この記事は2026年10月10日時点の公式情報に基づきます。
「和歌山県橋本市で、今の商売とは別の柱を立てたい。設備も建物も必要だから、新事業進出補助金が使えないだろうか」——そう考えて検索した方に、最初にお伝えしなければならない事実があります。
この補助金は、金額の大きさで一気に知られた制度です。顧問税理士や取引先、橋本商工会議所の相談で名前を聞き、「うちの新工場・新店舗にも使えるのでは」と期待した事業者は和歌山県内にも少なくありません。何しろ機械設備だけでなく建物費まで補助対象で、上限は従業員規模によって数千万円単位。借入だけで賄うつもりだった投資計画が、根本から変わる規模です。
ところが、中小企業新事業進出補助金の公募は、第4回(令和8年3月27日〜6月19日)をもって終了しました。事務局サイトにも「本補助金の公募は終了しております」と明記され、最終回の採択結果は2026年9月30日に公表されています。つまり今、この名称の補助金に新規申請できる回はありません。
ただし、ここで諦めるのは早すぎます。この制度の中身は、「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」の新事業進出枠として引き継がれており、補助上限額の区分も申請要件もほぼ同じ形で残っています。この記事では、橋本市の事業者の立場で、(1)新事業進出補助金の金額と要件、(2)公募終了までの経過、(3)後継枠で何が変わらないか、(4)橋本市産業振興課・橋本商工会議所など地元の窓口、(5)今日から着手できる準備を、公式サイトの原文に沿って整理します。読み終えたら、次の公募を待つ間に何を仕込むべきかが決まります。
誰が:既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業へ進出する中小企業等(橋本市内に事業所がある製造・加工・小売・飲食・宿泊なども対象になり得ます)
いくら:補助率1/2(特例適用時2/3)、補助下限750万円・上限2,500万〜7,000万円(大幅賃上げ特例時は3,000万〜9,000万円)
いつまで:中小企業新事業進出補助金は令和8年6月19日で公募終了。後継の「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」は第1回公募を実施中で、応募締切は令和8年10月30日(金)18:00(厳守)(公式サイトの公募スケジュール)
どこへ:申請は国の事務局(中小企業基盤整備機構)へ電子申請。事業計画の相談は橋本商工会議所(0736-32-0004)や和歌山県よろず支援拠点、市の制度は橋本市産業振興課(0736-33-1247)

和歌山県橋本市の事業者から見た「新事業進出補助金」とは
新事業進出補助金は、国(中小企業基盤整備機構)が実施した全国制度で、橋本市に独自版はありません。
正式名称は中小企業新事業進出補助金(中小企業新事業進出促進補助金)です。令和7年度(2025年度)に新たに始まった制度で、公式サイトでは「既存事業とは異なる、新市場・高付加価値事業への進出にかかる設備投資等を支援し、企業の成長・拡大を図る」ものと説明されています。実施主体は独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)で、申請の受付・審査は国の事務局が一括して行います。
ここが橋本市の事業者にとって重要な点です。市役所や商工会議所が交付する補助金ではないため、申請先は橋本市ではなく国の事務局。一方で、事業計画の磨き込みや必要書類の確認は地元の支援機関で相談できます。「どこに出すか」と「どこで相談するか」が別である、という構造を最初に押さえてください。
対象は和歌山県内であれば業種を限定した制度ではなく、新市場への進出という中身が問われます。たとえば市内で部品加工を続けてきた事業者が自社ブランド製品の製造に乗り出す、小売業が食品加工に参入する——といった「既存事業と異なる事業」への投資が想定される制度設計です。逆に言えば、既存事業の設備を新しくするだけの投資は、この制度の趣旨とは合いません。
| 制度名 | 中小企業新事業進出補助金(中小企業新事業進出促進補助金) |
|---|---|
| 実施主体 | 独立行政法人中小企業基盤整備機構(事務局が公募・審査を実施) |
| 対象者 | 既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業へ進出する中小企業等(橋本市内の事業者も全国制度として対象) |
| 補助率・上限 | 補助率1/2(地域別最低賃金引上げ特例適用時2/3)/補助下限750万円・上限2,500万〜7,000万円(大幅賃上げ特例時3,000万〜9,000万円) |
| 申請期間 | 第4回公募(令和8年3月27日〜6月19日18:00)で公募終了。最終回の採択結果は2026年9月30日公表 |
| 窓口 | 申請:国の事務局(電子申請)/相談:橋本商工会議所 0736-32-0004、和歌山県よろず支援拠点、橋本市産業振興課 0736-33-1247 |
| 公式URL | 中小企業新事業進出補助金 事務局 |
補助率・補助上限額と対象経費(従業員規模別の表)
補助率は1/2が基本で、補助上限額は従業員数で4区分に分かれていました。
公式サイト「はじめての方」ページに掲載された区分は次のとおりです。かっこ内は大幅な賃上げを行う特例を適用した場合の上限額です。
| 従業員数 | 補助上限額(賃上げ特例適用時) |
|---|---|
| 20人以下 | 2,500万円(3,000万円) |
| 21〜50人 | 4,000万円(5,000万円) |
| 51〜100人 | 5,500万円(7,000万円) |
| 101人以上 | 7,000万円(9,000万円) |
| 補助下限:750万円/補助率:1/2(地域別最低賃金引上げ特例の適用時は2/3) | |
補助対象経費は機械装置・システム構築費、建物費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、広告宣伝・販売促進費です。注目すべきは建物費が並んでいること。新事業用の建物の建築・改修が視野に入るため、橋本市で工場棟や新店舗の整備を伴う進出計画と相性がよい制度でした。
ただし、補助下限が750万円という点は見落とせません。補助率1/2で下限750万円ということは、おおむね1,500万円規模以上の投資計画が前提になります。小規模な販促や少額の機械導入であれば、別の制度(小規模事業者持続化補助金や橋本市独自の補助金)を検討するほうが現実的です。
申請要件:付加価値額・賃上げ・最低賃金の3点セット
金額が大きい分、事業計画で約束する数値目標も重い制度でした。
公式サイトに示された主な要件は次の3つです。いずれも「申請時に満たしていればよい」ものではなく、補助事業終了後の計画期間を通じて達成を求められる目標として設定されています。
- 付加価値額:年平均成長率4.0%以上の増加
- 給与支給総額:一人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上の増加
- 事業場内最低賃金:毎年、事業実施場所の都道府県における地域別最低賃金より30円以上高い水準
賃金の要件は、和歌山県の地域別最低賃金を基準に判定されます。和歌山県の最低賃金額は毎年改定されるため、申請前に和歌山労働局の公表額を確認し、30円上乗せした水準を自社の賃金表で払い続けられるかを試算してください。賃上げ要件と事業場内最賃水準要件については、公式サイトに目標値未達の場合、補助金返還義務ありと明記されています。要件は審査の前提であり、満たせば採択される仕組みではありません(審査があります)。
公募は令和8年6月で終了——第1回から第4回までの経過
結論として、中小企業新事業進出補助金は第4回で公募を終えています。
経過を整理すると、第1回公募は令和7年4月22日〜令和7年7月15日(締切延長後)、第2回公募は令和7年9月12日〜令和7年12月19日18:00でした。第3回公募は令和7年12月23日〜令和8年3月26日18:00、続く第4回公募は令和8年3月27日〜6月19日18:00で、これが最終回となりました。事務局サイトでは第4回の採択結果が2026年9月30日に公開され、トップページには公募終了の案内が掲載されています。中小企業庁のミラサポplusでも「2026年6月をもって公募を終了しました」と告知されています。
したがって、2026年10月現在、「中小企業新事業進出補助金」として受付中の公募回はありません。ただし後継の「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」は第1回公募を受付中で、応募締切は令和8年10月30日(金)18:00(厳守)です。まとめサイトや代行業者のページに受付中のように見える表示が残っていることがありますが、必ず事務局の公式サイトで現況を確認してください。
令和9年度(2027年度)に同名の補助金が復活するかどうかは、国の予算編成次第であり、現時点では未発表です。この記事でも「準備中」として扱い、確認できない見通しは書きません。

後継は「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」の新事業進出枠
名前は変わりましたが、新事業進出を支援する枠組みは中小機構の新しい補助金に引き継がれています。
公式サイトによると、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は「技術的革新性のある製品・サービスの開発や既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出、海外市場開拓」を支援する制度で、補助対象事業は次の3つの枠に分かれています。
| 枠 | 内容 | 補助上限額(賃上げ特例時) |
|---|---|---|
| 革新的新製品・サービス枠 | 革新的な新製品・新サービスの開発 | 1〜5人:750万円(850万円)/6〜20人:1,000万円(1,250万円)/21〜50人:1,500万円(2,500万円)/51人以上:2,500万円(3,500万円) |
| 新事業進出枠 | 既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出 | 1〜20人:2,500万円(3,000万円)/21〜50人:4,000万円(5,000万円)/51〜100人:5,500万円(7,000万円)/101人以上:7,000万円(9,000万円) |
| グローバル枠 | 海外市場開拓に向けた国内輸出体制の強化 | 新事業進出枠と同じ区分 |
注目は新事業進出枠の上限額が、旧・新事業進出補助金と同じ区分で設定されている点です。補助率は革新的新製品・サービス枠が中小企業1/2(小規模企業等2/3)、新事業進出枠は1/2が基本とされています。申請要件も付加価値額の年平均成長率4.0%以上、一人当たり給与支給総額3.5%以上、事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上という骨格が維持され、次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画の策定も挙げられています。
対象経費では建物費が新事業進出枠・グローバル枠のみ対象と整理されました。橋本市で建物を伴う新事業を構想しているなら、狙うべきは新事業進出枠です。公式サイトの公募スケジュールによると、第1回公募は公募開始が令和8年6月29日、申請受付開始が令和8年9月30日、応募締切が令和8年10月30日(金)18:00厳守、採択結果発表が令和9年1月(予定)です(当初の申請受付8月31日・応募締切9月30日から変更されています)。加点項目などの細部は第1回公募要領(2026年9月28日変更版)の原文で確認してください。
橋本市・和歌山県の窓口と、今から進める3ステップ
後継枠の第1回公募は令和8年10月30日(金)18:00が応募締切です。今回に間に合わせる場合も、次回公募に備える場合も、先に進めるべきことは同じです。
ステップ1:数値の現状把握。付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)と一人当たり給与支給総額を直近決算で算出し、年平均4.0%・3.5%の伸びを何で実現するのかを言葉にします。ここが曖昧な計画は、金額の大きい補助金では通用しません。
ステップ2:相談先を押さえる。橋本市内の事業者であれば、橋本商工会議所(〒648-0073 橋本市市脇1-3-18/TEL 0736-32-0004)が経営相談・資金調達の相談窓口です。無料で専門家に相談できる和歌山県よろず支援拠点も、補助金の案内から事業計画の見直し、資金繰りまで対応しています。市の制度や立地支援については橋本市経済推進部産業振興課(TEL 0736-33-1247/〒648-8585 橋本市東家1丁目1番1号)へ。
ステップ3:小さく使える制度を並行して確保する。橋本市には市独自の新商品開発補助金・販路開拓等支援補助金(旧・産業振興基金事業補助金)があります。市外で開催される展示会等への出展を支援する販路開拓事業は補助率2分の1以内・補助限度額20万円、募集期間は令和8年4月6日〜令和9年1月29日、補助事業期間は交付決定日から令和9年2月26日まで、年度あたり1回限りです。対象経費は出展料、展示装飾費、委託費、借料、旅費、通信運搬費、広報費、雑役務費(消費税を除く)。ECサイト構築事業の区分もあります。新事業の試作品を展示会で反応を見る、という使い方なら国の大型補助金を待つ間にも動けます。要件の詳細は橋本市の公式ページ(募集要領)でご確認ください。
よくある落とし穴
金額が大きい制度ほど、入口の思い違いで時間を失います。
- 「受付中」の情報を鵜呑みにする:中小企業新事業進出補助金は公募終了済みです。代行業者やまとめサイトの古い表示ではなく事務局サイトで確認を。
- 既存事業の設備更新を「新事業」と呼んでしまう:支援対象は既存事業と異なる新市場への進出です。何が新市場なのかを説明できない計画は趣旨に合いません。
- 補助下限750万円を見落とす:小規模な投資は対象外になります。規模に合った制度を選び直すほうが早いです。
- 賃上げ要件を単年度で考える:給与や最低賃金の水準は計画期間を通じて求められます。資金計画と人件費計画は同時に作ってください。
- 相談の予約が後回し:公募要領の公開から締切までの期間は長くありません。商工会議所やよろず支援拠点の相談枠は早めに押さえるのが安全です。
よくある質問
橋本市独自の「新事業進出補助金」はありますか?
ありません。新事業進出補助金は国(中小企業基盤整備機構)の全国制度で、橋本市が交付する同名の制度は確認できませんでした。橋本市独自の事業者向け補助金としては、新商品開発補助金・販路開拓等支援補助金(令和8年度)があり、メニューごとに補助率・補助限度額が異なります。新商品開発・改良事業は補助率3分の2以内・補助限度額50万〜100万円、販路開拓事業とECサイト構築事業は補助率2分の1以内・補助限度額20万円です。
公募が終了した今、申請する方法はありますか?
中小企業新事業進出補助金としての新規申請はできません。第4回公募(令和8年3月27日〜6月19日18:00)が最終回で、採択結果は2026年9月30日に公表されています。後継の「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」は第1回公募を実施中で、応募締切は令和8年10月30日(金)18:00(厳守)です(公式サイトの公募スケジュール)。新事業進出枠の公募要領をご確認のうえ、申請をご検討ください。
新事業のための建物の建築費も対象になりますか?
旧・新事業進出補助金では補助対象経費に建物費が含まれていました。後継の補助金では、建物費は新事業進出枠とグローバル枠のみ対象と整理されています。対象となる建物費の範囲や条件は枠ごとに異なるため、必ず公募要領の原文で確認してください。
従業員5人の小規模な事業者でも使えますか?
従業員20人以下の区分が設けられているため規模自体は対象になり得ますが、補助下限が750万円のため、おおむね1,500万円規模以上の投資計画が前提になります。小規模な取り組みであれば、小規模事業者持続化補助金や橋本市の補助金を橋本商工会議所で相談するのが現実的です。
橋本市の事業者はどこに相談すればよいですか?
事業計画や資金調達は橋本商工会議所(TEL 0736-32-0004)、無料の専門家相談は和歌山県よろず支援拠点、市の補助金や立地支援は橋本市経済推進部産業振興課(TEL 0736-33-1247)が窓口です。制度の内容や締切は各窓口・公式サイトの最新情報でご確認ください。
中小企業新事業進出補助金は補助率1/2・上限最大7,000万円(特例時9,000万円)・補助下限750万円の大型制度でしたが、令和8年6月19日で公募終了。中身は「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」の新事業進出枠に引き継がれ、上限額の区分と3つの要件(付加価値額4.0%、給与総額3.5%、最低賃金+30円)はほぼ同じです。和歌山県橋本市の事業者は、後継枠の第1回公募(応募締切:令和8年10月30日18:00)に間に合うかを確かめ、決算数値の整理と相談予約を急ぐのが最短ルートです。要件を満たしても審査があるため、計画の中身が勝負になります。
この記事は2026年10月10日時点で各公式サイトを確認して作成しました。補助率・上限額・公募期間・窓口は変更される場合がありますので、申請前に必ず事務局および橋本市の公式サイト(公募要領・募集要領)でご確認ください。

