本文へ移動
和歌山補助金ナビ制度を知る。事業の選択肢を広げる。

京都府の介護ソフト・ICT導入補助金【令和8年度】補助率4/5・上限額

株式会社Tip 運営者情報・編集方針 ↗
京都府の介護ソフト・ICT導入補助金【令和8年度】補助率4/5・上限額
京都府の介護ソフト・ICT導入補助金【令和8年度】補助率4/5・上限額

この記事は2026年11月5日(JST)時点の京都府公式情報(手引き・質問集)に基づきます。

「介護記録ソフトを入れ替えたい。ベンダーに見積りを取ったら、ライセンスとタブレットとWi-Fi工事で300万円を超えた」——京都府内の特別養護老人ホームやデイサービス、訪問介護事業所から、こうした相談が増えています。補助金を使いたいのは山々だけれど、どの制度を見ればいいのかが分からない、という段階で止まっている施設長・事務長の方は少なくありません。

無理もありません。「京都府 介護ソフト 補助金」で検索しても、府の事業名には「ICT」も「介護ソフト」も入っていないからです。令和8年度の正式名称は「令和8年度京都府介護テクノロジー等定着支援事業補助金」で、介護ロボットも介護ソフト・ICTもこの1本に統合されています。質問集の問1でも「介護テクノロジー等」とは「介護ロボット等」及び「ICT機器等」の総称だと定義されています。

先に結論を3行でお伝えします。

  • 介護ソフト・ICTに使えるのは令和8年度京都府介護テクノロジー等定着支援事業補助金(窓口:京都府健康福祉部地域福祉推進課)
  • 補助率は5分の4。介護ソフト・バックオフィスソフトは1事業所あたり職員数別で100万円〜250万円、定着促進支援の併用で+15万円、ケアプランデータ連携の要件を満たせば+5万円
  • 令和8年度の事前協議の提出期間は令和8年6月30日〜8月7日17時必着で、2026年11月5日時点では受付を終了しています

そして京都府には、他府県にはあまり見られない入口要件があります。手引きの「補助対象者」は、きょうと福祉人材育成認証制度に参画(宣言事業者以上)している府内の介護サービス事業所等に限られます。どれだけ良い介護ソフトを選んでも、ここを満たしていなければ土俵に上がれません。

この記事では、(1)補助対象になる事業所と入口要件、(2)介護ソフト・端末・Wi-Fi・インカムの補助額、(3)介護ソフトを対象にするための5つの申請要件、(4)申請の流れと逆算スケジュール、(5)京都府特有の注意点と京都市の扱い、を公式の手引き・質問集の原文に沿って整理します。介護ロボットを含む京都府全体の制度は京都府の介護補助金のページで扱っていますので、機器全般を検討中の方は先にそちらもご覧ください。

最後に、京都市内の事業所だけがぶつかる「府のもう1本の補助金は京都市を除く」という落とし穴も整理します。ここを知らずに動くと、使えない制度の要領を読み込んで時間を失うことになります。

京都府庁旧本館の外観
写真: Hunini / Wikimedia Commons (CC BY-SA 4.0)

【結論】京都府の介護ソフト・ICT導入補助金の基本情報

令和8年度の京都府で介護ソフト・ICT機器に使える補助金は1本で、補助率4/5・事前協議は法人単位という設計です。

まず全体像を押さえます。この補助金の趣旨は、手引きの原文で「新たな技術を活用した介護テクノロジーは、介護における身体的負担の軽減や業務の効率化に有効です。介護従事者が継続して就労するための環境整備にご活用いただく介護テクノロジーの導入に係る費用に対して補助金を交付します」と書かれています。つまり主語は「介護従事者が働き続けられる職場づくり」であって、利用者への効果を謳う制度ではありません。申請書の書き方もこの軸に合わせるのが自然です。

補助対象事業は3つに分かれています。(1)介護テクノロジー等導入支援事業、(2)介護テクノロジー等のパッケージ型導入支援事業、(3)介護テクノロジー等の導入と一体的に行う業務改善支援事業——の3本立てで、介護ソフト・ICTは原則(1)に入ります。(1)はさらに「ア 介護テクノロジーの導入支援」「イ 介護ソフトの定着促進支援」「ウ その他」に枝分かれしており、ICT記事の読者にとってはこの「ア・イ・ウ」の区別が最重要です。

なお、この種の補助金は国の地域医療介護総合確保基金(都道府県に設けられた基金から介護人材確保や職場環境整備の事業に充てられる仕組み)を財源とする県が多いのですが、京都府の手引き・質問集には財源名の記載がありません。制度の背景や国側の整理を確認したい場合は、厚生労働省の介護テクノロジーの利用促進のページが起点になります。国全体の枠組みは介護テクノロジー導入支援事業の全体像でも解説しています。

事業名 令和8年度京都府介護テクノロジー等定着支援事業補助金
実施主体 京都府 健康福祉部 地域福祉推進課(福祉人材・法人指導係)
対象施設 きょうと福祉人材育成認証制度に参画(宣言事業者以上)し、(ア)京都府内の介護サービス事業所、(イ)京都府内の養護老人ホーム又は軽費老人ホームに該当する事業所
対象機器(ICT関連) 介護ソフト、バックオフィスソフト(電子サインシステム、給与、勤怠管理等)、インカム、見守り・コミュニケーション機器、介護ソフトに伴うPC・タブレット端末・Wi-Fi環境整備、ベンダーによるサポート費用 ほか
補助率・上限 補助率5分の4(1,000円未満切捨て)。介護ソフト・バックオフィスソフトは1事業所あたり職員数別100万〜250万円(+定着促進支援15万円、+ケアプランデータ連携5万円)。パッケージ型は1事業所1,000万円、業務改善支援は1事業所48万円
申請期間(事前協議) 令和8年6月30日(火)〜令和8年8月7日(金)17時必着 ※2026年11月5日時点で受付終了
事業実施期間 交付決定日から令和9年2月28日(日)まで
窓口 京都府健康福祉部地域福祉推進課 福祉人材・法人指導係(〒602-8570 京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町/電話075-414-4678/FAX075-414-4615/chifukuhojyo2@pref.kyoto.lg.jp)
導入計画書の相談窓口:京都府介護・福祉職場業務改善支援センター(受託会社:株式会社エイデル研究所/電話075-253-0201/kyoto-seisansei@eidell.co.jp/受付時間 平日10時30分〜16時30分)
公式URL 令和8年度京都府介護テクノロジー等定着支援事業補助金(京都府)

注意点として、公式ページのURLは「r6kaogoroboict.html」と令和6年度を思わせる文字列ですが、掲載されている手引き・質問集はいずれも令和8年度版です。過去年度のPDFを拾ってしまわないよう、必ずこのページから最新版をダウンロードしてください。

補助対象になる京都府内の介護事業所と、見落としやすい入口要件

京都府の最大の特徴は、機器の話に入る前に「認証制度への参画」という事業者側の要件が課されている点です。

きょうと福祉人材育成認証制度に「宣言事業者以上」で参画していること

手引きの補助対象者には、「きょうと福祉人材育成認証制度に参画(宣言事業者以上)し、以下のア又はイに該当する事業所」と明記されています。介護ソフトの導入計画がどれだけ精緻でも、認証制度に未参画であれば事前協議の土俵に乗りません。質問集の問9では、宣言手続の問い合わせ先として京都府福祉人材サポートセンター事務局(電話075-693-8703)が案内されています。令和9年度以降に申請を検討している法人は、公募開始を待つのではなく、この宣言手続から先に着手しておくのが現実的です。

有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅の扱い

質問集の問23は「有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅は対象になるか」という問いに対し、「『特定施設入居者生活介護』の指定を受けている場合のみ対象となります」と回答しています。住宅型有料老人ホームやサ高住で特定施設の指定を受けていない場合は対象外になりますので、申請前に指定の有無を確認してください。また問22では、まだサービスを提供していない事業所について「交付申請時までに、指定等を受け、サービスを開始している必要があります」とされています。

事業所の数え方と、複数事業所をまとめる単位

介護ソフトは複数事業所に横展開することが多いため、「1事業所」の数え方が補助額に直結します。質問集の問3では、同一敷地内に特別養護老人ホームと通所介護事業所が併設されている場合について「指定ごとに1事業所となるため、併設されていても2事業所とカウントします」と回答しています。指定単位で数えるため、併設型の法人ほど介護ソフトの限度額を積み上げやすい設計です。

一方で、問2のとおり事前協議も補助金の申請も法人単位で行います。複数の介護サービス事業所で申請する場合は、導入計画書および所要額調書を事業所ごとに別葉とする必要があります。ただし空床利用型の短期入所生活介護または短期入所療養介護は、別葉とする必要はありません。問24では1法人から複数事業所の申請が可能であることが明示され、書類の単位も整理されています(事前協議書は法人単位、導入計画書・所要額調書・見積書・カタログは事業所単位)。この書類単位の考え方は補助金申請の流れ・必要書類で解説している一般的な流れと合わせて読むと整理しやすくなります。

京都府の介護ソフト・ICTはいくら出るか【令和8年度の限度額表】

補助率は一律5分の4で、限度額は「1台あたり」と「1事業所あたり」の2系統に分かれます。

補助金の額は、手引き(7)のとおり「補助対象経費に5分の4を乗じて得た額(1,000円未満の端数が生じた場合の端数は、切り捨てる。)及び補助限度額を比較していずれか少ない額を限度」とされています。つまり限度額は「必ずもらえる額」ではなく天井です。実際の交付額は対象経費×4/5と限度額の小さい方になります。

区分 対象(手引きの原文に沿った分類) 補助限度額
1台あたり30万円 移動支援機器(屋外、屋内、装着)/排泄支援機器(排泄物処理、排泄予測・検知、動作支援)/見守り・コミュニケーション機器(施設)/見守り・コミュニケーション機器(在宅)/見守り・コミュニケーション機器(コミュニケーション)/介護業務支援機器(介護ソフト及びインカムを除く。)/機能訓練支援機器/認知症生活支援・認知症ケア支援機器/食事・栄養管理支援機器 1台当たり30万円
1台あたり100万円 移乗支援機器(装着、非装着)/入浴支援機器/介護業務支援機器(インカムのみ)/「①ウ その他」に該当する機器(バックオフィスソフトを除く。) 1台当たり100万円
介護ソフト・バックオフィスソフト
(職員数に応じて合計金額が変動する契約)
1事業所当たり。職員数は常勤換算で算出 1名以上10名以下:100万円
11名以上20名以下:150万円
21名以上30名以下:200万円
31名以上:250万円
介護ソフト・バックオフィスソフト
(上記以外の方式の契約)
1事業所当たり 一律250万円
介護ソフトの定着促進支援の加算 介護ソフトの導入と合わせて「①イ 介護ソフトの定着促進支援」を活用する場合 基準額に+15万円
ケアプランデータ連携の加算 訪問介護事業所等の居宅サービス事業所又は居宅介護支援事業所(介護予防も含む)であって、令和8年度中に「ケアプランデータ連携システム」により5事業所以上とデータ連携を実施する場合 基準額に+5万円
②パッケージ型導入支援事業 複数機種のテクノロジーを連動させることで効果が高まると判断できる機器等 1事業所当たり1,000万円(介護ソフトの定着促進支援を活用する場合は+15万円)
③業務改善支援事業 コンサルティング会社等による業務改善支援 1事業所当たり48万円

京都府ではバックオフィスソフトが「介護ソフトと同じ表」に入る

見落とされやすいのがバックオフィスソフトの扱いです。手引きの100万円区分には「『①ウ その他』に該当する機器(バックオフィスソフトを除く。)」というただし書きがあり、バックオフィスソフトだけが切り出されて介護ソフトと同じ職員数別の表に入ります。電子サインシステム・給与・勤怠管理といったバックオフィスソフトも、京都府では職員数に応じて最大250万円の枠で読むことになります。

ただし落とし穴があります。手引きの「①ウ その他」には「※機器等の導入に付帯して必要となる経費は対象外です」と明記されています。つまり勤怠管理ソフトを入れるために買う端末やWi-Fi工事は付帯経費として計上できません。一方で「①ア 介護テクノロジーの導入支援」と「②パッケージ型」には、機器等の導入に付帯して必要となるPCやタブレット端末の導入費用、Wi-Fi環境整備に必要な経費等も付帯経費として計上できる、と書かれています。どの枝(ア・イ・ウ)で申請するかによって、端末とWi-Fiが乗るかどうかが変わる——ここが京都府の設計で最も神経を使う部分です。

端末・Wi-Fi・ベンダーサポートは「①イ」で読む

介護ソフトとセットで端末やWi-Fiを整備したい場合の受け皿が「①イ 介護ソフトの定着促進支援」です。手引きの原文では、対象として「介護ソフトの導入に伴い一体的に使用するためのPCやタブレット端末の導入費用、Wi-Fi環境整備に必要な経費、介護ソフトの導入前後に行うベンダーによるサポート費用等」が挙げられています。これを活用する場合に基準額へ15万円を加算できるという構造です。介護ソフト本体をどう選ぶかは介護記録ソフトの比較、見守り機器との組み合わせは見守りセンサーの比較・選び方も併せて検討材料にしてください。

インカムは100万円区分、見守りは30万円区分

ICT機器のうち判断に迷いやすいのがインカムです。京都府の表では「介護業務支援機器(インカムのみ)」が1台あたり100万円区分に置かれ、「介護業務支援機器(介護ソフト及びインカムを除く。)」は30万円区分に置かれています。見守り・コミュニケーション機器は施設・在宅・コミュニケーションの3分類すべてが30万円区分です。なお「介護業務支援」の定義は質問集の問8で「介護業務に伴う情報を収集・蓄積し、それを基に、高齢者等への介護サービス提供に関わる業務に活用することを可能とする機器・システム」とされ、具体的な機器は公益財団法人テクノエイド協会が提供する福祉用具情報システム(TAIS)で確認するよう案内されています。TAISは福祉用具の企業情報・製品情報を検索できるデータベースで、介護テクノロジーの分類もここで確認できます。

京都市中京区のオフィス街
写真: Ebiebi2 / Wikimedia Commons (CC BY-SA 4.0)

介護ソフトを補助対象にするための5つの申請要件

京都府は申請要件をア〜オの5つに整理しており、ICT・介護ソフト導入の場合はそのほとんどが関係します。

ア:生産性向上セミナーの受講と導入計画書の策定

1つ目は「生産性向上に関するセミナーを受講のうえ、導入計画書を策定し、取組を進めること」です。質問集の問17では対象セミナーが具体的に列挙されており、厚生労働省委託事業の「生産性向上ビギナーセミナー」「生産性向上フォローアップセミナー」、京都府が実施する「テーマ別セミナー 福祉業界のDXリテラシー 〜基礎編〜」「同 〜AI編〜」「スキルアップ研修会 リーダーのための生産性向上スキルアップ研修」、京都府介護・福祉職場業務改善支援センター主催の「生産性向上推進セミナー」が挙げられています。令和8年6月24日に開催された「〜超入門編〜」の参加事業所、令和8年6月11日及び19日の推進セミナー参加事業所は、改めて受講する必要はないとされています。

受講時期も指定があり、問18では「効果的な機器等の導入につなげるため、原則として補助金の導入計画書を作成する前に受講してください」とされています。確認方法は問19のとおり、報告書や復命書等で研修受講者名・受講日・受講内容が分かるものを交付申請時に提出(様式は任意)します。セミナー受講は申請直前に慌てて埋められる要件ではなく、計画書作成より前という順序が指定されている点に注意してください。

イ:科学的介護情報システム(LIFE)への協力

2つ目は「科学的介護情報システム(LIFE)による情報収集に協力している又は介護テクノロジー導入後にLIFEに協力予定であること」です。LIFEは介護サービスの実施内容を事業所が提出し、フィードバックを受け取る国のシステムです。質問集の問10では、想定される内容として「介護ソフトを用いて当該システムへ利用者の情報やサービス提供に関する内容を提出することや当該システムからフィードバックを受けた情報からサービスの実施状況・結果の把握、利用者像や利用者の課題の把握を行うこと等」と説明されています。

ウ:SECURITY ACTIONによるセキュリティ対策の自己宣言

3つ目は「セキュリティ対策自己宣言制度に基づき、その運営する介護サービスに関する情報セキュリティ対策に取り組むことを宣言していること」です。質問集の問11では、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施するSECURITY ACTIONの「★一つ星」又は「★★二つ星」のいずれかを宣言していることが補助対象要件になると明記されています。SECURITY ACTIONは中小企業・小規模事業者等が自ら情報セキュリティ対策に取り組むことを自己宣言する制度です。なお申込方法は2026年4月1日の「SECURITY ACTION管理システム」公開に伴って変更されているため、申込の手順や費用の有無はIPA(独立行政法人情報処理推進機構)の公式サイトでご確認ください。介護ソフトやクラウドを入れる以上、この宣言は補助金の有無にかかわらず整えておきたい土台です。

エ:委員会の設置(対象サービスに該当する場合)

4つ目は「特定のサービスについては、利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会(名称は問わない。)を設置すること」です。質問集の問12では該当サービスとして、短期入所生活介護、短期入所療養介護、特定施設入居者生活介護、小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護)、地域密着型介護老人福祉施設、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、介護予防短期入所生活介護、介護予防短期入所療養介護、介護予防特定施設入居者生活介護、介護予防小規模多機能型居宅介護、介護予防認知症対応型共同生活介護が列挙されています。

オ:ケアプランデータ連携システムの利用開始とデータ連携の実績

5つ目は「特定のサービスについては、『ケアプランデータ連携システム』(『介護保険資格確認等WEBサービス』に統合された場合は当該サービス)の利用を開始し、データ連携の実績があること」です。カッコ書きで「『居宅介護支援費に係るシステム評価検討会』において、ケアプランデータ連携システムと同等の機能とセキュリティを有するシステムとして認められたものを含む。」とされています。質問集の問13には対象サービスが訪問介護・訪問入浴介護・訪問看護・通所介護・居宅介護支援・福祉用具貸与など多数列挙されており、居宅系・訪問系・通所系の事業所はほぼ該当すると考えてよい範囲です。「利用予定」ではなく「データ連携の実績があること」が要件なので、公募を待ってから着手すると間に合いません。

なお、介護ソフトそのものの機能要件は質問集の問15が決定版です。「記録業務、情報共有業務(事業所内の情報連携のみならず、居宅サービス計画やサービス利用票等を他事業所と連携する場合を含む。)、請求業務を一気通貫で行うことが可能となっているものであり、転記等の業務が発生しないものであることを確認してください」とされ、「既に導入している介護ソフト等と組み合わせて一気通貫が実現できていれば差し支えありません」という救済も明示されています。加えて、居宅介護支援・介護予防支援・居宅サービス・介護予防サービス事業所は「ケアプランデータ連携標準仕様」に準じたCSVファイルの出力・取込機能と、国保中央会が運営するケアプランデータ連携システムの活用促進のためのサポート体制を販売元等に確認すること、施設サービス事業所等は厚生労働省の「介護ソフトの機能調査結果」においてLIFEの「CSV連携仕様書(LIFE)」に準じたCSVファイルの出力機能を有することを確認することが求められています。この「一気通貫」「CSV出力」の2点は、ベンダーに見積りを依頼する段階で書面確認しておくべき項目です。

申請の流れと令和8年度スケジュール・次年度に向けた逆算表

京都府は事前協議制で、交付申請ができるのは内示を受けた法人に限られます。

流れは「事前協議 → 内示 → 交付申請 → 交付決定 → 事業実施 → 実績報告 → 額の確定 → 導入効果報告」です。手引きの「3 交付申請」には「交付申請は内示を受けた法人に限ります。提出書類、提出期限については、別途通知します。」「なお、内示を受けた内容を変更することは、原則できません。」と書かれています。事前協議の段階で機器構成をほぼ確定させる必要があり、後から機種や台数を差し替える前提では組み立てられません。

時期(令和8年度実績) やること 根拠・備考
通年(公募前) きょうと福祉人材育成認証制度の宣言手続/SECURITY ACTION宣言/ケアプランデータ連携の利用開始 補助対象者・申請要件ウ・オ。公募開始後では間に合わない項目
令和8年6月11日・19日・24日ほか 生産性向上に関するセミナーを受講 質問集 問17・問18(導入計画書作成前に受講)
公募前〜事前協議まで 導入計画書の作成(相談先:京都府介護・福祉職場業務改善支援センター) 手引き 2(1)
令和8年6月30日(火)〜8月7日(金)17時必着 事前協議書・導入計画書・所要額調書・見積書(写し)・カタログを提出(郵送・持参又はメール) メール件名は「(法人名)R8介護テクノロジー等定着補助金事前協議書」
後日(日程は非公表) 内示。選定結果を文書で通知(選定されなかった場合も通知) 手引き 2(5)
別途通知 交付申請(内示を受けた法人に限る)。セミナー受講が分かる書類も提出 手引き 3/質問集 問19
交付決定日〜令和9年2月28日(日) 事業実施期間。機器の導入・支払いまでを完了させる 手引き 2(3)
指定の期日まで 実績報告書を提出 → 審査のうえ交付額を確定し補助金を交付 手引き 6・7(具体的な期日は通知による)
令和9年4月9日/令和10年4月10日/令和11年4月10日 導入効果報告書を提出(それぞれ前年度分) 手引き 8。内容は厚生労働省のホームページで公表

導入効果の報告が3年にわたって続く点は、稟議書に必ず書いておきたい事項です。導入して終わりではなく、令和11年春まで報告義務が残ります。報告書の作成担当を決めずに申請すると、担当者の異動時に抜け落ちます。

京都府ならではの注意点——優先採択・併用・リース・按分

同じ国の枠組みを使っていても、優先採択の基準や経費の按分ルールは京都府独自です。

見守り機器・インカム・介護ソフトは優先採択の対象

手引きの「2 事前協議」には、要件を満たす申請が予算額を超えた場合の優先順位が2段階で書かれています。第1に「過去に京都府介護テクノロジー等定着支援事業、京都府介護ロボット等導入支援事業補助金又は京都府地域密着型サービス等整備等助成事業補助金の交付を受けて介護テクノロジー等を導入した実績のない法人・事業所を優先して採択します」。第2に「見守り機器・インカム・介護ソフトを導入する法人・事業所を優先して採択します」。つまり京都府は、ICT・介護ソフト系の申請を政策的に優先する姿勢を公式に明示しています。質問集の問21でも同じ内容が繰り返され、「なお、交付額の調整(減額)を行うことがあります。」と付記されています。予算の範囲内での交付であり、要件を満たせば必ず採択されるわけでも満額が出るわけでもない点は押さえておいてください。

他の補助金との併用は「要件・対象経費が同一なら不可」

手引きの「9 注意事項等」には、「国、地方公共団体又は民間団体からの補助金、交付金その他の給付金(本補助金及び『1 募集概要(2)①ウ』に掲げる事業を対象として市町村が交付する補助金を除く。)の交付を受けて実施する事業については、補助金の交付の対象としません。」とあります。質問集の問20はより運用寄りに、「他の補助金の補助要件や補助対象経費が同一のものである場合は、本事業の補助対象とはならないのでご注意ください。」と整理しています。IT導入補助金など国の他制度と同一の経費を二重に充てることはできません。

リース・複数年ライセンスは「事業実施期間の支払額」で見る

クラウド型の介護ソフトやリース契約は、どこまでが対象かが毎年の論点になります。質問集の問4は「年度途中から補助対象機器等のリースを行う場合の補助対象となる期間」について、「リースの場合には、一定期間ごとにリース代の支払が想定されますが、補助金申請年度の2月末までの経費を対象としています」と回答しています。問6はさらに踏み込み、「介護ソフト等の補助額の考え方は『補助対象額=事業実施期間における支払金額』となります。例えば、使用権(ライセンス)が複数年の介護ソフトでも、事業実施期間に全額支払った場合は全額が補助対象となります」としています。複数年ライセンスを事業実施期間内に一括で支払えば全額が対象になるという解釈は、見積り条件の組み立てに直結します。

なお対象経費は「備品購入費、使用料、賃借料及び設置工事費等」で、メンテナンス費用、インターネット回線使用料等の通信費、運搬費、保険料並びに消費税及び地方消費税は除かれます(質問集 問5でも「消費税は対象外」と明示)。月額のサポート保守や回線料は対象外になるため、ベンダー見積りの内訳を分けてもらう必要があります。

Wi-Fi・端末の按分と、1ソフト複数事業所の見積書

所要額調書の書き方も京都府は具体的です。質問集の問25は「見守り支援機器とWi-Fiを導入する場合」について、「見守り支援機器とWi-Fiの経費を見守り支援機器の導入台数で按分した金額を所要額調書に入力してください」と指示しています。また問16は「一つの介護ソフトを複数の事業所で導入する場合」について、「原則として見積書は事業所ごとに作成してください。同一法人で一つの介護ソフトを導入し、複数の事業所で使用する場合等は、職員数等で按分のうえ、事業所ごとに計上してください。なお、その際には、按分したことが分かる資料を添付してください」としています。按分根拠の資料を自分で用意する必要がある点がポイントです。

職員数の数え方は問14が根拠で、「申請時点における常勤換算方法により算出された人数」とされ、「その職員数には、ICTの活用が見込まれる管理者や生活相談員等の職員も算入いただいて差し支えありません」と明記されています。常勤換算で20.5名と21.0名では限度額が50万円変わりますので、管理者・生活相談員を算入するかどうかは実務上大きな差になります。

事前着手届を出せば令和8年4月1日以降の着手が可能

多くの県では交付決定前の契約・発注は対象外ですが、京都府には例外ルートがあります。手引きの「4 補助事業の事前着手」には、「交付決定日後の事業着手が原則ですが、『事前着手届』の提出により、令和8年4月1日以降の着手が可能です。ただし、内示前に事前着手されても交付を保証するものではありません。」と書かれています。事前着手届という手続を踏めば年度当初に遡れますが、採択を保証するものではないため、自己資金で負担できる範囲に留めるのが安全です。手続なしで先に発注してしまうと通常どおり対象外になります。

京都市内の事業所が押さえる2つの制度

政令指定都市である京都市の事業所は、府の制度と市の制度を切り分けて考える必要があります。

まず、京都府にはもう1本、令和8年度京都府社会福祉施設等生産性向上・人手不足対策事業費補助金という制度があります。こちらも「生産性向上のための設備導入(ICT機器、介護ロボット等の導入)」が対象で、補助率4分の3・1事業所あたり200万円、申請期間は令和8年6月11日(木)〜7月31日(金)17時必着でした。ただし対象者は「京都府内(介護サービス事業所等、障害者施設等及び児童養護施設等は京都市を除く)で社会福祉施設等を運営する者」とされており、京都市内の介護サービス事業所はこの制度の対象外です。

一方、本記事で扱っている介護テクノロジー等定着支援事業補助金の手引きには、補助対象者を「京都府内の介護サービス事業所」とするのみで、京都市を除く旨の記載はありません。とはいえ明示的に「京都市を含む」と書かれているわけでもないため、京都市内の事業所は事前に地域福祉推進課(075-414-4678)へ確認してから準備を進めるのが確実です。

京都市独自の制度としては、京都市介護福祉施設開設準備経費等補助金があります。2026年9月24日現在の情報として、大規模修繕を実施する際に、その工事と親和性のある介護ロボット・ICT導入を行う場合の導入費用が対象とされ、介護ロボット・ICT導入は1床あたり561千円という補助単価が示されています。ICT導入支援事業については「介護記録から請求業務までが一気通貫となること等を要件」とされており、府の要件と同じ思想です。申請は「補助事業開始の前年度の7月末までに事前協議を実施してください」とされ、担当は介護ケア推進課(電話075-222-3802)ですが、市のページでは各種補助制度の問い合わせは原則としてお問い合わせフォームから行うよう案内されています。大規模修繕の予定がある京都市内の施設は、府の定着支援事業と市の開設準備経費等補助金のどちらで読むかを早い段階で切り分けてください。両者は対象経費の立て付けが異なるため、同一経費の二重取りはできません。

近隣府県と比べたい場合は、大阪府の介護補助金や兵庫県の介護補助金、愛知県の介護補助金も参考になります。府県をまたいで事業所を持つ法人は、県ごとに申請単位(法人単位か事業所単位か)と限度額の設計が異なる点に注意してください。制度全体の読み解き方は介護テクノロジー補助金の完全ガイドにまとめています。

京都府庁の庁舎
写真: 運動会プロテインパワー / Wikimedia Commons (CC BY-SA 4.0)

よくある質問

京都府の介護ソフト・ICT導入補助金について、問い合わせが多い論点を公式の質問集から整理します。

令和8年度の受付は終了していますか。次の募集はいつですか。

令和8年度の事前協議の提出期間は令和8年6月30日(火)から令和8年8月7日(金)17時必着で、2026年11月5日時点では受付を終了しています。令和9年度の実施有無・日程は公表されていませんので、京都府の公式ページでご確認ください。なお令和8年度は6月30日受付開始でしたので、年度が替わってから情報収集を始めると、セミナー受講や認証制度の宣言が間に合わない可能性があります。

介護ソフトだけを導入する場合、タブレットやWi-Fiも補助対象になりますか。

「①イ 介護ソフトの定着促進支援」として、介護ソフトの導入に伴い一体的に使用するためのPCやタブレット端末の導入費用、Wi-Fi環境整備に必要な経費、介護ソフトの導入前後に行うベンダーによるサポート費用等が対象とされています。これを活用する場合、介護ソフトの基準額に15万円を加算できます。ただしバックオフィスソフトなど「①ウ その他」で申請する機器は、付帯して必要となる経費が対象外とされていますので、どの区分で申請するかによって扱いが変わります。

介護ソフトの職員数は誰まで数えられますか。

質問集の問14では「申請時点における常勤換算方法により算出された人数」とされ、「その職員数には、ICTの活用が見込まれる管理者や生活相談員等の職員も算入いただいて差し支えありません」と明記されています。1名以上10名以下で100万円、11名以上20名以下で150万円、21名以上30名以下で200万円、31名以上で250万円という4段階ですので、境目に近い事業所は算入範囲を整理したうえで所要額調書を作成してください。

交付決定前に介護ソフトを契約してしまっても対象になりますか。

手引きでは交付決定日後の事業着手が原則とされていますが、「事前着手届」の提出により令和8年4月1日以降の着手が可能とされています。ただし「内示前に事前着手されても交付を保証するものではありません」と明記されており、採択や交付額が保証されるものではありません。届出なしに先行して契約した場合は原則として対象外になりますので、必ず事前に窓口へご相談ください。

IT導入補助金と併用できますか。

手引きの注意事項では、国・地方公共団体又は民間団体からの補助金等の交付を受けて実施する事業は対象としないとされています(本補助金及び「①ウ」に掲げる事業を対象として市町村が交付する補助金を除く)。質問集の問20でも「他の補助金の補助要件や補助対象経費が同一のものである場合は、本事業の補助対象とはならない」とされています。同一経費への二重の充当はできませんので、どちらの制度で申請するかを先に決める必要があります。

まとめ:京都府の介護ソフト・ICT補助金は「入口要件」で差がつく

令和8年度の京都府で介護ソフト・ICTに使える補助金は、京都府介護テクノロジー等定着支援事業補助金の1本です。補助率は5分の4、介護ソフト・バックオフィスソフトは職員数別に100万〜250万円、定着促進支援で+15万円、ケアプランデータ連携の要件を満たせば+5万円。パッケージ型は1事業所1,000万円、業務改善支援は48万円という構成でした。

一方で、京都府の難所は金額ではなく入口にあります。きょうと福祉人材育成認証制度への参画(宣言事業者以上)、生産性向上セミナーの受講、SECURITY ACTIONの宣言、ケアプランデータ連携の「実績」——いずれも公募が始まってから動いたのでは間に合わない要件です。次年度に申請する可能性があるなら、公募を待たずに認証制度の宣言とセミナー受講から着手するのが、京都府で最も効く準備です。

介護ロボットを含む京都府全体の制度設計は京都府の介護補助金に、申請書類の作り方は補助金申請の流れ・必要書類にまとめています。最新の公募状況・限度台数の取扱い・実績報告の期日は、必ず京都府の公式サイト(手引き・質問集)でご確認ください。要件を満たしていても予算の範囲内での交付となり、採択や満額の交付が保証されるものではありません。

この記事は2026年11月5日(JST)時点の公式情報に基づきます。記載内容は変更される場合があります。

出典(公式)


この記事の制作・監修
河原 将太(株式会社Tip 代表取締役社長)
国・和歌山県・各市町村の公式情報(公募要領・公式サイト)を確認したうえで制作しています。補助率・上限・締切は年度や公募回で変わるため、最新は各実施主体の公式サイトでご確認ください。 運営者情報 / 補助金を使ったWeb集客の無料相談(30分)
記事一覧へ戻る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

介護設備・ICT導入12ページ・無料PDF資料を受け取る ↗