この記事は2026年10月10日(JST)時点の公式情報に基づきます。
「来月は仕事が止まりそうだ。けれど、従業員は手放したくない」。和歌山県橋本市で製造・建設・小売・宿泊・飲食を営む事業者の方から、こうした相談が出る局面は決して珍しくありません。
橋本市は紀北の工業・住宅地と、高野山や紀の川沿いの観光動線をあわせ持つ地域です。だからこそ、取引先1社の減産や団体予約1本のキャンセルが、そのまま来月のシフトに響きます。人を減らせば当面の人件費は下がりますが、落ち着いたときに同じ人材を採り直せるとは限りません。
そこで検討対象になるのが、国の雇用調整助成金(略して「雇調金」)です。結論を3行で示します。
・誰が:雇用保険の適用事業主で、売上高や生産量などの最近3か月の月平均が前年同期比10%以上減っている事業主(要件を満たせば)
・いくら:支払った休業手当等の2/3(中小企業)、1人1日あたり9,110円が上限(令和8年8月1日以降)
・いつまで・どこへ:公募型ではなく通年の制度。申請・相談は和歌山労働局 職業安定部職業対策課とハローワーク橋本(書類の整え方は橋本商工会議所でも相談可)
意外に思われるのが、雇調金は「休ませたあとに領収書を出す」だけの制度ではない点です。通常制度では「休業等実施計画届」という事前の届出が組み込まれています(新型コロナの特例期間中は、この計画届が不要とされていました)。つまり、動き出すタイミングを間違えると使えません。
この記事では、①橋本市の事業者から見た制度の位置づけ、②対象になる要件、③助成率と上限額、④申請の流れ、⑤橋本市で実際に相談できる窓口、⑥つまずきやすい点、⑦よくある質問、の順に整理します。数値はすべて厚生労働省・労働局の公式ページから写し、確認できなかった項目は「公式で確認してください」と明記しました。最後の「落とし穴」は、相談前に社内で決めておくべきことの一覧にもなっています。

橋本市の雇用調整助成金|基本情報まとめ
まず、制度の骨格を1枚の表で確認します。
| 制度名 | 雇用調整助成金(国の制度) |
|---|---|
| 実施主体 | 厚生労働省(申請の受付・審査は和歌山労働局/ハローワーク橋本) |
| 対象者 | 雇用保険の適用事業主で、事業活動の縮小(売上高や生産量などの最近3か月間の月平均値が前年同期比10%以上減少)を余儀なくされた事業主 |
| 補助率・上限 | 休業手当等の2/3(中小企業)/1/2(大企業)。1人1日あたり9,110円が上限(令和8年8月1日以降)。教育訓練を行った場合は1人1日1,200円の加算(中小企業・大企業共通/令和8年8月1日現在) |
| 申請期間 | 公募型ではなく通年。支給は対象期間の初日から1年間に最大100日分、3年間で最大150日分 |
| 窓口 | 和歌山労働局 職業安定部職業対策課(073-488-1161)/ハローワーク橋本(0736-33-8609) |
| 公式URL | 厚生労働省「雇用調整助成金」 |
雇用調整助成金とは|国の制度を橋本市の事業者が使う形
雇調金は国(厚生労働省)の制度で、橋本市独自の補助金ではありません。その代わり、窓口が和歌山県内にあります。
雇用調整助成金は、景気の変動や取引先の事情といった「経済上の理由」で事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、解雇ではなく休業・教育訓練・出向という形で雇用を維持した場合に、支払った休業手当等の一部を国が助成する仕組みです。財源は雇用保険であり、だからこそ雇用保険の適用事業主であることが前提になります。
ここで押さえておきたいのが「国・県・市」の役割の違いです。
- 国(厚生労働省)…制度の設計、助成率・上限額の決定。要領やガイドブックの公表
- 和歌山労働局・ハローワーク橋本…橋本市の事業者からの相談受付、計画届と支給申請の受付・審査
- 橋本市・橋本商工会議所…経営相談や市独自の支援策の案内。雇調金そのものの支給決定は行いません
つまり、「市役所に申請する補助金」ではなく「労働局に出す助成金」です。橋本市役所の窓口で雇調金の審査はできないため、問い合わせ先を間違えると出だしで時間を失います。
なお、休業手当そのものは雇調金とは別の話です。労働基準法上の休業手当の支払義務や、就業規則・労使の取り決めとの関係は、助成金とは別軸で確認が必要です。
対象になる橋本市の事業者|3つの入口要件
要件は「雇用保険」「売上の減少」「雇用量」の3点が入口です。
厚生労働省の公式ページでは、主な要件として次の内容が示されています。
1. 雇用保険の適用事業主であること
橋本市内に事業所があり、雇用保険の適用事業主であることが前提です。個人事業であっても、従業員を雇って雇用保険に加入していれば検討対象になります。一人親方・役員のみの会社など、雇用保険の被保険者がいない場合は対象外です。
2. 生産指標(売上高・生産量など)が前年同期比10%以上減少
公式ページの表現は「売上高又は生産量などの事業活動を示す指標について、その最近3か月間の月平均値が前年同期に比べて10%以上減少していること」です。単月ではなく「3か月の月平均」で見る点が、コロナ特例(一時期は最近1か月で判定)と大きく異なります。橋本市の事業者の場合、まずは月次の売上台帳や試算表を直近3か月分と前年同期分で並べるところからです。
3. 雇用量が増えていないこと
中小企業は「10%を超えてかつ4人以上」、その他の企業は「5%を超えてかつ6人以上」雇用量が増加していないことが要件とされています。事業を縮小しているのに人員が大きく増えている状態は想定されていない、ということです。
4. 過去に受給している場合はクーリング期間
公式ページには、前回の対象期間内の最後の判定基礎期間末日もしくは支給対象期末日(いずれか遅い日)の翌日から起算して1年を超えていることが示されています。コロナ期に受給した事業者も、再度の活用時はこの期間を確認してください。
上記は入口の要件です。このほかに労使間の取り決めに基づく休業であることなど、要領で定められた細かい条件があります。「要件を満たせば対象になりうる」制度であり、審査があります。自社が該当するかどうかの最終判断は、必ず厚生労働省のガイドブック・支給要領と和歌山労働局でご確認ください。
助成率と上限額|1人1日9,110円が上限(令和8年8月1日以降)
中小企業は休業手当等の2/3、1人1日あたりの上限は9,110円です。
| 区分 | 中小企業 | 大企業 |
|---|---|---|
| 休業・教育訓練の助成率 | 2/3 | 1/2 |
| 1人1日あたりの上限額 | 9,110円(令和8年8月1日以降) | |
| 教育訓練を行った場合の加算 | 1人1日1,200円 | 1人1日1,200円 |
| 支給日数の累計が30日に達した後 | 次の判定基礎期間から、その判定基礎期間の教育訓練実施率に応じて変動(10%未満=中小1/2・大企業1/4、10%以上20%未満=中小2/3・大企業1/2、20%以上=中小2/3・大企業1/2で加算1,800円) | |
| 支給限度日数 | 対象期間の初日から1年間に最大100日分、3年間で最大150日分 | |
上限額が「9,110円」になっている理由も押さえておくと混乱しません。雇調金の1人1日あたりの助成額は雇用保険の基本手当日額の最高額を上限としており、毎年8月1日の改定にあわせて変わります。厚生労働省の公表によると、令和8年8月1日から基本手当日額の最高額(45歳以上60歳未満)は8,870円から9,110円へ引き上げられました。
したがって、ネット上に残っている「8,870円」は令和8年7月31日までの金額です。申請前には必ず最新の金額を確認してください。計算のイメージは次のとおりです。
- 休業手当の支払額が1人1日9,000円の中小企業 → 9,000円×2/3=6,000円(上限内)
- 休業手当の支払額が1人1日15,000円の中小企業 → 15,000円×2/3=10,000円だが、上限9,110円まで
※実際の支給額は、賃金総額や所定労働日数などから算定する「平均賃金額」に基づいて計算されます。上の例は上限の考え方を示すための簡略なイメージであり、支給額の保証ではありません。

申請の流れ|橋本市での進め方を4ステップで
雇調金は「計画届→休業の実施→支給申請→審査・支給」という流れで進みます。
STEP1 要件の確認と資料の準備
直近3か月と前年同期の売上がわかる資料(売上台帳・試算表など)、雇用保険の適用事業所であることがわかる書類、労働者名簿、就業規則、賃金台帳、出勤簿などを手元にそろえます。ここが最も時間がかかる工程です。
STEP2 休業等実施計画届の提出
通常制度では、休業・教育訓練の内容を定めた「休業等実施計画届」を提出する手続きがあります。提出の期限は、「支給対象期間」中の休業等を開始する日の前日までです。ただし、対象期間について初めて届け出る場合は、休業等の初日の2週間前までを目途に提出することが求められています(雇用調整助成金ガイドブック・令和8年8月1日現在版)。事前に計画届の提出がなかった休業等は支給対象になりません。添付書類は制度改正で変わるため、最新のガイドブックと和歌山労働局でご確認ください。
STEP3 休業・教育訓練の実施と記録
届け出た内容どおりに休業や教育訓練を行い、出勤簿・休業の記録・教育訓練の実施記録・休業手当を含む賃金の支払記録を残します。記録が残っていない休業は、あとから助成の対象として証明できません。
STEP4 支給申請と審査
支給申請は「支給対象期間」ごとに行います。支給対象期間は、1つの判定基礎期間(原則として賃金締切期間)か、連続する2つまたは3つの判定基礎期間のいずれかを、計画届のたびに事業主が選べます。申請の期限は、支給対象期間の末日の翌日から2か月以内(ただし支給申請に係る休業手当または賃金の支払日以降)で、期限の末日が行政機関の休日にあたる場合は翌開庁日が締切です(雇用調整助成金ガイドブック・令和8年8月1日現在版)。審査がある制度のため、申請すれば必ず支給されるというものではありません。
橋本市の相談・申請窓口一覧
橋本市の事業者が実際に足を運ぶ先は、おもに次の4か所です。
| 窓口 | 役割 | 所在地・連絡先 |
|---|---|---|
| ハローワーク橋本 | 橋本市・伊都郡を管轄。雇調金の相談、書類の受付(取扱範囲は要確認) | 〒648-0072 橋本市東家5丁目2番2号 橋本地方合同庁舎1階/0736-33-8609 |
| 和歌山労働局 職業安定部職業対策課 | 雇用に係る助成金に関すること(制度の主管課) | 〒640-8581 和歌山市黒田二丁目3番3号 和歌山労働総合庁舎5階/073-488-1161 |
| 橋本商工会議所 | 経営相談、資金繰りや他の補助金との組み合わせの相談 | 橋本市市脇1丁目3番18号/0736-32-0004 |
| 橋本市 経済推進部 産業振興課 | 市の産業支援策の案内、よろず支援拠点の出張無料相談会の案内 | 〒648-8585 橋本市東家1丁目1番1号/0736-33-1247 |
手続きそのものの可否や必要書類は和歌山労働局(窓口案内)とハローワーク橋本が担当です。一方、「休業中に何をして売上を立て直すか」という経営側の相談は、橋本商工会議所や和歌山県よろず支援拠点(073-433-3100)が使えます。よろず支援拠点は橋本商工会議所を会場に出張無料相談会を定期開催しているため、日程は橋本市の公式ページで確認してください。
経営相談・補助金の全般的な窓口としては橋本商工会議所の公式サイトもあわせてご覧ください。
よくある落とし穴5つ
相談の前に、次の5点を社内で確認しておくと手戻りが減ります。
- 単月の落ち込みで判断してしまう…判定は「最近3か月の月平均」と前年同期の比較です。先月だけ悪かったケースは要件に届かないことがあります。
- 休ませてから相談に行く…通常制度には計画届の手続きがあります。休業を決めた段階で、まず窓口に連絡を。
- 古い金額で見積もる…上限額は毎年8月1日に改定されます。令和8年8月1日以降は9,110円です。
- 記録が残っていない…出勤簿、休業の記録、賃金台帳、教育訓練の記録がそろっていないと、あとから証明できません。
- 市役所に申請しようとする…雇調金の受付・審査は労働局・ハローワークです。橋本市役所は市独自の支援策の窓口です。
補助金・助成金の情報は、代行業者やまとめサイトに古い金額が残りがちです。金額・要件・期限は必ず厚生労働省と和歌山労働局の原文で確認してください。本記事の金額・要件・期限は、厚生労働省の公式ページと雇用調整助成金ガイドブック(令和8年8月1日現在版)で照合しています。確認できなかった項目(必要書類の正式な一覧、ハローワーク橋本での受付範囲)は断定していません。

よくある質問
橋本市の事業者から出やすい疑問を5つ整理します。
橋本市の事業者も国の雇用調整助成金を使えますか?
はい。雇用調整助成金は国(厚生労働省)の制度で、全国の雇用保険の適用事業主が対象です。橋本市内の事業所については、ハローワーク橋本(橋本市・伊都郡を管轄)および和歌山労働局が窓口となります。ただし売上の減少などの要件を満たし、審査を通る必要があります。
1人1日あたりいくらまで助成されますか?
公式ページでは1人1日あたり9,110円が上限とされています(令和8年8月1日以降)。これは雇用保険の基本手当日額の最高額に連動しており、毎年8月1日に改定されます。助成率は中小企業が2/3、大企業が1/2で、教育訓練を実施した場合は1人1日1,200円の加算があります(中小企業・大企業共通)。なお、支給日数の累計が30日に達した後は、教育訓練実施率に応じて助成率と加算額が変わります。
何日分まで受け取れますか?
休業・教育訓練の場合、対象期間の初日から1年間に最大100日分、3年間で最大150日分とされています。また、過去に受給している場合は、前回の対象期間の末日の翌日から1年を超えていることなどのクーリング期間の要件があります。
個人事業主や小規模な店舗でも対象になりますか?
従業員を雇用し、雇用保険の適用事業主となっていれば、業種や規模にかかわらず検討対象です。一方、雇用保険の被保険者がいない事業(家族従業員のみなど)は対象になりません。判断に迷う場合は、雇用保険の加入状況を確認のうえハローワーク橋本にご相談ください。
橋本市独自の雇用維持の補助金はありますか?
橋本市では産業振興や創業、販路開拓に関する独自の支援策が用意されています。雇用維持に関する市独自制度の有無と最新の内容は、橋本市 経済推進部 産業振興課(0736-33-1247)または市公式サイトでご確認ください。
・雇用調整助成金は国の制度で、橋本市の窓口はハローワーク橋本と和歌山労働局
・入口要件は「雇用保険の適用事業主」「最近3か月の月平均売上が前年同期比10%以上減」「雇用量が増えていない」
・助成率は中小企業2/3、1人1日の上限は9,110円(令和8年8月1日以降)。1年100日・3年150日が限度
・通常制度には休業等実施計画届の手続きがあるため、休業を決めた段階で窓口に連絡する
・金額・期限・必要書類は厚生労働省と和歌山労働局の原文で最終確認を
この記事は2026年10月10日(JST)時点で公開されていた厚生労働省・和歌山労働局・橋本市の公式情報に基づいて作成しています。制度は改正される場合があるため、申請前に必ず各公式サイトおよび窓口で最新情報をご確認ください。
