新事業進出枠とグローバル枠は「機械装置・システム構築費又は建物費のいずれかが必ず補助対象経費に含まれていなければなりません」とされています。
申請前に満たす基本要件(和歌山県の最低賃金とセットで確認)
金額より先に、計画で約束する数値要件を満たせるかが分かれ目になります。
- 付加価値額の年平均成長率4.0%以上の増加
- 一人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上の増加
- 毎年、事業場内最低賃金が補助事業実施場所の都道府県における地域別最低賃金より30円以上高い水準であること
- 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の公表と、子育てと仕事の両立などの職場環境整備(示された項目から1つ)
- 金融機関要件:補助事業の実施にあたって金融機関から資金提供を受ける場合は、資金提供元の金融機関から事業計画の確認を受け「金融機関による確認書」を提出すること(自己資金のみで実施する場合は提出不要)
ここで和歌山県の数字が効いてきます。和歌山県の最低賃金は時間額1,101円(令和8年10月3日発効)です(和歌山労働局)。基本要件に当てはめると事業場内最低賃金は1,131円以上が必要という計算になります(1,131円は公募要領の記載ではなく1,101円+30円の計算値です)。
上限額を引き上げる賃上げ特例は、給与支給総額の年平均成長率6.0%以上・事業場内最低賃金が地域別最低賃金+50円(和歌山県なら1,151円以上の計算)で、各申請枠の補助上限額に達しない場合は適用できず、革新枠で地域別最低賃金引上げ特例を申請する事業者も適用できません。新宮市の小規模な設備投資は、まず基本要件で組むのが現実的です。
申請の流れと第1回公募の締切
申請は電子申請システムのみ、締切は日時指定の厳守です。
第1回公募は、公募開始が令和8年6月29日(月)、申請受付開始が令和8年9月30日(水)、応募締切が令和8年10月30日(金)18:00厳守、採択発表が令和9年1月(予定)です(公式サイト スケジュール)。同じページには受付開始8月31日・締切9月30日・採択発表12月という変更前の日程も残っているため、読み間違えないでください。第2回以降の日程は現時点で公式に記載がありません。
- GビズIDプライムの取得:電子申請に必須で、公募要領に「発行には、1週間程度時間を要します」と記載。手元に無いならここから着手します。
- 事業計画の作成:外部支援者に丸投げせず、必ず申請者自身で作成するよう明記されています。
- 金融機関の確認:金融機関から資金提供を受けて実施する場合は「金融機関による確認書」が必要です。新宮信用金庫や日本政策金融公庫など取引先に早めに相談します(自己資金のみなら提出不要)。
- 電子申請:18:00厳守の運用です。前日までの提出を前提に組みます。
採択後の実施期間は、革新的新製品・サービス枠が交付決定から10か月以内(採択発表から12か月以内)、新事業進出枠とグローバル枠が14か月以内(16か月以内)です。事務局は直通電話がなくコールバック予約制のため、制度の細かい点は次の市内窓口で整理したほうが早く進みます。

新宮市の相談窓口と、あわせて検討したい市・県の制度
新宮市は市域全体が新宮商工会議所の地区で、相談先は会議所と市商工観光課が軸になります。
- 新宮商工会議所:〒647-0045 新宮市井の沢3-8/0735-22-5144(和歌山県公式の支援機関一覧に掲載)。受付は平日9:00〜17:00(市の創業支援リーフレット記載)。
- 新宮市 商工観光課:〒647-8555 新宮市春日1番1号/0735-23-3333(市の創業支援リーフレット記載)。課の直通は0735-23-3357(市公式ページ記載)。平日8:30〜17:15。
- 和歌山県よろず支援拠点:073-433-3100。毎月第1・第3金曜9:30〜17:15に東牟婁振興局で出張相談。
- 日本政策金融公庫 田辺支店:0739-22-6120。毎週水曜11:00〜15:00に新宮商工会議所で出張相談(要予約)。
- 新宮信用金庫:0735-21-3086。平日15:00〜17:15、希望の店舗で相談可。
新宮市は田辺市のように複数の商工会に分かれておらず、窓口が商工会議所1つに集約されているのが特徴です。どの地区かを調べる手間がない分、早く相談に入れます。
新宮市に設備投資の上乗せ補助は確認できない
市公式の「各種支援制度のご案内」(更新日2026年5月12日・企画調整課 0735-23-3339)と商工観光課のお知らせを確認した範囲では、ものづくり補助金への上乗せや設備投資そのものへの市の補助金は見つかりませんでした。国の公募へ直接申請する前提で動いてください。
関係する市の制度は2つあります。1つは中小企業等経営強化法に基づく「先端設備等導入計画」の認定(更新日2025年4月8日・商工観光課 0735-23-3357)です。計画期間は3年間、4年間又は5年間、労働生産性が年平均3%以上向上することが要件で、対象は同法施行規則に定める先端設備等(太陽光パネルは除外)。順序が重要で、「先端設備等については、『先端設備等導入計画』の認定後に取得してください」とされています。固定資産税の特例には賃上げ方針の表明が必要で、方針を計画に位置付けられるのは新規申請時のみです。
もう1つは新宮市事業継続支援補助金(交付要綱・令和8年5月8日告示第63号)で、改装費と設備費の1/2・限度30万円。対象の「既存店舗等」は要綱第2条で10年以上同じ場所で営業を継続している本社(本店)の機能を有するものと定義されています。要綱には「既存店舗等の改修に関し、国、県又は本市の他の補助金の交付を受けていないこと。ただし、市長が市内の振興に寄与すると認める場合は、この限りでない」とあり、併用の条件は改修部分についての定めです。ほかに市のリーフレットには新規開業にぎわい支援(2/3・上限30万円)、インターネット活用販路拡大事業補助金(2/3・上限20万円)などが載りますが、年度表記が確認できない資料のため適用可否は窓口でご確認ください。
和歌山県の設備投資補助は令和8年度分の受付が終了
県の代替は和歌山県中小企業成長促進補助金(2/3以内・上限1,000万円・下限100万円、申請期間 令和8年5月18日〜7月31日)ですが、同ページに「本補助金は予算上限額に達したため、新規申請の受理を終了しました。」と掲載されています。令和9年度の実施は未発表です。担当は和歌山県商工労働部 商工労働政策局 商工企画課(073-441-2725)。
新宮市の事業者がつまずきやすい落とし穴
- 古い数値で計画を作る:旧ものづくり補助金の資料は付加価値額が年平均3.0%でした。現行は4.0%です。
- 枠名の取り違え:正しくは「革新的新製品・サービス枠」。「開発枠」という名称は公募要領にありません。
- 補助下限額を経費の下限と誤解する:補助金額に対する下限で、下回ると採択取消です。
- 規模要件をかつ条件で諦める:資本金「又は」従業員数のどちらかで判定します。
- 店舗・工場の改修費を見込む:革新枠に建物費はありません。建物費が使えるのは補助下限額750万円の新事業進出枠・グローバル枠だけです。小規模な改修は市の事業継続支援補助金などを検討します。
- 最低賃金の改定を見落とす:和歌山県は令和8年10月3日に1,101円へ発効しました。事業場内最低賃金は改定後の金額で判定します。
参考になる数字も挙げておきます。すでに公募を終了した中小企業新事業進出補助金の第4回公募は、全国の応募1,499件に対し採択508件で、和歌山県は応募6件・採択1件でした。県内からの応募自体が少ないのが実態で、準備の早さがそのまま差になります。
よくある質問
新宮市に市独自の「ものづくり補助金」はありますか?
市公式の「各種支援制度のご案内」(更新日2026年5月12日)と商工観光課のお知らせを確認した範囲では、市独自の設備投資補助金や国の制度への上乗せは確認できませんでした。国の「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」へ直接申請する形になります。最新の状況は商工観光課(0735-23-3333)にご確認ください。
第1回公募の締切に間に合わない場合は?
2026年10月19日時点で、公式サイトに第2回以降の公募日程の記載はありません。公式サイトのスケジュールページを定期的に確認してください。待つ間にGビズIDプライムの取得(発行に1週間程度)と金融機関への相談を進めておくと、次の公募で動きやすくなります。
補助率が2/3になるのはどんな場合ですか?
革新的新製品・サービス枠では小規模企業者・小規模事業者と再生事業者が2/3、グローバル枠は2/3です。補助率表のかっこ内の2/3は「地域別最低賃金引上げ特例」の適用を受ける事業者に適用されます。要件の詳細は公募要領でご確認ください。
採択率はどのくらいですか?
現行制度は第1回の採択発表が令和9年1月(予定)のため未公表です。参考として、旧ものづくり補助金の第23次締切(公表 令和8年8月7日)は申請者数1,275者・採択者数448者でした。採択率自体は公表されていないため割合は参考値です。審査がある制度なので、要件を満たしても採択されるとは限りません。
新宮市内で事業計画を相談できるのはどこですか?
市域は全域が新宮商工会議所(0735-22-5144)の地区です。あわせて和歌山県よろず支援拠点(073-433-3100)が毎月第1・第3金曜に東牟婁振興局で出張相談を行い、日本政策金融公庫田辺支店は毎週水曜11:00〜15:00に新宮商工会議所で相談を受け付けています(要予約)。市の制度は商工観光課(0735-23-3333)が窓口です。
・本命は国の新事業進出・ものづくり商業サービス補助金。第1回の応募締切は令和8年10月30日(金)18:00厳守。
・革新的新製品・サービス枠は上限750万〜2,500万円、補助率1/2(小規模事業者・再生事業者は2/3)、補助下限額100万円は補助金額に対する下限。
・基本要件は付加価値額+4.0%、一人当たり給与支給総額+3.5%、事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上(和歌山県は1,101円が基準)。
・新宮市に上乗せ補助は確認できず、関連は先端設備等導入計画の認定と事業継続支援補助金。県の成長促進補助金は令和8年度分の受付が終了。
・相談は新宮商工会議所・市商工観光課・よろず支援拠点へ。
この記事は2026年10月19日時点で各公式サイトを確認して作成しています。補助率・上限額・締切・対象経費は改定されることがあります。申請前に必ず公募要領の最新版と新宮市公式サイトでご確認ください。
