この記事は2026年10月29日時点の公式情報に基づきます。
「島根県の介護テクノロジーの補助金、令和8年度はもう申し込めないのでしょうか」。県内の特別養護老人ホームや通所介護、訪問介護の事務長から、いまいちばん多く届くのがこの質問です。
見守り機器も介護ソフトも入れたい。けれど、国の事業名と県の事業名が結び付かず、金額がどこに書いてあるのかも分からない。島根県の場合、県ホームページの本文には補助率も上限額も書かれておらず、数字はすべて「周知チラシ」と「実施要綱」のPDFの中にあります。ここが最初のつまずきどころです。
結論を3行で整理します。
- 令和8年度の事業名は「島根県介護テクノロジー定着支援事業費補助金」、補助率は4/5以内。
- 申請受付は令和8年5月25日(月)〜7月17日(金)で、本記事の確認日時点ではすでに終了しています。
- 交付決定を受けた事業所にとっての次の山は、発注・納品・支払を終える令和9年2月19日(金)です。
この記事では、島根県の公式PDFの原文から、対象となる事業所・対象機器・機器区分ごとの基準額・申請から支払までの期限・島根県だけの補助要件を順に整理します。あわせて、令和9年度の公募に向けて「いま何を済ませておくべきか」を逆算したスケジュール表も載せました。
特に、SECURITY ACTIONの宣言・介護現場革新サポートセンターしまねの研修受講・まめネット(しまね医療情報ネットワーク)のケアプラン交換サービスという3つの条件(SECURITY ACTIONは国の事業に共通する要件、残る2つは島根県独自の運用)は、金額の話より先に効いてきます。ここだけでも先に押さえてください。

令和8年度 島根県介護テクノロジー定着支援事業費補助金の結論
誰が・いくら・いつまで・どこへ出すのかを、県の交付要綱と周知チラシの記載どおりにまとめます。
| 事業名 | 令和8年度 島根県介護テクノロジー定着支援事業費補助金(実施要綱名:島根県介護テクノロジー定着支援事業実施要綱) |
|---|---|
| 実施主体 | 島根県(健康福祉部 高齢者福祉課) |
| 対象施設・事業所 | 島根県内に所在する、(1)介護保険法に基づくサービスを提供する全てのサービス事業所(訪問介護事業所及び居宅介護支援事業所を含む)、(2)老人福祉法に基づく養護老人ホーム及び軽費老人ホーム を運営又は開設する者 |
| 対象機器・経費 | TAIS(福祉用具情報システム)に掲載された介護テクノロジー、介護ソフトの定着促進費用(タブレット端末・Wi-Fi環境整備等)、TAIS未掲載でも同水準と認められる機器等、パッケージ型導入、導入と一体的に行う業務改善 |
| 補助率・上限 | 補助率4/5以内。基準額は区分ごとに100万円/30万円/介護ソフトは職員数に応じ100〜250万円/パッケージ型導入1,000万円/業務改善48万円 |
| 申請期間 | 令和8年5月25日(月)〜令和8年7月17日(金)(受付は終了) |
| 事業完了期限 | 令和9年2月19日(金)までに発注・納品・支払が完了すること(やむを得ない事情がある場合も令和9年3月31日(水)まで) |
| 窓口 | 島根県健康福祉部高齢者福祉課 電話0852-22-6696・6520(周知チラシ記載/受付9:00〜12:00、13:00〜17:00、土日祝日を除く)、県ページには介護人材係 0852-22-5718 の記載。メール kaigo-ict@pref.shimane.lg.jp |
| 公式URL | 島根県「介護テクノロジー定着支援事業」 |
令和8年度の受付はすでに終了しているため、これから読む方にとっての実務は「交付決定済み案件を2月19日までに着地させること」と「令和9年度の公募に備えること」の2つに分かれます。要件の中身は翌年度も大きくは変わらない設計のため、いま読んでおく価値は十分にあります。なお予算の範囲内での交付であり、申請すれば必ず採択されるものではありません。
制度の全体像|国の補助金と島根県「定着支援事業」の関係
島根県の補助金が国のどの財源に乗っているのかを押さえると、要件の理由が理解しやすくなります。
島根県の交付要綱第1条には、この補助金の交付が「令和8年度(令和7年度からの繰越分)介護保険事業費補助金(介護テクノロジー導入・協働化・経営改善等支援事業)交付要綱(令和8年5月7日厚生労働省発老0507第2号別紙)」及び島根県の補助金等交付規則に基づく、と明記されています。つまり財源は地域医療介護総合確保基金ではなく、国の介護保険事業費補助金(令和7年度からの繰越分)です。国の事業名に「協働化」が含まれていることが、後述する別枠の補助金につながっています。
国の介護テクノロジー施策そのものの考え方は、厚生労働省の介護テクノロジー・ICTの活用推進のページに整理されています。県の制度は、この国の枠組みを島根県の実情に合わせて運用したものだと考えると分かりやすいでしょう。制度全体の年度別の変遷は介護テクノロジー導入支援事業の全体像でも整理しています。
なお「交付決定」とは、申請内容を県が審査したうえで補助金を出すと正式に決める行為のことです。島根県の令和8年度のスケジュールでは、交付決定は9月下旬(予定)とされていました。
別枠の「協働化・大規模化」補助金も同時募集だった
島根県では、介護テクノロジーの補助金と同じ受付期間で「令和8年度島根県協働化・大規模化等による介護事業所職場環境改善事業」も募集されていました。対象は、島根県内に施設又は事業所を有する法人で構成され、小規模法人を1以上含む事業者グループです。
補助率は同じく4/5で、補助基準額は「事業者グループを構成する法人数1につき120万円(訪問介護事業所を経営する法人の場合は30万円を加算する)」、1事業者グループあたり最大1,200万円が上限とされています。合同採用、共同送迎の実施調査、共同発注、合同研修、人事・給与・福利厚生制度の共通化、各種委員会の共同設置、協働化にあわせたICTインフラ整備(通信費は除外)などが対象です。近隣法人と組む予定があるなら、機器単体の補助金よりこちらの方が規模の大きい支援になり得ます。詳細は島根県「協働化・大規模化等による介護事業所職場環境改善事業」をご確認ください(窓口は高齢者福祉課計画推進係 0852-22-5717・6520)。
対象となる介護事業所と対象機器|TAIS掲載が基本
対象は県内の介護サービス事業所ほぼ全般で、機器は3つの区分に分かれます。
対象事業所は、介護保険法に基づくサービスを提供する全てのサービス事業所で、訪問介護事業所や居宅介護支援事業所も含まれます。加えて老人福祉法に基づく養護老人ホーム・軽費老人ホームも対象です。特養・老健・グループホーム・有料老人ホーム・デイサービスはもちろん、居宅のケアマネ事業所まで入るのが島根県の設計です。
対象機器は実施要綱4(1)で次のように区分されています。
- ア:TAISに掲載された介護テクノロジー……「福祉用具情報システム(TAIS)」において「介護テクノロジー」として選定された機器等。TAISとは公益財団法人テクノエイド協会が提供する福祉用具の情報システムで、TAISの介護テクノロジー一覧から移乗支援(装着・非装着)、移動支援、排泄支援、見守り・コミュニケーション、入浴支援、介護業務支援、機能訓練支援などの分類で検索できます。
- イ:介護ソフトの定着促進費用……介護ソフトと一体的に使用するための情報端末(PC、タブレット端末。リース費用を含む)、Wi-Fi環境整備に必要な経費(配線工事、モデム・ルーター、アクセスポイント、システム管理サーバー、ネットワーク構築等)、導入前後のベンダーによるサポート費用等。
- ウ:その他……①未申請である等の理由でTAISに掲載されていないが、アと機能等が同水準と認められる機器等、②介護従事者の身体的負担の軽減や間接業務時間の削減等による業務効率化など、職場環境整備として有効で介護サービスの質の向上につながると認められる機器等(例としてバックオフィスソフト=電子サインシステム、給与、勤怠管理等)。
TAISに載っていない機器が一律で門前払いになるわけではなく、ウ①・ウ②の受け皿が用意されている点が島根県の要綱の特徴です。ただし留意事項として「販売価格が公表されており、一般に購入できる状態にある機器等が補助対象となる。開発に要する経費は補助対象とはならない」と明記されています。試作品や特注開発は対象外と考えてください。機器選びの前提知識は見守りセンサーの比較・選び方や介護記録ソフトの比較も参考になります。
介護ソフトについては、記録業務・情報共有業務・請求業務を一気通貫で行えること(転記等の業務が発生しないこと)が条件です。さらに居宅介護支援事業所・介護予防支援事業所・居宅サービス事業所等が申請する場合は「ケアプランデータ連携標準仕様」に準じたCSVの出力・取込機能を有すること、施設サービス事業所等が申請する場合はLIFEのCSV連携仕様に準じた出力機能を有することが、それぞれ追加要件になります。
補助率4/5と機器区分別の上限額(基準額)
補助額は「実支出額×4/5」と「区分ごとの基準額」を比べ、少ない方が採用されます。
令和8年度の実施要綱5では、補助率は4/5(1機器につき、消費税及び地方消費税を除いた実支出額に4/5を乗じ、1,000円未満の端数は切り捨て)と定められています。そのうえで、表1・表2の基準額と比較して少ない方の額が補助額になります。
| 区分 | 対象の例 | 基準額 |
|---|---|---|
| 介護テクノロジー(高額区分) | TAISで「移乗支援(装着型・非装着型)」「入浴支援」に掲載されているテクノロジー、「介護業務支援」に掲載されているインカム、及びこれらと同水準と認められる機器等、ウ②の機器のうちバックオフィスソフト以外 | 100万円(周知チラシの表記は「100万円/台」) |
| 介護ソフト・バックオフィスソフト | TAISで「介護業務支援」に掲載されている介護ソフト、同水準と認められる機器等、ウ②のうちバックオフィスソフト | 表2のとおり(職員数に応じて100〜250万円) |
| 上記以外の機器 | ア・ウ①のうち上記に当たらないもの(見守り・コミュニケーション、移動支援、排泄支援など) | 30万円(周知チラシの表記は「30万円/台」) |
| 介護ソフト定着促進費用(イ) | タブレット端末、Wi-Fi環境整備、ベンダーサポート費用等 | 導入する介護ソフトの経費と合わせて表2の第3欄による(パッケージ型導入に合わせて対象とする場合は、パッケージ型導入の上限に15万円上乗せ) |
| パッケージ型導入 | 「介護業務支援」に分類される機器+「見守り・コミュニケーション」機器、介護ソフト+インカム等、連動して効果が高まる組み合わせ | 1,000万円(機器等の合計経費/1事業所) |
| 導入と一体的に行う業務改善 | 専門家派遣・研修受講に関する経費 | 48万円(1事業所) |
介護ソフト・バックオフィスソフトの基準額(令和8年度の実施要綱 表2)は、職員数で段階的に決まります。
| 職員数(申請時点) | 基準額(ソフトのみ導入) | 基準額(イの定着促進費用も活用) |
|---|---|---|
| 1名以上10名以下 | 100万円 | 115万円 |
| 11名以上20名以下 | 150万円 | 165万円 |
| 21名以上30名以下 | 200万円 | 215万円 |
| 31名以上 | 250万円 | 265万円 |
| 職員数で金額が変動しない契約方式の場合 | 一律250万円 | 265万円 |
職員数には訪問介護員等の直接処遇職員だけでなく、ICTの活用が見込まれる管理者や生活相談員等の職員も算入して差し支えない、と要綱に明記されています。職員数は申請時点の常勤換算(小数点以下四捨五入)が原則ですが、居宅を訪問してサービスを提供する職員や管理者・生活相談員等は実人数(常勤・非常勤の別は問わない)としても差し支えありません。1人分の差で基準額の階段が変わるため、ここは事務方が最初に確認すべき箇所です。
さらに、訪問介護事業所等の居宅サービス事業所又は居宅介護支援事業所(介護予防を含む)で、令和8年度中に「ケアプランデータ連携システム」により5事業所以上とデータ連携を実施する場合は、基準額に5万円が加算されます。
なお付帯経費(主たる機器と併せて導入するWi-Fi環境やPC・タブレット等)は、主となる機器と併せて導入する場合に限って対象にできます。この場合の基準額は、主たる機器と付帯経費を合計した額を、表1の1台あたりの基準額に導入台数を乗じた金額と比較します。通信費は対象経費に含まれません。
申請から補助金支払までの流れと期限
島根県のスケジュールは「5月受付→9月交付決定→2月完了」という一本道です。
令和8年度の周知チラシに示された流れは、①申請書提出(5月25日)→②公募締切(7月17日)→③書類審査→④交付決定(9月下旬予定)→⑤発注・納品・支払(2月19日まで)→⑥実績報告(2月19日まで)→⑦補助金支払(3月中、別途通知)、というものでした。提出書類は補助金交付申請書(様式第1号)、介護テクノロジー導入計画(別紙(1))、経費所要額調書(別紙(2))、職員数一覧、収支予算書(別紙(3))、業務改善計画(別紙(4))、「介護現場革新サポートセンターしまね」への相談票、見積書写し、指定・許可を証する書類、SECURITY ACTION自己宣言の完了が確認できる書類、口座振替申出書などです。
注意したいのは、交付要綱第8条の実績報告期限が「補助事業を完了した日から起算して1月を経過した日」又は「事業完了年度の2月20日」のいずれか早い日とされている点です。周知チラシのスケジュール図では実績報告は「2/19まで」と表記されており、1日のずれがあります。完了が年度末に寄るほど、この差が効いてきますので、実務上はチラシの2月19日を内部期限に置いたうえで、具体的な提出日は県の担当係に確認するのが安全です。補助金の請求・報告の一般的な進め方は補助金申請の流れ・必要書類にまとめています。
交付決定後に内容を変更する場合は、あらかじめ事業変更承認申請書(様式第2号)を知事に提出して承認を受ける必要があります(軽微な変更を除く)。中止・廃止の場合も様式第3号による承認が必要です。ただし県ページの注意事項では、入札による事業費の減、機器の型番の変更、交付決定額の範囲内での台数の変更など、事業内容に影響を及ぼさない軽微な変更であれば県への連絡は不要とされています(それ以外の中止・変更は速やかに連絡)。また、必要に応じて一般競争入札に付すなど、県が行う契約手続の取扱いに準拠することも交付の条件とされています。
令和9年2月19日から逆算したスケジュール
交付決定を受けている事業所向けに、確認日(2026年10月29日)以降の動きを逆算した表です。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 2026年10月〜11月 | 交付決定の内容どおりの仕様で発注。事業内容に影響を及ぼす変更は様式第2号で事前に承認を受ける(機器の型番の変更や交付決定額の範囲内での台数の変更は、県ページで軽微な変更=連絡不要とされている) |
| 2026年12月〜2027年1月 | 納品・設置・初期設定。Wi-Fi配線工事は年度末の工事集中を見込んで前倒しで押さえる |
| 2027年2月19日(金) | 発注・納品・支払の完了期限。請求書と振込控えの日付がこの日以前になっているか確認 |
| 2027年2月20日(土) | 交付要綱第8条の実績報告期限(完了日から1月を経過した日と、事業完了年度の2月20日のいずれか早い日)。実務上はチラシの2月19日を内部期限に |
| 2027年3月中 | 補助金の支払(別途通知)。概算払を希望する場合は概算払請求書(様式第3号の2) |
| 2027年3月31日(水) | やむを得ない事情がある場合の最終完了期限 |
| 2027年4月〜5月 | 令和9年度の公募に備え、介サポしまねへの相談とSECURITY ACTIONの宣言を先に済ませる |
| 2027年5月下旬〜7月(令和8年度の実績からの想定) | 令和9年度の申請受付。日程は未発表のため県ページで要確認 |
島根県ならではの注意点|他県の記事には出てこない条件
金額よりも、ここで落ちる施設の方が多い部分です。
1. SECURITY ACTIONの宣言が必須
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の「★一つ星」又は「★★二つ星」のいずれかを宣言することが要件です。SECURITY ACTIONとは、中小企業・小規模事業者等が自ら情報セキュリティ対策に取り組むことを自己宣言する制度のこと。申請書類に「SECURITY ACTION自己宣言の完了が確認できる書類」が含まれるため、宣言を後回しにすると申請自体が成立しません。IPAには介護テクノロジー導入支援事業の申請者向けSECURITY ACTIONの案内が用意されており、まずGビズID(プライム)を取得し、そのうえで介護施設ごとにGビズID(メンバーアカウント)を作成して「介護施設で自己宣言する」を選んで申し込む流れが示されています。対象外の事業所も同等の対策を講じていることを宣言することとされています。
2. 「介護現場革新サポートセンターしまね」への相談と研修受講
島根県が設置する「介護現場革新サポートセンターしまね(介サポしまね)」への相談票が提出書類に含まれ、さらに令和8年度は同センターが5月28日及び6月19日に実施する「生産性向上(基礎)研修会」の受講が補助要件の一つとされていました(オンライン公開している研修動画の視聴でも可)。なお実施要綱4(3)は、この研修受講(イ)に代えて、生産性向上に知識・経験を有する第三者と個別契約し①事前評価②業務改善の助言・指導③事後評価の支援を受ける方法(ア)でも要件を満たすとしています(メーカーや販売店による機器の操作説明は対象外)。機器を選ぶ前に相談する、という順番が制度に組み込まれているのが島根県の特徴です。センターは公益財団法人介護労働安定センター島根支部内(松江市朝日町498 松江センタービル9階、電話0852-25-8302、平日9時〜17時)にあり、相談対応・セミナー・専門家による伴走支援・機器展示会・介護テクノロジーの機器試用貸出・情報発信を行っています。詳しくは介護現場革新サポートセンターしまね(介サポしまね)と県の「介護現場革新サポートセンターしまね(介サポしまね)の概要」をご覧ください。買う前に試せる窓口が県内にあるのは大きな利点です。
3. 居宅系は「まめネット」でも要件を満たせる
訪問介護・通所介護・居宅介護支援など実施要綱に列挙された居宅系サービスは、令和8年度中に「ケアプランデータ連携システム」又は、同等の機能とセキュリティを有するシステムとして認められたまめネット(しまね医療情報ネットワーク)の「ケアプラン交換サービス」の利用を開始することが条件とされています。あわせて、県ページに掲載された厚生労働省「介護テクノロジー定着支援事業Q&A(令和8年度)」問12では、令和8年度から「データ連携の実績があること」を要件とするとされており、契約・利用開始の手続だけでなく年度内に実際の送受信まで済ませる想定です。全国共通の仕組みだけでなく県内ネットワークが選択肢として認められているのは島根県ならではの設計です。
4. 施設系は委員会の設置が条件
短期入所生活介護、特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護、地域密着型介護老人福祉施設、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院など実施要綱に列挙された施設系サービスは、利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会(名称は問わない)を設置することとされています。
5. 他の補助金との併用は不可
実施要綱6②に「経済産業省が実施している『IT導入補助金』等、他の補助金等によって助成されているものについては、本事業の補助対象外とする」と明記されています。交付要綱第6条(4)でも「補助事業の対象経費と重複して、他の補助金等の交付を受けてはならない」とされ、違反は交付決定の取消し・返還の対象です。同じ介護ソフトの同じ経費を二重に申請することはできません。どちらに出すべきかの考え方は介護テクノロジー補助金の完全ガイドで整理しています。
6. 契約相手方は県内事業者を優先する努力義務
交付要綱第6条(10)に「補助事業を行うために締結する契約の相手方については、島根県内に所在する事業所を優先するよう努めること」と定められています。義務ではなく努力義務ですが、県の補助金である以上、見積の集め方の段階で意識しておきたい条件です。なお島根県内に政令指定都市はなく、この補助金の申請窓口は県の高齢者福祉課に一本化されています(市町村ごとの別制度ではありません)。市町村独自の上乗せ補助の有無は、各市町村の介護保険担当課にご確認ください。
7. 補助後3年間の効果報告と賃金還元
補助を受けた事業所は業務改善計画を作成して県に提出し、補助を受けた翌年度から3年間、その計画に対する効果を県に報告することとされています。また、生産性向上により収支の改善が図られた場合は職員の賃金へ適切に還元し、その旨を職員等に周知することとされ、効果の報告で確認されます。帳簿・証拠書類は事業完了年度の翌年度から5年間保管、取得価格50万円以上(補助事業者が地方公共団体以外の場合は30万円以上)の機械器具等は処分制限の対象です。導入して終わりではない、という設計を稟議書にも書いておきましょう。
よくある質問
島根県の介護テクノロジー補助金について、問い合わせの多い5点に公式情報の範囲でお答えします。
令和8年度の申請にまだ間に合いますか。
令和8年度の申請受付は令和8年5月25日(月)〜7月17日(金)で、本記事の確認日(2026年10月29日)時点では終了しています。追加募集の有無は公表情報からは確認できませんでしたので、島根県高齢者福祉課(0852-22-6696・6520)にご確認ください。令和9年度の実施内容・日程も未発表です。
交付決定前に機器を発注してもよいですか。
周知チラシには「令和8年4月1日以降に着手し、令和9年2月19日までに『発注・納品・支払』が完了すること」と記載される一方、同じチラシのスケジュール図では発注・支払は交付決定(9月下旬予定)の後に置かれています。交付決定前の契約・発注が認められるかどうかは交付要綱・実施要綱に明文の記載が確認できませんでした。補助金は交付決定前の契約・発注が対象外となるのが一般的ですので、発注前に必ず県へ確認してください。
介護ソフトの上限額は職員数でどう変わりますか。
申請時点の職員数に応じ、1〜10名は100万円、11〜20名は150万円、21〜30名は200万円、31名以上は250万円が基準額です。タブレット端末やWi-Fi環境整備(定着促進費用)も併せて活用する場合は、それぞれ115万円・165万円・215万円・265万円になります。職員数で金額が変動しない契約方式の場合は一律250万円(定着促進費用も活用する場合は265万円)です。要件を満たせばこの基準額と「実支出額×4/5」の少ない方が補助額になります。
IT導入補助金と併用できますか。
できません。実施要綱に「IT導入補助金」等、他の補助金等によって助成されているものは本事業の補助対象外とする旨が明記されています。交付要綱でも対象経費と重複した他の補助金等の受給は禁止され、違反した場合は交付決定の取消しや返還を命じられることがあります。
訪問介護事業所や居宅介護支援事業所も対象になりますか。
対象です。実施要綱の対象事業所に「介護保険法に基づくサービスを提供する全てのサービス事業所(訪問介護事業所及び居宅介護支援事業所を含む。)」と明記されています。ただし居宅系サービスには、令和8年度中にケアプランデータ連携システム又はまめネットのケアプラン交換サービスの利用を開始するという条件が付きます。審査がありますので、要件を満たしていても採択・満額交付が保証されるものではありません。
まとめ|島根県の介護テクノロジー補助金で押さえる5点
最後に、県内の介護事業所が今日判断するために必要な要点を整理します。
- 令和8年度の事業名は「島根県介護テクノロジー定着支援事業費補助金」。補助率4/5以内、基準額は区分ごとに100万円・30万円、介護ソフトは職員数に応じ100〜250万円、パッケージ型導入1,000万円、業務改善48万円。
- 受付は令和8年5月25日〜7月17日で終了済み。交付決定済みの事業所は令和9年2月19日までに発注・納品・支払を終える必要がある。
- SECURITY ACTIONの宣言、介サポしまねへの相談と生産性向上(基礎)研修の受講、施設系は委員会設置、居宅系はケアプランデータ連携システム又はまめネットの利用開始が要件。
- IT導入補助金等との併用は不可。通信費・開発経費は対象外。契約相手方は県内事業者を優先する努力義務がある。
- 補助後は翌年度から3年間の効果報告があり、収支改善分は職員の賃金へ還元することとされている。
他県の運用と比べたい場合は、隣接する鳥取県の介護補助金や広島県の介護補助金、関西圏の兵庫県の介護補助金・京都府の介護補助金・大阪府の介護補助金もあわせてご覧ください。基準額の決め方や要件の重さは県ごとに大きく異なります。
本記事の金額・期限は、島根県が公開する実施要綱・交付要綱・周知チラシの原文から整理したものです。最新の募集状況と細部の取扱いは、必ず島根県の公式ページ(公募要領・交付要綱)でご確認ください。この記事は2026年10月29日時点の公式情報に基づきます。
出典
- 島根県 介護テクノロジー定着支援事業
- 令和8年度 島根県介護テクノロジー定着支援事業 周知チラシ(PDF)
- 島根県介護テクノロジー定着支援事業実施要綱(PDF)
- 島根県介護テクノロジー定着支援事業費補助金交付要綱(PDF)
- 厚生労働省 介護テクノロジー定着支援事業Q&A(令和8年度)(PDF・島根県ページ掲載)
- 島根県 協働化・大規模化等による介護事業所職場環境改善事業
- 島根県 介護現場革新サポートセンターしまね
- 介護現場革新サポートセンターしまね 公式サイト
- 厚生労働省 介護テクノロジー・ICTの活用推進
- 公益財団法人テクノエイド協会 福祉用具情報システム(TAIS)
- IPA SECURITY ACTION(介護テクノロジー導入支援事業向け)
