この記事は2026年11月1日時点の奈良県公式サイト・公募要領に基づきます。
奈良県内で介護ソフトを入れ替えたい、タブレットで記録を取りたい。見積もりまでは取ったものの、「県の補助金で結局いくら出るのか」が分からず稟議が止まっていませんか。
奈良県のこの補助金は、ここ数年で名称が変わっています。令和5・6年度は「介護ロボット・ICT導入支援事業」、令和7年度から「介護テクノロジー導入・定着支援事業」です。検索すると古い年度のページが先に出てくるため、上限額や要件を取り違えたまま計画を立ててしまう施設が少なくありません。
結論を3行で言うと、こうです。
- 補助率は対象経費(税抜)の5分の4。介護ソフトは職員数に応じて1事業所あたり100万円〜265万円が基準額です。
- 令和8年度の提出期限は令和8年9月9日(水)必着で、すでに受付は終了しています。選定結果(内示)は11月中旬の予定です。
- 応募には「生産性向上セミナーへの参加」と「奈良県介護生産性向上総合相談センターへの相談」という、奈良県独自の2つの要件があります。
この記事では、奈良県の介護ソフト・ICT導入補助金について、対象になる事業所と経費、職員数別の基準額表、申請の流れと逆算スケジュール、そして奈良県特有の注意点までを、公募要領の原文に沿って整理します。県全体の制度を俯瞰したい方は奈良県の介護補助金のページも併せてご覧ください。
ひとつだけ先にお伝えすると、奈良県の要領には他県ではあまり見ない一文があります。「上記期間内の経費であれば交付申請日以前の経費も対象となります」という記載です。これが何を意味するかは、後半の「奈良県ならではの注意点」で詳しく扱います。

1. 結論:誰が・いくら・いつまで・どこへ出すのか
奈良県内の介護事業所が、介護ソフトやタブレット等のICTを導入する際に、県の「介護テクノロジー導入・定着支援事業」から補助率5分の4で支援を受けられる制度です。
| 事業名 | 令和8年度奈良県介護人材確保対策総合支援補助金(介護テクノロジー導入・定着支援事業) |
|---|---|
| 実施主体 | 奈良県(福祉保険部 地域包括支援課 福祉人材確保・育成係) |
| 対象施設 | 奈良県内に所在する、介護保険法に基づくサービスを提供する全てのサービス事業所(訪問介護事業所や居宅介護支援事業所を含む)/老人福祉法に基づく養護老人ホーム及び軽費老人ホーム |
| 対象機器(ICT部分) | TAIS「介護業務支援」掲載の介護ソフト、バックオフィスソフト(電子サインシステム・給与・勤怠管理等)、インカム、介護ソフトと一体で使うPC・タブレット端末、Wi-Fi環境整備、ベンダーによるサポート費用 など |
| 補助率・上限 | 対象経費(消費税及び地方消費税を除く)の実支出額に5分の4を乗じた額と補助基準額を比較して少ない方の額(千円未満切捨て)。介護ソフトは職員数に応じ1事業所あたり100万〜265万円。パッケージ型導入支援は1事業所あたり400万円以上1,000万円以下 |
| 申請期間 | 令和8年9月9日(水)必着(受付終了)。選定結果の内示は11月中旬、交付決定は12月中旬の予定 |
| 窓口 | 〒630-8501 奈良市登大路町30 奈良県福祉保険部 地域包括支援課 福祉人材確保・育成係/TEL 0742-27-8039/FAX 0742-26-1015/E-mail jinzaikakuho@office.pref.nara.lg.jp(提出はメール) |
| 公式URL | 令和8年度奈良県介護人材確保対策総合支援補助金(介護テクノロジー導入・定着支援事業)の公募について|奈良県 |
奈良県の要領は「対象経費の実支出額に5分の4を乗じた額」と「補助基準額」を比べて少ない方を補助額とする方式のため、基準額に届かない買い物では5分の4が、基準額を超える買い物では基準額が天井になります。どちらに当たるかで自己負担が大きく変わるので、見積もりを取る前に自施設がどちらの側かを押さえておくと計画が立てやすくなります。
2. 令和8年度 奈良県の介護ソフト・ICT補助金の全体像
この補助金は国の地域医療介護総合確保基金を財源とする県の事業で、単独の「ICT補助金」ではなく、介護ロボットと一体の大きな枠組みの一部として運用されています。
地域医療介護総合確保基金とは、消費税増収分などを財源に、都道府県が医療・介護の提供体制の整備に充てる基金のことです。介護テクノロジーの導入支援は国が都道府県経由で行う仕組みになっており、国の枠組みは厚生労働省の介護テクノロジーの利用促進のページにまとまっています。制度全体の構造を先に押さえたい方は介護テクノロジー導入支援事業の全体像を読んでから本記事に戻ると理解が早いはずです。
奈良県では、この基金を使った補助を奈良県介護人材確保対策総合支援補助金という大きな枠にまとめています。県の説明では「県内で必要となる介護従事者の確保を図るため、地域医療介護総合確保基金を活用し、『介護人材確保対策総合支援補助金』を設け、運用しています」とされ、この枠の中に次のメニューが並んでいます。
- ソフト事業
- 介護職員初任者研修支援事業
- 介護テクノロジー導入・定着支援事業(令和7年度から。本記事が扱うメニュー)
- 介護ロボット・ICT導入支援事業(令和5・6年度の名称)
- 外国人介護人材確保現地活動支援事業
「ICT導入支援」という独立メニューはない
ここが奈良県を調べるときの最初のつまずきどころです。他県では「介護ロボット導入支援事業」と「ICT導入支援事業」が別メニューに分かれていることがありますが、奈良県の令和8年度は介護ロボットもICTも「介護テクノロジー導入・定着支援事業」という一本の事業の中にまとめられており、介護ソフト単体で申請する場合もこの事業に応募します。「奈良県 ICT導入支援事業」で検索して令和5・6年度のページにたどり着いても、それは旧名称のページです。
ICTが「重点機器」に位置づけられている
奈良県の公募要領には、予算超過時の選定基準として「重点機器」という考え方が置かれています。要領の注記は「『重点機器』・・・見守り機器、インカム、介護ソフト」です。つまり介護ソフトとインカムは、奈良県が優先的に採択したいと明示している機器にあたります。介護ソフトの導入を検討している施設にとっては、県の優先順位の面で追い風がある設計と言えます。具体的な順位の付き方は後述します。
令和7年度の実績から見る競争率
県が公表している過年度の応募・採択状況では、介護テクノロジー導入・定着支援事業は令和7年度が応募43者・採択35者でした。前身の介護ロボット・ICT導入支援事業は令和6年度が応募46者・採択21者です。年度によって採択率が大きく動いているため、「申請すれば通る」という前提では計画を立てないほうが安全です。要領にも「申請いただいた場合でも、必ずしも補助が受けられるものではありません」と明記されています。
3. 対象になる事業所と、対象になるICT機器・経費
対象は県内の介護事業所全般で、ICT側の対象経費は「介護ソフト本体」「ソフトと一体で使う端末・Wi-Fi」「インカム」「バックオフィスソフト」の4系統に整理できます。
対象事業者
公募要領は、対象事業者を「奈良県内に所在する以下の介護事業所・介護施設等」として、次の2つを挙げています。
- 介護保険法に基づくサービスを提供する全てのサービス事業所(訪問介護事業所や居宅介護支援事業所を含む)
- 老人福祉法に基づく養護老人ホーム及び軽費老人ホーム
特別養護老人ホームやデイサービスといった施設系だけでなく、訪問介護事業所・居宅介護支援事業所まで「全てのサービス事業所」として対象に含めている点が、奈良県の対象範囲の広さです。小規模な居宅介護支援事業所でも、介護ソフトの導入で申請できる設計になっています。なお奈良県に政令指定都市はなく、要領上も市町村による対象の区分けは設けられていません。奈良市など各市町村が独自に上乗せ補助を行っているかどうかは、本記事の確認時点では公式に確認できなかったため、お住まいの市町村の介護保険担当課にご確認ください。
ICTとして対象になる経費(要領の区分)
要領の別紙1は、対象事業を「ア」「イ」「ウ」に分けています。ICTに関係するのは次のとおりです。
| 区分 | 内容 | ICTでの具体例 |
|---|---|---|
| ア TAIS掲載の介護テクノロジー | 公益財団法人テクノエイド協会が提供する「福祉用具情報システム」(TAIS)に掲載され、「介護テクノロジー」として選定された機器等 | TAIS「介護業務支援」に掲載されている介護ソフト、インカム |
| イ 介護ソフトの定着促進支援 | 介護ソフトの導入に伴い一体的に使用するためのタブレット端末の購入費用やWi-Fi環境整備に必要な経費等 | 介護ソフトと一体的に使用するための情報端末(PC、タブレット端末。リース費用含む)/Wi-Fi環境整備に必要な経費(配線工事(有線LANの設備工事も含む)、モデム・ルーター、アクセスポイント、システム管理サーバー、ネットワーク構築等)/介護ソフトの導入前後に行うベンダーによるサポート費用 等 |
| ウ その他 | ①申請ができていない等の理由でTAISに未掲載だが、アの介護テクノロジーと機能等が同水準と奈良県が判断した機器等/②身体的負担の軽減や間接業務時間の削減等で有効と奈良県が判断した機器等 | バックオフィスソフト(電子サインシステム、給与、勤怠管理等) |
TAISは、国内の福祉用具製造・輸入事業者から企業および福祉用具の情報を収集して公開している情報システムです。テクノエイド協会のTAIS 介護テクノロジー一覧では、「移乗支援(装着)」「移乗支援(非装着)」「移動支援(屋外・屋内・装着)」「排泄支援(排泄物処理・排泄予測・検知・動作支援)」「見守り・コミュニケーション(施設・在宅・コミュニケーション)」「入浴支援」「介護業務支援」「機能訓練支援」「認知症生活支援・認知症ケア支援」「食事・栄養管理支援」といった区分で機器が検索できます。介護ソフトとインカムはこのうち「介護業務支援」の区分に該当するため、検討中の製品がTAISに載っているかを申請前に確認しておくと、区分の読み違いを防げます。どの製品を選ぶかで迷っている段階なら、介護記録ソフトの比較も参考になります。
台数の上限はないが、根拠は求められる
要領は「ア、イ、ウのいずれも、導入台数の上限は設けません」としています。ただし「導入台数の算出根拠を『介護テクノロジー導入計画書(様式4)』において示してください」とあり、タブレットを何台入れるかは自由に設計できる一方で、なぜその台数なのかを書面で説明する必要があります。フロアごとの職員配置や記録入力の動線など、台数の根拠になる材料を先に整理しておくと計画書が書きやすくなります。
対象外になる経費
要領の注記は、次のものを補助対象外としています。
- メンテナンス費用
- インターネット回線使用料等の通信費
- 保険料
- 非装着型の移乗支援機器に係る設置工事費
Wi-Fiの「工事費」は対象になる一方で、回線の「使用料」は対象外という線引きなので、ベンダーの見積書を項目ごとに分解しておく必要があります。また要領は「過年度に導入した機器等のランニングコストは対象になりません」とも明記しています。
4. 補助率と上限額:職員数で変わる介護ソフトの基準額
補助率は一律5分の4で、介護ソフト・バックオフィスソフトの基準額は申請時点の職員数に応じて4段階に分かれます。
補助額の計算方法
要領は「対象経費の実支出額に5分の4を乗じた額と下表に記載の補助基準額とを比較して、少ない方の額を補助額とします(消費税及び地方消費税を除く)」とし、「算出された額に千円未満に端数が生じる場合は、端数を切り捨てた額」としています。税抜で計算すること、そして基準額が「上限」として働くことの2点が、見積もりと稟議の数字を作るときの前提です。なお要領には「補助対象経費の精査又は配分額の調整等により減額することがあります」との記載もあり、申請額がそのまま交付されるとは限りません。
表3:介護ソフトおよびバックオフィスソフトの基準額
職員数に応じて必要なライセンス数が変動するなど、職員数により合計金額が変動する契約の場合の基準額です。第2欄は介護ソフト・バックオフィスソフトのみを導入する場合、第3欄は介護ソフトの導入と合わせて「イ(介護ソフトの定着促進支援)」も活用する場合の基準額です。
| 職員数(申請時点) | 基準額(ソフトのみ) | 基準額(イの支援も活用) |
|---|---|---|
| 1名以上10名以下 | 100万円 | 115万円 |
| 11名以上20名以下 | 150万円 | 165万円 |
| 21名以上30名以下 | 200万円 | 215万円 |
| 31名以上 | 250万円 | 265万円 |
職員数で金額が変動しない方式の契約の場合は、要領により一律250万円、介護ソフトの導入と合わせてイの支援を活用する場合は265万円が基準額とされています。タブレットやWi-Fi工事を一緒に入れると基準額が15万円上がる設計なので、ソフト単体で申請するよりも端末・ネットワークまで含めて計画したほうが枠を使い切りやすくなります。
ケアプランデータ連携システムによる5万円の加算
要領には加算の規定もあります。訪問介護事業所等の居宅サービス事業所または居宅介護支援事業所(介護予防も含む)であって、令和8年度中に「ケアプランデータ連携システム」により5事業所以上とデータ連携を実施する場合は、基準額に5万円を加算することとされています。居宅系の事業所にとっては、連携先を5事業所以上確保できるかどうかが基準額に直結します。実績報告の際にも、連携していることが確認できる書類(画面をプリントアウトしたもの等)の提出が求められます。
表2:機器区分ごとの基準額(ICT以外も含む全体像)
| 対象経費の種類 | 基準額 |
|---|---|
| TAISで「移乗支援(装着型・非装着型)」「入浴支援」に掲載されているテクノロジー、「介護業務支援」に掲載されているインカム 等(ウ②のバックオフィスソフト以外を含む) | 1台あたり100万円 |
| TAISで「介護業務支援」に掲載されている介護ソフト、ウ②で示す機器等のうちバックオフィスソフト | 1事業所あたり表3の2(上の職員数別の表)による |
| 上記以外のテクノロジー・機器等 | 1台あたり30万円 |
| イ(介護ソフトの定着促進支援)で示す費用 | 導入する介護ソフトの経費と合わせて表3の3による。※パッケージ型導入支援に合わせて対象とする場合、パッケージ型導入支援の上限に15万円上乗せ |
| パッケージ型導入支援(機器等の合計経費) | 1事業所あたり400万円以上、1,000万円以下(採択された事業の要望額総額に応じて、この範囲で決定) |
| 導入支援と一体的に行う業務改善支援 | 1事業所あたり48万円 |
インカムは「介護業務支援」掲載のものとして1台あたり100万円の行に明記されています。一方、重点機器のひとつである見守り機器は、この100万円の行に区分名として列挙されていないため「上記以外のもの」(1台あたり30万円)に当たると読めますが、最終的な適用区分は県の窓口でご確認ください。見守り機器そのものの選び方は見守りセンサーの比較・選び方で整理しています。
パッケージ型導入支援という選択肢
要領の別紙1の1(2)は「パッケージ型導入支援」を設けています。TAISで「介護業務支援」に分類されているテクノロジーと、それと連動することで効果が高まると判断できるテクノロジーをまとめて導入する場合の支援です。要領が挙げる例は「『介護業務支援』に該当する機器+『見守り・コミュニケーション』に該当する機器」「『介護業務支援』に該当する複数の機器」「介護ソフト+インカム」です。
介護ソフトとインカムを同時に入れる計画なら、単品の基準額を積み上げるのではなくパッケージ型として400万円以上1,000万円以下の枠で申請する道があります。応募時の要望額については、要領が「対象経費の支出予定額に5分の4を乗じた額と1,000万円とを比較して、少ない方の額を要望額としてください」と指示しています。ただし実際の上限は「採択された事業の要望額総額に応じて、この範囲で決定します」とされており、満額が保証される仕組みではありません。
業務改善支援は1事業所あたり48万円
要領の別紙1の1(3)は「導入支援と一体的に行う業務改善支援」です。生産性向上ガイドラインに基づき、生産性向上に係る支援について知識・経験を有する第三者から、個別の契約に基づき、①事前評価(課題抽出)②業務改善に係る助言・指導等 ③事後評価(導入後の定着支援を含む)等の支援を受ける費用が対象になります。要領は「メーカーや販売店等による機器の操作説明は対象としないこととする」と明記しています。

5. 申請の流れと令和8年度のスケジュール
提出はメール1本で完結しますが、書類は14点あり、うち2点は外部サービスの登録証跡が必要です。
提出書類(公募要領 9(1))
- 事業申請書(様式1の1)
- 計画書(様式2の1)
- 事業概要(様式3)
- 導入計画書(様式4)
- 所要額内訳書(様式5)
- 暴力団排除に関する誓約書(様式6)
- 応募者が地方公共団体以外の者である場合は、団体の概要がわかる資料(定款、寄付行為、役員名簿、直近の財務・活動状況がわかる資料等)
- 導入する製品のカタログ等(名称、機能がわかる書類)
- 見積書の写し等(金額がわかる書類)
- LIFE利用案内のはがきの写し又はLIFEにログイン後の画面をプリントアウトしたもの
- SECURITY ACTION自己宣言の申込後に受け取るメールをプリントアウトしたもの
- LIFEのCSV取込機能の対応状況確認書(参考様式1)※介護ソフトを導入予定の事業所
- ケアプランデータ連携標準仕様への対応状況確認書(参考様式2)※介護ソフトを導入予定の居宅介護支援事業所、介護予防支援事業所、居宅サービス事業所、介護予防サービス事業所
- 奈良県介護生産性向上総合相談センターへの相談を実施済みの場合は、当センターに提出した相談受付シート
介護ソフトを入れる事業所は12番の「LIFEのCSV取込機能の対応状況確認書」が、居宅系・居宅介護支援の事業所はさらに13番の「ケアプランデータ連携標準仕様への対応状況確認書」が追加で必要になります。どちらもベンダーに確認しないと書けない欄があるため、見積もり依頼のタイミングで同時に頼んでおくと手戻りがありません。LIFEとSECURITY ACTIONの2点も、申込から証跡が手元に届くまで日数がかかります。書類全般の考え方は補助金申請の流れ・必要書類にまとめています。
提出方法と提出先
提出方法は「メールによる提出」で、提出先は jinzaikakuho@office.pref.nara.lg.jp です。要領には「送信するファイルの容量が5MBを超える場合は、複数回に分けて送信すること。また、複数回に分けて送信する場合は、件名に『1/2』『2/2』などと記載し、分割して送信していることが分かるようにすること」という指定があります。カタログや見積書のPDFを添えると5MBは簡単に超えるため、分割送信の作法まで先に確認しておいてください。
予算超過時の選定基準(6段階)
要領10は、申請額が予算額を超過した場合の優先順位を次のとおり定めています。
- 過去に奈良県の介護テクノロジー導入・定着支援事業に関する補助金の交付を受けたことがない事業所の、重点機器を導入する申請
- 直近の補助実績が古い事業所の、重点機器を導入する申請
- 過去に奈良県の介護テクノロジー導入・定着支援事業に関する補助金の交付を受けたことがない事業所の、重点機器以外の機器を導入する申請
- 直近の補助実績が古い事業所の、重点機器以外の機器を導入する申請
- 過去に奈良県の介護テクノロジー導入・定着支援事業に関する補助金の交付を受けたことがない事業所の、業務改善支援に係る申請
- 直近の補助実績が古い事業所の、業務改善支援に係る申請
同順位の事業所がある場合は、①③⑤は抽選、②④⑥は過去の補助累計額が低い順で選定されます。この順位表は「初めて使う事業所が、介護ソフト・インカム・見守り機器のいずれかを入れる申請」を最上位に置いているため、まだ一度も使ったことがない事業所にとって介護ソフトの申請は最も優先度が高い組み合わせになります。選定結果は各応募者宛に文書で通知され、選定された事業については事業所名や事業内容が公開されます。
令和8年度スケジュールと逆算表
| 時期 | できごと | 施設側でやること |
|---|---|---|
| 令和8年7月28日(火)14時〜16時 | 生産性向上セミナー(応募要件1) | 参加。参加できなかった場合は、県の公募ページに掲載されたアーカイブ動画「令和8年度第1回介護現場における生産性向上研修会」を視聴しアンケートに回答 |
| 令和8年9月9日(水)必着 | 応募書類の提出期限(受付終了) | 14点の書類をメールで提出 |
| 令和8年11月中旬 | 選定結果(内示) | 文書通知を待つ。内示日から事業完了までの期間を確認 |
| 令和8年11月下旬 | 補助金申請 | 交付要綱に基づく交付申請手続き |
| 令和8年12月中旬 | 交付決定 | 交付決定通知の受領 |
| 令和9年1月31日(日) | 事業完了期限/契約・支払・納品の完了期限 | 導入・検収・支払まで完了させる |
| 事業完了の日から1ヶ月以内、又は令和9年1月31日のいずれか早い日 | 実績報告の提出 | 実支出額の証拠書類+サービス類型別の追加書類を提出 |
内示が11月中旬、完了期限が令和9年1月31日なので、内示後に動き出すと導入・検収・支払までの実働期間は実質2か月半しかありません。要領も「内示を受けた日から令和9年1月31日までの間に事業を完了する必要がありますのでご留意願います」と注意を促しています。
実績報告で追加になる書類
要領11は、実績報告の際に対象経費の実支出額の証拠書類のほか、次の書類が必要であり「提出がない場合は補助金を交付できません」としています。
- 【施設系サービス事業所】対象利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会の設置が確認できる書類(委員会の設置要綱、議事録等)
- 【居宅介護支援・居宅系サービス事業所】ケアプランデータ連携システムの利用を開始したことが確認できる書類(利用申請書の写し等)。ケアプランデータ連携システムにより5事業所以上とデータ連携を実施する場合は、連携していることが確認できる書類(画面をプリントアウトしたもの等)
施設系は「委員会の設置」が条件に組み込まれている点に注意が必要です。議事録が残る形で委員会を動かしておかないと、機器を入れて支払を終えていても実績報告が通らない設計になっています。導入月から委員会の開催記録を残す段取りを、計画段階で決めておいてください。
6. 奈良県ならではの注意点
奈良県には、他県の要領では見かけない独自ルールが6つあります。申請可否を左右するものが含まれるため、順に確認してください。
(1)応募要件は2つ。セミナーと相談センターの両方が必須
要領8は「応募においては、以下の要件のすべてを満たすことが必要です」として、次を挙げています。
- 【応募要件1】「介護現場における生産性向上の取組み普及セミナー」への参加(令和8年7月28日(火)14時〜16時)。参加できなかった事業所は、後日HPに掲載するアーカイブ動画を視聴のうえ、アンケートに回答することで応募可能。
- 【応募要件2】「奈良県介護生産性向上総合相談センター」への相談の実施。採択された事業所については、事業完了日(令和9年1月31日)までに、業務改善計画の作成や導入前後の活用等の相談を行うこと。
セミナーの案内は生産性向上セミナー 7/28(火)開催(奈良県 補助金の申請要件です)として公開されていました。参加できなかった事業所向けのアーカイブ動画は、奈良県の公募ページに【応募要件1】として「令和8年度第1回介護現場における生産性向上研修会」が掲載済みで(同ページ2026年8月20日更新)、これを視聴のうえアンケートに回答することで応募要件1を満たします。相談の申込にあたっては、相談受付シートを作成のうえ、公益財団法人介護労働安定センター奈良支部(奈良県介護生産性向上総合相談センター受託事業者)宛に seisansei29@kaigo-center.or.jp へメールで送付することとされています。相談窓口は〒630-8115 奈良市大宮町4丁目266-1 三和大宮ビル2階(公益財団法人介護労働安定センター奈良支部内)/TEL 0742-35-2701・FAX 0742-35-2707です(同センターの相談窓口案内)。応募要件2は「採択後、事業完了日までに」でよい設計なので、応募の時点で相談が終わっていなくても応募自体は可能です。ただし相談を実施済みなら、提出書類14番として相談受付シートを添える流れになります。
(2)「他の補助金の交付を受けていないこと」が応募要件
要領8(1)は、応募要件の筆頭に「他の補助金の交付を受けていないこと」を置いています。同じ介護ソフトの導入費用について、国のIT導入補助金など他制度から交付を受けている場合、奈良県のこの補助金には応募できない設計です。どちらを使うかは、基準額・補助率・スケジュールを比べて早い段階で決めておく必要があります。判断材料は介護テクノロジー補助金の完全ガイドに整理しています。適用の可否はケースによるため、迷う場合は応募前に県の窓口へご確認ください。
(3)交付申請日以前の経費も対象だが、内示前の発注はリスクが残る
補助金では「交付決定前の契約・発注は対象外」が原則ですが、奈良県の要領は別紙1の3(1)でこう書いています。「補助対象経費は令和8年4月1日から令和9年3月31日までの間の経費(消費税及び地方消費税を除く。)としますが、購入・リース等の契約、支払、納品は令和9年1月31日(日)までに完了してください。上記期間内の経費であれば交付申請日以前の経費も対象となります。」
つまり奈良県は、令和8年4月1日以降の経費であれば交付申請日より前に契約した分も対象経費に含められる、やや珍しい書き方をしています。ただしこれは「採択されれば遡って対象になる」という話であって、採択を保証するものではありません。内示前に発注すれば、不採択だった場合は全額が自施設の負担になります。実際に前倒しで動くかどうかは、不採択時の資金計画まで含めて判断し、個別の経費の扱いは必ず県の窓口に確認してください。なお「過年度に導入した機器等のランニングコストは対象になりません」という制限も併記されています。
(4)クラウド・リース・サブスクリプションは「支払金額」で判断する
月額・年額課金の介護ソフトをどこまで補助できるかは多くの施設が迷う点ですが、奈良県の要領は「購入形態による補助額の考え方」として明確に書いています。令和9年1月31日(日)までに支払われた、次の経費が補助対象です。
- 使用権の期限がないもの…全額
- 支払いが月額払いのもの…当該年度分
- 支払いが年額払いのもの…1年分
- 複数年の使用権契約のもの…複数年分
そのうえで要領は「補助金額については、使用権(ライセンス)期間で判断するのではなく、使用権(ライセンス)を購入した際の支払金額で判断します」と注記し、「例えば、使用権(ライセンス)が複数年の介護ソフトでも、令和9年1月31日(日)までに全額支払った場合は全額が補助対象となります」「一方、使用権(ライセンス)が複数年の介護ソフトでも支払金額が1年分(年払い)であれば、1年分の金額が補助対象となります」としています。
クラウド型の介護ソフトでも、複数年分を令和9年1月31日までに一括前払いすれば、その全額が補助対象になり得るという整理です。ベンダーと契約条件を詰めるときに、年払いと複数年一括払いのどちらにするかで補助対象額が変わります。なお端末のリース費用は、要領の別紙1の1(1)イで「PC、タブレット端末(リース費用含む)」と明記されているため対象です。
(5)同一法人からの応募事業所数に制限はない
要領13(2)は「同一法人からの応募事業所数に制限はありません」としています。複数の事業所を運営する法人は、事業所ごとに申請を出せます。基準額も「1事業所あたり」で設定されているため、法人単位ではなく事業所単位で枠を積み上げられる設計です。ただし予算超過時の選定は事業所単位で順位付けされ、過去に補助を受けた事業所は順位が下がります。法人本部でどの事業所から出すかを優先順位付けしておくと、採択の確率を考えた出し方ができます。
(6)賃金への還元の周知が求められる
要領の別紙1の4②は、本事業による介護テクノロジーの導入・活用により業務の改善・効率化等が進み、生産性向上が図られるとともに収支の改善が図られた場合には、職員の賃金へも適切に還元することとし、その旨を職員等に周知するよう求めています。これは実施要綱の「業務改善計画の作成及び効果の報告・公表」の効果の報告により確認されるとされています。
7. よくある質問
奈良県の介護ソフト・ICT導入補助金について、施設長・事務長から特に質問の多い5点にお答えします。
Q1. 令和8年度の申請はまだ間に合いますか?
令和8年度の提出期限は令和8年9月9日(水)必着で、本記事の確認時点(2026年11月1日)ではすでに受付が終了しています。現在は選定結果(内示)が11月中旬に通知される段階です。これから導入を検討する施設は、令和9年度の公募に備える前提で準備を進めるのが現実的です。ただし令和9年度の実施の有無・公募時期は公表されていないため、奈良県の公募ページを定期的に確認してください。過去3年は年度ごとに公募が行われていますが、次年度の実施を保証するものではありません。
Q2. 介護ソフトと一緒に買うタブレットやWi-Fi工事も対象になりますか?
要領の別紙1の1(1)イ「介護ソフトの定着促進支援」に、介護ソフトと一体的に使用するための情報端末(PC、タブレット端末。リース費用を含む)、Wi-Fi環境整備に必要な経費(配線工事(有線LANの設備工事も含む)、モデム・ルーター、アクセスポイント、システム管理サーバー、ネットワーク構築等)、介護ソフトの導入前後に行うベンダーによるサポート費用等が例示されています。イを活用すると職員数別の基準額が15万円上がります(例:31名以上なら250万円→265万円)。ただしインターネット回線使用料等の通信費は対象外です。
Q3. クラウド型の介護ソフト(月額・年額)はどこまで補助されますか?
月額払いは当該年度分、年額払いは1年分、複数年の使用権契約は複数年分が対象です。要領は「使用権(ライセンス)期間で判断するのではなく、使用権(ライセンス)を購入した際の支払金額で判断します」としており、令和9年1月31日までに複数年分を全額支払えば全額が補助対象になり得るとしています。支払のタイミングと支払金額が補助対象額を決めるため、契約前にベンダーと支払条件を詰めておくことが重要です。個別の契約形態の扱いは、奈良県の公式サイト(公募要領)でご確認ください。
Q4. 同じ法人で複数の事業所が申請できますか?
要領13(2)に「同一法人からの応募事業所数に制限はありません」と明記されています。基準額も「1事業所あたり」で設定されています。ただし予算超過時は、過去に奈良県のこの事業で補助を受けたことがない事業所が優先されるため、法人内で過去に採択実績のある事業所は順位が下がる点を見込んでおく必要があります。申請すれば必ず採択されるものではなく、審査(選定)があります。
Q5. 他の補助金と併用できますか?
要領8(1)は応募要件として「他の補助金の交付を受けていないこと」を挙げています。したがって同一の経費について他制度から交付を受けている場合、奈良県のこの補助金には応募できない整理です。国のIT導入補助金などと並行して検討している場合は、どちらを使うかを応募前に決める必要があります。具体的なケースの可否は、奈良県福祉保険部 地域包括支援課(TEL 0742-27-8039)にご確認ください。

8. まとめ:奈良県の介護ICT補助金で押さえるべき5点
令和8年度の受付は終了していますが、次年度に備えるうえで押さえるべき勘所は変わりません。
- 補助率は税抜対象経費の5分の4。介護ソフトの基準額は職員数別に100万・150万・200万・250万円、タブレットやWi-Fi工事まで含めると各+15万円(最大265万円)です。
- 対象は県内の全てのサービス事業所(訪問介護・居宅介護支援を含む)と、養護老人ホーム・軽費老人ホームです。
- 介護ソフト・インカム・見守り機器は「重点機器」として、予算超過時の選定で上位に置かれます。特に過去に補助を受けたことがない事業所が最優先です。
- 応募には「生産性向上セミナーへの参加」と「奈良県介護生産性向上総合相談センターへの相談」という2つの要件があります。
- 内示は11月中旬、完了期限は令和9年1月31日。実働期間が短いため、ベンダー選定と見積もり、LIFE・SECURITY ACTIONの証跡取得は夏までに終えておくのが安全です。
要件を満たせば申請できますが、審査(選定)があり、満額が交付されるとは限りません。金額や要件は年度ごとに変わるため、最新の情報は必ず奈良県の公式サイト(公募要領)でご確認ください。県全体の制度の並びは奈良県の介護補助金、申請実務の進め方は補助金申請の流れにまとめています。
近隣府県と制度設計を見比べたい方は、大阪府の介護補助金、京都府の介護補助金、兵庫県の介護補助金も参考になります。関西以外の設計まで比較するなら愛知県の介護補助金や東京都の介護補助金もご覧ください。
出典(公式情報)
- 令和8年度奈良県介護人材確保対策総合支援補助金(介護テクノロジー導入・定着支援事業)の公募について|奈良県
- 令和8年度奈良県介護人材確保対策総合支援補助金(介護テクノロジー導入・定着支援事業)公募要領(PDF)|奈良県
- 奈良県介護人材確保対策総合支援補助金について|奈良県
- 奈良県介護人材確保対策総合支援補助金交付要綱 別表(PDF)|奈良県
- 介護テクノロジーの利用促進|厚生労働省
- 福祉用具情報システム(TAIS)介護テクノロジー一覧|公益財団法人テクノエイド協会
- 生産性向上セミナー 7/28(火)開催(奈良県 補助金の申請要件です)|公益財団法人介護労働安定センター奈良支部
- 奈良県介護生産性向上総合相談センター相談窓口を開設しています|公益財団法人介護労働安定センター奈良支部
この記事は2026年11月1日時点の公式情報に基づきます。制度の内容・金額・期限は変更される場合がありますので、申請にあたっては必ず奈良県福祉保険部 地域包括支援課(TEL 0742-27-8039)および最新の公募要領をご確認ください。
