本文へ移動
和歌山補助金ナビ制度を知る。事業の選択肢を広げる。

北海道 介護ソフト・ICT導入補助金【令和8年度】上限265万円

株式会社Tip 運営者情報・編集方針 ↗
北海道 介護ソフト・ICT導入補助金【令和8年度】上限265万円
北海道 介護ソフト・ICT導入補助金【令和8年度】上限265万円

この記事は2026年11月2日時点の北海道の公式情報(交付要綱案・実施要綱案・留意事項・補助金FAQ Ver.2026)に基づきます。

「記録はまだ紙とExcel、請求は別ソフトに手入力」。北海道の介護現場で、いまだに一番時間を食っているのはこの転記作業ではないでしょうか。介護ソフトを入れ替えたい、タブレットを配りたい、ユニットにWi-Fiを飛ばしたい——やりたいことははっきりしているのに、補助金の資料を開くと「TAIS」「一気通貫」「ケアプランデータ連携」と見慣れない言葉が並び、結局あと回しになってしまう。

しかも北海道の制度は、介護ソフトの上限額が職員数で4段階に分かれるという独特の設計です。自施設がどの段に入るのかが分からないまま見積りを取ると、稟議の金額が後からひっくり返ります。

結論を3行で示します。

・北海道の介護ソフト・ICTの補助金は、単独の事業ではなく「令和8年度(2026年度)介護テクノロジー導入支援事業費補助金」の中の一区分として実施されています。

・補助率は4/5以内。介護ソフトの上限は1事業所あたり職員数に応じて100万〜250万円、タブレットやWi-Fiを含む「定着促進支援」まで行うと115万〜265万円です。

・令和8年度の事前協議は令和8年8月13日〜9月17日で受付を終了しています。次年度に向けた準備は、交付決定前の発注が対象外になる点から逆算して動くのが現実的です。

この記事では、北海道の公式PDF(交付要綱案の別表、実施要綱案、留意事項、全59問の補助金FAQ)だけを根拠に、(1)どの事業所が対象か、(2)介護ソフトに課される3つの技術要件、(3)職員数別の上限額、(4)Wi-Fi・タブレット・インカムをどの区分で申請するか、(5)事前協議から実績報告までの締切、(6)北海道特有の落とし穴、を順に整理します。とくに「Wi-Fi単独では申請できない」「タブレットだけの導入は対象外」という2点は、見積りの作り方そのものが変わるところなので、最後まで読んでから販売店に連絡することをおすすめします。

北海道庁赤れんが庁舎の外観
写真: User:STB-1 / Wikimedia Commons (CC BY-SA 3.0)

北海道の介護ソフト・ICT補助金の全体像

北海道では介護ソフトやICTだけを切り出した補助金はなく、介護ロボットと同じ「介護テクノロジー導入支援事業費補助金」の中で扱われます。

令和8年度(2026年度)の正式な事業名は「令和8年度(2026年度)介護テクノロジー導入支援事業費補助金」で、北海道の公式ページには「旧:介護ロボット導入支援事業費補助金」と併記されています。検索で「北海道 介護ソフト 補助金」と入れてもこの事業が出てきにくいのは、事業名に「ICT」も「ソフト」も入っていないためです。制度そのものの考え方は介護テクノロジー導入支援事業の全体像で整理していますので、国の枠組みから確認したい方はあわせてご覧ください。

交付要綱第2は、補助の対象となる事業を3つに分けています。(1)介護テクノロジー等の導入支援、(2)介護テクノロジー等のパッケージ型導入支援、(3)導入支援と一体的に行う業務改善支援です。介護ソフトは(1)の中の「ア(イ)『介護業務支援』に掲載されている介護ソフト」に、タブレットやWi-Fiは(1)の「イ 介護ソフトの定着促進支援」に位置づけられています。

ここで注意したいのが、留意事項2(1)の一文です。事業所等が申請できるのは「交付要綱第2(1)〜(2)の事業区分の内、いずれか1区分のみ」とされています。つまり、介護ソフトを(1)で申請しながら別の機器をパッケージ型(2)でも申請する、という使い方はできません。一方(3)の業務改善支援は(1)か(2)を実施する事業所が対象で、FAQ問45は「『導入支援と一体的に行う業務改善支援』のみの単独で補助申請することはできません」と明記しています。業務改善支援は、必ず機器導入とセットです。

交付要綱第1には、この補助金が「北海道補助金等交付規則(昭和47年北海道規則第34号)に規定するもののほか、この要綱の定めるところにより、予算の範囲内で交付する」とあります。要件を満たせば必ず交付されるものではなく、予算と審査の結果次第である点は、稟議書の前提として共有しておくべきところです。

対象になる事業所と、介護ソフトに課される3つの要件

対象は道内の介護サービス事業所全般と養護・軽費老人ホームに限られ、介護ソフトには一気通貫・ケアプラン連携・LIFEの3つの技術要件が重なります。

対象事業者の範囲

実施要綱2は、補助対象者を「北海道内に所在する」次の事業所としています。(1)介護保険法に基づく介護サービスを提供する全ての介護サービス事業所、(2)老人福祉法に基づく老人福祉施設(養護老人ホーム及び軽費老人ホームに限る)です。

この「全ての介護サービス事業所」の射程は、FAQでさらに広く確認されています。問53は、総合事業や共生型サービスの指定も含め、介護保険法に基づく指定を受けたサービス事業所の全てが対象になると答えています。問54は、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅について「介護サービス指定を受けている場合に限り、対象となります」としています。住宅型有料老人ホームやサ高住で特定施設の指定を持たない場合は、この一文に照らして自施設の指定状況を確認してください。

一方、問4は「これから開設する介護サービス事業所」について、事前協議書の提出時点で指定を受けており、かつ開設されている場合は対象、提出期限の翌日以降に指定を受けた場合は当年度の対象外、としています。開設準備と同時にソフトを入れる計画は、指定日と事前協議期限の前後関係が勝負になります。

なお実施要綱2には、補助対象者は「地域のモデルとなることから、各地域の他事業所や道から要請があれば、特段の支障がない限り、見学等を受け入れ、導入事例を他事業者へ紹介でき、道のホームページ等で公表することに同意できる事業者であること」という条件も書かれています。広い北海道で導入事例を横展開させる狙いがうかがえる、この県らしい規定です。

介護ソフトの技術要件

交付要綱第2(2)の※は、補助対象となる介護ソフトを「介護事業所等の業務を支援するソフトウェアであって、記録業務、情報共有業務(事業所内の情報連携のみならず、居宅サービス計画やサービス利用票等を他事業所と連携する場合を含む。)、請求業務を一貫して行うことが可能となっているものであること(転記等の業務が発生しないものであること)」と定義しています。これが俗に言う「一気通貫」です。記録だけ、請求だけのソフトは、この定義に当てはまりません。

さらにサービス種別によって要件が上乗せされます。居宅介護支援事業所・介護予防支援事業所・居宅サービス事業所・介護予防サービス事業所が介護ソフトを申請する場合は、公益社団法人国民健康保険中央会のベンダー試験結果および厚生労働省「介護ソフト機能調査」の結果において、(1)「ケアプランデータ連携標準仕様」に準じたCSVファイルの出力・取込機能を有していること、(2)中央会が運営する「ケアプランデータ連携システム」の活用促進のためのサポート体制が整っていることが確認できるものであることが必要です。

施設サービス事業所と地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護が申請する場合は、厚生労働省が情報提供する「介護ソフト機能調査の結果」において、科学的介護情報システム(LIFE)の「CSV連携仕様書(LIFE)」に準じたCSVファイルの出力機能を有していることが確認できるものであること、が条件です。LIFEとは介護サービスの内容や利用者の状態をデータで収集・分析する厚生労働省のシステムのことです。

これらの確認のため、北海道は申請時にベンダー記入の確認書3種類(介護ソフトに係る確認書、ケアプラン連携標準仕様への対応状況確認書、LIFEのCSV取込機能への対応確認書)の提出を求めています。見積りを依頼する段階で、販売店ではなくソフトのベンダーに「この3つの確認書を書けますか」と先に聞くのが、もっとも早い確度の見極め方です。製品そのものの選び方は介護記録ソフトの比較で整理しています。

なお交付要綱第2(2)には「システム更新の際の移行を迅速に行えるように、介護記録等のデータについては、CSVファイル、JSONファイル等、変換が容易なデータ形式で出力・入力できる機能を備えていることが望ましい」という一文もあります。これは要件ではなく努力目標ですが、ベンダー選定の比較軸としては有効です。

補助率4/5・上限額は「職員数」で決まる

北海道の介護ソフトは、1事業所の職員数に応じて上限額が4段階に分かれ、タブレットやWi-Fiまで含めると各段に15万円が上乗せされます。

交付要綱の別表に定められた区分と金額は次のとおりです。補助率はすべての区分で4/5以内です。

令和8年度 北海道 介護テクノロジー導入支援事業費補助金 区分別の補助上限額(交付要綱案 別表より)
区分 補助上限額 補助率
(1)ア(ア) TAIS掲載のうち「移乗支援(装着型・非装着型)」「入浴支援」の機器、「介護業務支援」掲載のインカム 1機器あたり1,000,000円 4/5以内
(1)ア(イ) TAIS「介護業務支援」掲載の介護ソフト(職員数によりライセンス数等が変動する契約で、機器のみを導入する場合) 職員数1〜10名:1,000,000円/11〜20名:1,500,000円/21〜30名:2,000,000円/31名以上:2,500,000円 4/5以内
(1)ア(イ) 同上(職員数に応じて合計金額が変動しない契約で、機器のみを導入する場合) 1事業所あたり一律2,500,000円 4/5以内
(1)ア(イ) 加算(訪問介護事業所等の居宅サービス事業所または居宅介護支援事業所(介護予防も含む)が、補助年度内に「ケアプランデータ連携システム」により5事業所以上とデータ連携を実施する場合) 上記上限額に50,000円を加算 4/5以内
(1)ア(ウ) TAIS掲載で(ア)(イ)以外の機器(見守り機器等) 1機器あたり300,000円 4/5以内
(1)イ 介護ソフトの定着促進支援(ア(イ)またはウ(イ)と併せて実施/職員数により変動する契約) 職員数1〜10名:1,150,000円/11〜20名:1,650,000円/21〜30名:2,150,000円/31名以上:2,650,000円 4/5以内
(1)イ 同上(職員数に応じて変動しない契約で、機器のみを導入する場合) 1事業所あたり一律2,650,000円 4/5以内
(1)イ 加算(ケアプランデータ連携システムで5事業所以上とデータ連携) 上記上限額に50,000円を加算 4/5以内
(1)ウ(ア) 道が認める機器のうち、移乗支援・入浴支援と同水準、インカムと同水準と判断した機器、バックオフィスソフト以外の機器 1機器あたり1,000,000円 4/5以内
(1)ウ(イ) 道が認める機器のうち、介護ソフトと同水準と判断した機器、バックオフィスソフト 職員数1〜10名:1,000,000円/11〜20名:1,500,000円/21〜30名:2,000,000円/31名以上:2,500,000円(変動しない契約は一律2,500,000円)/ケアプラン連携5事業所以上で50,000円加算 4/5以内
(1)ウ(ウ) 道が認める機器のうち、(ア)(イ)以外でTAIS掲載機器と同水準の機能を有すると判断した機器 1機器あたり300,000円 4/5以内
(2) 介護テクノロジーのパッケージ型導入支援 1事業所あたり10,000,000円 4/5以内
(3) 導入支援と一体的に行う業務改善支援 1事業所あたり480,000円 4/5以内

表のとおり、ICTだけを見るなら実務上の最大値は介護ソフト+定着促進支援の265万円+ケアプラン連携加算5万円=270万円(補助率4/5)ということになります。ただし交付要綱第6は、補助額を「補助対象経費の実支出額」と「総事業費から寄附金その他の収入を控除した額」の低い方に補助率を乗じた額とし、上限額の範囲内とすると定めています。上限額がそのまま受け取れる金額ではない点にご注意ください。算出額に1,000円未満の端数が生じた場合は切り捨てです。

職員数の数え方はFAQ問33が答えています。「原則、常勤換算数により算出し、居宅を訪問する介護サービス事業所は、実人数で算出してください」とされ、さらに「常勤換算数を算定する際の職員については、介護職員のほか、栄養士や事務職員等、直接ケアにあたらない職員であっても、介護ソフトを使用する見込のある職員については、常勤換算数の算定に含めても差し支えありません」と補足されています。10名と11名、20名と21名の境界に立つ施設では、事務職員を含めるかどうかで上限額が50万円変わります。

「職員数に応じて合計金額が変動する契約」の意味も、FAQ問52に定義があります。「介護ソフト及びバックオフィスソフトの導入にあたり、購入するアカウント数に応じて、ライセンス料が変動する場合のことをいいます」。アカウント課金型なら職員数別の表、サイト一括ライセンスのような契約なら一律250万円(定着促進支援込みで265万円)の側、という読み分けになります。

Wi-Fi・タブレット・インカムはどの区分で申請するか

北海道では通信環境整備の区分が廃止されており、Wi-Fiもタブレットも「単独では申請できない」のが最大のポイントです。

Wi-Fiは機器本体とセットでしか申請できない

FAQ問27は、令和6年度まで存在した通信環境整備(Wi-Fi環境等の整備)の補助区分が令和6年度で廃止されたことを明記し、「通信環境整備(Wi-Fi環境等の整備)単独で申請することはできません」と答えています。そのうえで「Wi-Fi環境等の整備については、介護テクノロジー機器等を導入する際に合わせて整備する場合に、『介護テクノロジー』又は『パッケージ型導入支援』の機器本体の導入費用とあわせて補助対象となります」としています。

つまり「今年はWi-Fiだけ整備して、来年ソフトを入れる」という分割プランは北海道では成立しません。交付要綱第2(1)イに挙げられた定着促進費用の例は、介護ソフトと一体的に使用するための情報端末(PC、タブレット端末。リース費用含む)、Wi-Fi環境を整備するために必要な経費(配線工事、Wi-Fi環境整備のために必要な有線LANの設備工事も含む。モデム・ルーター、アクセスポイント、システム管理サーバー、ネットワーク構築)、介護ソフトの導入前後に行うベンダーによるサポート費用等、です。有線LANの設備工事まで対象に含まれている点は、古い建物が多い道内の施設にとって実務的な意味があります。

申請書の書き方もFAQ問12が示しています。各導入計画書(介護テクノロジー・介護ソフト・パッケージ型)の「付帯設備の内容」の欄に、Wi-Fi工事と記載してください、とのことです。

タブレットだけの導入は対象外

FAQ問24は、既に介護ソフトを導入済みの事業所が新たにタブレット端末等やバックオフィス業務用のソフトのみを導入する場合について、「タブレット端末等の情報通信機器のみを導入する場合は、補助対象外となります」と答えています。さらに問34は「介護ソフトの定着促進費は、介護ソフトの導入に伴って発生する定着促進費用を見るものであり、介護ソフトを今回導入しない場合は対象外となります」としています。定着促進支援は、あくまで介護ソフト本体とセットの区分です。

対象になるタブレットの中身も問26に定義があります。「生産性向上に効果のあるハードウェアが対象であり、例えば、介護に関する記録を現地で完結でき、その場で利用者の情報を確認できるタブレット等が対象となります。なお、事業所に置く持ち運びを前提としていないパソコンやプリンターは対象外となります」。そして令和8年度の変更点として、「令和8年度から『1台あたりの補助上限額は10万円以内』の定めはなくなりましたが、情報端末機器を含めて基準額の範囲内での補助となります」と記されています。1台10万円の壁が外れたことで、頑丈な業務用端末や大型タブレットを選びやすくなった一方、総額の枠は変わらないため台数計画はシビアになります。

インカム・チャットツール・ナースコールの扱い

インカムはTAISの「介護業務支援」に掲載されていれば(1)ア(ア)の1機器100万円区分です。FAQ問29は「各種チャットツール(LINEワークス等)も補助対象となる場合があります」とし、TAIS掲載でないものは「道が認める機器」として対象となる場合がある、としています。

見守り機器とナースコールの関係は問28にあります。「導入する見守り機器とナースコールが一体的となっており、見守り機器を導入するにあたりナースコールが必要な設備となっている場合、『介護テクノロジー』の付帯経費として補助対象となります」。見守り機器そのものはTAIS掲載であれば(1)ア(ウ)の1機器30万円区分です。機種選定の考え方は見守りセンサーの比較・選び方にまとめています。

介護ソフトと見守りセンサーのように連動する機器を同時に導入する場合は、FAQ問44が「『パッケージ型導入支援』で申請してください」と指示しています。どちらの機器もTAIS選定機器であれば、パッケージ型(1事業所1,000万円)での申請です。一方「介護ソフト」+「移乗支援ロボット」のように連動しない組み合わせなら、『介護テクノロジー』か『道が認める機器』としてどちらか1つのみの申請になります。

なお「道が認める機器」については、留意事項に「事業所等が申請できるのは1機種のみ」という制限と、職員数別の基準額表(100万/150万/200万/250万円、ケアプランデータ連携5事業所以上で5万円加算)が掲げられています。例として挙げられているのは、職員の給与・勤怠管理等の機能を有するバックオフィスソフト、職員の身体的負担の軽減につながる機器(車イス用体重計、介護用ベッド等)、カスタマーハラスメント対策等として使用するカメラ付きICレコーダーです。FAQ問39は、道が認める機器を導入した際の付帯経費について「ウ①の機器(介護ソフトを除く。)のみ補助対象となります」としており、バックオフィスソフトを入れてもWi-Fi工事は付いてこない、という整理になります。

札幌市内の街並み
写真: 欅 (Keyaki) / Wikimedia Commons (CC BY-SA 3.0)

申請の流れと締切・逆算スケジュール

北海道は事前協議→内示→交付申請→交付決定→発注という順序で、交付決定前の発注は原則として補助対象外です。

令和8年度の実際の日程は、事前協議の受付が令和8年8月13日(木)〜9月17日(木)必着、事前登録の期限が令和8年8月31日でした。いずれも2026年11月2日時点で受付は終了しています。以降の日程は次のとおりです。

令和8年度の手続きと期限(留意事項4・交付要綱第18・北海道公式ページの事業スケジュールより。内示以降は道が公表した想定スケジュールで、審査の進捗状況等により前後する可能性があります)
段階 内容 期限・時期
事前登録 別に指示する方法による事前の登録 令和8年8月31日(受付終了)
事前協議 別に指示する書類の提出により事前協議を行う。導入計画書には、機器の導入により期待できる効果を具体的に記載すること。事業内容の確認のため、追加書類の提出を依頼する場合がある 令和8年8月13日〜9月17日必着(受付終了)
内示 採択(見込)事業所へ道から内示額が示される 令和8年11月中旬頃(想定)
交付申請 内示を受けた補助事業について、内示額の範囲内で交付申請を行う。交付要綱に定める様式(交付申請書・事業計画書・算出調書・経費の配分調書・事業予算書・資金収支計画書等)のほか、別に指示する書類を提出 令和8年11月中旬頃に受付(想定)
交付決定(指令日) 知事が審査し、交付すべきものと認めたときに交付決定 令和8年12月中旬以降順次(想定)
発注・契約・支出・納品 指令日(交付決定日)以前の発注・支出・契約・納品等は補助対象外 交付決定後
機器の導入 機器の導入は実績報告の期限までに完了 令和9年2月26日まで
実績報告 補助事業完了の日(機器が納品された日)から30日以内、または令和9年2月26日のいずれか早い日までに提出 令和9年2月26日まで
業務改善支援の実施 業務改善支援の取組は令和8年度内に実施している必要がある 令和8年度内
委員会の設置・ケアプラン連携開始・LIFE利用申請 いずれも令和8年度内(補助事業実績報告まで) 実績報告まで
効果報告 補助を受けた翌年度から3年間、業務改善計画に対する効果を報告 翌年度から3年間

この流れのうち、もっとも事故が多いのが発注のタイミングです。留意事項3は「指令日(交付決定日)以前の発注・支出・契約・納品等は補助対象としない」と明言し、FAQ問8も「交付決定後に購入(発注)した機器等のみ補助対象となります」と重ねています。年度初めに見積りを取り、そのまま発注してしまうと補助の対象から外れます。

ただし例外が1つだけあります。留意事項3のただし書きは「機器の納品に時間を要することが見込まれるなど、やむを得ないと認められる特段の理由がある時のみ、交付申請時の交付決定前着手届の提出により、内示日以降の発注・支出・契約等に限り対象経費として認めることがある」としています。納期の長い機器を使う場合は、交付申請の段階で着手届を出せるかを道に確認する価値があります。交付決定前契約の考え方全般は補助金申請の流れ・必要書類でも整理しています。

もう1つ、申請単位にも癖があります。FAQ問1は「事前協議・交付申請・実績報告は法人単位での申請となります。ただし、導入計画書は、事業所ごとに作成してください。なお、1事業所の基本的な考え方は、指定事業所ごととなります」と答えています。複数事業所を運営する法人では、本部が窓口を一本化し、事業所ごとに計画書を積み上げる体制が必要です。

なお、実績報告の根拠条文について、留意事項4(3)は「交付要綱第14に定める書類」と記載していますが、交付要綱本体で実績報告を定めているのは第18(第14は補助事業の中止又は廃止)です。条番号にずれがあるため、実際の提出書類は交付要綱第18と「別に指示する書類」の両方で確認してください。

北海道特有の注意点と落とし穴

併用不可・リース3年ルール・按分計算・業務改善支援の必須化・SECURITY ACTIONの5点が、北海道で稟議を通すときの要注意事項です。

他の補助金との併用はできない

FAQ問5は端的です。「併用はできません。他の助成金、補助金等を受けて導入する介護テクノロジー及び通信環境整備については、本事業における補助の対象とはなりません」。IT導入補助金など他制度との同時活用を前提にした計画は立てられません。一方で問6は「過去に本事業を活用した事業所や、既に他の補助金等により介護テクノロジー等の導入実績がある事業所が、補助の申請をすることは可能か」に対して「可能です」と答えています。過去に使ったことがあるかどうかではなく、今回の経費が他制度と重複しないかどうかが判断軸です。

ただし問15は、過去に補助を受けた機器そのものについて、問17に該当する機器(TAIS選定機器)であれば『介護テクノロジー』として対象、それ以外は『道が認める機器』として対象となる、と整理しています。また問31は「既に見守りセンサー等の介護テクノロジー機器を導入している事業所において、当該機器の付属品を追加で購入する費用」は補助対象外、問30は「介護リフトは既に導入済みで、スリングシートだけ導入した場合」も補助対象外としています。既存機器の買い足しは通りません。

リースは3年以上、支払いは当年度分のみ

FAQ問10は「本事業は、介護テクノロジー機器の導入後、原則3年間、導入後の使用状況及び効果を報告していただくこととなっていることから、リース又はレンタル期間については、3年を下回る契約は認められませんので、必ず3年以上に設定してください」としています。交付要綱第9-16も、購入機器を3年を経過せずに処分した場合、または3年以上のリース契約で導入し3年を経過せずにリース契約を解除した場合は、補助金を返還しなければならないと定めています。

クラウド型・月額課金型のソフトで悩ましいのが、どこまでが当年度の対象経費かです。問11が購入形態別に整理しています。(1)使用権の期限がないもの…全額、(2)支払いが月額払いのもの…当該年度分(内示通知後から当該年度分)、(3)支払いが年額払いのもの…1年分、(4)複数年の使用権契約のもの…当該年度内に支払う金額。購入形態(購入・リース)は問わず上記の整理になる、とされています。問20も「介護ソフトの5年間使用権(ライセンス)を購入する場合、令和8年度に全額支払った場合は、支払った経費全てが補助対象となります。毎年(1年分)を支払う場合は、令和8年度内に支払った分のみ補助対象となります」と重ねています。一括前払いにできるかどうかで、受けられる補助額が大きく変わるということです。

保守費用については問32が「介護ソフト等を導入する場合であって、当該介護ソフト等の導入に付帯して必要となる経費である場合は、補助対象となります」とし、クラウドサービス、保守・サポート費、セキュリティ対策などを例示しています。一方、交付要綱第4は保険料、消費税及び地方消費税を対象経費から除くと定めています。見積りは税抜きで組み立ててください。

併設事業所は按分、工事費には条件

FAQ問2は、同一敷地内に特別養護老人ホームと通所介護事業所が併設されている場合、「指定ごとに1事業所とカウントするため、併設されている場合は2事業所となります」としています。そのうえで問3は、併設事業所を含めて一括で同一の介護ソフト等を導入する場合や施設全体でWi-Fi環境を整備する場合について、「それぞれの事業所として申請すると補助対象経費が重複するような場合は、各事業所の職員数や定員数、面積等の合理的な計算により補助対象経費を按分した上で、それぞれの事業所で算出してください」と求めています。空床利用型の短期入所生活介護は本体施設と併せて1事業所とする、という例外も示されています。

工事費の扱いにも条件があります。問21は、設置工事費は「機器等の導入に付帯して必要となる経費」として補助対象としつつ、「交付要綱第2(1)アにより介護ソフト又はウ②の機器(バックオフィスソフト等)のみを導入する場合、工事費は補助対象外」としています。メーカーからの機器説明にかかる費用は、機器等の導入にあたり必ず必要となる場合に限り対象です。

また問16は「同一法人内にある関連会社からの機器購入(工事等含む)は、価格の適正性が確保できず、利益相反を防ぐ観点からも、原則、補助対象とは認められません」としています。グループ会社に発注する計画は避けてください。問13は、福祉用具貸与事業所が貸与するための福祉用具を購入する場合も補助対象外としています。

業務改善支援とSECURITY ACTIONは必須要件

交付要綱第2(3)は、(1)または(2)で介護テクノロジーを導入する場合、ア「コンサルティング会社等による業務改善支援」かイ「介護現場業務改善総合相談センター等による業務改善支援」のいずれかの支援を受けることを要件としています。アの支援は生産性向上ガイドラインに基づき、生産性向上に係る支援について知識・経験を有する第三者から、個別の契約に基づき、事前評価(課題抽出)、業務改善に係る助言・指導等、事後評価(導入後の定着支援も含む)等の支援を受けること。FAQ問47は、この第三者を「中小企業診断士等」と例示し、「販売店やメーカーによる機器説明は対象となりません」と明記しています。

イの支援は、北海道が設置する介護現場業務改善総合相談センターが実施する業務改善の取組に関する相談窓口の活用、研修の受講、伴走支援のいずれか、もしくは道が実施し本事業の業務改善支援にあたるとした研修、または厚生労働省が実施する「生産性向上ビギナーセミナー」「生産性向上フォローアップセミナー」「デジタル中核人材養成研修」を受けることです。FAQ問48は、研修は原則として介護テクノロジー等の導入前に受講するようにしてください、とし、過年度に全く同内容の研修を受講している場合には他の担当者が受講することを想定している、としています。問49によれば令和8年度は8月19日・20日に札幌(アクセスサッポロ)で現地開催が予定され、問51はオンデマンド配信の視聴をもって受講とみなすとしています。

さらに実施要綱3(5)は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の「★一つ星」または「★★二つ星」のいずれかを宣言することを求めています。SECURITY ACTIONとは、中小企業・小規模事業者等自らが情報セキュリティ対策に取組むことを自己宣言する制度です。事業所単位で単一の法人番号を有していない場合は、法人単位として、または事業所の代表者を「個人事業主」として申し込むこと、対象外の事業所については同等の対策を講じていることを宣言すること、とされています。

このほか実施要綱3は、業務改善計画の作成と翌年度から3年間の効果報告、施設系・居住系サービス事業所(実施要綱別表1)における「利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会」の設置、ケアプランデータ連携システムの利用開始、LIFEの活用、収支が改善した場合の職員の賃金への還元とその周知、厚生労働省への協力、業務改善計画書及び進捗状況の公表への同意、を補助要件として並べています。このうちケアプランデータ連携は令和8年度から運用が変わりました。FAQ問56は「昨年度までは利用登録をしていれば、事業所と連携を開始していなくとも要件を満たすこととしておりましたが、令和8年度より、データ連携の実績があることを要件としますのでご留意願います」と告知しています。利用開始(ケアプランの送受信を実施)は令和8年度内(補助事業実績報告まで)に行っている必要があります。一方LIFEについては問58が「利用申請していれば補助対象となります」としており、データ登録まではこの補助金の要件ではありません。

札幌市など市町村独自の上乗せ制度について

北海道には札幌市(政令指定都市)と旭川市・函館市(中核市)があります。実施要綱2が定める補助対象者は「北海道内に所在する」事業所であり、政令市・中核市の所在事業所を除外する規定は、今回確認した交付要綱案・実施要綱案・留意事項・FAQのいずれにも見当たりませんでした。一方で、札幌市等が独自に実施する介護ICT導入支援の上乗せ制度については、公式サイト上で確認できませんでした。市独自制度の有無は、各市の介護保険担当課にご確認ください。他の政令市を抱える自治体との比較は宮城県の介護補助金や愛知県の介護補助金が参考になります。

よくある質問

北海道の介護ソフト・ICT補助金について、現場から質問の多い5点を公式FAQの記載に沿って回答します。

Q1. 介護ソフトを入れずにWi-Fiやタブレットだけを整備したいのですが対象になりますか

対象外です。FAQ問27は通信環境整備(Wi-Fi環境等の整備)の補助区分が令和6年度で廃止され、「通信環境整備(Wi-Fi環境等の整備)単独で申請することはできません」としています。問24も「タブレット端末等の情報通信機器のみを導入する場合は、補助対象外となります」と答えています。Wi-Fiもタブレットも、介護ソフト等の機器本体の導入とセットでのみ補助対象になります。

Q2. 月額課金のクラウド型介護ソフトは、何か月分が補助対象になりますか

FAQ問11によれば、支払いが月額払いのものは「当該年度分(内示通知後から当該年度分)」が対象です。年額払いなら1年分、複数年の使用権契約なら当該年度内に支払う金額、使用権の期限がないものは全額が対象とされています。購入形態(購入・リース)は問わず同じ整理になります。なお問10により、リース・レンタルの契約期間は3年以上に設定する必要があります。

Q3. 職員数は誰を数えればよいですか。事務職員も含められますか

FAQ問33は「原則、常勤換算数により算出し、居宅を訪問する介護サービス事業所は、実人数で算出してください」としたうえで、「栄養士や事務職員等、直接ケアにあたらない職員であっても、介護ソフトを使用する見込のある職員については、常勤換算数の算定に含めても差し支えありません」としています。職員数は上限額の段(1〜10名/11〜20名/21〜30名/31名以上)を決める数値なので、算定根拠は事前協議の段階で道に確認しておくことをおすすめします。

Q4. IT導入補助金と合わせて使えますか

使えません。FAQ問5は「併用はできません。他の助成金、補助金等を受けて導入する介護テクノロジー及び通信環境整備については、本事業における補助の対象とはなりません」としています。ただし問6により、過去に本事業や他の補助金で導入実績がある事業所が今回申請すること自体は可能です。補助制度全体の使い分けは介護テクノロジー補助金の完全ガイドをご覧ください。

Q5. 要件を満たしていれば必ず採択されますか

いいえ。FAQ問7は「採択については、補助対象の可否や導入による業務改善効果、本事業の採択実績などを勘案し、予算の範囲内で行います。そのため、申請どおりの結果とならないことがありますので、予めご承知ください」としています。交付要綱第1も「予算の範囲内で交付する」と定めており、審査があります。導入計画書には、留意事項4(1)イのとおり機器の導入により期待できる効果を具体的に記載することが求められます。

まとめ

北海道の介護ソフト・ICT導入補助金は、職員数別の上限設計と「単独申請の禁止」という2つのルールを押さえれば、設計しやすい制度です。

要点を整理します。北海道の介護ソフト・ICTの補助は「令和8年度(2026年度)介護テクノロジー導入支援事業費補助金」の中の区分として実施され、補助率は4/5以内。介護ソフトは職員数に応じて100万〜250万円、タブレットやWi-Fiを含む定着促進支援まで行うと115万〜265万円が上限で、居宅系がケアプランデータ連携システムで5事業所以上と連携すれば5万円が加算されます。

一方で、Wi-Fiだけ・タブレットだけの申請はできず、既存機器の付属品追加も対象外。交付決定前の発注は原則として対象外で、リースは3年以上。業務改善支援は必須で、販売店やメーカーの機器説明では要件を満たしません。そして令和8年度からケアプランデータ連携は「登録」ではなく「実績」が要件になりました。

令和8年度の事前協議は令和8年8月13日〜9月17日で終了しています。次年度に向けては、(1)ベンダーに3種類の確認書を書けるか確認する、(2)職員数の常勤換算を固めて上限額の段を確定する、(3)業務改善支援をコンサル契約で受けるか相談センターの研修で受けるかを決める、(4)SECURITY ACTIONを宣言しておく、の4つを夏までに済ませておくと、事前協議の時期に慌てずに済みます。北海道全体の制度は北海道の介護補助金に、申請書類の考え方は補助金申請の流れにまとめています。他県の設計と比べたい方は東京都の介護補助金、大阪府の介護補助金もあわせてご覧ください。

最新の公募情報・様式・期限は、必ず北海道の公式ページ(公募要領・交付要綱)でご確認ください。この記事は2026年11月2日時点の公式情報に基づきます。要件を満たす場合でも審査があり、交付が保証されるものではありません。

出典


この記事の制作・監修
河原 将太(株式会社Tip 代表取締役社長)
国・和歌山県・各市町村の公式情報(公募要領・公式サイト)を確認したうえで制作しています。補助率・上限・締切は年度や公募回で変わるため、最新は各実施主体の公式サイトでご確認ください。 運営者情報 / 補助金を使ったWeb集客の無料相談(30分)
記事一覧へ戻る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

介護設備・ICT導入12ページ・無料PDF資料を受け取る ↗