この記事は2026年10月30日時点の岡山県公式サイトおよび厚生労働省の公開情報に基づきます。
「見守りセンサーを入れたい。介護記録ソフトも紙運用から切り替えたい。でも、岡山県の補助金は結局いくら出て、いつ申し込むのか」——岡山県内の特養・老健・グループホーム・有料老人ホーム・デイ・訪問介護の施設長や事務長から、いちばん多いのがこの質問です。
岡山県の制度がわかりにくい理由はハッキリしています。事業名に「介護ロボット」も「ICT」も入っておらず、県のページ本体には補助率も上限額も一行も書かれていないからです。金額は添付された実施要綱とチラシ、そして要件の細部はQ&Aに分散しています。
結論を先に3行でお伝えします。
- 岡山県の制度は「岡山県介護テクノロジー定着支援事業」1本。介護ロボット・見守りセンサー・介護記録ソフト・インカムがすべてここに入ります。
- 補助率は4/5、基準額は1機器30万円または100万円、介護ソフトは職員数別に100〜250万円、パッケージ型は1事業所あたり上限1,000万円です。
- 令和8年度の応募は2026年7月8日〜8月18日で終了済み。次に動くのは令和9年度の公募で、鍵は「研修受講と相談を先に済ませること」です。
この記事では、県の実施要綱・公募要領・交付要綱・Q&A・チラシの原文から、対象事業所、機器区分別の基準額、申請から入金までの実際の日付、そして岡山県だけの落とし穴(複数事業所申請の解禁、限度台数の扱い、他補助金との併用)までを整理します。最後に、岡山市・倉敷市の事業所がどちらの窓口を見ればよいかという、まとめサイトにはほぼ書かれていない論点にも触れます。

結論:岡山県の介護テクノロジー補助金は「定着支援事業」1本、補助率4/5
岡山県の介護テクノロジー導入支援は単一の補助金に統合されており、窓口は県庁ではなく委託先の総合相談センターです。
岡山県が令和8年度に実施したのは「岡山県介護テクノロジー定着支援事業」です。移乗支援ロボットから見守りセンサー、介護記録ソフト、インカムまでが1本の事業に束ねられており、令和8年度に「介護ロボット導入支援事業」「ICT導入支援事業」という名前の別メニューは公募されていません(公募要領は審査項目として「岡山県が過去に実施した『介護ロボット導入支援事業』『ICT導入支援事業』等の採択の有無」を挙げており、過年度にはこれらの名称の事業がありました)。そのため探すときは、チラシが案内しているとおり「岡山県介護テクノロジー定着支援事業」というキーワードで検索するのが確実です。
もう一つの特徴は、公募・相談・提出先がすべて「岡山県介護生産性向上総合相談センター」であることです。これは県が公益財団法人介護労働安定センター岡山支部に委託して設置した窓口で、申請書類はこのセンターへメールで提出します。制度の大枠をまだ押さえていない方は、先に介護テクノロジー導入支援事業の全体像を読んでから本記事に戻ると、岡山県固有の部分が見分けやすくなります。
| 事業名 | 岡山県介護テクノロジー定着支援事業(令和8年度) |
|---|---|
| 実施主体 | 岡山県(長寿社会課)/公募・相談・提出窓口は岡山県介護生産性向上総合相談センター(公益財団法人介護労働安定センター岡山支部に委託) |
| 対象施設 | 岡山県内で介護保険法に基づくサービスを提供するすべてのサービス事業所、および老人福祉法に基づく養護老人ホーム・軽費老人ホーム |
| 対象機器 | 介護ロボット(移乗支援・入浴支援・排泄支援・移動支援・見守り・コミュニケーション・介護業務支援)、見守りセンサー、介護記録ソフト、バックオフィスソフト、インカム、介護ソフト導入に伴うタブレット・Wi-Fi環境整備など |
| 補助率・上限 | 補助率4/5。基準額は1機器(1台)あたり100万円または30万円、介護ソフト・バックオフィスソフトは職員数別100〜250万円(介護ソフトの定着促進支援を併せて活用する場合は115〜265万円)、パッケージ型導入支援は1事業所あたり1,000万円、一体的に行う業務改善支援は1事業所あたり48万円(すべて令和8年度) |
| 申請期間 | 令和8年度は2026年7月8日(水)〜8月18日(火)で受付終了 |
| 窓口 | 岡山県介護生産性向上総合相談センター(〒700-0904 岡山市北区柳町1-1-1 住友生命岡山ビル15階/公益財団法人介護労働安定センター岡山支部内)TEL 086-221-4565(県公式・公募要領の表記は「平日午前9時から午後5時まで」。センター公式サイトの受付時間表記は平日8:30〜17:00) |
| 公式URL | 令和8年度岡山県介護テクノロジー定着支援事業について(岡山県長寿社会課) |
制度の全体像:国の基金事業と岡山県の「定着支援」という名前の意味
この補助金は岡山県が単独で作った制度ではなく、国の介護テクノロジー導入支援事業を都道府県が実施する枠組みの中にあります。
国は介護現場の生産性向上を進めるため、介護ロボットやICT機器の導入費用を都道府県経由で補助する仕組みを用意しています。ただし岡山県の実施要綱は、この事業を「介護保険施行事業費を活用して行う」ものと定めています。他県で見かける地域医療介護総合確保基金の「介護テクノロジー導入支援事業」とは別の枠で、実施要綱6②は基金の同事業や経済産業省の「IT導入補助金」等によって助成されているものを本事業の補助対象外としています。県のQ&Aは随所で「国のQ&A 問○のとおり」と国の整理を引いており、補助率4/5や機器区分別の基準額といった骨格は全国でほぼ共通で、要件の上乗せ部分に県の個性が出ます。制度の縦の構造は介護テクノロジー補助金の完全ガイドで通して解説しています。
岡山県の事業名にある「定着支援」という言葉は飾りではありません。岡山県は機器を買う費用だけを見るのではなく、研修受講・業務改善計画の作成・総合相談センターへの相談という「導入後に使い続ける準備」を応募要件そのものに組み込んでいます。実施要綱では補助対象事業を(1)介護テクノロジー等の導入支援、(2)介護テクノロジー等のパッケージ型導入支援、(3)導入支援と一体的に行う業務改善支援の3区分に整理しており、(3)が併走することが前提の設計です。Q&Aは(3)だけを単独で実施することはできず、(1)または(2)を同時に実施することが補助要件だと明記しています。
国側の考え方や全国の相談窓口は、厚生労働省の介護分野におけるICTの利用促進と介護生産性向上総合相談センターの相談窓口一覧で確認できます。後者には岡山県の相談センターの連絡先と公式サイトも掲載されています。
対象になる事業所と対象機器:訪問介護・居宅介護支援も入る
対象の広さが岡山県の強みで、入所施設だけでなく在宅系・居宅介護支援まで含まれます。
県の公式ページと実施要綱が示す対象は「岡山県内で介護保険法に基づくサービスを提供するすべてのサービス事業所」および「老人福祉法に基づく養護老人ホーム・軽費老人ホーム」です。「すべてのサービス事業所」という書き方のため、特養・老健・グループホーム・有料老人ホームに加えて、訪問介護・通所介護・居宅介護支援といった在宅系の事業所も対象に含まれます。自分の事業所が入るかどうかで迷ったら、指定を受けているサービス種別を手元に用意して総合相談センターに確認するのが最短です。
対象機器はTAIS掲載が判断の軸になる
介護ロボットの対象判定で使われるのがTAIS(公益財団法人テクノエイド協会が運営する福祉用具情報システム。機器が登録・分類されている公的データベース)です。国は介護テクノロジーの重点分野を9分野16項目に整理しており、移乗支援(装着型・非装着型)、移動支援、排泄支援、見守り・コミュニケーション、入浴支援、介護業務支援などがここに並びます。TAISの登録内容はテクノエイド協会のサイトから確認できます。
岡山県のQ&Aは、この判定について具体的な線引きを示しています。ナースコールは「介護業務支援」としてTAISに掲載されているもの、または見守り機器一体型のものが対象とされ、骨伝導ヘッドセットはTAISの「介護テクノロジー」に登録されていることが必要(音声入力が標準機能の介護ソフトを使う場合は除く)とされています。そしてQ&Aは「対象機器かどうかの最終判断は県が行う」としており、判断に迷う機器は申請前に総合相談センターへ相談するよう明記しています。機器選定の前段として、見守りセンサーの比較・選び方と介護記録ソフトの比較で候補を絞っておくと、相談の内容が具体的になります。
補助対象外として明記されている経費
Q&Aは対象外の経費も個別に挙げています。保険料、機器の修理費用、タブレット用ケース等の付属品(ただし本体と一体不可分のもの=それがないと本体が利用できないものは対象)、福祉用具貸与事業所が貸与用に購入する用具は対象外です。通信費も対象外で、Wi-Fi工事やPC・タブレット端末の単体購入だけでは認められません。「機器本体に付随して買うものは全部まとめて通る」という思い込みは、岡山県では実績報告の段階で崩れます。見積書を作る時点で、本体・ソフト・環境整備と、対象外になりうる付属品を分けて並べておくことをおすすめします。
補助率と基準額の一覧:1機器30万円か100万円かで総額が変わる
補助率は全区分で4/5、分かれ目は機器がどの区分に分類されるかです。
基準額は「必ずもらえる額」ではなく上限の目安です。実際の補助金額は、補助対象経費に補助率4/5を掛けた額と基準額を比べて少ない方になります。
| 区分 | 補助率 | 基準額(上限の目安) |
|---|---|---|
| 移乗支援(装着型・非装着型)、入浴支援、「介護業務支援」に掲載されているインカム、バックオフィスソフト以外の「その他」機器 | 4/5 | 1機器あたり100万円 |
| 上記以外の機器(見守り・コミュニケーション、移動支援、排泄支援、「介護業務支援」のうちインカム・介護ソフト以外のナースコール等) | 4/5 | 1機器あたり30万円 |
| 介護ソフト・バックオフィスソフト(職員数1〜10名) | 4/5 | 100万円(介護ソフトの定着促進支援=タブレット端末購入・Wi-Fi環境整備等を併せて活用する場合は115万円/実施要綱 表2 第3欄) |
| 介護ソフト・バックオフィスソフト(職員数11〜20名) | 4/5 | 150万円(同165万円) |
| 介護ソフト・バックオフィスソフト(職員数21〜30名) | 4/5 | 200万円(同215万円) |
| 介護ソフト・バックオフィスソフト(職員数31名以上) | 4/5 | 250万円(同265万円) |
| 介護ソフト(職員数で区分できない契約方式の場合) | 4/5 | 一律250万円(同265万円) |
| パッケージ型導入支援 | 4/5 | 1事業所あたり1,000万円(実施要綱 表1の表記は「400万円以上、1000万円以下」。介護ソフトの定着促進費用を併せて対象とする場合は上限に15万円上乗せ) |
| 導入支援と一体的に行う業務改善支援 | 4/5 | 1事業所あたり48万円 |
| ケアプランデータ連携の加算 | - | 居宅サービス事業所・居宅介護支援事業所(介護予防を含む)が令和8年度中に5事業所以上とデータ連携する場合、介護ソフトの基準額に5万円加算(令和8年度以前からの連携先も事業所数に含めて可) |
見守りセンサーは「上記以外の機器」に入るため1機器30万円区分です。移乗支援・入浴支援・インカムの100万円区分と、見守りの30万円区分では基準額が3倍以上違うので、どの機器をどの区分で申請するかの整理が総額を決めます。なお、介護ソフトの職員数は直接処遇職員だけを数えるのではなく、ICT活用が見込まれる管理者や生活相談員等も含めた数で数えるとQ&Aが説明しています。実施要綱は申請時点の常勤換算方法で算出した人数(小数点以下は四捨五入)としつつ、訪問介護員・居宅介護支援専門員や管理者・生活相談員等については実人数(常勤・非常勤の別は問わない)としても差し支えないとしています。区分の判定を1人分間違えると基準額が50万円動くため、ここは慎重に数えてください。
パッケージ型導入支援の「400万円以上」という表記の読み方
実施要綱はパッケージ型導入支援の金額を「400万円以上1,000万円以下」と書いています。これを見て「400万円に届かないと申請できない」と誤解する例が多いのですが、県が別途公開した基準額の説明資料とQ&Aは明確に否定しています。Q&Aは「400万円は補助申請額の下限を示すものではなく、400万円未満でも申請できる」と明記しています。同資料の計算例では、対象経費2,000万円なら算出額1,600万円に対し上限で1,000万円、対象経費600万円なら480万円、対象経費200万円なら160万円が補助金額になると示されています。
パッケージ型は「介護業務支援」に分類される機器と、それと連動効果が高い機器を組み合わせて導入する形が前提です。単発の機器購入では使えない区分なので、法人として複数機器を同時に入れる計画があるときに検討する枠と理解しておくとよいでしょう。

申請の流れと令和8年度の実際の日程:着手は交付決定の後
岡山県は応募から入金までの時期を公表しており、逆算すると研修受講は年度前半に済ませる必要があります。
令和8年度の流れは次のとおりでした。応募受付が2026年7月8日(水)〜8月18日(火)、採択審査が9月中旬、採択結果の通知が9月下旬、交付申請の提出が10月中旬、交付決定の通知が10月下旬、機器導入と実績報告書の提出が2月下旬まで、補助金の入金は3月下旬の予定です(いずれもチラシの日程表とQ&Aの記載。スケジュールは予定であり変更の可能性があるとされています)。実績報告の期限は交付要綱第7条で「事業完了後1か月以内(中止・廃止の承認を受けた場合は当該承認通知を受理した日から1か月以内)又は当該年度末のいずれか早い日まで」と定められています。Q&Aは年度内に納品・事業報告が完了しない場合は補助金の交付を受けられないことも示しています。一般的な申請実務の手順は補助金申請の流れ・必要書類で確認できます。
交付決定前の契約・発注は対象外になる
ここは岡山県で最も事故が起きやすい箇所です。県のQ&Aは「交付決定前の事前着手は一切認めていない。契約・支払・導入を行った場合は補助対象外」と明記しています。一方で公募要領には「事業の着手は、採択通知を受けた後とすること」という記載があります。採択結果の通知は9月下旬、交付決定の通知は10月下旬の予定なので、この2つの文言の間には約1か月のズレがあり、安全側に立つなら交付決定通知を受けてから発注するのが確実です。両者の正確な解釈は、申請前に総合相談センターへ確認してください。
締切から逆算した準備スケジュール
令和9年度(2027年度)の公募日程は本記事の確認時点で公表されていません。ただし令和8年度と同じ時期に動くと仮定して逆算すると、やるべきことの順番が見えます。
| 時期の目安 | やること | 備考 |
|---|---|---|
| 公募開始の3〜4か月前(例:年度初め) | 総合相談センターのセミナー日程を確認し、研修受講を予約 | 研修・相談は当該年度に実施し、研修は原則として導入前の受講が要件。複数事業所で申請する場合は各事業所の担当者が受講 |
| 公募開始の2か月前 | 総合相談センターへ相談。機器が対象かどうかの確認 | 相談は応募要件(事業所ごとが原則/法人の担当者がまとめて行うことも差し支えない)。対象機器の最終判断は県 |
| 公募開始の1〜2か月前 | 業務改善計画書の作成、機器の見積取得、SECURITY ACTIONの宣言 | 対象外経費(保険料・修理費・付属品)を見積から切り分ける |
| 公募期間(令和8年度は7月上旬〜8月中旬) | 業務改善計画書・事業計画書等をメールで提出。複数事業所は法人で一括 | 提出先は岡山県介護生産性向上総合相談センター |
| 採択結果通知(令和8年度は9月下旬) | 交付申請書類の準備(提出は10月中旬) | この段階ではまだ発注しない判断が安全 |
| 交付決定通知(令和8年度は10月下旬) | 契約・発注・導入・支払 | 交付決定前の契約・支払・導入は対象外 |
| 年度内(チラシの日程表では機器導入・実績報告書の提出とも2月下旬まで) | 納品完了、実績報告(事業完了後1か月以内または当該年度末のいずれか早い日) | 入金は3月下旬の予定 |
| 補助を受けた翌年度から3年間 | 効果報告の提出 | 実施要綱7(2)により県に対して報告(業務改善計画書の提出先は総合相談センター) |
岡山県特有の注意点:複数事業所の解禁・限度台数・併用の扱い
岡山県には他県と明確に違う運用が5つあり、知らずに申請すると総額や採否に直接響きます。
1. 令和8年度から複数事業所の申請が可能になった
Q&Aは「令和7年度は1法人1事業所のみだったが、今年度(令和8年度)は複数事業所の申請が可能」と説明しています。提出は法人でとりまとめて一括で行い(応募書類の作成は事業所単位)、研修は各事業所の担当者が受講する必要があります。相談は個々の事業所ごとに行うのが原則ですが、法人の担当者が全事業所分をまとめて相談することは差し支えないとされています。法人本部でまとめて申請するなら、事業所ごとに研修受講者を立てる段取りが前提になるため、公募が始まってから動き出すと間に合いません。さらにQ&Aは、令和8年度は「同一目的で複数機種は1機種まで」という制限がなくなり、複数機器での申請ができるとも記しています。
2. 限度台数の上限は明示されていない
多くの県は「定員×1/10」のような限度台数の計算式を要綱に置いています。岡山県の実施要綱・公募要領には限度台数の計算式が見当たらず、公募要領6は審査項目として「事業所の入所定員数を踏まえた導入機器台数の適正性」を挙げ、Q&Aも導入機器数の制限についてこの項目を示して「不採択や導入機器台数の調整を行う場合があります」と述べています。つまり台数に機械的な上限はないものの、定員に対して台数が多すぎると審査で落ちうる、という運用です。台数の根拠を業務改善計画書の中で説明できる状態にしておくことが、岡山県では特に効きます。
3. 他の補助金との併用は「同一機器種別」で制限される
Q&Aは「同一機器種別において、他の補助金の交付を受けた場合(予定を含む。)は対象外」としています。実施要綱6②とチラシは、地域医療介護総合確保基金で実施する「介護テクノロジー導入支援事業」や経済産業省が実施している「IT導入補助金」等、他の補助金等によって助成されているものを本事業の補助対象外と定めています。「予定を含む」という言い方がポイントで、申請中・申請予定の他制度があるなら、同じ機器種別での二重申請は避ける整理が必要です。市町村の独自補助や他の国庫補助を検討している場合は、機器種別ごとにどちらで出すかを先に決めてください。
4. リース・クラウド・保守費は「主となる機器と一緒か」で変わる
Q&Aによると、レンタル費用は補助対象になります。クラウドサービス利用料と保守費は、主となる機器と併せて導入する場合に限って補助対象とされています。また補助対象額は「今年度の支払金額」で見るとされ、使用権の期間ではなく支払いが発生する年度で判定されます。複数年契約のクラウド型介護ソフトを一括前払いするか年度ごとに払うかで、補助対象になる金額が変わるということです。契約形態を決める前に、支払スケジュールを含めて相談しておくと手戻りがありません。
5. 要件は機器購入以外の部分が重い
実施要綱が示す要件は、委員会の設置(短期入所生活介護等16のサービス種別で必須)、ケアプランデータ連携システムの利用(令和8年度内の利用開始が必須)、LIFE(科学的介護情報システム。介護の実施内容や状態の情報を国に提出しフィードバックを受ける仕組み)への情報収集協力、SECURITY ACTION(中小企業が情報セキュリティ対策に取り組むことを自己宣言する制度)の一つ星または二つ星の宣言、業務改善による収支改善時の職員への賃金還元と周知、そして業務改善支援の受講です。Q&Aは令和8年度からケアプランデータ連携の「実績」が要件化されたとしており、導入後に利用を始める場合でも年度内に開始する必要があります。研修は岡山県介護生産性向上総合相談センターが実施する「生産性向上スタートアップセミナー」、または厚生労働省委託事業による「生産性向上ビギナーセミナー」「生産性向上フォローアップセミナー」もしくは「デジタル中核人材養成研修」の受講で要件を満たし、研修・相談は当該年度に受講・実施すること、研修は原則として導入前に受講することとされています。
岡山市・倉敷市の事業所はどちらの窓口を見ればよいか
岡山県には政令指定都市の岡山市と中核市の倉敷市があります。地域密着型サービスや介護予防・日常生活支援総合事業の指定・指導は市が担うため、「市にも別の補助金があるのでは」と考えるのが自然です。
この点について県の公式情報は、対象を「岡山県内で介護保険法に基づくサービスを提供するすべてのサービス事業所」と定めており、岡山市内・倉敷市内の事業所を除くという記載はありません。つまり岡山市・倉敷市の事業所も、この県事業の窓口である岡山県介護生産性向上総合相談センターに応募する形になります。一方で、両市が独自に介護テクノロジー導入向けの補助を実施しているかどうかは、本記事の確認時点で市公式サイトから現年度の情報を確認できませんでした。市の制度を併用候補に入れたい場合は、岡山市・倉敷市の高齢者福祉/介護保険の担当課(倉敷市は健康福祉部の健康長寿課・介護保険課)に直接確認してください。前述のとおり同一機器種別での併用は制限されるため、どちらで申請するかは早めに決める論点になります。
隣県と比べたいときは広島県の介護補助金、兵庫県の介護補助金、鳥取県の介護補助金が参考になります。法人が県外にも事業所を持つ場合は、大阪府の介護補助金や京都府の介護補助金もあわせて確認すると、同じ機器でも県ごとに基準額や要件が違うことが見えてきます。

よくある質問
岡山県の介護施設から実際に寄せられる疑問のうち、公式情報で答えられるものをまとめました。
岡山県の介護テクノロジー補助金はいつ申請できますか?
令和8年度(2026年度)の応募期間は2026年7月8日(水)〜8月18日(火)で、すでに受付終了です。採択結果の通知は9月下旬、交付決定の通知は10月下旬が目安とされていました。令和9年度(2027年度)の公募時期は本記事の確認時点で未公表のため、岡山県長寿社会課のページと総合相談センターの案内で最新情報をご確認ください。令和8年度と同様の時期になると仮定するなら、研修受講と相談は春から初夏に済ませておくのが現実的です。
補助率4/5で上限1,000万円は、どの事業所でも使えますか?
1,000万円はパッケージ型導入支援の上限であり、単発の機器購入の上限ではありません。通常の導入支援は1機器あたり100万円または30万円、介護ソフトは職員数別に100〜250万円が基準額です。また基準額は「満額が支給される額」ではなく上限の目安で、補助対象経費×4/5と基準額の少ない方が交付額になり、審査もあります。要件を満たしていても採択が保証されるものではなく、令和8年度の県の予算額は3億600万円で、これを超える応募があった場合は過去の補助実績や導入機器の内容等を踏まえて総合的に審査され、補助要件を満たしていても補助額の減額や不採択となることがあると公募要領・Q&Aに記載されています。
交付決定前に機器を発注してしまったらどうなりますか?
県のQ&Aは「交付決定前の事前着手は一切認めていない。契約・支払・導入を行った場合は補助対象外」と明記しています。年度内に納品を終える必要がある一方で、発注を急いで交付決定前に契約すると補助の対象から外れるため、交付決定通知の日付を起点にスケジュールを引いてください。公募要領には「採択通知を受けた後」という表記もあり、判断に迷う場合は必ず総合相談センターに事前確認することをおすすめします。
同一法人で複数の事業所から申請できますか?
Q&Aによると、令和7年度は1法人1事業所のみでしたが、令和8年度は複数事業所での申請が可能になりました。提出は法人でとりまとめて一括で行います。ただし研修は各事業所の担当者がそれぞれ受講する必要があり、相談も個々の事業所ごとに行うのが原則です(法人の担当者が全事業所分をまとめて相談することは差し支えないとされています)。本部でまとめて提出するとしても、応募書類の作成と研修は事業所単位で手配する前提です。
見守りセンサーと介護記録ソフトを同時に入れたい場合、基準額はどう計算しますか?
見守り機器は「移乗支援・入浴支援・インカム等」以外の区分に入るため1機器あたり30万円、介護記録ソフトは職員数別の基準額(100〜250万円)で計算します。タブレットやWi-Fi環境整備を併せて行う場合は実施要綱 表2 第3欄により15万円の上乗せ(100万円なら115万円)、居宅サービス事業所・居宅介護支援事業所が令和8年度中にケアプランデータ連携を5事業所以上と行う場合は5万円の加算があります。公募要領は見守り機器・介護記録ソフト・インカムの導入を「集中的に支援」する方針を示しており、この組み合わせは岡山県が力を入れている領域です。正確な区分と金額は、岡山県の実施要綱および公募要領でご確認ください。
まとめ:岡山県は「研修と相談を先に済ませた法人」が有利な制度
岡山県の介護テクノロジー補助金は、金額よりも準備の順番で差がつく設計になっています。
整理すると、岡山県介護テクノロジー定着支援事業は補助率4/5、基準額は1機器30万円または100万円、介護ソフトは職員数別100〜250万円、パッケージ型は1事業所1,000万円が上限です。対象は県内のすべての介護保険サービス事業所と養護・軽費老人ホームで、訪問介護や居宅介護支援も含まれます。
そして岡山県で押さえるべき独自ポイントは、令和8年度から複数事業所の申請が可能になったこと、限度台数の計算式はなく定員との適正性で審査されること、同一機器種別での他補助金との併用が制限されること、交付決定前の着手は一切認められないこと、そして研修受講・相談・業務改善計画が応募要件そのものだということです。機器の見積を集めるより先に、総合相談センターのセミナー日程を押さえることが、岡山県では最初の一手になります。要件を満たせば必ず採択されるものではなく審査がある点、最新の金額・日程は必ず公募要領と窓口で確認いただく点を、あらためて申し添えます。
出典(すべて公式)
- 令和8年度岡山県介護テクノロジー定着支援事業について(岡山県長寿社会課)
- 岡山県介護テクノロジー定着支援事業 実施要綱(PDF)
- 岡山県介護テクノロジー定着支援事業 公募要領(PDF)
- 岡山県介護テクノロジー定着支援事業費補助金 交付要綱(PDF)
- 岡山県介護テクノロジー定着支援事業 チラシ(PDF)
- 岡山県介護テクノロジー定着支援事業 Q&A(PDF)
- パッケージ型導入支援事業の基準額について(PDF)
- 岡山県介護生産性向上総合相談センター(公式サイト)
- (参考)介護テクノロジー定着支援事業 国のQ&A(PDF)
- 厚生労働省・経済産業省 ロボット技術の介護利用における重点分野の改訂について(令和6年6月改訂・9分野16項目)(PDF)
- 厚生労働省 介護生産性向上総合相談センター 相談窓口一覧
- 厚生労働省 介護分野におけるICTの利用促進
- 公益財団法人介護労働安定センター 岡山支部
- 公益財団法人テクノエイド協会(TAIS)
この記事は2026年10月30日時点の公式情報に基づきます。制度の金額・日程・要件は変更される場合があるため、申請前に岡山県長寿社会課および岡山県介護生産性向上総合相談センターの最新情報をご確認ください。
