この記事は2026年10月10日時点の公式情報に基づきます。
東京から和歌山県橋本市へ移ろうと情報を集め、「移住支援金で100万円」という言葉だけ覚えて、そこから先に進めていないのではないでしょうか。
この制度でつまずく原因は、金額ではなく要件の層の多さです。移住支援金は国(内閣官房・内閣府)の枠組みを和歌山県と橋本市が共同で実施する制度で、要件が「移住元」「共通」「就業」の3段に分かれています。しかも就業の部分は市ごとに独自ルートが足されるため、県のページを読んでも自分の欄が見つかりません。
たとえば橋本市の公式ページには、就業要件のひとつとして「市内産の柿をインターネットで購入し、SNSに投稿する」という関係人口ルートまで明記されています。柿の産地である橋本市らしい独自要件で、他市町村の案内を読んでいるだけでは絶対に出てきません。
・誰が:東京23区に1年以上在住(または東京圏在住で23区へ通勤)し、橋本市へ移住して就業・起業・テレワーク等の要件を満たす方
・いくら:世帯100万円/単身60万円。18歳未満の帯同者1人につき100万円加算
・いつまで:移住後(転入後)1年以内に申請。予算枠に達した時点でその年度は打ち切り
・どこへ:橋本市経済推進部シティプロモーション課 交流定住係(0736-33-6106)/事前相談が前提
この記事では、橋本市の移住支援金の金額・要件・申請の流れ・返還条件を公式ページの表記どおりに整理し、あわせて橋本市が独自に用意している空き家や新築住宅の補助金との組み合わせまで一覧にします。読み終えたときに「自分は4つの就業ルートのどれで申請できるか」が判断できる状態を目指します。

橋本市の移住支援金とは|国・和歌山県・橋本市の3者でつくる制度
橋本市の移住支援金は、東京一極集中の是正を目的とした国の枠組みを、和歌山県と橋本市が共同で実施しているものです。
国(内閣官房・内閣府)が全国共通の骨格を示し、和歌山県が「和歌山県移住支援事業」として県内の運用を定め、実際の申請受付と支給は移住先の市町村が行います。つまり、橋本市に移住する人の窓口は県庁ではなく橋本市役所です。県のページでは「移住後1年以内に移住した市町村に申請をしてください」「支援金額は市町村によって異なります」と案内されています。
この三層構造を押さえておくと、情報源の使い分けが楽になります。制度の全体像は内閣官房・内閣府「ふるさと求人・移住支援金・起業支援金」、県内共通のルールは和歌山県地域振興課「和歌山県移住支援事業(移住支援金)等について」、そして自分が申請する要件と様式は橋本市「移住支援金のご案内」で確認するのが最短ルートです。
| 制度名 | 橋本市移住支援金(和歌山県移住支援事業) |
|---|---|
| 実施主体 | 橋本市(和歌山県・国と共同実施) |
| 対象者 | 東京23区在住または東京圏在住で23区へ通勤していた方で、橋本市へ移住し就業・起業・テレワーク・関係人口いずれかの要件を満たす方 |
| 補助率・上限 | 世帯100万円/単身60万円(補助率の概念はなく定額)。18歳未満の帯同者1人につき100万円加算 |
| 申請期間 | 移住(転入)後1年以内。予算枠に達した場合は当該年度の支給打ち切り |
| 窓口 | 橋本市 経済推進部 シティプロモーション課 交流定住係/電話 0736-33-6106 |
| 公式URL | 橋本市 移住支援金のご案内 |
いくらもらえる?世帯100万円・単身60万円・子ども加算100万円
令和8年度(2026年度)の金額は定額で、世帯か単身か、18歳未満の子どもを連れて移住するかで決まります。
| 区分 | 支給額 | 主な条件 |
|---|---|---|
| 世帯での移住 | 100万円 | 2人以上の世帯員が、移住元で同一世帯/申請時も同一世帯/転入後1年以内のすべてに該当 |
| 単身での移住 | 60万円 | 上記の世帯要件に当てはまらない場合 |
| 18歳未満の帯同者加算 | 1人につき100万円 | 令和5年4月1日以降に移住した方が対象 |
注目すべきは子どもの加算です。18歳未満の子ども2人と移住する世帯なら、100万円+100万円×2人で合計300万円が上限となります。加算は令和5年4月1日以降の移住が対象で、それ以前の移住には適用されません。
なお移住支援金とは別に、県が実施する「わかやま地域課題解決型起業支援補助金」の交付を受けて起業するルートもあります。こちらはデジタル技術を活用した地域課題解決型の起業などを対象とする別制度で、令和8年度の募集期間は令和8年4月1日〜令和8年5月8日で、県の公式ページでは「令和8年度の募集は終了しました」と案内されています。補助上限額は県のページに記載がないため、和歌山県の公式ページおよび公益財団法人わかやま産業振興財団の公募要領でご確認ください。
対象者の要件①|移住元と共通要件を2段でチェック
就業ルートを調べる前に、まず「どこから来たか」と「移住後にどう暮らすか」の2点をクリアできているかを確認します。
移住元の要件は、移住する直前の10年間のうち通算5年以上が東京23区在住または東京圏在住・23区通勤であることを前提に、次のいずれかに該当することです(市の令和8年度チェックシートでは、この通算5年以上が「絶対条件」と明記されています)。
(1)東京23区に在住し、移住する直前に連続して1年以上東京23区内に在住していた
(2)雇用保険の被保険者として、東京圏(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県。ただし条件不利地域を除く)に在住し、東京23区内に通勤していた(法人役員・個人事業主等を含む)
ここで見落としやすいのが条件不利地域です。東京都の檜原村・奥多摩町・島しょ部、埼玉県の秩父市・飯能市・本庄市など、千葉県の銚子市・館山市・旭市など、神奈川県の三浦市・山北町・箱根町などは条件不利地域に指定されており、ここからの通勤者は(2)の対象外です。該当する市町村名の一覧は橋本市の公式ページに全件掲載されています。
共通要件は、申請時点で移住後1年以内であること、橋本市に5年以上継続して居住する意思があること、市町村税など市への滞納がないこと、暴力団等と関係がないこと、日本人または永住者等の在留資格を有すること、過去10年以内に和歌山県の移住支援金を受給していないこと、市・県が不適当と認める者でないこと。これらすべてを満たす必要があります。
大阪府や京都府、名古屋、あるいは和歌山県内の他市町村からの転入は、移住元要件を満たさないため対象になりません。「東京圏から」が入口の条件です。関西圏からの移住を検討している方は、後述の空き家や新築住宅の補助金を軸に組み立てるほうが現実的です。
対象者の要件②|就業の4ルート(求人・起業・テレワーク・関係人口)
移住元と共通要件を満たしたうえで、次の4つのいずれかに該当することが必要です。なお市の令和8年度チェックシートには、国のプロフェッショナル人材事業・先導的人材マッチング事業を利用して就業する「専門人材就業」の欄もあります。市ページの本文には記載がないため、該当しそうな方は事前相談でシティプロモーション課に確認してください。
1. マッチングサイト掲載求人への新規就業…和歌山県就職支援サイト「はたらコーデわかやま」の移住支援金ページ(hataracoorde.com/ijushien/)に移住支援金の対象求人として掲載された求人に、掲載日以降に応募して就業するルートです。その求人が「移住支援金対象求人」として掲載されているかが分かれ目になります。
2. 起業支援金の交付決定から1年以内…公益財団法人わかやま産業振興財団が実施する県の起業支援事業に係る起業支援金の交付決定を受けてから1年以内に申請するルートです。
3. テレワークでの移住…橋本市内に生活の本拠を置き、週20時間以上のテレワークを実施する場合です。勤務先を変えずに移住できるのがこのルートの特徴です。
4. 関係人口としての移住…橋本市独自のルートで、過去3年以内に移住コンシェルジュによる移住相談を移住1か月前までに受けていることが前提です。そのうえで、要件1(ア〜ウ)と要件2(エ〜キ)のそれぞれに該当する必要があります。
要件1は、(ア)転入前年度までに橋本市へふるさと納税をした履歴がある、(イ)市の就職相談会に参加して参加証明書の発行を受けている、(ウ)移住する1か月前までに市内産の柿をインターネット販売で購入し、SNSまたはインターネット上の口コミに所定の文言(「この世界を柿色に染めたい」)を投稿する、のいずれか。要件2は、(エ)認定新規就農者または認定農業者等である、(オ)林業事業体に就業する、(カ)「橋本で働こう!」掲載法人への就業、(キ)タクシー・バス運転手としての就業、のいずれかです。
(カ)(キ)には、勤務地が市内であること((キ)は「市内を含むこと」)、申請時点で就職後3か月以上経過していること、週20時間以上の無期雇用契約であること、3親等内の親族が代表者・取締役等を務める法人等でないこと、転勤・出向でない新規雇用であること、申請日から5年以上継続して勤務する意思があること、官公庁等への就業でないことなど、細かな条件が並びます。関係人口ルートで申請するなら、必ず移住前に市へ相談してください。相談の時期そのものが要件になっているため、移住してから気づいても後追いできません。

申請の流れと期限|移住後1年以内・予算枠に達したら打ち切り
申請は移住後に市へ行いますが、実務上は移住前の相談から始まります。
流れは、①移住前にシティプロモーション課・移住コンシェルジュへ事前相談(関係人口ルートは移住1か月前までが要件)→②就業・起業・テレワークいずれかの要件を満たす→③転入手続き→④必要書類をそろえて申請→⑤審査・交付決定→⑥請求書提出・支給、という順序です。市の「移住後に使える補助金」のページでも移住支援金は「要事前相談」と案内されています。
主な様式は、交付申請書(様式第1号)と誓約事項・個人情報取扱いの別紙、就業証明書(様式第2号)、テレワーク用の就業証明書(様式第2号の2)、就業時間証明書(様式第2号の3)、関係人口用の就業証明書(様式第2号の4)、誓約書(様式第3号)、請求書(様式第5号)です。いずれも市のページからダウンロードでき、様式第1号_別紙1・別紙2(PDFのみ)を除いてPDFとWordの両方が用意されています。
期限は「移住後1年以内」。ただし、それより先に予算枠が埋まる可能性があります。市のページには「申請件数が移住支援金事業の予算枠に達した場合、当該年度の移住支援金支給は打ち切りとなります」と明記されています。県のページにも年度末(2〜3月)は受付を締め切る場合がある旨の注記があります。1年あるからと後回しにせず、要件がそろった時点で早めに窓口へ連絡するのが安全です。
よくある落とし穴|返還・重複受給・転出
移住支援金は受け取った後にも条件が続く制度です。ここを知らずに転職・転居すると返還対象になります。
全額返還となるのは、虚偽の申請をした場合、本申請日から3年未満で他市区町村へ転出した場合、本申請日から1年以内に就業要件を満たす職を退職した場合、県のマッチング支援事業・起業支援事業の交付決定が取り消された場合です。
半額返還となるのは、本申請日から3年以上5年以内に他市区町村へ転出した場合です。
つまり5年間は橋本市に住み続ける前提の制度で、共通要件に「5年以上継続して居住する意思」が入っているのはそのためです。転職の可能性がある方は、1年以内の退職が全額返還にあたる点をあらかじめ家族と共有しておくことをおすすめします。
もうひとつの落とし穴が重複受給です。過去10年以内に和歌山県の移住支援金を受給していると対象外になります。県内の別の市町村で一度受給した方が、数年後に橋本市へ移って再申請することはできません。
橋本市で併用を検討したい移住系の補助金
移住支援金の対象にならない場合も、橋本市には住まいに関する独自の補助金があります。いずれも令和8年度(2026年度)時点の内容で、窓口はシティプロモーション課 交流定住係(0736-33-6106)です。
| 制度名 | 金額 | 主な対象・要件 |
|---|---|---|
| お試し滞在支援補助金 | 対象経費の1/2、1人1泊3,000円・1申請5泊まで・年額45,000円上限 | 県外在住で橋本市への移住を検討中の方。滞在日の2週間前までに市の移住相談窓口へ相談が必須。同行者は2名まで |
| お試し暮らし応援補助金(賃貸) | 家賃1/2(上限月4万円)×3か月+仲介手数料1/2(上限4万円)=最大16万円 | 18歳以上。わかやま住まいポータルサイト・すみよし不動産空家バンク登録物件の賃貸借契約。過去2年間市内に住民登録がないこと。最初の契約日から1年以内に申請 |
| 空き家移住応援補助金(購入) | 20万円+若年夫婦加算10万円(若年夫婦=夫婦のいずれかが申請日現在で40歳未満) | 空家バンク登録物件の購入。床面積50平方メートル以上。転入後2年未満かつ住民登録後3か月以上。登記完了から1年以内に申請 |
| 転入夫婦新築住宅取得補助金 | 30万円(うち地域通貨5万円分) | 夫婦のいずれかが申請日時点で満40歳未満。夫婦双方が令和4年4月1日以降に転入。市内の新築住宅(床面積50平方メートル以上)を取得。受付は令和10年3月31日まで |
このほか、婚姻を機に住宅を取得・賃借した費用を補助する「橋本市結婚新生活支援補助金」も市の移住後に使える補助金のページに掲載されています。令和8年度は、令和8年1月1日から令和9年3月31日の間に婚姻届が受理された(または橋本市・和歌山県のパートナーシップ宣誓書受領証の交付を受けた)夫婦で、婚姻日の年齢が夫婦ともに39歳以下、夫婦の合計所得額が500万円未満であることなどが条件です。補助額は住宅の購入費が上限30万円、家賃(1か月分)・敷金・礼金・仲介手数料が各上限5万円、共益費(1か月分)が上限1万円、転居に要する費用が上限10万円で、いずれも実支出額と比べて少ない額が交付されます。申請受付期間は令和8年4月1日から令和9年3月31日までです。
併用の可否は制度ごとの要綱で判断されます。市の制度どうしでは、結婚新生活支援補助金は同じ住宅について転入夫婦新築住宅取得補助金・空き家移住応援補助金を受けていないことが条件で、空き家移住応援補助金も新築の場合に転入夫婦新築住宅取得補助金との重複を認めていません。移住支援金と市の住宅系補助金の併用可否は公式ページに明記がないため、申請前に必ずシティプロモーション課 交流定住係(0736-33-6106)で組み合わせを相談してください。

よくある質問
橋本市の移住支援金はいくらもらえますか?
世帯での移住は100万円、単身での移住は60万円です。加えて18歳未満の帯同者1人につき100万円が加算されます(令和5年4月1日以降の移住者が対象)。定額支給で、要件を満たしたうえで審査を経て交付決定される仕組みです。
大阪や和歌山市から橋本市へ移住する場合も対象ですか?
対象になりません。移住元の要件が「東京23区に連続1年以上在住」または「東京圏在住で東京23区へ通勤(条件不利地域を除く)」に限られているためです。関西圏からの移住であれば、空き家移住応援補助金や転入夫婦新築住宅取得補助金など市独自の制度をご検討ください。
テレワークで移住する場合、勤務先を変える必要はありますか?
必要ありません。橋本市内に生活の本拠を置き、週20時間以上のテレワークを実施することが要件です。就業形態を証明する様式第2号の2(テレワーク用の就業証明書)を提出します。実際の判定は市の審査によりますので、事前相談の際に勤務形態を伝えてください。
申請はいつまでにすればよいですか?
移住(転入)後1年以内です。ただし申請件数が予算枠に達するとその年度の支給は打ち切りとなり、年度末は受付を締め切る場合があります。要件がそろった時点でシティプロモーション課へ連絡するのが確実です。
受給後に転出したら返還が必要ですか?
本申請日から3年未満の転出、または1年以内に就業要件を満たす職を退職した場合は全額返還、3年以上5年以内の転出は半額返還となります。虚偽申請や県事業の交付決定取消も全額返還の対象です。
橋本市の移住支援金は、東京23区からの移住で世帯100万円・単身60万円、18歳未満の子ども1人につき100万円加算。要件は「移住元」「共通」「就業(求人・起業・テレワーク・関係人口)」の3段構えで、関係人口ルートは移住1か月前までの相談が必須です。期限は移住後1年以内ですが予算枠に達すれば打ち切り、受給後も5年間の居住が前提になります。金額・要件・様式は年度ごとに更新されるため、申請前に橋本市シティプロモーション課(0736-33-6106)と公式ページで最新の公募内容をご確認ください。この記事は2026年10月10日時点の公式情報に基づきます。
