「介護記録ソフトを入れ替えたいが、愛知県の補助金はどの区分で、いくらまで出るのか」。名古屋市でも豊橋市でも、事務長席でいちばん多い質問はここに集まります。
愛知県の介護テクノロジー関連の補助は、かつての「介護ロボット導入支援事業費補助金」と「介護事業所ICT導入支援事業費補助金」の2本立てから令和6年度に1本へ統合されました。制度名に「ICT」も「介護ソフト」も入らないため、自分の事業所が対象なのか分かりにくいのが実情です。
結論は3行です。
- 愛知県で介護ソフト・ICTを導入するときの補助は、「令和8年度愛知県介護テクノロジー導入支援事業費補助金」のうち介護テクノロジー定着支援事業で扱われます
- 補助率は4/5。介護ソフトの基準額は職員数別に100万〜250万円で、情報端末・Wi-Fiを合わせると115万〜265万円になります
- 令和8年度の交付申請は令和8年8月31日(月曜日)〆切厳守で、すでに受付は終了しています
この記事では、対象になるICT経費の線引き、職員数別の基準額、介護ソフトが補助対象になる要件、Jグランツでの申請の流れ、愛知県だけのルールを、県の交付要綱と国の実施要綱の原文から整理します。
とくに押さえたいのは、「1法人あたり2事業所まで」「提出の際は優先順位を付す」という、愛知県の交付要綱にしか書かれていないルールです。法人本部でどの事業所から申請するかを決める段階から効いてきます。県事業の全体像は愛知県の介護補助金も併せてご覧ください。
この記事は2026年11月5日時点の公式情報に基づきます。

愛知県の介護ソフト・ICT補助金は「介護テクノロジー導入支援事業費補助金」に一本化
愛知県に介護ソフト専用の補助金はなく、介護ロボットと同じ1つの補助金の中でICTが扱われます。
令和8年度の事業名は「令和8年度愛知県介護テクノロジー導入支援事業費補助金」です。県の交付要綱第2は、(1)介護テクノロジー定着支援事業、(2)ケアプランデータ連携システムの活用促進モデル地域づくり事業、(3)協働化・大規模化等による職場環境改善事業の3つを交付の対象としています。介護事業所が介護ソフトやタブレットを導入するときに使うのは(1)です。(2)の補助事業者は市町村・広域連合、(3)は複数法人で構成する事業者グループで、単独の施設が申請する先ではありません。
財源は国の「令和8年度(令和7年度からの繰越分)介護保険事業費補助金」で、県が実施主体となって事業所に補助する二段構えです。補助率・基準額・対象機器の定義はほぼすべて国の実施要綱で決まり、愛知県の別表はそこに台数上限と1事業所あたりの上限額を上書きする構造になっています。国の枠組みそのものは介護テクノロジー導入支援事業の全体像で解説しています。
令和8年度は、受付事務が外部の事務局に委託され、事前協議を経ない直接の交付申請方式になり、申請システムとしてJグランツが必須になりました。あわせて台数の上限が撤廃されて定員数ベースになり、パッケージ型導入支援の上限が500万円から1,000万円へ、1事業所あたりの上限も1,000万円へ引き上げられています。前年度の感覚のまま準備すると手続きの入り口でつまずきます。
| 事業名 | 令和8年度愛知県介護テクノロジー導入支援事業費補助金(うち 介護テクノロジー定着支援事業) |
|---|---|
| 実施主体 | 愛知県(高齢福祉課)/令和8年度は受付事務を外部事務局に委託 |
| 対象施設・事業者 | 県内で介護保険法(平成9年法律第123号)に基づく事業所・施設を運営する法人/県内で老人福祉法(昭和38年法律第133号)に基づく養護老人ホーム及び軽費老人ホームを運営する法人 |
| 対象となるICT経費 | 介護ソフト/介護ソフトと一体的に使用するための情報端末(PC、タブレット端末。リース費用含む)/介護ソフトを利用するためのWi-Fi環境を整備するために必要な経費(配線工事。Wi-Fi環境整備のために必要な有線LANの設備工事も含む。モデム・ルーター、アクセスポイント、システム管理サーバー、ネットワーク構築等)/介護ソフトの導入前後に行うベンダーによるサポート費用/インカム/バックオフィスソフト(電子サインシステム、給与、勤怠管理)/バイタル測定が可能なウエアラブル端末(ウの対象機器は、上記のほか床走行式リフト、一括で調理支援を行う機器、加熱・冷蔵機能等を備えた配膳車、配膳ロボット、スライディングボード、とろみサーバーを含むaからkの11種類に限られ、これ以外は対象外) |
| 補助率 | 4/5 |
| 上限額 | (1)導入支援と(2)パッケージ型導入支援を合わせて1事業所10,000,000円。ただし(2)のみで10,000,001円以上10,150,000円以下の場合はその額を、10,150,000円を超える場合は10,150,000円を上限 |
| 申請期間 | 令和8年8月31日(月曜日)〆切厳守(※受付は終了) |
| 申請方法 | 補助金申請システム「Jグランツ」のみ(持参・郵送・メール不可)。GビズIDの取得が必要 |
| 窓口 | 令和8年度愛知県介護テクノロジー導入支援事業費補助金事務局(電話 050-1753-4234/メール aichi-kaigo-technology@his-world.com) |
| 公式URL | 愛知県 介護テクノロジー導入支援事業費補助金 |
対象になるICT経費|介護ソフト・情報端末・Wi-Fi・インカム
愛知県の別表は、ICT関係の対象経費を国実施要綱4(1)のア・イ・ウの3ルートで整理しています。
アは、公益財団法人テクノエイド協会の「福祉用具情報システム」(TAIS)に掲載され、「介護テクノロジー」として選定された機器です。TAISは福祉用具のデータベースで、介護テクノロジーのカテゴリから絞り込めます。TAISの介護テクノロジー検索で検討中の介護ソフトやインカムが掲載されているかを確認するのが実務の起点です(要綱に印字されたtechno-aids.or.jpのURLはこのドメインへ転送されます)。
イは「介護ソフトの定着促進支援」で、介護ソフトの導入に伴い一体的に使用するためのタブレット端末の購入費用やWi-Fi環境整備に必要な経費等が対象です。Wi-Fi環境整備のために必要な有線LANの設備工事まで対象経費に書き込まれている点は、愛知県の別表を読まないと気づけません。具体的な範囲は上の基本情報表のとおりです。
ウは、①申請ができていない等の理由でTAISに掲載されていないが、アの介護テクノロジーと機能等が同水準と実施主体が判断した機器等と、②介護従事者の身体的負担の軽減や間接業務時間の削減等の業務の効率化など、職場環境整備として有効で介護サービスの質の向上につながると実施主体が判断した機器等で、インカムやバックオフィスソフト(電子サインシステム、給与、勤怠管理)がここに入ります。愛知県はこのウを、県公式ページでaからkの11種類(移乗支援、入浴支援に該当する機器、床走行式リフト、一括で調理支援を行う機器、加熱・冷蔵機能等を備えた配膳車、配膳ロボット、スライディングボード、インカム、バックオフィスソフト、バイタル測定が可能なウエアラブル端末、とろみサーバー)に限定し、これ以外の機器は対象外としています。給与計算や勤怠管理のソフトが名指しされているのは、介護記録ソフト以外のICT投資を考えている法人には見逃せない情報です。
対象にならないものもはっきりしています。国実施要綱の留意事項は、販売価格が公表されており一般に購入できる状態にある機器等が補助対象となり、開発に要する経費は補助対象とならないと明記し、通信費は付帯経費に含まれないとしています。愛知県の公式ページはさらに、保険料、通信費、メンテナンス費、既に所有している機器等の廃棄に係る経費を補助対象外とし、よくある質問で導入予定機器の送料も対象外としています。機能要件で迷う段階なら、介護記録ソフトの比較と見守りセンサーの比較・選び方で仕様を固めてから見積依頼に進むと、申請書づくりが楽になります。
補助率4/5と上限額|介護ソフトは職員数別に100万〜265万円
補助率は4/5で、基準額は国実施要綱5の表2・表3に従います。
介護ソフトとバックオフィスソフトは、機器1台あたりではなく職員数で基準額が決まります。表3は、職員数に応じて必要なライセンス数が変動するなど職員数により合計金額が変動する契約を前提に、介護ソフトのみを導入する場合と、情報端末・Wi-Fi等の定着促進支援を合わせて活用する場合を分けています。職員数に連動しない方式の契約の場合は一律250万円、定着促進支援を合わせる場合は265万円が基準額です。
| 職員数(申請時点) | 介護ソフトのみ | 介護ソフト+情報端末・Wi-Fi等 |
|---|---|---|
| 1名以上10名以下 | 100万円 | 115万円 |
| 11名以上20名以下 | 150万円 | 165万円 |
| 21名以上30名以下 | 200万円 | 215万円 |
| 31名以上 | 250万円 | 265万円 |
| 職員数に連動しない方式の契約 | 一律250万円 | 265万円 |
| 訪問介護事業所等の居宅サービス事業所又は居宅介護支援事業所(介護予防も含む)であって、令和8年度中に「ケアプランデータ連携システム」により5事業所以上とデータ連携を実施する場合は、基準額に5万円を加算 | ||
職員数の数え方には注記があります。※1は、訪問介護員等の直接処遇職員だけでなくICTの活用が見込まれる管理者や生活相談員等の職員も算入して差し支えないとし、※2は、申請時点における常勤換算方法により算出された人数(小数点以下は四捨五入)を原則としつつ、居宅を訪問してサービスを提供する職員や管理者・生活相談員等は実人数(常勤・非常勤の別は問わない)としても差し支えないとしています。常勤換算で20.4人なら20名、20.5人なら21名となり、基準額が50万円動きます。
| 区分 | 基準額 |
|---|---|
| 移乗支援(装着型・非装着型)、入浴支援、「介護業務支援」に掲載されているインカム 等(バックオフィスソフト以外) | 100万円 |
| 介護ソフト、バックオフィスソフト | 表3の2による(職員数別100万〜250万円) |
| 上記以外のテクノロジー(見守り機器 等) | 30万円 |
| 介護ソフトの定着促進支援(情報端末・Wi-Fi等) | 導入する介護ソフトの経費と合わせて表3の3による(パッケージ型導入支援に合わせて対象とする場合は、パッケージ型導入支援の上限に15万円上乗せ) |
| パッケージ型導入支援(機器等の合計経費) | 国実施要綱の表2は「400万円以上、1,000万円以下で都道府県が設定する額」とし、愛知県の別表はこれを1事業所あたり10,000,000円と設定。介護ソフトにおいて定着促進支援(国実施要綱4(1)イ)を合わせて実施する場合は1事業所あたり10,150,000円 |
| 導入支援と一体的に行う業務改善支援 | 国実施要綱の表2では48万円。ただし愛知県の交付要綱第2(1)が交付対象とするのは国実施要綱4(1)・(2)の事業で、別表の基準額も「国実施要綱4(2)及び(3)に係る部分を除く」と明記しているため、令和8年度の愛知県ではこの経費は補助対象に含まれません(支援を受けること自体は要件) |
台数の上限は、愛知県の別表が独自に3分類で定めています。ICT目線では、PC・タブレットの上限台数が定員数ではなく職員数で切られる点がいちばん効きます。ユニットごとに端末を配る計画なら、職員数との整合を先に確認してください。
| 限度台数 | 対象となる区分 |
|---|---|
| 定員数 | 移乗支援(非装着)、移動支援(屋外・屋内・装着)、排泄支援(排泄予測・検知、排泄物処理、動作支援)、入浴支援、見守り・コミュニケーション(コミュニケーション)、機能訓練支援、食事・栄養管理支援、認知症生活支援・認知症ケア支援、床走行式リフト、スライディングボード、バイタル測定が可能なウエアラブル端末、見守り・コミュニケーション(施設) |
| 職員数 | 移乗支援(装着)、インカム、PC・タブレット |
| 合理的に必要と認められる台数 | 見守り・コミュニケーション(在宅)、介護業務支援、一括で調理支援を行う機器、加熱・冷蔵機能等を備えた配膳車や配膳ロボット、とろみサーバー |
交付額は1,000円未満の端数を切り捨てて算定されます。補助率4/5を掛けた額と基準額を比較して少ない方が交付額になるため、基準額を超える見積を出しても超過分は自己負担です。
介護ソフトが補助対象になる要件|一気通貫・ケアプランデータ連携・LIFE
介護ソフトは「買えば対象」ではなく、ソフトの機能要件と事業所側の体制要件の両方を満たす必要があります。
中心にあるのは一気通貫の要件です。国実施要綱は、介護ソフトを、記録業務、情報共有業務、請求業務を一気通貫で行うことが可能となっているもの(転記等の業務が発生しないものであること)と定義しています。すでに導入している介護ソフト等と組み合わせて一気通貫が実現できていれば補助対象として差し支えないとも書かれており、全面リプレイスでなくても道はあります。
| 要件 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| ソフトの機能(一気通貫) | 記録業務、情報共有業務(事業所内の情報連携のみならず、居宅サービス計画やサービス利用票等を他事業所と連携する場合を含む)、請求業務を一気通貫で行うことが可能であること(転記等の業務が発生しないものであること) | 国実施要綱 留意事項 |
| データ形式(望ましい) | 介護記録等のデータについて、CSVファイル、JSONファイル等、変換が容易なデータ形式で出力・入力できる機能を備えていることが望ましい(要件ではない) | 国実施要綱 留意事項 |
| 居宅系サービスの上乗せ | 居宅介護支援・介護予防支援・居宅サービス・介護予防サービス事業所は、「ケアプランデータ連携標準仕様」に準じたCSVファイルの出力・取込機能を有し、国民健康保険中央会が運営する「ケアプランデータ連携システム」の活用促進のためのサポート体制が整っていることが確認できるもの | 国実施要綱 留意事項① |
| 施設系サービスの上乗せ | 施設サービス事業所・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護事業所は、科学的介護情報システム(LIFE)の「CSV連携仕様書(LIFE)」に準じたCSVファイルの出力機能を有していることが確認できるもの | 国実施要綱 留意事項② |
| 委員会の設置 | 短期入所生活介護、特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院 等について、利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会(名称は問わない)を設置 | 国実施要綱6④ |
| ケアプランデータ連携システムの利用開始 | 訪問介護、通所介護、居宅介護支援など多くの居宅系サービスについて、令和8年度内に「ケアプランデータ連携システム」の利用を開始すること。愛知県は、システムに登録するだけでは対象とならず、ケアプランの送受信を行った実績が実績報告時までに必要としている(申請段階では実績不要) | 国実施要綱6⑤ |
| 情報セキュリティ | 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の「★一つ星」又は「★★二つ星」のいずれかを宣言(対象外の事業所は同等の対策を講じていることを宣言) | 国実施要綱6⑦ |
| 賃金への還元 | 収支の改善が図られた場合には職員の賃金へも適切に還元し、その旨を職員等に周知すること | 国実施要綱6⑥ |
| 業務改善支援を受けること | ア コンサルティング会社等による支援(①事前評価=課題抽出、②業務改善に係る助言・指導等、③事後評価=導入後の定着支援を含む)、又は イ 介護生産性向上総合相談センター等による支援。メーカーや販売店等による機器の操作説明は対象としない。愛知県はイについて、あいち介護生産性向上総合相談センターがホームページに掲載する研修動画の視聴、又は愛知県・同センター主催の「生産性向上に向けた研修会」の受講をもって代えるとしている | 国実施要綱4(3) |
| 業務改善計画と効果報告 | 業務改善計画を作成し、補助を受けた翌年度から3年間、計画に対する効果を県へ報告すること | 国実施要綱6⑧・7 |
愛知県で業務改善支援のイのルートを使う場合の窓口は、あいち介護生産性向上総合相談センター(名古屋市中村区名駅南2-14-19 住友生命名古屋ビル14階/公益財団法人介護労働安定センター愛知支部内/電話052-526-8609)です。相談窓口のほか、生産性向上に向けた研修会、介護ロボット・ICT機器の展示会、試用貸出、専門家による伴走支援を実施しています。愛知県の公式ページは、このイのルートを同センターの研修動画の視聴、又は愛知県・同センター主催の「生産性向上に向けた研修会」の受講をもって代えるとしており、視聴する動画はサービス種別ごとに指定されています(基礎編、階層別編、委員会の取組、訪問介護事業所における取組)。ソフトの機能調査の結果は厚生労働省の介護テクノロジーの利用促進のページに掲載されています。
申請の流れと締切|Jグランツのみ・1法人2事業所まで・交付決定前の契約はNG
令和8年度は申請方法が変わり、Jグランツ以外のルートがなくなりました。
提出方法はJグランツのみで、持参・郵送・メールは受け付けられません。利用にはGビズIDが必要で、取得に2週間程度かかる場合があります。提出物はJグランツ上のエクセル形式の申請書一式のほか、導入機器の見積書、機器のカタログ等、複数事業所で按分する場合は按分表です。
ここで効いてくるのが申請単位の制限です。交付要綱第5の3は、介護テクノロジー定着支援事業に係る交付申請は1法人あたり2事業所までとし、提出の際は優先順位を付すものとすると定めています。多拠点を展開する法人ほど、どの2事業所で申請するかという意思決定が先に来ます。手順の基本は補助金申請の流れ・必要書類で確認できます。
発注のタイミングも要綱に明記されています。交付要綱第2の2は、他の補助金等によって既に交付を受けているもの、又は今後交付を受ける見込みがあるもの並びに、本補助金の交付決定前に購入または契約したものは補助の対象外とすると定めています。見積までで止めて交付決定を待つのが原則です。
令和8年度のスケジュールと、要綱の条文から逆算した準備工程を1枚にまとめました。令和9年度以降が同じ形で行われる保証はありませんが、準備にかかる時間の目安としては有効です。
| 時期 | やること | 根拠・備考 |
|---|---|---|
| 公募の5〜6か月前 | 介護ソフトの機能要件を固める(一気通貫/ケアプランデータ連携CSV/LIFE CSV) | 国実施要綱 留意事項・①② |
| 公募の4か月前 | あいち介護生産性向上総合相談センターへ相談し、展示会・試用貸出・伴走支援を利用 | 業務改善支援の要件を満たし、優先採択条件にも該当 |
| 公募の3か月前 | GビズIDを取得(2週間程度かかる場合あり)、委員会設置・SECURITY ACTION宣言 | 県公式ページ/国実施要綱6④⑦ |
| 公募の2か月前 | 申請する事業所の優先順位を法人本部で決定、職員数(常勤換算)を確定 | 交付要綱第5の3/国実施要綱 表3※2 |
| 公募の1か月前 | 見積書・カタログを取得(契約はしない)、按分表を作成 | 県公式ページの提出書類 |
| 令和8年8月31日(月) | Jグランツで交付申請(〆切厳守) | 県公式ページ |
| 令和8年9月末 | 交付決定 | 県公式ページ |
| 交付決定後 | 契約・発注・納品・支払 | 交付要綱第2の2(交付決定前の契約は対象外) |
| 令和9年1月31日 | 補助事業完了(機器等の契約、支払い及び納品が全て完了した日)/実績報告 | 県公式ページ |
| 令和9年3月上旬〜3月末 | 額の確定・補助金請求(3月上旬)、補助金の支払い(3月末)。補助金は補助事業の完了後交付で、知事が特別の理由があると認めたときは概算払い | 県公式ページの事務フロー/交付要綱第10・第12 |
| 交付を受けた翌年度から3年間 | 業務改善計画に対する効果を県へ報告 | 国実施要綱7(2) |
| 完了日の属する年度の翌々年度6月30日まで | 消費税及び地方消費税に係る仕入控除税額の報告 | 交付要綱第13 |
愛知県特有の注意点|優先採択・名古屋市の扱い・他補助金との併用
同じ4/5でも、愛知県には他県にない採択ルールと確認事項があります。
第一に優先採択です。交付要綱第5の4は、介護テクノロジー定着支援事業について、応募多数の場合は次の(1)から(3)に該当する事項が多い事業所から優先して採択するとしています。相談センターの伴走支援を受けているかどうかが、要件を満たすためだけでなく採択順位そのものに効く設計です。受給歴がある事業所は不利になりやすい点も、法人内で申請先を選ぶときの判断材料になります。
| 順位 | 優先採択の条件(交付要綱第5の4) |
|---|---|
| (1) | 令和8年度に「あいち介護生産性向上総合相談センター」から介護ロボットやICTの導入等に向けた具体的な業務改善支援(伴走支援や試用貸出等)を受けている介護事業所 |
| (2) | 令和7年度の「愛知県介護事業所人材育成認証評価事業」で認証を受けた介護事業所 |
| (3) | 過去に「介護ロボット導入支援事業費補助金」及び「介護事業所ICT導入支援事業費補助金」(いずれも令和5年度まで)並びに「介護テクノロジー導入支援事業費補助金」(令和6年度から)の交付を受けていない介護事業所 |
| (4) | (1)から(3)により優先採択した後になお予算額の範囲内で残額が生じた場合は、過去の交付額の累計金額が少ない事業所から採択 |
第二に他補助金との併用です。国実施要綱6③は、地域医療介護総合確保基金で実施する「介護テクノロジー導入支援事業」や経済産業省が実施している「IT導入補助金」等、他の補助金等によって助成されているものを本事業の補助対象外としています。同じ介護ソフトの費用を二重に補助してもらうことはできません。制度の比較は介護テクノロジー補助金の完全ガイドで整理しています。
第三にリースと財産処分です。愛知県の別表は情報端末について「リース費用含む」と明記する一方、交付要綱第4(5)は、本事業により取得し、又は効用の増加した財産について、3年を経過する前に処分し、又はリース等の契約を解除する場合、事前に知事の承認を受けなければならない(ただし、リース等により導入したものを購入するためにリース等の契約を解除した場合は、この限りでない)と定めています。短期リースで入れ替える前提の計画は、承認手続きが必要になる可能性があります。また第7により、申請の取り下げ期限は交付決定の通知を受けた日から30日以内とされています。
第四に政令指定都市の扱いです。補助事業者は「県内で介護保険法に基づく事業所・施設を運営する法人」と定義されているため、名古屋市内の事業所も県のこの補助金に申請できます。今回の確認範囲では、名古屋市が介護保険分野で独自に実施する介護テクノロジー導入補助金は確認できませんでしたので、市独自の上乗せの有無は名古屋市の介護保険担当課へご確認ください。障害福祉サービス事業所向けの介護テクノロジー導入支援は、愛知県の障害福祉担当課が所管する別事業です。隣接県と比べたい場合は静岡県の介護補助金、大都市圏の運用と比べたい場合は東京都の介護補助金や大阪府の介護補助金も参考になります。
よくある質問
愛知県の介護ソフト・ICT導入補助金について、問い合わせの多い5点を公式文書の記載から整理します。
Q1. 介護ソフトを入れずに、タブレットやWi-Fiだけを申請できますか
国実施要綱4(1)イは、この区分を「介護ソフトの導入に伴い一体的に使用するための」費用と定義し、基準額も「導入する介護ソフトの経費と合わせて表3の3による」としています。介護ソフトの導入が前提の組み立てです。愛知県の公式ページは、スマートフォン・タブレット端末・ノートパソコンは「介護テクノロジーの利用に伴って導入する場合に限り導入可能」、介護ソフト以外の通信環境整備も「介護テクノロジーの導入に伴って必要となる経費」のみ導入可能としており、端末やWi-Fiだけを単独で申請することはできません。なお、介護ソフト以外の介護テクノロジーに付帯するPC・タブレットやWi-Fi環境整備は、主となる機器と併せて導入する場合に限り付帯経費として対象にできる旨が留意事項にあります(このルートから介護ソフトは除かれています)。
Q2. リース契約や月額利用料は対象になりますか
愛知県の別表は、介護ソフトと一体的に使用するための情報端末(PC、タブレット端末)について「リース費用含む」と明記しています。ただし交付要綱第4(5)により、取得財産を3年を経過する前に処分したりリース等の契約を解除したりする場合は、事前に知事の承認が必要です。また国実施要綱の留意事項により、通信費は対象経費に含まれません。月額・年額の利用料については、愛知県の公式ページのよくある質問が「補助対象額=当年度の支払金額」と示しており、複数年のライセンスを当年度に全額支払った場合は全額、毎年払いなら1年分が対象です。リースも同じ考え方で、令和8年度は令和9年1月31日までに支払った金額が対象とされています。
Q3. 1つの法人で複数の事業所を申請できますか
できますが上限があります。交付要綱第5の3は、介護テクノロジー定着支援事業に係る交付申請は1法人あたり2事業所までとし、提出の際は優先順位を付すものとすると定めています。3事業所以上をまとめて申請することはできません。複数事業所で経費を按分する場合は按分表の提出が必要です。
Q4. 交付決定の前に契約や購入をしてもよいですか
対象外になります。愛知県の交付要綱第2の2は、本補助金の交付決定前に購入または契約したものは補助の対象外とすると明記しています。令和8年度は交付決定が9月末、事業完了期限が令和9年1月31日でしたので、交付決定から納品・支払までは4か月程度でした。納期の長い機器は、交付決定後に発注して期限内に納品・支払まで終わるかを事前にベンダーへ確認しておく必要があります。
Q5. IT導入補助金やほかの補助金と併用できますか
同一の経費については併用できません。国実施要綱6③は、地域医療介護総合確保基金で実施する「介護テクノロジー導入支援事業」や経済産業省が実施している「IT導入補助金」等、他の補助金等によって助成されているものを本事業の補助対象外としています。愛知県の交付要綱第2の2も、既に交付を受けているもの又は今後交付を受ける見込みがあるものを対象外としています。どちらの制度で申請するかは、対象経費の範囲と補助率を比べて先に決めてください。
まとめ|愛知県の介護ICT補助金は「要件づくり」から逆算する
愛知県の介護ソフト・ICT導入補助金は、金額の大きさよりも要件の積み上げで勝負が決まる制度です。
補助率4/5、介護ソフトは職員数別に100万〜250万円、情報端末・Wi-Fiを合わせて115万〜265万円、1事業所あたりの上限は1,000万円。数字だけ見れば使いやすい制度ですが、実際には一気通貫のソフト要件、ケアプランデータ連携やLIFEのCSV要件、委員会の設置、SECURITY ACTIONの宣言、業務改善支援、そして1法人2事業所までという枠が重なります。公募が始まってから動いても要件は間に合わないため、相談センターへの相談とソフトの機能確認を先に済ませておくことが愛知県では最短ルートになります。要件を満たしても審査があり、採択や満額の交付が保証されるものではありません。
令和8年度の交付申請は令和8年8月31日で締め切られています。令和9年度の実施内容・金額・スケジュールは2026年11月5日時点で公表されておらず、本記事の数値は令和8年度のものです。最新の公募情報は愛知県高齢福祉課の公式ページでご確認ください。機器区分ごとの詳細や県事業の全体像は愛知県の介護補助金で補ってください。
この記事は2026年11月5日時点の公式情報に基づきます。
出典
- 愛知県 令和8年度愛知県介護テクノロジー導入支援事業費補助金
- 令和8年度 愛知県介護テクノロジー導入支援事業費補助金交付要綱(PDF)
- 同 別表(PDF)
- 令和8年度(令和7年度からの繰越分)介護テクノロジー定着支援事業実施要綱(国実施要綱・PDF)
- 令和8年度(令和7年度からの繰越分)介護保険事業費補助金 国庫補助金交付要綱(PDF)
- 厚生労働省 介護テクノロジーの利用促進
- 公益財団法人テクノエイド協会 福祉用具情報システム(TAIS)
- あいち介護生産性向上総合相談センター
