この記事は2026年10月20日(JST)時点の公式情報に基づきます。
「新宮市で農業を始めたい。調べたら農業次世代人材投資資金という制度が出てきた」——そこまで来た方は、たいてい次の壁にぶつかります。
新宮市のサイトを検索しても、その名前のページが出てこないのです。しかも検索結果では交付額が「年150万円」と「年165万円」で混在していて、窓口が市なのか県なのかも分かりません。
結論から言うと、この制度は令和4年度に再編され、現在は「新規就農者育成総合対策」の〈就農準備資金〉と〈経営開始資金〉という2本になっています。それでも農林水産省と和歌山県の公式ページには旧称が括弧書きで残っているため、検索すると出てくるのです。
この記事では、①旧称と現行制度の対応、②2つの資金の金額と要件、③受付期間と申請先(資金ごとに県と市で違います)、④和歌山県の併用制度3本、⑤新宮市・東牟婁の窓口、⑥返還規定という落とし穴を、公式サイトの原文から整理します。
なお令和8年度の就農準備資金の受付は、確認日時点の県の掲載では令和8年10月26日(月)までです。日付を見ながら読み進めてください。
- 誰が:就農準備資金は就農予定時の年齢が原則50歳未満(和歌山県の要件)、経営開始資金は独立・自営就農時の年齢が49歳以下(国の交付要件)で、研修または認定新規就農者の要件を満たす方
- いくら:就農準備資金は年165万円を最長2年、経営開始資金は年165万円を最長3年(いずれも審査あり)
- いつまで:就農準備資金の令和8年度受付は令和8年10月5日(月)〜10月26日(月)(県の掲載)。経営開始資金の受付時期は市にご確認ください
- どこへ:就農準備資金は和歌山県、経営開始資金は新宮市 農林水産課・農業委員会(0735-23-3351)
新宮市の農業次世代人材投資資金|基本情報まとめ
資金の種類によって実施主体と申請先が変わる点が、この制度のいちばん分かりにくいところです。
| 制度名 | 新規就農者育成総合対策(就農準備資金・経営開始資金) ※旧称「農業次世代人材投資資金」(準備型・経営開始型) |
|---|---|
| 実施主体 | 農林水産省(国)/和歌山県(就農準備資金の交付)/新宮市(経営開始資金の交付・青年等就農計画の認定) |
| 対象者 | 【就農準備資金】就農予定時の年齢が原則50歳未満で、県が認める研修機関等で研修を受ける方 【経営開始資金】独立・自営就農時の年齢が49歳以下(国の交付要件)で、青年等就農計画の認定を受けた認定新規就農者 |
| 補助率・上限 | 補助率ではなく定額交付。月13.75万円=年間最大165万円(準備資金は最長2年、経営開始資金は最長3年) |
| 申請期間 | 【就農準備資金・令和8年度】令和8年10月5日(月)〜10月26日(月)17時必着。持参は受付期間の月〜金(祝日を除く)で、受付時間は県ページが9時30分〜17時、県の手続き資料PDFが9時〜17時と食い違うため提出先にご確認ください 【経営開始資金】新宮市の窓口にご確認ください |
| 窓口 | 新宮市 農林水産課・農業委員会 0735-23-3351(〒647-8555 新宮市春日1番1号)/東牟婁振興局 農林水産振興部 農業水産振興課 0735-22-8551(〒647-8551 新宮市緑ヶ丘2丁目4-8)/和歌山県 経営支援課 担い手育成班 073-441-2932 |
| 公式URL | 和歌山県「就農準備資金・経営開始資金」/農林水産省「新規就農者育成総合対策」/新宮市 部署一覧 |
就農前の研修期間に受けるお金は県の受付、就農後に受けるお金は新宮市の受付です。ここを間違えると、受付期間を1年単位で逃します。

「農業次世代人材投資資金」は今どうなった?名称の対応関係
旧称は再編で現行2資金に分かれ、国と和歌山県のページには旧称が括弧書きで残っています。
農林水産省のページでは、就農前の資金が就農準備資金、経営開始直後の資金が経営開始資金という名称で説明されています。ただし同ページのページ名自体は「就農準備資金・経営開始資金(農業次世代人材投資資金)」で、国も旧称を括弧書きで併記しています。制度の根拠である新規就農者育成総合対策実施要綱は令和4年3月29日制定(令和8年4月7日最終改正)で、再編はこの令和4年度からです。
一方和歌山県「就農準備資金・経営開始資金」には、小見出しとして「経営開始資金(農業次世代人材投資資金(経営開始型))」という表記が残っています。対応関係は次のとおりです。
- 農業次世代人材投資資金〈準備型〉 → 就農準備資金(研修中・最長2年)
- 農業次世代人材投資資金〈経営開始型〉 → 経営開始資金(就農後・最長3年)
古い記事には年150万円と書かれたものがあり、自治体の独自表記で150万円と案内しているページも存在します。国と和歌山県の現行ページで確認できる額は、いずれも月13.75万円=年間165万円です。古い金額で資金計画を立てないようご注意ください。
就農準備資金:年165万円を最長2年、申請先は和歌山県
研修中の生活を支える資金で、新宮市で就農したい方も交付を受けるのは県からです。
県のページでは「一人あたり年間165万円を最長2年間交付する事業」と説明されています。要件は原文で次のとおりです。
- 就農予定時の年齢が原則50歳未満
- 県が認める研修機関等で研修を受けること
- 研修時間がおおむね1年かつ1,200時間以上
- 常勤の雇用契約を締結していないこと
- 前年の世帯所得が600万円以下
- 傷害保険に加入すること
- 生活費の確保を目的とした他の給付等を受けていないこと
見落としやすいのが「常勤の雇用契約を締結していないこと」。働きながら週末だけ研修という形では要件を満たさない可能性があります。所得も本人ではなく世帯で判定されます。
令和8年度の受付は令和8年10月5日(月)から10月26日(月)17時必着です。直接持参する場合は受付期間の月曜日から金曜日(祝日を除く)で、受付時間は県ページが9時30分から17時、県の手続き資料PDFが9時から17時と食い違っているため、提出前に提出先へご確認ください。提出先は、県設置の研修機関で研修する場合はその研修機関、承認を受けた先進農家等の場合は研修地を管轄する振興局の農業水産振興課で、新宮市なら東牟婁振興局が管轄です。
受付期間は年度ごとに変わります。上記は確認日(2026年10月20日)時点で掲載されていた令和8年度の日程です。研修先の承認手続きが先に必要になるため、和歌山県の公式ページで最新の日程と様式を早めにご確認ください。
経営開始資金:年165万円を最長3年、窓口は新宮市農林水産課
こちらは就農後の資金で、交付主体が国の資料で市町村と明記されています。新宮市で就農する方の窓口は新宮市です。
農林水産省のページでは「月13.75万円(年間165万円)を交付します」とされ、交付期間は最長3年。対象は青年等就農計画の認定を受けた認定新規就農者で、年齢は「次世代を担う農業者となることを志向する49歳以下の者」と表現されています。
和歌山県のページでは、経営開始資金の欄は「認定新規就農者に対して審査の上、資金を交付」「就農地の市町村へお問い合わせ下さい」という案内にとどまり、金額や受付期間はありません。ここから先は市の窓口が情報源です。
重要なのは、青年等就農計画を認定するのも市町村という点。農林水産省の認定新規就農者制度のページでは、市町村が計画を審査・認定し、対象は原則18歳以上45歳未満の青年、および特定の知識・技能を有する65歳未満の中高年齢者とされています。経営開始資金を受けるには、先に新宮市から認定新規就農者の認定を受ける必要があるという順番を押さえてください。
なお新宮市は地域計画を公表しています。市のページでは「農業者等の話し合いに基づきおおむね10年後を見据え、地域農業においての担い手、将来の農地利用や地域における農業の将来の在り方を明確化し…将来方針を定めた計画」と説明され、令和7年3月31日に「三佐木地区の一部」が公表されました。就農予定地が地域計画の区域にあたるかは、農地の確保とも関わるため初回相談で確認しておくと話が早く進みます。
補助率・上限額の一覧と、和歌山県の併用制度3本
国の2資金に加え、和歌山県には就農者向けの支援が別にあります。
| 制度名 | 対象・年齢 | 金額(上限) | 窓口 |
|---|---|---|---|
| 就農準備資金 | 研修中/就農予定時 原則50歳未満 | 年165万円(月13.75万円)を最長2年 | 和歌山県(研修機関・東牟婁振興局) |
| 経営開始資金 | 認定新規就農者/独立・自営就農時 49歳以下(国の交付要件) | 年165万円(月13.75万円)を最長3年 | 新宮市 農林水産課 |
| 新規就農者チャレンジ事業(県) | 新規就農者/就農時65歳未満 | 農業用機械・施設の導入を支援(補助額は県公式に記載がなく要確認) | 和歌山県 経営支援課 073-441-2932 |
| 経営継承応援事業(県) | Uターンによる親からの経営継承等で就農する方/認定新規就農者・就農時61歳以下 | 就農後の資金を50万円交付 | 和歌山県 経営支援課 073-441-2932 |
| 産地受入研修支援事業(県) | 「産地提案型就農モデルプラン」に基づく研修を受け、就農準備資金の交付を受ける者/就農時49歳以下 | 年間最大30万円を交付 | 和歌山県 経営支援課 073-441-2932 |
注目点は2つです。1つは年齢上限が制度ごとに違うこと。国の2資金は就農準備資金が原則50歳未満(和歌山県の表記)・経営開始資金が49歳以下ですが、県が所管する新規就農者チャレンジ事業は就農時65歳未満、経営継承応援事業は就農時61歳以下です。50歳を超えて国の資金が使えない方でも、県の事業に該当する可能性があります。
2つ目は産地受入研修支援事業の対象が「就農準備資金の交付を受ける者」と明記されている点。準備資金とセットで検討する制度で、年間最大30万円が加わります。研修を受ける方は一緒に相談してください。
機械・施設の導入には国の経営発展支援事業もありますが、農林水産省のページには経営開始資金と併用する場合「経営発展支援事業の補助対象事業費の上限額が500万円となります」と記載されています。設備投資を同時に考える方はこの上限を前提に計画してください。

申請の流れと新宮市・東牟婁の相談窓口
制度が県と市に分かれるため、相談先も分かれます。「今日どこに電話するか」をはっきりさせます。
研修から始める方は、①窓口で相談し研修先を決める → ②研修先・研修計画の承認を受ける → ③就農準備資金を申請(県の受付期間内) → ④研修と研修状況の報告 → ⑤就農、という流れです。就農後に経営開始資金を使う場合は、⑥新宮市に青年等就農計画を提出して認定を受ける → ⑦経営開始資金を申請、と続きます。
- 新宮市 農林水産課・農業委員会:0735-23-3351/〒647-8555 新宮市春日1番1号。担当業務は「農林水産業の振興、農林・漁港工事、農業委員会など」。経営開始資金・計画の認定・農地はここ
- 東牟婁振興局 農林水産振興部 農業水産振興課:0735-22-8551/FAX 0735-21-9642/〒647-8551 新宮市緑ヶ丘2丁目4-8。就農準備資金の提出先で、新宮市内にあるので訪ねやすい窓口
- 和歌山県 就農支援センター:0738-23-3488/〒644-0024 御坊市塩屋町南塩屋724。県の研修機関
- 和歌山県 経営支援課 担い手育成班:073-441-2932。県の就農支援策全般の問い合わせ先
新宮市の公式サイトを確認すると、農林水産課・農業委員会のお知らせ一覧(公式表示は23件。一覧1ページ目に表示される20件を確認)に新規就農・就農準備資金・経営開始資金・認定新規就農者の記事はなく、市の「各種支援制度のご案内」の一覧にも就農向けの市独自制度は見当たりませんでした。ただしページが無いことは制度が無いことを意味しません。経営開始資金は市町村が交付する国の制度なので、掲載がなくても農林水産課に直接ご確認ください。
よくある落とし穴:返還規定・金額の混在・順番
つまずきやすいのは金額よりも「あとで返さなくてよいか」です。返還規定が細かく定められています。
和歌山県が公開する就農準備資金の手続き資料では、一部返還となるのは「交付対象者の要件を満たさなくなった場合、研修を途中で中止又は休止した場合、国や県が実施する報告の徴収や立ち入り調査に協力しない場合」で、交付済み資金の対象期間中なら残りの月数分を月単位で返還するとされています。研修状況報告を行わなかった場合も、その対象期間分が返還対象です。
全部返還となる場合として、同資料には次の規定が並びます。
- 現地確認等により、適切な研修を行っていないと県が判断した場合
- 研修終了後、1年以内に原則50歳未満で定められた就農をしなかった場合
- 独立・自営就農した者が就農後(親元就農後5年以内に独立・自営就農する場合は経営開始後)5年以内に農業経営改善計画又は青年等就農計画の認定を受けなかった場合
- 独立を前提に雇用就農した者が、定められたことをしなかった場合
- 親元就農した者が確約したことを実施しなかった場合
- 交付期間の1.5倍若しくは2年間のいずれか長い期間継続しない場合、又はその間の農業の従事日数が一定(例:年間150日かつおおむね年間1,500時間)未満である場合
- 交付期間の1.5倍又は2年間のいずれか長い期間以内で、就農状況報告等を定められた期間内に行わなかった場合
- 虚偽の申請等を行った場合
特に重いのが継続就農の条件です。2年間の交付を受けたなら3年間の継続が求められる計算になります。165万円は「もらえるお金」ではなく「就農を続けることを条件に預かるお金」に近いと考え、家族と相談のうえで申請してください。
残り2つの落とし穴は、前述の金額の混在(年150万円は旧制度・他市の独自表記)と順番です。経営開始資金は認定新規就農者が前提なので、青年等就農計画の認定が先。就農してから慌てて申請すると、認定の審査期間の分だけ遅れます。

よくある質問
新宮市に「農業次世代人材投資資金」という名前の制度はまだありますか?
その名称の制度は令和4年度に新規就農者育成総合対策へ再編され、現在は就農準備資金・経営開始資金という名称です。ただし和歌山県の公式ページには「経営開始資金(農業次世代人材投資資金(経営開始型))」の形で旧称が残っています。窓口では現行名で伝えると話が通りやすくなります。
新宮市で経営開始資金を申請する窓口はどこですか?
交付主体は農林水産省の資料で市町村とされ、新宮市では農林水産課・農業委員会(0735-23-3351/新宮市春日1番1号)が担当部署です。県のページでも「就農地の市町村へお問い合わせ下さい」と案内されています。受付期間や様式は市の窓口でご確認ください。
年齢は何歳までが対象ですか?
就農準備資金は県のページで「就農予定時の年齢が原則50歳未満」、経営開始資金は農林水産省の資料で「49歳以下の者」とされています。県が所管する新規就農者チャレンジ事業は就農時65歳未満、経営継承応援事業は就農時61歳以下が対象なので、国の年齢を超える方は経営支援課担い手育成班(073-441-2932)にご相談ください。
交付された資金を返還しなければならないのはどんなときですか?
就農準備資金では、研修の中止・休止や要件を満たさなくなった場合は残り期間分の一部返還、研修終了後1年以内に就農しなかった場合・交付期間の1.5倍若しくは2年間のいずれか長い期間継続しなかった場合・報告を期間内に行わなかった場合・虚偽申請の場合などは全部返還とされています。詳細は県の手続き資料でご確認ください。
新宮市独自の上乗せ補助はありますか?
確認日時点で、市公式サイトの農林水産課・農業委員会のお知らせ一覧および「各種支援制度のご案内」に、新規就農者向けの市独自制度の掲載は見当たりませんでした。掲載がないことと制度がないことは別ですので、新宮市農林水産課(0735-23-3351)にご確認ください。
- 旧称「農業次世代人材投資資金」は現在の就農準備資金・経営開始資金。和歌山県のページには旧称が残っている
- 金額は国・県の現行ページでいずれも年間165万円(月13.75万円)。準備資金は最長2年、経営開始資金は最長3年(審査あり)
- 準備資金は和歌山県が受付(令和8年度は10月5日〜10月26日17時必着の掲載)、経営開始資金は新宮市 農林水産課(0735-23-3351)
- 経営開始資金は青年等就農計画の認定(新宮市)が先。県の併用制度は年齢上限が61〜65歳まで広い
- 返還規定があるため、継続就農の期間条件を必ず確認する
この記事は2026年10月20日(JST)時点で、新宮市・和歌山県・農林水産省の公式サイトに掲載されていた内容を確認して作成しています。金額・受付期間・要件は年度途中でも変更されることがあります。申請前に必ず各公式サイトと窓口で最新情報をご確認ください。
