この記事は2026年10月14日時点の公式情報に基づきます。
「店を息子に継がせたいが、厨房の設備更新にお金がかかる」「後継者がいないので第三者に事業を譲りたいが、仲介会社の費用が心配」。御坊市で事業を続けてこられた方なら、一度はこうした悩みを抱えたことがあるのではないでしょうか。
事業承継は「いつか考える」と後回しにしやすい一方で、設備投資や専門家費用は承継のタイミングで一気に発生します。そこで知っておきたいのが、国の「事業承継・引継ぎ補助金」(現在の名称は「事業承継・M&A補助金」)です。
結論を先に3行でまとめます。
いくら:事業承継促進枠は補助率2/3または1/2・上限800万円(賃上げで1,000万円)。専門家活用枠は上限600万円+DD費用200万円など。
いつまで・どこへ:16次公募は2026年11月6日(金)17:00締切。Jグランツで事務局へ電子申請。相談は和歌山県事業承継・引継ぎ支援センターと御坊商工会議所へ。
この記事では、御坊市の事業者が「自分は対象か」「どの枠で、いくらまで」「申請の一歩目はどこか」を今日決められるよう、事務局・中小企業庁・県・市の公式情報だけを基に整理します。最後には、締切直前に多い落とし穴もまとめました。
| 制度名 | 事業承継・M&A補助金(旧称:事業承継・引継ぎ補助金)16次公募 |
|---|---|
| 実施主体 | 中小企業庁(中小企業生産性革命推進事業)/事業承継・M&A補助金事務局 |
| 対象者 | 事業承継(親族内・従業員)やM&Aを予定・実施する中小企業者・個人事業主。御坊市内の事業者も対象 |
| 補助率・上限 | 事業承継促進枠:2/3または1/2・上限800万円(賃上げ要件達成で1,000万円)/専門家活用枠:上限600万円(DD実施で+200万円)/PMI推進枠:上限150万円または800〜1,000万円/廃業・再チャレンジ枠:上限300万円 |
| 申請期間 | 令和8年度(2026年度)16次公募:2026年10月2日(金)〜11月6日(金)17:00 |
| 窓口 | 申請:Jグランツ(事務局)/相談:和歌山県事業承継・引継ぎ支援センター 073-499-5221、御坊商工会議所 0738-22-1008、御坊市産業振興課 0738-23-5510 |
| 公式URL | 事業承継・M&A補助金事務局(令和7年度補正) |

御坊市の事業承継・引継ぎ補助金は国の制度、現名称は「事業承継・M&A補助金」
御坊市の事業者が使う「事業承継・引継ぎ補助金」は国の制度で、現在は「事業承継・M&A補助金」の名称で公募されています。
「事業承継・引継ぎ補助金」は中小企業庁の中小企業生産性革命推進事業の一つです。事務局サイトの公募回別一覧では、令和5年度(2023年度)補正予算分の10次公募までが「事業承継・引継ぎ補助金」の名称で、令和6年度(2024年度)補正予算分の11次公募以降が「事業承継・M&A補助金」として案内されています。検索で旧名称を見かけても、申請先は同じ事務局サイトです。
令和8年度(2026年度)に公募されているのは令和7年度補正予算分で、14次(2026年2月27日〜4月3日)、15次(6月19日〜7月24日)、そして現在受付中の16次(10月2日〜11月6日)と、おおむね3〜4か月ごとに公募が組まれています。
御坊市独自の事業承継補助金はあるのでしょうか。御坊市産業振興課のページに掲載されている支援制度は、勤労者生活資金貸付、中小企業信用保証料補給、小規模事業者経営改善資金等利子補給の3つで、事業承継に特化した市独自の補助金・上乗せは確認できませんでした(2026年10月14日時点)。したがって御坊市の事業者は、国の本補助金を「御坊で使う」という形になります。
和歌山県も県独自の補助金ではなく、県商工振興課の事業承継サポートページで本補助金、無料の事業承継計画策定支援、法人版・個人版の事業承継税制、事業承継融資制度を案内しています。
御坊市の事業者が使える4つの枠と対象者
本補助金には4つの枠があり、承継の形(親族・従業員への承継か、M&Aか)で使う枠が決まります。
事業承継促進枠:親族・従業員に継がせる人向け
5年以内に親族内承継や従業員承継を予定している中小企業者が対象です。16次公募では、申請締切日から5年後の2031年11月5日までに承継を実施予定であることが条件とされています。設備投資や店舗・事務所の改修など、承継を機に行う投資に使えます。
個人事業主も対象ですが、公募要領では青色申告者であり、確定申告書Bと所得税青色申告決算書の写しを提出できることが要件です。白色申告の方は対象外となる点にご注意ください。
専門家活用枠:M&Aで譲り受ける・譲り渡す人向け
M&Aで経営資源を譲り受ける買い手支援類型(Ⅰ型)と、譲り渡す売り手支援類型(Ⅱ型)があります。FA(ファイナンシャル・アドバイザー)や仲介業者への手数料、DD(デューデリジェンス=買収前の調査)費用、表明保証保険料などが対象です。令和8年度(2026年度)の15次公募からは、小規模事業者が譲り渡す場合向けの小規模売り手支援類型も加わっています。
PMI推進枠:M&A後の統合作業向け
PMI(M&A後の経営統合作業)に取り組む買い手側が対象で、専門家費用を補助するPMI専門家活用類型と、統合に伴う設備投資を補助する事業統合投資類型に分かれます。
廃業・再チャレンジ枠:既存事業をたたんで再出発する人向け
廃業に伴う費用(廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費など)を補助する枠で、中小企業庁の資料では上記3つの枠と併用できるとされています。
対象となる「中小企業者」の範囲は、公募要領で業種別に定められています。
| 業種 | 中小企業者の範囲(いずれか) | 小規模事業者等(補助率2/3の対象) |
|---|---|---|
| 製造業その他 | 資本金3億円以下または従業員300人以下 | 従業員20人以下 |
| 卸売業 | 資本金1億円以下または従業員100人以下 | 従業員5人以下 |
| 小売業 | 資本金5千万円以下または従業員50人以下 | 従業員5人以下 |
| サービス業 | 資本金5千万円以下または従業員100人以下 | 従業員5人以下(宿泊業・娯楽業は20人以下) |
御坊市内の小売店・飲食店・理美容・建設・製造の小規模事業者は、多くがこの「小規模事業者等」に当てはまり、補助率2/3以内の対象になります(要件を満たす場合)。
補助率・上限額・対象経費を枠別に整理
補助率と上限額は枠ごとに異なり、御坊市の小規模事業者が事業承継促進枠を使う場合は2/3以内・上限800万円が基本です。
| 枠・類型 | 補助率 | 補助上限額 | 補助下限額 |
|---|---|---|---|
| 事業承継促進枠 | 小規模事業者等 2/3以内/その他 1/2以内 | 800万円(3%以上の賃上げ要件達成で1,000万円。超過部分は1/2以内)。廃業費併用時+300万円 | 100万円 |
| 専門家活用枠 買い手支援類型(Ⅰ型) | 2/3以内(100億企業特例は1,000万円以下の部分1/2、1,000万円超の部分1/3) | 600万円(DD実施時+200万円=800万円)。廃業費併用時+300万円。100億企業特例は2,000万円 | 50万円 |
| 専門家活用枠 売り手支援類型(Ⅱ型) | 1/2以内(物価高で営業利益率が低下、または直近決算が赤字の場合2/3以内) | 600万円(DD費用計上時+200万円=800万円)。廃業費併用時+300万円 | 50万円 |
| 専門家活用枠 小規模売り手支援類型(令和8年度15次公募で新設) | 2/3 | 450万円 | 公募要領でご確認ください |
| PMI推進枠 PMI専門家活用類型 | 1/2 | 150万円 | 公募要領でご確認ください |
| PMI推進枠 事業統合投資類型 | 1/2・2/3 | 800〜1,000万円 | 公募要領でご確認ください |
| 廃業・再チャレンジ枠 | 1/2・2/3 | 300万円 | 公募要領でご確認ください |
出典:中小企業庁「令和7年度補正予算 事業承継・M&A補助金」PR資料、事務局の16次公募要領(事業承継促進枠・専門家活用枠)。買い手支援類型の100億企業特例と小規模売り手支援類型の詳細は、16次公募 専門家活用枠の公募要領でご確認ください。
対象経費は枠で異なります。
- 事業承継促進枠(事業費):設備費、産業財産権等関連経費、謝金、旅費、外注費、委託費
- 専門家活用枠:謝金、旅費、外注費、委託費、システム利用料、保険料(表明保証保険など)
- 廃業費(併用時):廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、リースの解約費、土壌汚染調査費、移転・移設費
専門家活用枠で注意したいのは、FA・仲介業者への相談料・着手金・中間報酬・成功報酬は、中小企業庁の「M&A支援機関登録制度」に登録された業者が支援したものに限り対象になる点です。御坊で仲介会社に声をかける前に、登録の有無を確認しておきましょう。

16次公募の申請の流れと令和8年度のスケジュール
申請はJグランツによる電子申請のみで、GビズIDプライムの取得と、事業承継促進枠では認定経営革新等支援機関の確認書が必要です。
| 段階 | 16次公募の日程(事務局公表・予定含む) |
|---|---|
| 公募申請受付 | 2026年10月2日(金)〜2026年11月6日(金)17:00(厳守) |
| 採択発表 | 2026年12月下旬以降 順次(予定) |
| 交付決定 | 2027年1月下旬以降 順次(予定) |
| 補助事業実施期間 | 交付決定日〜2028年3月中旬(予定)。公募要領では交付決定から14か月以内 |
| 実績報告・補助金受取 | 実施期間終了後に実績報告、確定検査を経て精算払い |
申請までの手順は次の5ステップです。
- GビズIDプライムを取得する。公募要領では発行に1〜2週間、混雑時は3週間程度かかるとされています。10月14日時点で未取得なら、今日申請しても締切ぎりぎりになる可能性があります。
- どの枠で申請するか決める。親族・従業員承継なら事業承継促進枠、M&Aなら専門家活用枠です。和歌山県事業承継・引継ぎ支援センターや御坊商工会議所に相談しながら決めると迷いません。
- 事業承継計画・事業計画を作る。事業承継促進枠は、認定経営革新等支援機関(税理士・金融機関・商工会議所など国の認定を受けた支援者)から「事業承継計画の蓋然性」について確認を受けた計画書と確認書が必須です。
- Jグランツで申請する。16次公募のJグランツ申請フォーム項目定義書が事務局サイトで公開されています。
- 採択・交付決定後に事業を開始する。設備の発注や専門家との契約は交付決定後が原則です。
審査では加点項目が設けられています。16次公募要領(事業承継促進枠)に挙げられている13項目のうち、御坊市の小規模事業者でも取り組みやすいのは、経営力向上計画の認定、事業継続力強化計画の認定、2%以上の賃上げ、健康経営優良法人の認定、事業承継・引継ぎ支援センター等の支援を受けた事業承継計画書の策定などです。アトツギ甲子園への出場も加点対象です。
御坊市で相談できる窓口と電話番号
御坊市の事業者がまず相談すべきは、無料で承継全般を扱う和歌山県事業承継・引継ぎ支援センターと、経営指導員がいる御坊商工会議所です。
| 窓口 | 役割 | 連絡先・受付時間 |
|---|---|---|
| 和歌山県事業承継・引継ぎ支援センター | 国が設置する公的相談窓口。親族内承継・従業員承継・第三者承継(M&A)・後継者人材バンク・事業承継計画策定を支援。相談無料。御坊商工会議所で毎月出張相談会(原則第3火曜13:00〜16:00・予約制) | 和歌山市七番丁26-1 モンティグレ ダイワロイネットホテル和歌山3階/073-499-5221/9:00〜17:30(土日祝除く) |
| 御坊商工会議所 | 経営指導員による経営相談(無料・秘密厳守)。補助金申請の前段の計画づくりの相談先 | 御坊市薗350-28/0738-22-1008/平日8:30〜17:30 |
| 御坊市 産業振興課 | 市の商工担当課。信用保証料補給・利子補給など市制度の窓口 | 御坊市薗350番地2/0738-23-5510 |
| 和歌山県 商工振興課 | 県の事業承継サポートページを所管 | 073-441-2744 |
| 事業承継・M&A補助金事務局コールセンター | 制度・申請の問い合わせ | 事業承継促進枠 050-3192-6274/専門家活用・廃業再チャレンジ枠 050-3145-3812/PMI推進枠 050-3192-6228/9:30〜12:00、13:00〜17:00(土日祝除く) |
センターは御坊商工会議所で毎月「出張相談会」を開いています。センターの出張相談会ページによると、御坊会場は原則第3火曜日の13:00〜16:00・予約制で、令和8年度(2026年度)の残り日程は10月20日・11月17日・12月15日・2027年1月19日・2月16日・3月16日です(申込はセンター 073-499-5221)。なお、2026年10月6日付の「事業承継無料相談会」の案内は田辺市役所での開催(10月28日)です。最新の日程は和歌山県事業承継・引継ぎ支援センターの出張相談会ページでご確認ください。
御坊商工会議所のサービス案内には事業承継に特化した記載はありませんが、フッターからセンターへ案内しており、経営指導員への相談は無料です。御坊商工会議所のサービスで受付時間を確認のうえ、電話で相談日を決めるのが早道です。

申請前に知っておきたい落とし穴
締切、交付決定前の発注、賃上げ未達の返還の3点が、本補助金で特に多いつまずきです。
交付決定前に契約・発注した経費は原則対象外。採択(12月下旬以降)と交付決定(2027年1月下旬以降)は別の手続きです。
賃上げ要件で上限を1,000万円に引き上げた場合、3%以上の賃上げを達成できないと引き上げ分(最大200万円)の返還が求められます。
加点項目を申請して未達だった場合、報告から18か月間は中小企業庁所管の補助金で大幅に減点されます。確実に取り組めるものだけ申請しましょう。
さらに、事業承継促進枠は「5年以内に承継する計画」が前提です。公募要領では、承継予定時期に承継が完了していないと判明した場合、再度承継計画の提出を求めるとされています。承継の時期と後継者を具体的に決めてから申請してください。
補助下限額にもご注意ください。事業承継促進枠は100万円、専門家活用枠は50万円が下限です。補助率2/3の小規模事業者なら、事業承継促進枠では補助対象経費が150万円以上ないと下限に届かない計算になります。小さな設備更新だけなら、小規模事業者持続化補助金など別の制度の方が合う場合があります。
よくある質問
御坊市独自の事業承継補助金や上乗せはありますか?
2026年10月14日時点で、御坊市産業振興課のページに事業承継に特化した補助金・上乗せは掲載されていません。市の支援は信用保証料補給と利子補給が中心です。承継の資金が必要な場合は、国の本補助金に加えて、県が案内する事業承継融資制度や日本政策金融公庫の制度もあわせて検討してください。
個人事業主の飲食店ですが、息子に店を継がせる改装費は対象になりますか?
事業承継促進枠は個人事業主も対象で、店舗・事務所の改修や設備投資が補助対象経費に含まれます。ただし青色申告者であること、締切日から5年以内(2031年11月5日まで)に承継を実施する計画であること、認定経営革新等支援機関の確認書を得ることが要件です。従業員5人以下の小売・サービス業なら補助率は2/3以内です(審査あり)。
後継者がいないので第三者に譲りたい。どの枠を使いますか?
譲り渡す側は専門家活用枠の売り手支援類型(Ⅱ型)です。補助率は1/2以内で、物価高により営業利益率が低下している場合や直近決算が赤字の場合は2/3以内になります。FA・仲介費用はM&A支援機関登録制度に登録された業者のものに限られます。小規模事業者には、令和8年度15次公募で新設された小規模売り手支援類型(補助率2/3・上限450万円)もあります。相手探しの段階なら、まず和歌山県事業承継・引継ぎ支援センターの後継者人材バンクや第三者承継支援に無料で相談するのが先です。
16次を逃したら次の公募はありますか?
令和7年度補正予算分は14次・15次・16次と3〜4か月ごとに公募されてきましたが、17次以降の有無と日程は2026年10月14日時点で事務局から発表されていません。最新情報は事業承継・M&A補助金事務局のお知らせでご確認ください。
申請に認定経営革新等支援機関は必ず必要ですか?
事業承継促進枠は、事業承継計画の蓋然性について認定経営革新等支援機関の確認を受けた計画書が必須です。専門家活用枠の16次公募要領には、支援機関の確認書を求める記載は確認できませんでした。御坊の税理士や取引金融機関が認定を受けているかは、中小企業庁の認定経営革新等支援機関の検索で確認できます。
まとめ:御坊市で事業承継・引継ぎ補助金を使うなら11月6日までに動く
・親族・従業員承継は事業承継促進枠(2/3または1/2、上限800万円・賃上げで1,000万円)、M&Aは専門家活用枠(上限600万円+DD200万円)。
・令和8年度16次公募は2026年11月6日(金)17:00締切。GビズIDプライムと、促進枠は認定支援機関の確認書が必要。
・相談は和歌山県事業承継・引継ぎ支援センター(073-499-5221・無料)と御坊商工会議所(0738-22-1008・無料)へ。
参考にした公式情報:中小企業庁 令和7年度補正予算 事業承継・M&A補助金(PDF)、和歌山県 事業承継サポート、御坊市 産業振興課。
この記事は2026年10月14日時点の公式情報に基づきます。補助率・上限額・締切は公募回ごとに変わるため、申請前に必ず事務局の公募要領でご確認ください。
