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群馬県の介護ソフト・ICT導入補助金【令和8年度】上限額と要件

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群馬県の介護ソフト・ICT導入補助金【令和8年度】上限額と要件
群馬県の介護ソフト・ICT導入補助金【令和8年度】上限額と要件

「介護記録ソフトを入れ替えたい。でも、Wi-Fi工事やタブレット代まで補助の対象にできるのか分からない」——群馬県内の介護事業所の施設長・事務長から、毎年この時期に同じ質問が出ます。

介護ロボットの補助金とICTの補助金が別メニューだったのは数年前の話で、今はほとんどの都道府県で1本に統合されています。ただし事業名は「導入支援」だったり「定着支援」だったりと県ごとに違い、群馬県の名称は検索では出てきにくいのが実情です。制度を探す段階でつまずいている、という声は珍しくありません。

結論から3行でお伝えします。

  • 群馬県の介護ソフト・ICT補助は「令和8年度群馬県介護テクノロジー定着支援事業補助金」の1本に統合されています
  • 補助率は4/5。介護ソフトの補助基準額は職員数に応じて100万円〜250万円で、Wi-Fi工事などの付帯費用を併せて導入すると上限に15万円が加算されます
  • 令和8年度の事業募集は令和8年7月31日で終了し、2026年11月3日現在は実績報告の受付期間です(県ページ2026年10月9日更新)

この記事では、群馬県の公式資料(県ホームページ・事業概要資料・交付要綱・県Q&A)だけを出典に、介護ソフト・インカム・情報端末・Wi-FiといったICT側に絞って、対象経費/対象外経費、区分別の上限額、職員数の数え方、5つの補助要件、申請から交付までの日程、他補助金との併用までを順に整理します。

先に一つだけ、群馬県で最もつまずきやすい点をお伝えします。金額ではなく「補助要件」です。とくに居宅系サービスのケアプランデータ連携は、令和8年度から「利用開始の予定」ではなく「連携の実績」が問われる運用に変わりました(県Q&A No.22)。ここを知らずに計画を立てると、採択後の実績報告で止まります。

この記事は2026年11月3日(JST)時点で公開されている群馬県の公式情報に基づきます。

1. 結論|群馬県の介護ソフト・ICT補助金は「介護テクノロジー定着支援事業」で申請する

誰が・いくら・いつまで・どこへ出すのかを、県の公式資料から先にまとめます。

群馬県内で介護記録ソフト、インカム、見守りセンサー、タブレット端末、Wi-Fi環境を整備するときに使えるのは、群馬県地域福祉課が所管する群馬県介護テクノロジー定着支援事業補助金(交付要綱上の正式名称は「群馬県介護保険事業費補助金(介護テクノロジー定着支援事業)」)です。群馬県は事業名に「導入支援」ではなく「定着支援」を使っています。そのため「群馬県 介護ソフト 導入支援 補助金」と検索しても県の該当ページに届きにくく、これが最初の壁になっています。

補助率は4/5です。ただし交付額は、補助対象経費の実支出額に補助率を乗じた額と、区分ごとに決まっている補助基準額を比較して少ない方の額となります(交付要綱第3条)。1,000円未満の端数は切り捨てです。上限額は「必ずもらえる額」ではなく、実支出額×4/5が下回ればそちらが交付額になります。

令和8年度は、事業募集・交付申請ともに受付が終了しています。現在受け付けているのは実績報告で、期限は事業完了後10日以内または令和9年2月15日のいずれか早い日です(交付要綱第8条)。これから申請を検討する施設は、次年度の募集に向けて要件を先に満たしておく動きになります。群馬県の介護分野の補助制度を横断で確認したい方は群馬県の介護補助金のまとめもあわせてご覧ください。

事業名 令和8年度群馬県介護テクノロジー定着支援事業補助金(群馬県介護保険事業費補助金(介護テクノロジー定着支援事業))
実施主体 群馬県(地域福祉課 福祉人材確保対策室 人材確保係)
対象施設 群馬県内の介護保険法に基づくサービスを提供する全ての事業所、老人福祉法に基づく養護老人ホーム及び軽費老人ホーム
対象機器(ICT関連) 介護ソフト、インカム、見守り機器、バックオフィスソフト(電子サインシステム・給与・勤怠管理等)/付帯費用としてWi-Fi環境整備・PC・タブレット端末・ベンダーによる導入サポート費
補助率・上限 補助率4/5(1,000円未満切捨て)。介護ソフト100万〜250万円(付帯費用ありで115万〜265万円)、インカム1式100万円、パッケージ型導入支援400万円(付帯費用ありで415万円)、業務改善支援48万円
申請期間(令和8年度) 事業募集は令和8年7月31日で終了、交付申請も終了。実績報告は事業完了後10日以内または令和9年2月15日の早い日まで
窓口 群馬県地域福祉課 福祉人材確保対策室 人材確保係(〒371-8570 前橋市大手町1-1-1/027-226-2564)。事業に関する問い合わせは県ページ掲載の専用フォーム
公式URL https://www.pref.gunma.jp/site/kaigojinzai/2301.html

2. 令和8年度の制度の全体像|国の実施要綱と群馬県の事業名

群馬県の補助金がどの国の制度にぶら下がっているのかを押さえると、要件の読み方が一気に楽になります。

交付要綱第2条は、この補助金の根拠として、令和8年5月7日厚生労働省発老0507第2号厚生労働事務次官通知の別紙「令和8年度(令和7年度からの繰越分)介護保険事業費補助金(介護テクノロジー導入・協働化・経営改善等支援事業)交付要綱」と、令和8年6月30日老発0630第2号老健局長通知の別紙1「令和8年度(令和7年度からの繰越分)介護テクノロジー定着支援事業実施要綱」を挙げています。他県では地域医療介護総合確保基金(国と都道府県が財源を積み立て、介護人材確保などの事業に充てる仕組み)を財源にする例もありますが、群馬県の交付要綱が根拠として明記しているのは国の介護保険事業費補助金(令和7年度からの繰越分)の交付要綱・実施要綱です。国側の資料は厚生労働省の介護テクノロジーの利用促進のページで公開されています。都道府県共通の枠組みから理解したい方は介護テクノロジー導入支援事業の全体像と介護テクノロジー補助金の完全ガイドが入口になります。

対象は、交付要綱第1条のとおり「群馬県内の介護保険法に基づくサービスを提供する全ての事業所並びに老人福祉法に基づく養護老人ホーム及び軽費老人ホーム」です。暴力団等に該当しないことも条件に入っています(第1条第2項)。

見落としやすいのが施設類型の線引きです。県Q&A No.2は、特定施設入居者生活介護の指定を受けていないサービス付き高齢者向け住宅・有料老人ホームについて「本補助金の対象となるのは『介護保険法に基づくサービスを提供する全ての介護事業所』ですので、ご質問の事業所は対象になりません」と回答しています。さらにNo.3では、通所介護・訪問介護等の指定を受けている事業者であれば申請可能としつつ、「サービス付き高齢者住宅や有料老人ホームで使用するための機器を通所介護や訪問介護事業所分として申請することはできません」と明示しています。同じ建物の中でも、どの指定事業所がその機器を使うのかで可否が変わります。

なお群馬県には政令指定都市がありません。前橋市・高崎市を含む県内全域が、この県事業の対象エリアです。市が独自に上乗せする介護ICT補助制度は、2026年11月3日時点では公式に確認できませんでした。市単独の制度を使えるかどうかは、各市の介護保険担当課にご確認ください。

3. 介護ソフト・ICTで補助対象になる経費/ならない経費

群馬県のICT補助で最も誤解が多いのは、Wi-Fiや端末を指す「付帯費用」の扱いです。

県の事業概要資料は、付帯費用を「介護テクノロジーを導入する際に導入に付帯して必要となる経費」と定義しています。交付要綱の別表は、その例として次を挙げています。介護テクノロジーを利用するためのWi-Fi環境を整備するために必要な経費(配線工事、Wi-Fi環境整備のために必要な有線LANの設備工事を含む、モデム、ルーター、アクセスポイント、システム管理サーバー、ネットワーク構築等)、介護テクノロジーの導入に伴って導入するPC・タブレット等の情報端末、介護ソフトを導入する場合の導入前後にベンダーが行うサポート費などです。

ここで決定的なのが、Wi-Fi工事やパソコン、タブレット端末等「のみ」の導入は補助対象にならないという点です。県Q&A No.16は「16分野に該当する介護テクノロジーの導入に係る付帯費用またはパッケージ型導入支援による導入の場合に限り補助対象となります」と回答しています。端末の更新だけを目的にこの補助金を使うことはできません。

一方で、台数の制限は緩やかです。情報端末については県Q&A No.15が「補助上限額以内であれば台数の制限はありません」と回答しています。工事を分けて発注しても問題なく、No.7は見守り機器を福祉機器業者に、Wi-Fi工事を電気専門業者に依頼する例を挙げて「ご質問の場合でも補助対象となります」としています。

介護ソフトそのものにも定義があります。交付要綱の留意事項は、介護ソフトを「記録業務、情報共有業務(事業所内の情報連携のみならず、居宅サービス計画やサービス利用表等を他事業所と連携する場合を含む。)、請求業務を一気通貫で行うことが可能となっているもの(転記等の業務が発生しないものであること)」と定めています。すでに導入しているソフトと組み合わせて一気通貫が実現できていれば対象になる、とも明記されています。あわせて、介護記録等データをCSVファイル・JSONファイル等の変換が容易なデータ形式で出力・入力できる機能を備えていることが「望ましい」とされています(必須要件ではありません)。製品側の機能差を先に把握しておきたい方は介護記録ソフトの比較が参考になります。

さらに、サービス種別に応じた追加要件があります。居宅介護支援事業所・介護予防支援事業所・居宅サービス事業所・介護予防サービス事業所が介護ソフトを申請する場合は、国民健康保険中央会のベンダー試験結果および厚生労働省の「介護ソフト機能調査」の結果において、ケアプランデータ連携標準仕様に準じたCSVファイルの出力・取込機能を有すること、ケアプランデータ連携システムの活用促進のためのサポート体制が整っていることが確認できる製品であることが求められます。施設サービス事業所および地域密着型サービスにおける地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護事業所が申請する場合は、科学的介護情報システム(LIFE)の「CSV連携仕様書(LIFE)」に準じたCSVファイルの出力機能を有することが要件です。製品選定の段階で、この2点をベンダーに確認しておくと手戻りがありません。

対象になるもの(ICT関連) TAISに「介護テクノロジー」として掲載された介護ソフト・インカム・見守り機器/TAIS掲載機器と同等機能の機器/バックオフィスソフト(電子サインシステム、給与・勤怠管理等)/機器と併せて導入するWi-Fi環境整備・有線LAN設備工事・ルーター・サーバー・ネットワーク構築/機器と併せて導入するPC・タブレット等の情報端末/介護ソフトの導入前後のベンダーサポート費/見守りセンサー付きベッドの設置組立費・送料(本体代に含めて計算・県Q&A No.13)/導入済みソフトをケアプランデータ連携システムに対応させる改修費(県Q&A No.24)
対象にならないもの Wi-Fi工事・パソコン・タブレット端末等のみの導入(県Q&A No.16)/販売価格が公表されておらず一般に購入できない機器、開発に要する費用(交付要綱 留意事項)/メーカーや販売店等による機器の操作説明費(交付要綱 別表 区分④)/交付決定前に着手した事業(県Q&A No.25)/同一の対象経費について他の補助金の交付を受けている場合(交付要綱第5条第3項)
年契約・月額契約の扱い 年契約の利用料は本年度に支払った金額が補助対象経費。交付決定後かつ実績報告締切までに5年分の利用料を支払った場合は5年分が対象(県Q&A No.17)

4. 補助率と上限額|介護ソフトは職員数別、パッケージ型は400万円

群馬県の基準額は、交付要綱別表の表1〜表4と、2種類の加算で構成されています。

介護ソフトとバックオフィスソフトだけは、1台いくらではなく職員数の階段で基準額が決まります。ポイントは「職員数に応じて必要なライセンス数が変動するなど、職員数により合計金額が変動する契約」かどうかで、これに当てはまらない契約は一律250万円(付帯費用ありで265万円)です。まず自社の見積が職員数連動型かどうかを確認してから、該当する欄の基準額を読む順番になります。

区分 補助基準額(上限) 補助上限台数
TAISの「移乗支援(装着)」「移乗支援(非装着)」「入浴支援」 100万円/台 利用者定員数の2割(小数点以下切上げ)。市町村の指定を受けた利用者定員数29名以下の地域密着型サービスを提供する事業所は9台まで
上記以外の16分野(移動支援、排泄支援、見守り・コミュニケーション、機能訓練支援、食事・栄養管理支援、認知症生活支援など) 30万円/台
インカム(TAIS「介護業務支援」) 100万円(親機・子機の台数を問わず1式100万円) 表に台数欄の定めなし
介護ソフト(職員数により合計金額が変動する契約) 職員数1〜10名:100万円/11〜20名:150万円/21〜30名:200万円/31名以上:250万円
※付帯費用を併せて要する場合は115万円/165万円/215万円/265万円
表に台数欄の定めなし
介護ソフト(上記以外の契約) 一律250万円(付帯費用を併せて要する場合は265万円) 表に台数欄の定めなし
バックオフィスソフト(「その他」区分) 職員数1〜10名:100万円/11〜20名:150万円/21〜30名:200万円/31名以上:250万円。上記以外の契約は一律250万円 事業概要資料の表では「ー」(バックオフィスソフト以外は100万円/台で定員の2割・9台の制限あり)
パッケージ型導入支援 400万円(介護ソフトの導入と併せて付帯費用を要する場合は415万円) 導入台数の制限なし
導入支援と一体的に行う業務改善支援 48万円 —

加算は2種類あります。1つ目は付帯費用の加算で、介護ソフトを導入する場合にWi-Fi工事・PC・タブレット端末・介護ソフトの導入サポート費と併せて導入すると、補助上限額に15万円が加算されます。パッケージ型導入支援でも、介護ソフトの導入と併せて付帯費用を要する場合は400万円に15万円が加算されます。

2つ目はケアプランデータ連携の加算です。訪問介護事業所等の居宅サービス事業所または居宅介護支援事業所(介護予防も含む)であって、令和8年度中に「ケアプランデータ連携システム」により5事業所以上とデータ連携を実施する場合、基準額に5万円を加算します。注意点として、県Q&A No.18はパッケージ型導入支援にはこの5万円加算がないと明言しています。加算の対象は「TAISに掲載された介護テクノロジー」区分と「その他」区分で介護ソフトを導入する場合です。

職員数の数え方も要綱に定めがあります。職員数には、訪問介護員等の直接処遇職員だけでなく、ICTの活用が見込まれる管理者や生活相談員等の職員も参入して差し支えありません。算出は申請時点における常勤換算方法によるとされ、小数点以下は四捨五入します。ただし居宅を訪問してサービスを提供する職員(訪問介護員、居宅介護支援専門員等)および管理者・生活相談員等については、従事する職務の性質上、実人数(常勤・非常勤の別は問わない)としても差し支えないとされています。

実際の交付額のイメージは、県の事業概要資料に3つの計算例が載っています。見守りセンサーベッド(12万円/台)5台とWi-Fi工事100万円を実施する場合、補助上限額は5台×30万円=150万円ですが、原則の補助額は(5台×12万円+100万円)×4/5=128万円となり、少ない方の128万円が実際の補助額です。介護ソフト250万円(職員数非連動)+Wi-Fi工事100万円なら、上限は250万円+15万円=265万円、原則の補助額は(250万円+100万円)×4/5=280万円で、265万円が交付額になります。パッケージ型で介護ソフト250万円・見守りセンサー20万円×5台・情報端末15万円×5台・Wi-Fi設備100万円の例では、上限415万円に対し原則の補助額が420万円となり、415万円が交付額です。見守り機器の構成から逆算したい場合は見守りセンサーの比較・選び方もあわせてご確認ください。

5. 申請区分の選び方|1事業所1区分、介護ソフト+見守りは原則パッケージ型

群馬県は申請区分が4つあり、ここを間違えると金額以前に申請が通りません。

区分は、①TAISに掲載された介護テクノロジー、②その他(TAIS掲載機器と同等機能の機器/16分野に該当しないがバックオフィスソフト等)、③パッケージ型導入支援、④導入支援と一体的に行う業務改善支援の4つです。事業概要資料は「①〜③については、1事業所につき1区分まで申請可」と明記しています。

介護ソフトとICT機器を同時に入れる場合の線引きが、群馬県で最も質問の多い論点です。区分①の留意事項は、介護ソフト1式と見守り機器をそれぞれ区分①で申請することを「パッケージ型導入支援で申請すべき組み合わせのため不可」としています。介護ソフト1式とインカムの組み合わせも同様です。一方、入浴支援機器と移乗支援機器は「パッケージ型導入支援に該当しない組み合わせのため可」とされています。県Q&A No.12も、介護ソフトと見守り機器の同時導入について「基本的にはパッケージ型導入支援による一体導入を想定しておりますので、ご質問の場合であればパッケージ型導入支援で申請してください」と回答しています。

逆に、パッケージ型には「連動性」という条件があります。介護ソフトと連動させる機器はTAISの16分野に該当する機器である必要があり(TAISに掲載されていなくても可)、連動性が認められない組み合わせは該当しません。認められる例は「介護ソフト+見守り機器(見守り機器が収集したデータを介護ソフトが自動的に記録)」「介護ソフト+インカム(記録した内容を迅速にインカムで共有)」、認められない例は「介護ソフト+移乗支援機器(介護ソフトと連動性がない)」です。すでに介護ソフトを導入済みで、今年度導入するのが見守り機器とWi-Fi工事のみという場合は、パッケージ型では申請できません(県Q&A No.4)。

区分④の業務改善支援(48万円)は単独では使えません。県Q&A No.27は「機器の導入が前提となっていますので、機器を導入しない場合は、この区分のみの申請は出来ません」と回答しています。区分④は①〜③と併せて申請する前提です。

申請単位も押さえておきましょう。県Q&A No.9は「本事業は法人単位で申請いただきますが、補助対象の可否は事業所単位で判定します。ですので、各事業所ごとに経費を按分いただく必要があります」と回答し、按分方法は各事業所のライセンス数・従業員数等の合理的な方法であればよい(按分方法は問わない)としています。同じ建物に地域密着型特養と短期入所が併設されている場合も、申請は法人単位、可否判定は事業所ごとです(県Q&A No.11)。

なお採択の方針として、県Q&A No.14と事業概要資料は「見守り機器・インカム・介護ソフトを導入する場合、優先的に採択します」としています。ただし「予算の範囲内で実施するため、採択をお約束するものではありません」とも明記されており、優先採択は確約ではなく審査があります。

6. 群馬県の5つの補助要件|詰まるのはケアプラン連携とSECURITY ACTION

金額の話が片付いても、要件を満たしていなければ申請できません。群馬県は要件が多い県です。

事業概要資料が掲げる【補助要件】は次の5つです。①業務改善支援において実施する、コンサルティング会社等による業務改善支援または介サポぐんまが開催するセミナーを受講すること、②業務改善計画や業務改善の取組の実施にあたって、介サポぐんまに相談すること、③入所系サービス事業所の場合、利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会を設置すること、④居宅系サービス事業所の場合、令和8年度内に「ケアプランデータ連携システム」の利用を開始すること、⑤「SECURITY ACTION」の「★一つ星」又は「★★二つ星」のいずれかを宣言すること。

ただし、交付要綱別表の備考1は(ⅰ)から(ⅶ)までの7項目を定めており、概要資料の5つがすべてではありません。概要資料の5要件と重ならない残る4項目として、収支の改善が図られた場合に職員の賃金にも適切に還元し職員等に周知すること、LIFEによる情報収集に協力すること、厚生労働省が発行するガイドライン等を参考に業務改善に取り組み業務改善計画を作成すること、厚生労働省等が実施する効果検証事業等に可能な限り協力することが挙げられています。県Q&A No.6も「が主な要件です」という書き方をしており、申請前には要綱の備考まで通して読む必要があります。

①の要件は、介サポぐんま(正式名称は介護・福祉職場サポートセンターぐんま。2026年10月1日に「介護職場サポートセンターぐんま」から改称しており、令和8年6月時点の交付要綱・事業概要資料では旧名称で表記されています。公益財団法人介護労働安定センター群馬支部内、〒371-0022 前橋市千代田町1-14-1 橋詰広瀬川ビル2階、027-226-1153、受付9:00〜17:00)のセミナー受講で満たせます。県Q&A No.6・No.10によれば、厚生労働省委託事業「令和8年度 介護現場の生産性向上に関する普及加速化事業一式」で実施する「生産性向上ビギナーセミナー」および「生産性向上フォローアップセミナー(講義形式)」を受講した場合でも、この要件を満たします。令和8年度は5月22日と9月11日にセミナーが設定されていました。②の相談要件は、申請時に添付する「業務改善計画書」の提出をもって満たす扱いです。③の委員会は、すでに該当する委員会を設置していれば要件を満たします。

ICT側で最も注意が必要なのが④です。要綱の文言は「令和8年度以内に『ケアプランデータ連携システム』の利用を開始すること」ですが、県Q&A No.22は「今年度より、データ連携の実績があることを要件とします。実績報告時に連携実績の分かる資料をご提出いただきます」と回答しています。No.21では「『データ連携を実施』とは、ケアプランデータ連携システムを利用して、ケアプランの送受信を行っている(または令和8年度中に予定している)ことを指します」と説明されています。居宅系で介護ソフトを入れるなら、導入と同じ年度内に実際の送受信まで到達する前提でスケジュールを組む必要があります。

⑤のSECURITY ACTIONは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する、中小企業・小規模事業者等が自ら情報セキュリティ対策に取り組むことを自己宣言する制度です。補助金申請用の手続きはIPAの介護テクノロジー定着支援事業・介護テクノロジー導入支援事業向けSECURITY ACTION特設ページに案内があります。県Q&A No.23は「昨年度以前に法人単位又は事業所単位で自己宣言IDを取得している場合は、あらたに宣言を行う必要はございません」としています。GビズIDの取得に時間がかかる場合については、No.28が「7/31締め切りの事業募集への申請の段階では、SECURITY ACTIONの自己宣言をしたことが分かる資料の提出は省略いただいて差し支えありません。ただし、交付申請(9月中旬頃を予定)までに必ずご準備をお願いします」と回答しています。なお令和8年7月7日付で交付要綱が一部改正され、便宜上個人事業主として申請する取扱いは不要になりました(No.29)。申請書類の全体像は補助金申請の流れ・必要書類で確認できます。

7. 申請の流れ・締切|交付決定前の発注は対象外、次年度への逆算

令和8年度の実際の日程をたどると、次年度に向けて逆算すべき時点が見えてきます。

最重要の注意点は発注のタイミングです。県Q&A No.25は「交付決定(10月初旬頃を予定)前に着手している事業については、本補助金を採択された場合でも補助対象外となります。(着手とは、契約や発注などの具体的な行為を開始することを指します。)」と回答しています。交付要綱第5条第4項も「事業の着手は、補助金交付決定通知を受けて行うものとする」と定めています。年度前半に見積を取り、交付決定を待ってから契約・発注する——この順番を崩すと補助が受けられません。

資金繰りの前提も確認しておきましょう。県Q&A No.26は「本補助金では補助金の前払い(概算払い)は出来ません。補助金は実績報告締め切り(令和9年2月15日)後から年度末(令和9年3月31日)までに支払いとなります」と回答しています。機器代金はいったん全額を立て替える前提です。

時期(令和8年度の実績) 手続き
令和8年5月22日 介サポぐんまによる介護テクノロジー導入支援セミナー(第1回・補助要件①に対応)
令和8年6月下旬〜7月31日 事業募集(締切:令和8年7月31日・県Q&A No.28)
令和8年7月下旬〜8月下旬 審査
令和8年8月下旬 内示
令和8年8月下旬〜9月中旬 交付申請(SECURITY ACTIONの自己宣言はこの時点までに必要)
令和8年9月11日 交付申請セミナー(第2回)
令和8年10月上旬 交付決定(ここまで契約・発注は不可)
交付決定後〜令和9年2月15日 事業実施(契約・発注・納品・支払い)
事業完了後10日以内または令和9年2月15日の早い日 実績報告(交付要綱第8条)
令和9年3月31日まで 補助金の支払い(概算払い不可)
翌年度から3年間 業務改善計画に定めた内容に対する効果の報告(交付要綱第11条)
事業完了日の属する年度の翌々年度6月30日まで 仕入控除税額の報告(交付要綱第10条・0円の場合も報告)

交付決定後にも守るべき条件があります。交付要綱第5条は、事業により取得し、または効用の増加した価格が30万円以上の機器及び器具について、減価償却資産の耐用年数等に関する省令に定める期間を経過するまで、知事の承認を受けないで補助目的に反して使用・譲渡・交換・貸付け・担保供与・取壊し・廃棄をしてはならないと定めています。帳簿と証拠書類は、事業が完了する日の属する年度の終了後5年間保管が必要です。

他の補助金との関係も整理しておきます。県Q&A No.19は「他の補助金を申請しているだけの状態であれば、本補助金の申請は可能です」としたうえで、交付要綱第5条第3項の「この事業に係る補助金の交付と対象経費を重複して他の補助金の交付を受けてはならない」を引き、本補助金の申請時点で既に他の補助金の交付を受けている場合は申請できない、交付決定後に同じ対象経費に係る部分について他の補助金の交付を受けた場合は本補助金が対象外となる、と説明しています。IT導入補助金など国の制度と並行して検討している場合は、どの経費をどちらに割り当てるかを申請前に決めておく必要があります。

過年度の受給歴については、県Q&A No.8が「昨年度事業において補助金の交付を受けた場合でも、今年度事業の申請は可能です。補助金額、台数についても、昨年度事業の影響はありません」と回答しています。No.20も「過年度の補助の有無は、今年度の補助金の申請に影響しません。ご質問の場合であっても、今年度申請について利用者定員の2割まで申請可能です」としています。この点は、過去の受給で優先順位が下がる県や前年度受給事業所を除外する県もあるため、群馬県の運用として押さえておく価値があります。近隣県と比較検討したい法人は埼玉県の介護補助金、新潟県の介護補助金、茨城県の介護補助金もあわせてご覧ください。複数県に事業所を持つ法人なら東京都の介護補助金との違いも確認しておくと、本部での予算組みがしやすくなります。

令和9年度の実施有無について、県Q&A No.5は「次年度の補助金の内容については、ご質問の内容を含めて現時点での回答は出来かねます。ご理解ください」と回答しています。本記事でも次年度の日程・金額は断定しません。ただし令和8年度の流れを前提に置くと、次年度に向けていま進められるのは、介サポぐんまへの相談と業務改善計画の下準備、入所系であれば委員会の設置、居宅系であればケアプランデータ連携システムの利用開始と送受信の実績づくり、そしてGビズIDとSECURITY ACTIONの自己宣言です。いずれも募集開始を待たずに着手でき、かつ時間のかかる項目です。最新の募集情報は必ず群馬県の公式ページでご確認ください。

8. よくある質問

群馬県の介護ソフト・ICT補助について、県Q&Aと交付要綱で答えが確定している質問をまとめます。

Q1. 介護ソフトだけの導入でも補助対象になりますか?

対象になります。区分①(TAISに「介護テクノロジー」として掲載された介護ソフト)または区分②(同等機能の機器)で申請し、基準額は職員数に応じて100万円〜250万円です。ただしWi-Fi工事やパソコン・タブレット端末だけの導入は対象外で、介護テクノロジーの導入に係る付帯費用またはパッケージ型導入支援による導入の場合に限って対象となります(県Q&A No.16)。

Q2. 月額・年契約のクラウド型介護ソフトはどこまで対象ですか?

県Q&A No.17は「年契約の利用料については、本年度に支払った金額が補助対象経費となります。例えば、交付決定後かつ実績報告締め切りまでに5年分の利用料を支払った場合、5年分が補助対象となります」と回答しています。支払った年度で判断される点がポイントです。なお導入済みソフトをケアプランデータ連携システムに対応させるための改修費も補助対象です(県Q&A No.24)。

Q3. 複数の事業所でまとめてソフトを導入する場合、申請はどうなりますか?

申請は法人単位で行いますが、補助対象の可否は事業所単位で判定します。そのため各事業所ごとに経費を按分する必要があり、見積書等で「どの事業所でいくら分の経費か」を明確にします。按分方法は各事業所のライセンス数・従業員数等の合理的な方法であれば問われません(県Q&A No.9)。同じ建物に複数の指定事業所がある場合も、判定は事業所ごとです(県Q&A No.11)。

Q4. IT導入補助金など他の補助金と併用できますか?

他の補助金を申請しているだけの状態であれば本補助金の申請は可能ですが、申請時点で既に他の補助金の交付を受けている場合は申請できません。交付決定後に同じ対象経費について他の補助金の交付を受けた場合は、本補助金が対象外となります(県Q&A No.19、交付要綱第5条第3項)。同一経費への重複補助は認められません。

Q5. 令和9年度(2027年度)も同じ補助金はありますか?

県Q&A No.5は「次年度の補助金の内容については、ご質問の内容を含めて現時点での回答は出来かねます」と回答しており、2026年11月3日時点では令和9年度の実施有無・内容は公表されていません。実施された場合に備えて、セミナー受講・介サポぐんまへの相談・委員会設置・ケアプランデータ連携の実績・SECURITY ACTIONの宣言を先に整えておく進め方が現実的です。最新情報は群馬県地域福祉課の公式ページでご確認ください。

9. まとめ|群馬県の介護ICT補助は「要件を先に満たす」が最短ルート

群馬県の介護ソフト・ICT導入補助金について、押さえるべき点を最後に整理します。

制度は「令和8年度群馬県介護テクノロジー定着支援事業補助金」の1本で、補助率は4/5、介護ソフトの基準額は職員数別に100万円〜250万円(付帯費用ありで115万円〜265万円)、パッケージ型導入支援は400万円(同415万円)、業務改善支援は48万円です。交付額は実支出額×4/5と基準額の少ない方で、1,000円未満は切り捨てになります。令和8年度の募集は7月31日で終了済みです。

そして、群馬県で差がつくのは金額の読み方より要件の準備の早さです。介サポぐんまのセミナー受講と相談、入所系の委員会設置、居宅系のケアプランデータ連携の実績、SECURITY ACTIONの自己宣言は、どれも募集開始を待たずに進められます。交付決定前の契約・発注は対象外になる点、概算払いができない点もあわせて、資金と工程の両面で前もって設計しておくことをおすすめします。県全体の制度は群馬県の介護補助金のページに、都道府県共通の考え方は介護テクノロジー導入支援事業の全体像にまとめています。

本記事の数値・日程は、群馬県の事業概要資料、交付要綱、県Q&Aから確認しています。対象機器がTAISの「介護テクノロジー」に該当するかは公益財団法人テクノエイド協会の福祉用具情報システム(TAIS)で検索できます。予算の範囲内での実施のため採択が保証されるものではなく、個別の可否は必ず公募時点の最新の要綱と県の窓口でご確認ください。

この記事は2026年11月3日(JST)時点の群馬県公式情報に基づきます。制度内容は変更される場合がありますので、申請前に必ず公式ページで最新情報をご確認ください。

群馬県前橋市の風景
写真: Nankou Oronain (as36… / Wikimedia Commons (CC BY-SA 3.0)


この記事の制作・監修
河原 将太(株式会社Tip 代表取締役社長)
国・和歌山県・各市町村の公式情報(公募要領・公式サイト)を確認したうえで制作しています。補助率・上限・締切は年度や公募回で変わるため、最新は各実施主体の公式サイトでご確認ください。 運営者情報 / 補助金を使ったWeb集客の無料相談(30分)
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