「静岡県で介護ロボットや介護ソフトを入れたいが、補助金がいくら出て、いつ申請すればいいのか分からない」——現場の管理者から最も多い声です。夜勤の見守りが重く、記録の残業も減らない。そんな課題をテクノロジーで軽くしたいのに、制度名も窓口もバラバラで手が止まってしまう。実は静岡県の制度は名前が全国標準と少し違い、「導入」ではなく「定着」支援と呼ばれています。この一語に、静岡県が「入れて終わり」ではなく「使い続けて成果を出す」ことを重視している設計思想が表れています。本記事では、静岡県の介護テクノロジー定着支援事業費補助金について、令和8年度の最新状況・補助率・上限額・対象機器・締切の逆算スケジュール・静岡市/浜松市(2政令市)の申請先までを、県公式と厚生労働省の一次情報だけで整理します。読み終えるころには、自施設が「いつ・どこに・何を準備して申請するか」が具体的に描けるはずです。
この記事の結論(先に要点)
- 静岡県の制度名は「介護テクノロジー定着支援事業費補助金」(令和7年度に旧「介護分野ICT化等事業費補助金」から改称)。国の介護テクノロジー導入支援事業を県が実施する形です。
- 令和8年度(2026年度)は現時点で補助率・上限額・締切が「準備中/未定」(県公式に明記)。本記事の金額は国の制度上の枠組みと令和7年度の実績を参考値として年度を明記して掲載します。
- 申請先は静岡県 健康福祉部福祉長寿局 介護保険課(電話054-221-2314)。静岡市・浜松市の事業所も、現時点では県が県内全域を対象に実施しています。
- 共通する重要ルールは3つ——交付決定前の契約・発注はNG、対象はTAIS選定機器、第三者による業務改善支援の受講が要件。

静岡県の介護テクノロジー定着支援事業費補助金とは(国との違い・”定着”の意味)
静岡県の制度は、国の「介護テクノロジー導入支援事業」を都道府県として実施するもので、名称に「定着」を掲げている点が最大の特徴です。国の事業(地域医療介護総合確保基金・介護従事者確保分)は、介護ロボットやICTを導入する経費を補助し、生産性向上と職場環境改善を進める仕組みです。実施主体は都道府県とされ、静岡県はこれを「介護テクノロジー定着支援事業費補助金」という名称で運用しています。令和6年度までは「介護分野ICT化等事業費補助金」でしたが、令和7年度に現名称へ改称されました。過去の資料を検索すると旧名称が混在するため、申請時は必ず最新年度のページ名で確認してください。
「定着」という言葉には、単に機器を買うだけでなく、業務改善計画を立て、一定期間の効果報告まで行って現場に根づかせる、という県の姿勢が込められています。制度の全体像や国の重点分野の考え方は、当サイトの介護テクノロジー導入支援事業の全体像でまとめています。他県の相場感と比べたい場合は、東京都の介護補助金・大阪府の介護補助金・愛知県の介護補助金と読み比べると、静岡県の位置づけが立体的に見えてきます。
令和8年度の最新状況と令和7年度の実績(参考値)
令和8年度(2026年度)の補助率・上限額・締切は、2026年7月10日時点で静岡県公式に「準備中/未定」と明記されています。したがって、確定情報を待つ間は令和7年度(2025年度)の実績を”参考値”として押さえておくのが実務的です。以下は年度を明示した一次情報の整理です。数値の断定はできないため、最終的な金額・日程は必ず公募要領と交付要綱、窓口で確認してください。
| 項目 | 令和7年度(2025・実績) | 令和8年度(2026・現時点) |
|---|---|---|
| 正式名称 | 介護テクノロジー定着支援事業費補助金 | 同左(継続見込み) |
| 補助率・上限額 | 国の枠組みに準拠(下表参照) | 準備中(未定) |
| 要望額調査の締切 | 令和7年10月17日(金)17時 | 準備中 |
| 申請受付期間 | 令和7年10月24日(金)〜11月21日(金) | 準備中 |
| 事業完了期限 | 令和8年3月31日 | 令和9年3月31日 |
| 対象機器 | TAIS選定の介護テクノロジー+インカム 等 | TAIS選定機器(同旨) |
| 申請窓口 | 静岡県 健康福祉部福祉長寿局 介護保険課(054-221-2314 / kaigohoken@pref.shizuoka.lg.jp) | |
※令和7年度は例年10月中旬に要望額調査、10月下旬から約1か月の申請受付という流れでした。令和8年度も近い時期になる可能性がありますが、確定日程は静岡県の令和8年度ページで随時更新されます。
補助率と補助上限額の早見表(国の制度の枠組み)
静岡県は国の介護テクノロジー導入支援事業の枠組みに沿って補助を行うため、金額の目安は国の制度上の上限で把握できます。下表は厚生労働省の事業資料に基づく機器区分ごとの補助上限です。静岡県の令和8年度の具体額は準備中であり、下表はあくまで制度上の目安です。確定額と適用条件は必ず交付要綱・公募要領で確認してください。
| 区分 | 補助上限(国の制度上の目安) | 補足 |
|---|---|---|
| 介護ロボット(移乗支援・入浴支援) | 上限100万円/台 | 必要台数分 |
| 介護ロボット(見守り・その他) | 上限30万円/台 | 必要台数分 |
| 介護ソフト・ICT(職員数別) | 1〜10人 100万円/11〜20人 150万円/21〜30人 200万円/31人〜 250万円 | タブレット・インカム・クラウド等を含む |
| パッケージ型導入 | 上限400万〜1,000万円 | 見守り等の複数機器を連動導入する場合 |
| 補助率 | 一定要件を満たす場合3/4を下限/それ以外は1/2を下限 | 要件充足かつパッケージ実施で最大4/5の枠組みあり |
3/4(下限)が適用されるには、収支改善分を職員賃金へ還元する旨を効果報告に明記する、第三者による業務改善支援を受ける、入所・泊まり・居住系では見守り機器・インカム等ICT・介護記録ソフトの3点を活用する——といった共通要件を満たす必要があります。機器選定の入口としては、当サイトの見守りセンサーの比較・選び方と介護記録ソフトの比較が実務の判断材料になります。制度全体を体系的に押さえたい場合は介護テクノロジー補助金の完全ガイドもあわせてご覧ください。
補助額の計算例(静岡県の特養を想定した試算)
国の制度上の上限を使い、静岡県内の特別養護老人ホーム(職員30人規模)が「見守りセンサー10台+介護記録ソフト+インカム」を導入した場合を試算します。あくまで上限に基づく机上の計算例で、実際の交付額は対象経費・審査・予算枠により変わります。
| 導入内容 | 対象経費(例) | 補助上限の考え方 |
|---|---|---|
| 見守りセンサー10台 | 1台20万円×10=200万円 | 見守りは上限30万円/台の範囲内 |
| 介護記録ソフト(職員30人) | 180万円 | 21〜30人区分は上限200万円 |
| インカム一式 | ICT枠に合算 | 介護ソフト区分の上限内で合算 |
| 補助率3/4を満たす場合 | 対象経費の3/4が補助目安 | 要件未達なら1/2が下限 |
※上記は制度上の上限に基づく試算例であり、静岡県の確定額・区分の細目は交付要綱で要確認です。自己負担分の資金繰り(交付は原則後払い=精算払い)も事前に見込んでおくと安全です。
対象となる機器とTAIS選定要件
補助対象は、原則として福祉用具情報システム(TAIS)で「介護テクノロジー」として選定された機器です。介護ロボットは「ロボット技術の介護利用における重点分野」(令和7年度に改定)に該当するものが対象で、ICTは介護ソフト・タブレット端末・インカム・クラウドサービス、転記等が発生しない環境が整ったバックオフィスソフト等が含まれます。静岡県では、TAISに未掲載でもインカムのように補助対象として扱われる例があるため、機器ごとの可否は必ず公募要領で確認してください。TAISでの製品確認は、公益財団法人テクノエイド協会の福祉用具情報システムで行えます。国の重点分野や介護テクノロジー全般の考え方は厚生労働省「介護テクノロジーの利用促進」が一次情報です。
機器選びで迷いやすいのが見守りと記録ソフトです。夜間の巡視負担を減らしたいのか、記録の二重入力をなくしたいのかで最適解は変わります。目的をはっきりさせてから、TAIS該当機種の中で比較検討を進めましょう。
対象事業所と複数事業所・複数拠点での申請
対象は、介護保険法に基づくサービスを提供するすべてのサービス事業所(訪問介護・居宅介護支援を含む)と、老人福祉法に基づく養護老人ホーム・軽費老人ホームです。令和7年度からは養護老人ホーム等が対象に追加され、在宅系サービスも含めて幅広くカバーされるようになりました。複数の事業所・拠点を運営する法人は、原則として事業所単位で補助上限を適用できるため、拠点ごとに計画を立てれば法人全体では相応の規模になります。ただし、申請様式・業務改善計画・効果報告も事業所ごとに必要になるため、事務負担を見込んで準備しましょう。
在宅系の事業所は、令和7年度実績ではケアプランデータ連携システムの利用開始が要件に含まれていました。連携相手となる事業所の決定も求められるため、居宅介護支援と居宅サービスの間で早めに調整しておくとスムーズです。書類全体の流れは補助金申請の流れ・必要書類で確認できます。
静岡市・浜松市(2政令市)の申請先の整理
静岡県には静岡市・浜松市という2つの政令指定都市がありますが、介護テクノロジー定着支援事業費補助金は県が県内全域を対象に実施しており、両市に「介護テクノロジー導入に特化した独自補助金」は現時点で確認されていません。したがって、静岡市・浜松市に所在する事業所も、原則として申請先は静岡県 介護保険課になります。政令市は地域密着型サービス等の指定・指導権限を市が持つため「補助金も市かもしれない」と誤解されがちですが、この基金事業の実施主体は都道府県であり、静岡県が一括して受け付ける形です。
| 事業所の所在地 | 介護テクノロジー補助の申請先 | 留意点 |
|---|---|---|
| 静岡市内 | 静岡県 介護保険課 | 市独自の同種補助は現時点で未確認 |
| 浜松市内 | 静岡県 介護保険課 | 市独自の同種補助は現時点で未確認 |
| その他の市町 | 静岡県 介護保険課 | 県内全域が対象 |
※両政令市は物価高騰対策など別目的の補助を独自に持つ年度がありますが、介護テクノロジー導入とは制度が異なります。年度によって取り扱いが変わる可能性があるため、公募開始時に県と各市の最新情報を確認してください。
申請の流れと締切逆算スケジュール(静岡県版)
静岡県は「要望額調査 → 公募・申請 → 交付決定 → 発注・導入 → 実績報告」という流れで、年度末(3月)の事業完了から逆算して動くのが鉄則です。令和7年度は要望額調査の締切が10月17日、申請受付が10月24日〜11月21日でした。令和8年度は準備中ですが、同じリズムになる可能性を踏まえ、下表の逆算スケジュールで自施設の準備を進めておくと出遅れません。
| 時期の目安(R7実績ベース) | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 夏〜9月 | 課題整理・機器選定・見積取得 | TAIS該当機種か確認。契約はまだしない |
| 10月中旬 | 要望額調査に回答(R7は10/17締切) | ここを逃すと申請に乗れないことがある |
| 10月下旬〜11月 | 申請書・業務改善計画書を提出(R7は11/21締切) | 第三者支援・SECURITY ACTION等の要件を満たす |
| 交付決定後 | 契約・発注・導入・支払い | 決定前の発注は補助対象外 |
| 〜翌3月末 | 事業完了・実績報告・精算 | R8完了期限は令和9年3月31日 |
全体の書類・様式の詳細は補助金申請の流れ・必要書類に整理しています。制度の背景から知りたい方は介護テクノロジー導入支援事業の全体像を先に読むと、各書類の意味が理解しやすくなります。
交付決定前の契約はNG——具体例で理解する
最も多い失敗が「交付決定前の発注・契約」です。静岡県では事前着手は補助対象外とされ、交付決定通知後に契約・発注を行う必要があります。「良い機器が見つかったので先に注文した」「年度内に間に合わせたくて申請前に契約した」——こうしたケースは、たとえ要件を満たしていても補助を受けられません。具体的には、次のような行為が決定前だと対象外になり得ます。
- 申請前・審査中に見守りセンサーを発注してしまう
- 交付決定通知が届く前に介護ソフトの契約書を締結する
- 「内示があったから」と口頭で発注し、決定通知前に納品を受ける
正しい順番は「見積取得 → 申請 → 交付決定通知 → 契約・発注 → 導入 → 実績報告」です。見積の取得や機種の比較検討は決定前でも問題ありませんが、支払い義務が発生する契約は必ず決定後に行いましょう。
よくある不採択・対象外の理由
不採択・対象外になりやすいのは、要件の見落としと書類の不備が大半です。予算枠には限りがあるため、要件を満たしていても要望額の状況によっては調整が入ることがあります。以下のポイントを事前につぶしておきましょう。
| よくある原因 | 対策 |
|---|---|
| 交付決定前に発注・契約した | 決定通知後に契約。順番を徹底 |
| TAIS非該当の機器を申請した | 事前にTAISで製品を確認 |
| 第三者による業務改善支援を受けていない | 相談センターやコンサルの支援を早めに手配 |
| 業務改善計画・効果報告の設計が甘い | 課題→施策→効果測定を数値で計画 |
| SECURITY ACTION等の宣言が未対応 | 情報セキュリティ対策を先に整える |
| 要望額調査に回答していない | 10月中旬の調査を必ず回答 |
他の補助金との併用・リース/クラウドの扱い
同一経費に対して国の他制度と重複して補助を受けることは原則できませんが、対象経費が異なれば別制度の活用余地はあります。例えば、介護テクノロジー定着支援でロボット・ICTを導入し、別の目的(設備更新や協働化など)は別事業で、というように経費の切り分けができれば併用の検討余地が生まれます。IT導入補助金など他制度との関係は、同一対象経費の二重取りにならないかを必ず確認してください。
リースやクラウド(サブスク型)の扱いは実務でよく迷う点です。買い切りの機器購入は対象になりやすい一方、リース料やクラウド利用料は年度・要綱によって対象範囲や算定方法が異なるため、契約形態を決める前に交付要綱で確認するのが安全です。介護ソフトのクラウド利用を前提にするなら、初期費用と月額の内訳、補助対象期間の考え方を見積段階で整理しておきましょう。ソフト選定の観点は介護記録ソフトの比較が参考になります。
よくある質問(静岡県の介護テクノロジー補助金)
Q1. 令和8年度はいつ申請できますか?
A. 2026年7月10日時点では準備中で、申請時期は未定です。令和7年度は10月中旬に要望額調査、10月下旬〜11月に申請受付でした。同様の時期になる可能性はありますが、確定日程は県公式ページで随時更新されます。
Q2. 補助率や上限額はいくらですか?
A. 令和8年度の静岡県の具体額は準備中です。国の制度上は、要件を満たす場合3/4を下限(それ以外は1/2)とされ、移乗・入浴支援ロボットは上限100万円/台、見守り等は30万円/台、介護ソフトは職員数に応じ100万〜250万円が目安です。確定額は交付要綱・公募要領でご確認ください。
Q3. 静岡市・浜松市の事業所はどこに申請しますか?
A. 現時点では両市に介護テクノロジー導入専用の独自補助は確認されておらず、申請先は静岡県 介護保険課が基本です。念のため公募開始時に県と各市の最新情報をご確認ください。
Q4. 先に機器を発注してもいいですか?
A. いいえ。事前着手(交付決定前の契約・発注)は補助対象外です。見積取得や比較検討は決定前でも可能ですが、契約は必ず交付決定通知後に行ってください。
Q5. どんな機器が対象ですか?
A. 原則としてTAIS(福祉用具情報システム)で「介護テクノロジー」として選定された機器です。介護ロボット(重点分野該当)と、介護ソフト・タブレット・インカム・クラウド等のICTが対象で、インカムのようにTAIS未掲載でも対象扱いとなる例があります。機器ごとの可否は公募要領で確認してください。

最終確認日:2026年7月10日
出典(一次情報):
- 静岡県「令和8年度 介護テクノロジー定着支援事業費補助金」https://www.pref.shizuoka.jp/kenkofukushi/koreifukushi/kaigohoken/1083217.html
- 静岡県「令和7年度 介護テクノロジー定着支援事業費補助金」https://www.pref.shizuoka.jp/kenkofukushi/koreifukushi/kaigohoken/1073268.html
- 厚生労働省「介護テクノロジーの利用促進」https://www.mhlw.go.jp/stf/kaigo-ict.html
- 公益財団法人テクノエイド協会(福祉用具情報システムTAIS)https://www.techno-aids.or.jp/
免責事項:本記事は静岡県内の介護事業所における補助金活用・業務効率化を目的とした情報提供です。医療・健康効果を保証するものではありません。補助率・上限額・締切・要件・対象機器は年度や公募回により変更されます。令和8年度は準備中の項目が多く、記載の金額・日程には令和7年度の実績や国の制度上の目安を含みます。実際の申請にあたっては、必ず最新の公募要領・交付要綱および静岡県 介護保険課(054-221-2314)の案内をご確認ください。本記事の利用により生じたいかなる損害についても責任を負いかねます。
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