「人手が足りない。けれど機械やシステムに何百万円も出せない」——和歌山県新宮市で製造・建設・宿泊・飲食・小売を続けている方から、いま最も多く聞く悩みです。
とはいえ補助金のページを開くと「一般型」「カタログ注文型」「制度改定後」と言葉が並び、結局、自社がどちらに当てはまり、いくらまで出るのかが分からないまま閉じてしまう方も少なくありません。しかも一般型の第8回は、2026年10月16日17:00で受付が終わっています。
・中小企業省力化投資補助金は国(中小企業庁/中小機構)の制度で、新宮市独自の上乗せ補助は市の公開情報では確認できません。
・一般型は補助率1/2(小規模事業者は2/3)・上限750万〜8,000万円、カタログ注文型は補助率1/2以下・上限500万〜1,000万円です。
・一般型の第8回は締切済み。次は第9回(公募開始2026年11月上旬・締切12月下旬/いずれも予定)で、申請にはGビズIDプライムが必要です。
この記事では、①一般型とカタログ注文型の違い ②補助率・上限額の全区分 ③和歌山県の最低賃金1,101円で基本要件がいくらになるか ④第7〜9回の日程 ⑤新宮市の窓口と併せて使える制度 ⑥申請前に踏みやすい落とし穴 を、事務局・中小企業庁・厚生労働省・新宮市・和歌山県の公式ページから写して整理します。この記事は2026年10月19日時点の公式情報に基づきます。
特に、新宮市の事業者が設備を買う前に必ず確認しておきたい「先端設備等導入計画」との順番は、後半で詳しく触れます。
新宮市の事業者が押さえる基本情報(一覧)
まず制度の全体像を、1枚の表で確認します。
| 制度名 | 中小企業省力化投資補助金(一般型/カタログ注文型) |
|---|---|
| 実施主体 | 中小企業庁・独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小企業省力化投資補助事業事務局) |
| 対象者 | 中小企業者・小規模事業者等(業種・規模要件は公募要領に準拠) |
| 補助率・上限 | 一般型:1/2(小規模企業者・小規模事業者、再生事業者は2/3)・上限750万〜8,000万円/カタログ注文型:1/2以下・上限500万〜1,000万円 |
| 申請期間 | 一般型 第8回は2026年10月16日17:00で締切。第9回は公募開始2026年11月上旬・申請受付開始12月上旬・締切12月下旬(いずれも予定) |
| 窓口 | 事務局コールセンター 0570-099-660(IP電話 03-4335-7595)平日9:30〜17:30/新宮市商工観光課 0735-23-3357/新宮商工会議所 0735-22-5144 |
| 公式URL | 中小企業省力化投資補助金 公式サイト |

省力化投資補助金とは:新宮市に市独自の上乗せは無い
結論として、新宮市の事業者が使うのは国の制度そのままで、市の補助金を重ねる形ではありません。
省力化投資補助金には2つの入口があります。自社の課題に合わせて設備やシステムを組み立てる「一般型」と、事務局に登録済みの製品カタログから選ぶ「カタログ注文型」です。カタログ注文型は、対象製品を扱う販売事業者と共同で事業計画を策定し、販売事業者からの招待をもって専用フォームから申請する仕組みになっています(事務局サイトの申請の流れ)。
一方、新宮市側はどうでしょうか。市の「各種支援制度のご案内」(更新日2026年5月12日・企画調整課 0735-23-3339)に並ぶ「企業・事業者の支援」は13項目で、「省力化」「設備投資」「機械」「生産性」を含む補助金の項目はありません。掲載されているのはビジネスチャンス支援補助金、頑張る商業者団体等活動支援補助金、先端設備等導入計画の認定、新規開業資金利子補給補助金、商工業活性化資金利子補給補助金などです。
つまり、新宮市の事業者にとっての現実的な組み立ては「国の省力化投資補助金で設備を入れ、市の制度は固定資産税の特例や利子補給で足元を固める」という形になります。市の支援制度一覧は新宮市「各種支援制度のご案内」で確認できます。
補助率と上限額:一般型とカタログ注文型の全区分
金額は従業員数で区分され、賃上げを行う場合は上限額が上がります。以下はいずれも2026年10月19日時点の事務局サイトの表記です。
一般型の補助上限額
| 従業員数 | 補助上限額(大幅な賃上げを行う場合) |
|---|---|
| 5人以下 | 750万円(1,000万円) |
| 6〜20人 | 1,500万円(2,000万円) |
| 21〜50人 | 3,000万円(4,000万円) |
| 51〜100人 | 5,000万円(6,500万円) |
| 101人以上 | 8,000万円(1億円) |
補助率は事務局サイトの原文で「中小企業 1/2(2/3)」「小規模企業者・小規模事業者、再生事業者 2/3」です。新宮市内の小売・飲食・宿泊のように小規模事業者に当たる場合は、はじめから2/3で計算できます。
カタログ注文型の補助上限額
| 従業員数 | 補助上限額(賃上げを行う場合) |
|---|---|
| 5名以下 | 500万円(750万円) |
| 6〜20名 | 750万円(1,000万円) |
| 21名以上 | 1,000万円(1,500万円) |
カタログ注文型の補助率は1/2以下です。なお事務局サイトの上限額表は「2026年3月19日以降(制度改定後)」と「2026年3月18日以前(制度改定前)」の2つのタブに分かれており、これから申請する事業者に適用されるのは「制度改定後」の表(上記)です。検索で出てくる解説記事には改定前の古い金額が残っていることがあるため、金額は必ず事務局のカタログ注文型ページで確認してください。
また、カタログ注文型には2回目以降の交付申請について、累計補助上限額(各申請時点の補助上限額×2)や追加要件があるとの記載があります。1回目で上限まで使い切る前提で考えないほうが安全です。
対象経費と基本要件:和歌山の最低賃金1,101円をどう読むか
要件のうち、和歌山の事業者がいちばん計算を間違えやすいのは最低賃金の条件です。
一般型の基本要件は4つです。
- ① 労働生産性の年平均成長率を+4.0%以上増加
- ② 1人当たり給与支給総額の年平均成長率を+3.5%以上増加
- ③ 事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+30円以上
- ④ 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等(従業員21名以上の場合のみ)
ここで和歌山県の地域別最低賃金は時間額1,101円(令和8年10月3日発効)です(和歌山労働局)。これを要件③に当てはめると、新宮市で申請する事業者の事業所内最低賃金は1,131円以上が目安になります(1,101円+30円の計算値)。
さらに上限額を引き上げる「大幅な賃上げ」を狙う場合は、給与支給総額に+2.5%以上を上乗せ(合計6.0%以上)し、事業所内最低賃金を都道府県最低賃金+50円以上とする必要があります。和歌山では1,151円以上が目安です(同じく計算値)。時給1,100円前後で募集している事業所は、ここで一度立ち止まって人件費を試算してください。
補助対象経費は7費目(機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費)で、事務局サイトの原文では機械装置・システム構築費に「(必須)」と記載されており、この費目を含まない申請はできません。費目の細かい扱いは公募回ごとの公募要領で必ず確認してください。
なお、最低賃金引上げ特例に該当すると補助率が2/3に引き上げられますが、事務局サイトの原文では「小規模 再生事業者は除く」とされています。つまり引き上がるのは中小企業の1/2のほうで、もともと2/3の小規模事業者には上積みがありません。特例の要件は原文で「2024年10月から2025年9月までの間で、「当該期間における地域別最低賃金以上〜2025年度改定の地域別最低賃金未満」で雇用している従業員が全従業員数の30%以上である月が3か月以上あること」とされています。

申請スケジュールと実施期間:第9回は12月下旬締切(予定)
一般型は公募回制で、事務局のスケジュールページに第1回から第9回までが掲載されています。
| 公募回 | 日程(2026年10月19日時点) |
|---|---|
| 第7回 | 採択発表 2026年11月中旬(予定) |
| 第8回 | 公募開始 2026年8月18日/申請受付開始 9月18日/申請締切 10月16日17:00(締切済み)/採択発表 2027年2月上旬(予定) |
| 第9回 | 公募開始 2026年11月上旬(予定)/申請受付開始 12月上旬(予定)/申請締切 12月下旬(予定)/採択発表は「後日お知らせします」 |
第9回の日程はすべて「予定」の表記です。確定日は事務局の公募スケジュールで確認してください。
実施期間は型によって違います。一般型は交付決定日から18か月以内(採択発表日から20か月以内)、カタログ注文型は交付決定日から原則12か月以内で、さらに補助事業完了後3年間を効果報告期間として毎年度の報告が求められます。
申請にはGビズIDプライムアカウントが必要で、中小企業庁の公募ページにも「ID取得には一定の期間を要しますので、取得未了の方は、早めにGビズIDプライムアカウント取得手続きを行ってください。」と記載があります。第9回を狙う新宮市の事業者は、11月中にGビズIDの取得を済ませておくのが現実的な段取りです。
新宮市の窓口と、併せて使える制度
新宮市内には商工会がなく、和歌山県の支援機関一覧に載る市内の団体は新宮商工会議所のみです。相談先は次のとおりです。
- 中小企業省力化投資補助事業コールセンター:0570-099-660(IP電話等 03-4335-7595)/9:30〜17:30・月曜〜金曜(土日祝除く)
- 新宮市 商工観光課:0735-23-3357(〒647-8555 新宮市春日1番1号)=市の制度・先端設備等導入計画の窓口
- 新宮商工会議所:0735-22-5144(〒647-0045 新宮市井の沢3-8)=事業計画づくりの相談先
- わかやま産業振興財団 よろず支援拠点:073-433-3100。新宮市の創業支援リーフレットでは、東牟婁振興局を会場に毎月第1・第3金曜9:30〜17:15の出張相談が案内されています(リーフレットに年度の記載がないため、実施の有無は事前確認を)
あわせて確認したいのが、市の「先端設備等導入計画」の認定(担当は商工観光課)です。計画期間は「3年間、4年間又は5年間」、労働生産性を「年平均3%以上向上すること」が要件で、原文に「先端設備等については、『先端設備等導入計画』の認定後に取得してください」と明記されています。固定資産税の特例を狙うなら、発注する前に市へ相談する順番が必須です。詳細は新宮市「先端設備等導入計画の認定」をご確認ください。
県の制度では和歌山県中小企業成長促進事業(補助率2/3以内・上限1,000万円・下限100万円、申請期間 令和8年5月18日〜7月31日)がありますが、県のページでは「本補助金は予算上限額に達したため、新規申請の受理を終了しました。」と案内されています(2026年10月19日時点)。令和9年度の再開があるかは県の発表待ちです。
申請前に踏みやすい落とし穴5つ
金額の計算が合っていても、手順で落ちるケースがあります。
① 一般型とカタログ注文型の併用:事務局のよくある質問の原文は「同じ補助対象に対して併用することは不可としておりますが、別の補助対象に対してであれば可能です。」です。「併用は一切できない」と誤解して機会を逃さないようにしてください。
② カタログ注文型の古い上限額:2026年3月の制度改定で金額が変わっています。改定前の数値で見積もりを作ると、資金計画が狂います。
③ 設備の取得タイミング:補助金は交付決定前の発注が原則認められません。先端設備等導入計画も「認定後に取得」です。見積りと発注の順番を先に決めてください。
④ カタログ注文型は販売事業者と二人三脚:共同で事業計画を策定し、販売事業者の招待メールから申請が始まります。製品選定より先に、付き合う販売事業者を決める必要があります。
⑤ 効果報告を忘れる:カタログ注文型は完了後3年間、毎年度の効果報告があります。採択はゴールではありません。
よくある質問
新宮市独自の省力化投資補助金の上乗せはありますか?
市の「各種支援制度のご案内」(更新日2026年5月12日)の「企業・事業者の支援」13項目には、省力化・設備投資を名目とする補助金はありません。上乗せは市の公開情報では確認できないため、国の制度に市の先端設備等導入計画(固定資産税の特例)や利子補給を組み合わせる形が基本になります。最新の取扱いは商工観光課 0735-23-3357 にご確認ください。
一般型とカタログ注文型は、どちらを選べばよいですか?
自社の工程に合わせて機械やシステムを設計するなら一般型(上限750万〜8,000万円・補助率1/2、小規模は2/3)、カタログ登録済みの製品を導入するならカタログ注文型(上限500万〜1,000万円・補助率1/2以下)が入口です。一般型は基本要件(労働生産性+4.0%など)の達成計画が必要なため、準備期間も踏まえて選んでください。
和歌山県で申請する場合、事業所内最低賃金はいくら以上必要ですか?
和歌山県の地域別最低賃金は1,101円(令和8年10月3日発効)です。一般型の基本要件③は「都道府県最低賃金+30円以上」なので1,131円以上、上限額を引き上げる大幅な賃上げの要件(+50円以上)では1,151円以上が目安です(いずれも計算値)。適用の判断は公募要領と労働局の公表額でご確認ください。
一般型の第8回に間に合いませんでした。次はいつですか?
第8回は2026年10月16日17:00で締切済みです。第9回は公募開始2026年11月上旬・申請受付開始12月上旬・申請締切12月下旬(いずれも予定)と公表されています。採択発表は「後日お知らせします」とされているため、事務局の公募スケジュールを定期的に確認してください。
申請に先に準備しておくべきものは何ですか?
GビズIDプライムアカウントの取得です。中小企業庁の公募ページでも、取得に一定の期間を要するため早めの手続きが呼びかけられています。並行して、直近の決算書と従業員数(上限額の区分に直結)、事業所内最低賃金の確認を進めておくとスムーズです。
・省力化投資補助金は国の制度で、新宮市独自の上乗せは市の公開情報では確認できません。
・一般型は上限750万〜8,000万円・補助率1/2(小規模2/3)、カタログ注文型は上限500万〜1,000万円・補助率1/2以下。
・和歌山県の最低賃金1,101円を前提にすると、基本要件③は1,131円以上(計算値)が目安。
・第8回は締切済み、第9回は2026年12月下旬締切(予定)。GビズIDの取得を先に。
・設備は交付決定・計画認定の後に取得。先端設備等導入計画は商工観光課 0735-23-3357 へ。
補助率・上限額・締切・対象経費は公募回ごとに変わります。申請を決める前に、必ず事務局の一般型ページと中小企業庁の公募ページで最新の公募要領をご確認ください。要件を満たしても審査があり、採択が保証される制度ではありません。この記事は2026年10月19日時点の公式情報に基づきます。

