本文へ移動
和歌山補助金ナビ制度を知る。事業の選択肢を広げる。

鹿児島県の介護テクノロジー導入支援補助金【令和8年度】補助率4/5

株式会社Tip 運営者情報・編集方針 ↗
鹿児島県の介護テクノロジー導入支援補助金【令和8年度】補助率4/5
鹿児島県の介護テクノロジー導入支援補助金【令和8年度】補助率4/5

この記事は2026年11月1日(JST)時点で、鹿児島県の公式ページ・鹿児島県介護テクノロジー導入支援事業補助金交付要綱・県が公表したQ&Aに掲載されている内容に基づいて作成しています。

「見守りセンサーを増やしたい」「介護記録ソフトを一気通貫にしたい」。そう考えて鹿児島県のお知らせページを開いたのに、補助率も上限額もどこにも書いていない——そこで手が止まっていませんか。

これは担当者の探し方が悪いのではありません。鹿児島県の場合、募集ページ本文に金額の記載がなく、補助率・基準額・限度台数・補助要件は、すべて添付PDFの「交付要綱」別表1〜5と、県が別に出しているQ&A(18問)に落ちています。つまり要綱の別表を読まない限り、鹿児島県の介護テクノロジー導入支援補助金はいくら出るのか分からない構造になっています。

結論を3行で先に出します。

  • 補助率は一律「5分の4」。事業所負担は5分の1です(県Q&A問10)。
  • 基準額は区分ごと。移乗支援・入浴支援・インカム等は1機器100万円、それ以外の機器は1機器30万円、パッケージ型導入支援は合計400万円、業務改善支援は48万円、介護ソフトは職員数別に100〜265万円です。
  • 令和8年度の事業計画書(応募)受付は令和8年9月18日〜10月14日午後5時で、すでに締め切られています。現在は交付内示(令和8年11月中旬予定)を待つ段階です。

この記事では、鹿児島県の対象事業所・対象機器・区分別の基準額・限度台数の計算式・申請から入金までの8ステップ・県独自の補助要件(研修受講やSECURITY ACTION宣言など)を、要綱とQ&Aの原文に沿って整理します。特に「限度台数=利用定員数×0.2」と「令和8年4月以降に購入・レンタル契約したものは対象」という2点は、他県の制度と前提が違うところなので、稟議書を書く前に必ず確認してください。

結論|鹿児島県 介護テクノロジー導入支援補助金の基本情報

まず「誰が・いくら・いつまで・どこへ」を一枚にまとめます。

実施主体は鹿児島県(保健福祉部高齢者生き生き推進課)です。根拠は「鹿児島県介護テクノロジー導入支援事業補助金交付要綱」で、令和8年9月8日から施行されています。補助金の名称としては「令和8年度介護テクノロジー導入支援事業」として募集されました。多くの県が事業名を「定着支援事業」に変えたなかで、鹿児島県は「導入支援事業」という名称のまま運用している点が検索時の注意点です。「鹿児島県 介護テクノロジー 定着支援」で探しても県の募集ページには届きにくいため、「介護テクノロジー導入支援事業」で探してください。

申請の入口は電子申請(鹿児島県の電子申請システム)で、県は事業計画書の提出を「電子申請システムでの回答」としています(交付申請以降の提出方法は、鹿児島県の公式ページ・県の案内でご確認ください)。問い合わせ先は高齢者生き生き推進課(099-286-2703)です。制度そのものの考え方を先に押さえたい方は、介護テクノロジー導入支援事業の全体像と介護テクノロジー補助金の完全ガイドも併せてご覧ください。

事業名 令和8年度介護テクノロジー導入支援事業(根拠:鹿児島県介護テクノロジー導入支援事業補助金交付要綱/令和8年9月8日施行)
実施主体 鹿児島県 保健福祉部 高齢者生き生き推進課
対象施設 鹿児島県内の、①介護保険法に基づくサービスを提供する全てのサービス事業所(訪問介護事業所及び居宅介護支援事業所を含む)、②老人福祉法に基づく養護老人ホーム及び軽費老人ホーム(要綱第2条)。法人本部で使用するものは対象外(県Q&A問3)
対象機器 TAIS(福祉用具情報システム)に「介護テクノロジー」として選定された機器等/介護ソフト・インカム・見守り機器/介護ソフトの定着促進に要するタブレット・Wi-Fi環境整備等/バックオフィスソフト(電子サインシステム、給与、勤怠管理等)ほか(別表1)
補助率・上限 補助率5分の4(事業費の1/5が事業所、4/5が県の負担)。基準額は区分ごとに設定(移乗支援・入浴支援・インカム等=1機器100万円、その他の機器=1機器30万円、パッケージ型=合計400万円、業務改善支援=48万円、介護ソフト=職員数別100〜265万円)
申請期間 事業計画書の提出(応募):令和8年9月18日〜令和8年10月14日(水曜日)午後5時まで(受付終了)。交付申請期間:令和8年11月中旬〜12月中旬
窓口 鹿児島県保健福祉部高齢者生き生き推進課/電話099-286-2703/メール uketsuke-jigyo@pref.kagoshima.lg.jp
公式URL 令和8年度介護テクノロジー導入支援事業(鹿児島県)

制度の全体像|国の「介護テクノロジー定着支援事業」と鹿児島県の要綱の関係

鹿児島県の補助金は県が独自に作った制度ではなく、国の実施要綱を受けて県が交付要綱を定める二層構造になっています。

県の募集ページには、県の要綱と並んで「【国要綱】令和8年度(令和7年度からの繰越分)介護テクノロジー定着支援事業実施要綱」「【国要綱】介護テクノロジー定着支援事業実施要綱」「【国要綱】新旧対照表」「【国Q&A】介護テクノロジー定着支援事業Q&A(令和8年度)」が添付されています。国の事業名は「介護テクノロジー定着支援事業」で、鹿児島県はその枠組みを「導入支援事業」という県独自の名称で運用している、という関係です。

なお、介護分野の補助金では「地域医療介護総合確保基金」という財源名がよく登場します。これは消費税財源をもとに都道府県に造成された基金で、介護人材確保や職場環境改善の事業に充てられるものです。ただし鹿児島県の交付要綱には、財源を基金と明記した条文はありません。県が示している根拠は、上記の国実施要綱(令和7年度からの繰越分を含む)です。財源の呼び方に関わらず、事業所が守るべき条件は県の交付要綱に書かれた内容になります。

要綱第1条は、この補助金の趣旨を「介護サービスの需要が更に高まる一方、生産年齢人口が急速に減少していくことが見込まれる中で、介護人材の確保は喫緊の課題であることから、介護現場の生産性向上による職場環境の改善を図るため」と定めています。つまり目的は、機器を買うことそのものではなく、業務の進め方を変えて職場環境を改善することに置かれています。この点が、後述する「業務改善計画の提出」「3年間の効果報告」といった要件につながります。九州の他県の設計と比べたい方は、熊本県の介護テクノロジー補助金や宮崎県の介護テクノロジー補助金も参考になります。

対象となる介護事業所・施設|訪問介護・居宅介護支援も入る

鹿児島県の対象範囲は、介護保険サービスをほぼ全て含む広い設計です。

要綱第2条が定める補助対象事業者は、(1)介護保険法に基づくサービスを提供する全てのサービス事業所(訪問介護事業所及び居宅介護支援事業所を含む)、(2)老人福祉法に基づく養護老人ホーム及び軽費老人ホームの2つです。特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・グループホーム・デイサービスはもちろん、訪問介護事業所と居宅介護支援事業所がかっこ書きで明記されているため、在宅系の小規模事業所も正面から対象に入ります。

有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅についても、県Q&A問5が明確に答えています。「『特定施設入居者生活介護』の指定を受けている、サービス付き高齢者住宅や有料老人ホームは補助対象となります」。逆にいえば、介護保険の指定を受けていない住宅型の運営だけでは対象になりません。この線引きは県によって扱いが分かれるところなので、自社の指定状況を先に確認してください。

注意したいのは法人本部の扱いです。県Q&A問3は対象施設を説明したうえで「ただし、法人本部で使用するものは補助対象外です」と付け加えています。本部に置く勤怠管理サーバーや本部職員用の端末は、同じ法人の支出でも補助の対象にならない可能性があります。申請単位についても県Q&A問9が「電子申請により提出する事業計画書については、事業所単位で提出してください」としており、法人一括ではなく事業所ごとの提出です。

鹿児島市街地から望む桜島
写真: Hyppolyte de Saint-Rambert / Wikimedia Commons (CC BY 4.0)

対象機器と補助率・基準額|5分の4と4つの区分

鹿児島県の金額は「補助率5分の4 × 区分ごとの基準額」で決まります。

補助対象項目は要綱第3条で3つに分かれます。(1)介護テクノロジー等の導入支援(別表1、3)、(2)介護テクノロジー等のパッケージ型導入支援(別表2、3)、(3)導入支援と一体的に行う業務改善支援(別表4)です。県Q&A問16によれば1事業所がこの3項目を同時に申請することも可能で、たとえば「(1)で見守り機器、(2)で介護ソフト+インカム」といった組み合わせが認められています。

機器の対象範囲は、原則としてTAIS(福祉用具情報システム。公益財団法人テクノエイド協会が提供する、福祉用具の情報を登録・公開するデータベース)に「介護テクノロジー」として選定された機器等です。ただし「申請ができていない等の理由でTAISに掲載されていない機器で、機能等が同水準と県が判断した機器等」や、「介護従事者の身体的負担の軽減や、間接業務時間の削減等の業務の効率化など(中略)県が判断した機器等」も対象になり得ます(別表1(ウ))。後者の例として、要綱は「バックオフィスソフト(電子サインシステム、給与、勤怠管理等)」を挙げています。自社が検討中の機器が載っているかは、テクノエイド協会のTAIS掲載一覧で確認できます(県Q&A問15)。

補助対象項目/区分 補助率 基準額(上限の目安)
導入支援:TAISの「移乗支援(装着型・非装着型)」「入浴支援」に掲載されたテクノロジー、「介護業務支援」に掲載されたインカム、およびこれらと同水準と県が判断した機器等、バックオフィスソフト以外の機器 5分の4 1機器(台/式)につき100万円まで
導入支援:上記以外の機器等(見守り・コミュニケーション関連機器など「(ア)で示す機器等のうち上記以外のもの」「(ウ)①で示す機器等のうち上記以外のもの」) 5分の4 1機器につき30万円まで
導入支援:介護ソフト(TAIS「介護業務支援」掲載のもの等)、バックオフィスソフト 5分の4 別表3のとおり(職員数別。下表参照)
導入支援:介護ソフトの定着促進支援(一体的に使うPC・タブレット端末(リース費用含む)、Wi-Fi環境整備、ベンダーによるサポート費用等) 5分の4 導入する介護ソフトの経費と合わせて別表3の第3欄(+15万円の列)。パッケージ型に合わせて対象とする場合は、パッケージ型の基準額に15万円上乗せ
パッケージ型導入支援:「介護業務支援」に分類されるテクノロジー(介護ソフト等)と、連動することで効果が高まると判断できる機器等を組み合わせて導入する場合 5分の4 機器等の合計経費400万円
導入支援と一体的に行う業務改善支援:コンサルティング会社等による業務改善支援(①事前評価(課題抽出)②業務改善に係る助言・指導等③事後評価(導入後の定着支援も含む)) 5分の4 48万円

介護ソフト・バックオフィスソフトの基準額は、申請時点の職員数で変わります。別表3は「職員数に応じて必要なライセンス数が変動するなど、職員数により合計金額が変動する契約」を前提とした表で、それ以外の方式の契約の場合は一律250万円(別表1(イ)の支援を併用する場合は265万円)とされています。

職員数(申請時点) 基準額(介護ソフト・バックオフィスソフトのみ) 基準額(介護ソフトの導入と合わせて別表1(イ)の支援を活用する場合)
1名以上10名以下 100万円 115万円
11名以上20名以下 150万円 165万円
21名以上30名以下 200万円 215万円
31名以上 250万円 265万円
上記以外の方式の契約 一律250万円 265万円
加算:訪問介護事業所等の居宅サービス事業所又は居宅介護支援事業所(介護予防も含む)で、実績報告時までに「ケアプランデータ連携システム」により5事業所以上とデータ連携を実施する場合 基準額に5万円を加算

職員数の数え方にも注記があります。「職員数には、訪問介護員等の直接処遇職員だけでなく、ICTの活用が見込まれる管理者や生活相談員等の職員も算入して差し支えない」(※1)。原則は申請時点の常勤換算ですが、「居宅を訪問してサービスを提供する職員(訪問介護員、居宅介護支援専門員等)及び管理者や生活相談員等の職員については、従事する職務の性質上、実人数(常勤・非常勤の別は問わない)としても差し支えない」(※2)とされています。機器選定の進め方は見守りセンサーの比較・選び方、介護記録ソフトの比較も参考にしてください。

限度台数・付帯費用・リースの扱い|鹿児島県で金額を間違えやすい3点

基準額を把握しても、台数と周辺費用の扱いを外すと申請額が狂います。

第一に限度台数です。要綱の【留意事項】は「第3条に揚げる項目の各年度における1事業所あたりの限度台数は、利用定員数に0.2を乗じて得た数(小数点以下切り捨て。ただし0.2を乗じて得た数が1未満の場合は1)とする。ただし、ソフトウェアは台数の積算に含めない」と定めています。たとえば利用定員50人の施設なら限度台数は10台、定員29人なら5台(29×0.2=5.8→切り捨て5)という計算になります。「利用定員÷2」とする県も多いなか、鹿児島県は0.2倍とかなり絞った設計である点は、導入計画を立てる前に知っておきたいところです。なお同じ留意事項には「鹿児島県介護生産性向上総合相談センターが実施する伴走支援の対象事業所については、この限りではない」という例外も書かれています。

第二に付帯費用です。別表1(ア)および(ウ)①の機器等(介護ソフトを除く)の導入に付帯して必要となる経費は、「主となる機器と併せて導入する場合に限って、補助対象とする」とされます。基準額は「主となる機器と付帯して必要となる経費を合計して別表1に定める1台あたりの基準額に導入台数を乗じた金額」で、パッケージ型では基準額の範囲内で付帯費用を対象とします。通信費は上記経費には含まないと明記されています。また県Q&A問12は「通信環境整備単体での実施は、補助対象外です」、問13は「パソコンやタブレット端末のみの導入の場合は、補助対象になりません」と答えています。Wi-Fi工事やタブレットだけを単独で申請することはできない、という理解で読み進めてください。

第三にリース・レンタルです。県Q&A問18は、3年間のリース契約を結んだ場合について「当該年度(令和9年2月28日まで)のレンタル又はリース料が補助対象となります」とし、「令和8年4月1日〜令和11年3月31日の3年間でレンタル契約→補助対象は、令和8年4月1日から令和9年2月末分のレンタル料が補助対象」という例を示しています。複数年契約を結んでも、補助が当たるのは当該年度分だけです。

パッケージ型についても誤解しやすい点があります。県Q&A問11は「既に介護ソフトが導入済みで、今年度導入する機器が見守り機器とWI-FI工事のみの場合は、パッケージ型導入支援で申請は出来ません」と明言しています。パッケージ型は「介護業務支援に該当するテクノロジーと、連動することで効果が高まる機器を今年度に組み合わせて導入する」ことが前提です。

申請の流れと令和8年度スケジュール|8ステップと逆算表

鹿児島県は「計画書で応募 → 内示 → 交付申請 → 交付決定」という二段構えです。

県が公表した「令和8年度鹿児島県介護テクノロジー導入支援事業の流れ」には、応募から入金までの8ステップが日程付きで載っています。まず事業計画提出期間(応募)に、①介護テクノロジー計画書、②所要額調書(計画用)、③経費内訳の参考となる見積書及びパンフレットを電子申請で提出し、県が事前審査を行います。採択された事業所には交付内示通知書が送られ、その後に正式な交付申請書を出す流れです。応募と交付申請は別の手続きで、計画書を出しただけでは補助金は確定しません。県Q&A問9は「採択されなかった事業所についても連絡予定です」としています。

ステップ 時期(令和8年度) 事業者が行うこと/書類
1 事業計画提出期間(応募) 令和8年9月18日〜令和8年10月14日(県ページでは10月14日午後5時まで) 計画書提出:①介護テクノロジー計画書 ②所要額調書(計画用) ③経費内訳の参考となる見積書及びパンフレット(県は事前審査)
2 交付内示 令和8年11月中旬 交付内示通知書の受理
3 交付申請期間 令和8年11月中旬〜令和8年12月中旬 交付申請書の提出(添付:経費所要額調書・事業計画書・収支予算書ほか/要綱第6条)
4 交付決定 令和8年11月下旬〜令和8年12月下旬 交付決定通知書の受理
5 実績報告(交付決定通知書受理後、随時) 令和8年12月中旬〜令和9年2月初旬 実績報告書の提出(経費所要額精算書・事業実績書・収支精算書ほか)
6 補助金額確定 令和8年12月下旬〜令和9年2月中旬 交付確定通知書の受理
7 交付請求 令和9年1月中旬〜令和9年3月初旬 交付請求書の提出
8 交付 令和9年3月中 申請者の口座へ振り込み(補助金受領)

ここから逆算すると、内示を受けた事業所が次にやるべきことが見えてきます。県Q&A問2は「令和9年2月初旬までに実績報告書の提出をお願いします。間に合わない場合は、補助を打ち切らせていただくことがあります」としたうえで、「実績報告書の提出時には、購入機器の納品、購入代金等の支払いが完了している必要があります」と念を押しています。納品だけでなく支払い完了までが2月初旬の期限内です。

いつまでに やること(内示を受けた事業所の逆算)
内示通知の受理直後(令和8年11月中旬〜) 交付申請書・収支予算書の作成に着手。あわせて補助要件(委員会設置・SECURITY ACTION宣言・業務改善計画)の未了分を洗い出す
令和8年12月中旬まで 交付申請書を提出(交付申請期間の終期)
令和8年12月下旬まで 交付決定通知書を受理。発注・契約の確定と納期の確認
令和9年1月中(目安) 機器の納品・設置・初期設定を完了させ、請求書の受領と支払いを済ませる
令和9年2月初旬 実績報告書を提出(納品・支払い完了が前提)。要綱第12条は提出期限を「事業完了日から20日以内」又は「当該年度の3月31日」のいずれか早い日とし、県は2月初旬を案内
令和9年2月28日 リース・レンタルで補助対象となる期間の終期(県Q&A問18)
令和9年3月中 交付請求を経て口座へ入金

手続きそのものの一般的な流れや必要書類の考え方は、補助金申請の流れ・必要書類にまとめています。

鹿児島県特有の注意点|研修・ケアプラン連携・優先採択・交付決定前の購入

鹿児島県は、金額よりも「要件」で落ちやすい設計になっています。

1. 研修の受講は必須(ただし実績報告時までで可)
別表5は「以下の①から③のいずれかの研修を実績報告時までに受講すること」と定めます。①厚生労働省委託事業による「生産性向上ビギナーセミナー」「生産性向上フォローアップセミナー」(両方の受講が必要)、②厚生労働省委託事業による「デジタル中核人材養成研修」、③鹿児島県介護生産性向上総合相談センター(かごロボ)が実施する研修(ア=令和8年6月10日の第1回研修会(経営者対象)、イ=令和8年8月25日の第2回研修会(実務者対象)、ウ=令和8年8月2日の介護テクノロジー出張展示相談会、エ=ア又はイの録画映像による研修)。県Q&A問7は「補助金の申請時までに研修を受講していない事業所については、実績報告時までに受講することを条件に、補助金の申請は可能です」とし、録画映像による研修(交付要綱別表5の1③エ。県Q&Aの表記は「③-ウ」)は社会福祉法人鹿児島県社会福祉協議会のホームページで随時視聴可能としています。

2. ケアプランデータ連携システムの利用
別表5の5②に掲げられたサービス(訪問介護、通所介護、居宅介護支援、各種介護予防サービスなど多数)を行う事業所は、実績報告時までに「ケアプランデータ連携システム」の利用を開始することが必須です(県Q&A問8)。これも申請時点で未開始でも、実績報告時までの開始を条件に申請できます。システムの仕様やベンダーテストの状況は、要綱が参照先として挙げる国保中央会のケアプランデータ連携システムで確認できます。

3. 委員会の設置・SECURITY ACTION・業務改善計画
短期入所生活介護、特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院など別表5の5①に列挙されたサービスでは、「利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会(名称は問わない)」の設置が求められます。さらに全事業所共通で、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「SECURITY ACTION」で「★一つ星」又は「★★二つ星」のいずれかを宣言すること、厚生労働省の生産性向上ガイドライン等を参考に業務改善計画を作成し申請時に提出すること(作成や取組の実施に当たっては原則としてかごロボに相談)、補助を受けた翌年度から3年間、業務改善計画に対する効果を県に報告すること、LIFEによる情報収集に協力することが条件です。ガイドラインの本体は厚生労働省の介護サービス事業における生産性向上ポータル、介護テクノロジー全般の国の情報は厚生労働省の介護分野におけるICTの活用ページにあります。

4. 優先採択のルール
県Q&A問1は「申請した事業所は、全て補助を受けられますか」という問いに対し、「県予算の範囲内での補助となるため、下記の事業所を優先して採用させていただきます」として、①補助申請内容が見守り機器・インカム・介護ソフトである事業所、②当課が実施する介護テクノロジー関係の補助事業を受けたことがない事業所、の2つを挙げています。県の募集ページにも「応募が多い場合は、本補助金初回申請の事業所を優先して採択し、内示しますので、あらかじめご了承ください」と記載があります。要件を満たしても審査があり、採択を保証するものではありません。

5. 交付決定前の購入の扱い
ここは鹿児島県で最も誤解されやすい論点です。補助金は一般に「交付決定前の契約・発注は対象外」が原則ですが、鹿児島県の県Q&A問17は「補助金の交付決定前に購入又はレンタル、リース契約したものも補助対象となりますか」という問いに対し、「令和8年4月以降に購入又はレンタル、リース契約したものについては、対象とします」と回答しています。要綱第5条第2項も「交付申請年度の4月1日以降に生じた対象経費について補助対象とすることができる」と定めており、県Q&A問4も同旨です。つまり鹿児島県では、年度当初に遡って発生した経費を対象にできる運用が公式に示されています。ただし「できる」規定であり、採択・交付決定を前提に先行して発注するのは、不採択時のリスクを自己負担することになります。発注判断は内示・交付決定の状況と合わせて、必ず県の窓口に確認のうえ行ってください。

6. 他の補助金との併用
別表5の4は「国や市町村等が実施する他の補助金等により助成されているものについては、本事業の補助対象外とする」と定めています。同一の経費に対して国や市町村の補助を受けている場合、その部分は本事業では見られません。なお鹿児島県には政令指定都市がなく、鹿児島市は中核市です。鹿児島市が独自の介護テクノロジー導入補助を実施しているかどうかは、今回の調査では市の公式情報として確認できませんでした。市町村独自の支援があるかは、事業所所在地の市町村介護保険担当課に直接ご確認ください。政令市と県事業が並走する自治体の整理は、福岡県の介護補助金や広島県の介護補助金、大阪府の介護補助金の回が参考になります。

7. 相談先はかごロボ
鹿児島県介護生産性向上総合相談センター(愛称:かごロボ)は、社会福祉法人鹿児島県社会福祉協議会が運営を受託しています。所在地は鹿児島市山下町14-50 カクイックス交流センター(かごしま県民交流センター)2階、電話099-221-6617、窓口は9時から17時まで、月曜日(祝日の場合は翌日)及び年末年始(12月29日〜1月3日)は休館です。業務改善に資する助言のほか、「課題に即した介護テクノロジーの機器選定支援、試用貸出」「有識者による伴走支援(課題分析、改善方策の検討、改善活動、効果検証)」を行っています。前述のとおり、かごロボの伴走支援の対象事業所は限度台数の例外にもなり得ます。

よくある質問

鹿児島県の介護テクノロジー導入支援補助金について、問い合わせの多い5点を県の公式資料に沿って整理します。

補助率と上限額はいくらですか?

令和8年度の補助率は5分の4です。県Q&A問10は「事業費の1/5は事業所、4/5は県の負担です」と回答しています。上限は「補助対象項目ごとの基準額」で決まり、移乗支援・入浴支援・インカム等は1機器(台/式)につき100万円まで、それ以外の機器は1機器につき30万円まで、パッケージ型導入支援は機器等の合計経費400万円、業務改善支援は48万円です。介護ソフト・バックオフィスソフトは職員数別に100万円〜265万円が基準額となります。基準額は「補助対象経費の上限」であり、実際の交付額は基準額と実費のいずれか低い方に補助率を掛けて算定される点にご注意ください。最終的な金額は交付要綱の別表1〜4と県の審査で決まります。

1法人あたりの上限はありますか?複数事業所で申請できますか?

県Q&A問6は「1法人あたりの補助上限額は、設けておりません。補助額は、事業所単位で判断します。(補助対象項目ごとに基準額を設けています。)」と回答しています。事業所単位で判断されるため、複数事業所を運営する法人は事業所ごとに事業計画書を提出する形になります(県Q&A問9)。ただし1事業所あたりの限度台数は「利用定員数×0.2」(小数点以下切り捨て、1未満の場合は1。ソフトウェアは台数に含めない)という制約がかかります。

交付決定前に購入した機器も対象になりますか?

鹿児島県の県Q&A問17は「令和8年4月以降に購入又はレンタル、リース契約したものについては、対象とします」と回答しています。交付要綱第5条第2項も「交付申請年度の4月1日以降に生じた対象経費について補助対象とすることができる」と定めています。他県では交付決定前の契約・発注を一律で対象外とする運用が一般的なため、鹿児島県の記載は例外的です。ただし採択・交付決定が保証されるわけではないため、先行して発注する場合は不採択のリスクを織り込み、事前に県窓口へ確認することをおすすめします。

研修の受講やケアプランデータ連携は必ず必要ですか?

いずれも補助要件です。研修は交付要綱別表5の補助要件等1に掲げる①〜③のいずれかを実績報告時までに受講する必要があります(県Q&A問7)。ケアプランデータ連携システムについても、別表5の5②に掲げるサービスを行う事業所では「利用」が必須です(県Q&A問8)。どちらも「申請時点で未了でも、実績報告時までに満たすことを条件に申請できる」という運用が県Q&Aで示されています。該当サービスかどうかは交付要綱別表5の一覧でご確認ください。

令和8年度の応募に間に合いませんでした。次はどうすればよいですか?

令和8年度の事業計画書(応募)の受付は令和8年10月14日午後5時で終了しています。令和9年度以降の募集の有無・時期・内容は、2026年11月1日時点では公表されていません。次年度に備えるなら、今のうちに「業務改善計画の作成」「委員会の設置」「SECURITY ACTION宣言」「ケアプランデータ連携システムの利用開始」「研修の録画視聴」といった、お金のかからない要件を先に満たしておくのが現実的です。最新の募集情報は鹿児島県高齢者生き生き推進課(099-286-2703)および県の公式ページでご確認ください。

まとめ|鹿児島県は「補助率4/5・事業所単位・台数は定員×0.2」が勘所

最後に、鹿児島県で稟議を通すための要点を整理します。

鹿児島県の令和8年度介護テクノロジー導入支援事業は、補助率5分の4、1法人あたりの上限なし、判断は事業所単位という比較的使いやすい設計です。一方で、1事業所あたりの限度台数が「利用定員数×0.2」とかなり絞られていること、見守り機器・インカム・介護ソフトと初回申請事業所が優先採択されること、研修受講・ケアプランデータ連携・SECURITY ACTION・業務改善計画・3年間の効果報告という要件が束になっていることが特徴です。機器を選ぶ前に、要件表を作って「いつまでに・誰が・何を満たすか」を割り当てておくことが、鹿児島県でこの補助金を使い切る一番の近道です。

金額・要件・締切は年度ごとに変わります。本記事の数値は交付要綱および県Q&Aの原文から引いていますが、申請前には必ず鹿児島県の公式ページと最新の交付要綱でご確認ください。要件を満たしても審査があり、採択や満額の交付を保証するものではありません。制度全体の考え方は介護テクノロジー導入支援事業の全体像、書類づくりは補助金申請の流れ・必要書類をご覧ください。

出典(公式情報)

この記事は2026年11月1日(JST)時点の公式情報に基づきます。制度内容・金額・締切は変更される場合があります。申請にあたっては必ず鹿児島県の公式ページおよび最新の交付要綱・Q&Aをご確認ください。


この記事の制作・監修
河原 将太(株式会社Tip 代表取締役社長)
国・和歌山県・各市町村の公式情報(公募要領・公式サイト)を確認したうえで制作しています。補助率・上限・締切は年度や公募回で変わるため、最新は各実施主体の公式サイトでご確認ください。 運営者情報 / 補助金を使ったWeb集客の無料相談(30分)
記事一覧へ戻る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

介護設備・ICT導入12ページ・無料PDF資料を受け取る ↗