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山口県の介護ソフト・ICT導入補助金【令和8年度】対象経費と上限額

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山口県の介護ソフト・ICT導入補助金【令和8年度】対象経費と上限額
山口県の介護ソフト・ICT導入補助金【令和8年度】対象経費と上限額

この記事は2026年11月7日(JST)時点の公式情報に基づきます。

介護記録は紙、請求は別ソフト、職員同士の連絡はホワイトボードと口頭。山口県内の介護事業所でも、この「三重管理」はまだ珍しくありません。記録を書き写す時間を減らしたいのに、介護ソフトやタブレットの見積もりを見ると、法人の稟議に乗せられる金額を超えてしまう——。

そこで補助金を調べはじめると、出てくるのは「介護ロボット」「見守りセンサー」の話ばかり。記録ソフトやWi-Fi工事がいくらまで出るのか、そもそも対象なのかが分からず、見積もりを取る前に手が止まる。山口県の施設長・事務長から最も多いつまずき方がこれです。

意外に知られていないのは、山口県の制度が「介護ソフト単体」より「介護ソフト+タブレット・Wi-Fi」をセットで入れたほうが基準額が15万円高くなる設計になっている点です。さらに令和8年度は、11月30日まで受け付ける予定だった申請が、予算到達により9月9日に締め切られました。

この記事では、山口県の介護ソフト・ICT導入補助金について、(1)制度の全体像、(2)対象になる経費とならない経費、(3)補助率と職員数別の上限額、(4)介護ソフトだけに課される要件、(5)山口県特有の3つの落とし穴、(6)申請の流れと逆算スケジュール、を公式の交付要綱とQ&Aの原文から順に整理します。機器全般を含めた制度の全体像は山口県の介護テクノロジー補助金の記事にまとめています。

先に結論から言うと、山口県だけの落とし穴は3つ(前年度受給の扱い・1機種限り・端末単独不可)。順に見ていきます。

結論(令和8年度・2026年度)

  • 誰が:山口県内の介護保険サービス事業所すべて(訪問介護・居宅介護支援を含む)と、老人福祉法に基づく養護老人ホーム・軽費老人ホーム
  • いくら:補助率は対象経費(消費税および地方消費税を除く)の5分の4。介護ソフトは職員数に応じて基準額100万〜250万円、タブレット・Wi-Fi等を併せると115万〜265万円
  • いつまで:令和8年度は令和8年7月22日受付開始・11月30日17時必着の予定でしたが、申請額が予算額に達したため令和8年9月9日に受付終了。令和9年度の実施は2026年11月7日時点で未発表です
  • どこへ:山口県介護生産性向上総合相談センター(公益財団法人介護労働安定センター山口支部内・電話083-920-0926)へ原則メールで提出
山口県庁舎の外観
写真: 663highland / Wikimedia Commons (CC BY 2.5)

山口県の介護ソフト・ICT補助金は「介護テクノロジー定着支援事業補助金」1本

山口県にはICT専用の補助事業はなく、介護ソフトも介護ロボットも「山口県介護テクノロジー定着支援事業補助金」という1本の要綱で扱われます。

令和7年6月6日施行の交付要綱で、それまでの「山口県介護テクノロジー導入支援事業補助金交付要綱」は廃止されました。さらに令和8年6月1日施行の附則で、現在の要綱が令和8年度分の補助金から適用されています。「導入支援」「ICT導入推進」という旧名称で検索しても最新ページにたどり着けないのは、事業名が「定着支援」に変わったためです。令和6年度以前には「山口県介護ロボット導入支援事業補助金」「山口県介護事業所ICT導入推進事業補助金」という別建ての制度もありましたが、いずれも現在は統合されています。

情報の起点も独特です。山口県の場合、県庁サイト(pref.yamaguchi.lg.jp)ではなく、介護専用の情報サイトかいごへるぷやまぐちに募集ページと添付ファイルが置かれています。

実施主体は山口県(交付要綱第3条)で、山口県介護生産性向上総合相談センターが補助金申請に係る受付事務および職場環境の改善に資する意見付与を行う、という役割分担です。つまり受付も相談も、県庁ではなく相談センターが窓口になります。

国の制度との関係について、県のQ&A(要件・補助対象経費等の1)は補助率について「※国の制度改正に合わせて変更しています」と記しています。基準額の区分や職員数別の階段も、厚生労働省が示す介護テクノロジー導入支援の枠組みに沿った構造です。国の事業としての位置づけを俯瞰したい場合は介護テクノロジー導入支援事業の全体像を先に押さえておくと、県の要綱が読みやすくなります。

事業名 山口県介護テクノロジー定着支援事業補助金(令和8年6月1日施行の交付要綱を令和8年度分から適用)
実施主体 山口県(交付要綱第3条)。山口県介護生産性向上総合相談センターが受付事務・意見付与を担当
対象事業所 (1)介護保険法に基づくサービスを提供する全てのサービス事業所(訪問介護事業所や居宅介護支援事業所を含む)/(2)老人福祉法に基づく養護老人ホーム及び軽費老人ホーム。ただし本要綱に基づく補助を過去に受けたことがある介護事業所等は対象外
ICT関連の対象経費 介護ソフト(記録・情報共有・請求を一気通貫)、バックオフィスソフト(電子サイン・給与・勤怠管理等)、介護ソフトと一体的に使用するPC・タブレット端末(リース費用含む)、Wi-Fi環境整備(配線工事・有線LANの設備工事・モデム・ルーター・アクセスポイント・システム管理サーバー・ネットワーク構築等)、介護ソフトの導入前後に行うベンダーによるサポート費用、インカム 等
補助率 実支出額(消費税および地方消費税を除く)の5分の4(交付要綱第6条(1))。千円未満の端数は切り捨て
上限(介護ソフト) 職員数により100万/150万/200万/250万円。介護ソフト定着促進支援を併せる場合は115万/165万/215万/265万円。職員数非連動の契約方式は一律250万円(定着促進支援併用で265万円)
申請期間(令和8年度) 令和8年7月22日(水)8時30分〜令和8年11月30日(月)17時必着の予定だったが、申請額が予算額に達したため令和8年9月9日に受付終了
窓口 山口県介護生産性向上総合相談センター(〒753-0824 山口市穂積町1-2 リバーサイド山陽Ⅱ2F/公益財団法人介護労働安定センター山口支部内)電話083-920-0926、受付8時30分〜17時(土日祝日を除く)。財産処分の事前相談のみ山口県長寿社会課介護政策班
公式URL 令和8年度山口県介護テクノロジー定着支援事業補助金(かいごへるぷやまぐち)

令和8年度の山口県の受付状況と、次年度に向けた動き

令和8年度は予算到達により期限前に締め切られ、現在は次年度に向けたニーズ調査の段階に入っています。

経過を時系列で整理すると、令和8年7月10日に様式が修正され、7月22日8時30分から受付開始。ところが受付初日の7月22日11時45分をもって、既に予算額を超過している可能性が高いとして申請受付の一時停止が告知され、9月9日に「受付済みの申請を精査した結果、申請額が予算額に達したことが確認されたため」として申請受付終了が公表されました。当初の期限だった11月30日を待たずに、受付開始からわずか3時間15分で受付が一時停止された計算になります。

受付終了のお知らせには、県として今後3点を行うと書かれています。(1)未申請の案件については今後の導入に向けての相談対応を継続する、(2)次年度以降の介護テクノロジー定着支援の補助ニーズ把握を今後行う予定、(3)補助ニーズ把握の方法等については後日案内する、の3点です。

この(2)にあたるのが、令和8年9月28日から実施された介護テクノロジー定着支援事業ニーズ調査です。各介護事業所等の管理者を対象に、令和8年9月28日(月)〜10月9日(金)の期間でアンケートフォームによる回答が求められました。所要時間は約5分、問合せ先は山口県健康福祉部長寿社会課介護政策班(電話083-933-2807)。回答内容は統計処理され、次年度以降の補助申請に影響しないこと、事業所名が特定される形で公表されないことが明記されています。

2026年11月7日時点で、かいごへるぷやまぐちの新着情報に令和9年度の募集に関する告知は出ていません。令和9年度の実施有無・予算額・受付開始日はいずれも未発表ですので、最新の状況はかいごへるぷやまぐちの新着情報と、山口県介護生産性向上総合相談センター(083-920-0926)でご確認ください。

介護ソフト・ICTで補助対象になる経費・ならない経費

対象経費は交付要綱第5条に3分類で定められており、ICT側で効くのはア(TAIS掲載の介護テクノロジー)、イ(介護ソフトの定着促進支援)、ウ(その他)です。

アは、公益財団法人テクノエイド協会が提供する福祉用具情報システム(TAIS)に「介護テクノロジー」として選定された機器等が対象です。TAISとは、同協会が厚生労働省の導入支援の対象となりうる製品を委員会で選定し掲載しているデータベースで、介護ソフトもここに「介護業務支援」として掲載されています。

イの「介護ソフトの定着促進支援」が、山口県のICT申請で最も重要な区分です。要綱は「介護ソフトの定着を促進する費用として、介護ソフトの導入に伴い一体的に使用するためのタブレット端末の購入費用やWi-Fi環境整備に必要な経費等を対象とする」と定め、具体例として次を挙げています。「介護ソフトと一体的に使用するための情報端末(PC、タブレット端末(リース費用含む))」「介護ソフトを利用するためのWi-Fi環境を整備するために必要な経費(配線工事(Wi-Fi環境整備のために必要な有線LANの設備工事も含む)、モデム・ルーター、アクセスポイント、システム管理サーバー、ネットワーク構築等)」「介護ソフトの導入前後に行うベンダーによるサポート費用 等」の3つです。

ウの「その他」には、アによらずTAIS未掲載でも県が同水準と認める機器や、職場環境整備として有効と県が認める機器が入ります。例示の中には「職員間の情報共有や職員の移動負担の軽減など効果的・効率的なコミュニケーションを図るための機器(インカム等)」「バックオフィスソフト(電子サインシステム、給与、勤怠管理等)」「バイタル測定が可能なウェアラブル端末 等」が挙げられています。

一方、対象外の線引きもはっきりしています。Q&AのQ15は「PCやタブレット端末等は補助対象となりますか」に対し「テクノロジー機器の導入に伴って導入する場合であって、介護ソフト等と一体的に使用するための情報端末であれば補助対象とします。(PCやタブレット端末等の単体での申請は不可とします。)」と回答。Q18も「通信環境整備のみの申請は対象になりません」と明言しています。

山口県・ICT申請の対象可否チェックリスト

要綱と令和8年度Q&A(20260701時点)の記述を、ICT導入で判断に迷いやすい項目に絞って一覧にしました。

項目 可否 根拠(要綱・Q&A)
介護記録ソフト(記録・情報共有・請求を一気通貫) 対象 第5条(1)ア/留意事項
バックオフィスソフト(電子サイン・給与・勤怠管理等) 対象 第5条(1)ウ②。Q&A要件5により一気通貫の環境が実現していなくても対象になり得る
介護ソフトと一体的に使うPC・タブレット端末(リース費用含む) 対象 第5条(1)イ
Wi-Fi配線工事・有線LANの設備工事・ルーター・アクセスポイント・システム管理サーバー 対象 第5条(1)イ
介護ソフトの導入前後に行うベンダーによるサポート費用 対象 第5条(1)イ
機器設置に係る設置費・工事費、メーカーの説明費(出張代金含む) 対象 Q&A要件16・17(付帯して必要となる経費)
介護ソフトの改修費(ケアプランデータ連携標準仕様・入退院時情報連携標準仕様・訪問看護計画等標準仕様・財務諸表のデータ出力機能・LIFE標準仕様への対応) 対象 Q&A要件6
付属品・オプション品 対象になり得る Q&A要件14(生産性向上に必要不可欠と考えられるもの)
PC・タブレット端末の単体申請 対象外 Q&A要件15
通信環境整備のみの申請 対象外 Q&A要件18
通信費(ランニングコスト) 対象外 第5条【留意事項】「通信費は上記経費には含まない」
他の補助金等を受けて導入する機器等 対象外 第5条柱書
同一法人内で当該事業者が使用するために個別開発するテクノロジー機器の開発経費 対象外 Q&A要件8。販売価格が公表され一般に購入できる状態にある機器等が対象(留意事項)
福祉用具貸与事業所が貸与するために購入する福祉用具 対象外 Q&A要件9
総合事業(通所型サービスB等)のみを行う事業者 対象外 Q&A対象事業所1
専ら地域包括支援センターとして実施している事業に使用される機器等 対象外 第7条(3)/Q&A対象事業所3

どの記録ソフトを選ぶかで一気通貫の要件を満たせるかが変わります。製品ごとの機能差は介護記録ソフトの比較で、見守り機器と組み合わせる場合の選び方は見守りセンサーの比較・選び方で整理しています。

山口市中心部の街並み
写真: Indiana jo / Wikimedia Commons (CC BY-SA 4.0)

補助率5分の4と上限額:介護ソフトは職員数で100万〜265万円

補助額は「対象経費の5分の4」と「区分ごとの基準額」を比べて低いほうが採用され、介護ソフトの基準額だけは職員数で4段階に分かれます。

交付要綱第6条(2)は「表1及び表2の第1欄に定める区分ごとに、(1)で算出した額と第2欄または第3欄の基準額とを比較して、少ない方の額(千円未満の端数を生じた場合は、これを切り捨てる。)を補助額とする」と定めています。注意したいのは、基準額はあくまで上限であり、「基準額に5分の4を掛ける」のではなく「実支出額の5分の4」と「基準額」を比べる点です。

表1:介護テクノロジーの導入支援(1台あたりの基準額)
区分 基準額
TAISで「移乗支援(装着型・非装着型)」「入浴支援」に掲載されているテクノロジー、「介護業務支援」に掲載されているインカム等(およびこれらと同水準と判断された機器等、ウ②のうちバックオフィスソフト以外) 100万円
介護ソフト、TAISで「介護業務支援」に掲載されている介護ソフトと同水準と判断された機器等、ウ②のうちバックオフィスソフト 表2の第2欄による
上記以外のもの(見守り機器・排泄支援機器等) 30万円
第5条(1)イ(介護ソフトの定着促進支援=端末・Wi-Fi・ベンダーサポート) 導入する介護ソフトの経費と合わせて表2の第3欄による。※パッケージ型導入支援に合わせて対象とする場合、パッケージ型導入支援の上限に15万円上乗せ
第5条(2)パッケージ型導入支援(機器等の合計経費) 1,000万円
表2:介護ソフトおよびバックオフィスソフトの基準額
職員数(申請時点) 第2欄(介護ソフト等のみを導入) 第3欄(第5条(1)イの支援を併せて活用)
1名以上10名以下 100万円 115万円
11名以上20名以下 150万円 165万円
21名以上30名以下 200万円 215万円
31名以上 250万円 265万円
職員数により合計金額が変動しない契約方式の場合 一律250万円 265万円
加算:訪問介護事業所等の居宅サービス事業所又は居宅介護支援事業所(介護予防も含む)であって、令和8年度中に「ケアプランデータ連携システム」により5事業所以上とデータ連携を実施する場合は、基準額に5万円を加算

表2が適用されるのは「職員数に応じて必要なライセンス数が変動するなど、職員数により合計金額が変動する契約」の場合です。それ以外の契約方式なら職員数に関係なく一律250万円(イの支援を併用する場合は265万円)になります。

職員数の数え方には2つの注記があります。※1は「職員数には、訪問介護員等の直接処遇職員だけでなく、ICTの活用が見込まれる管理者や生活相談員等の職員も算入して差し支えない」。※2は申請時点における常勤換算方法(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 第2条第8号等)により算出し、小数点以下は四捨五入。ただし居宅を訪問してサービスを提供する職員(訪問介護員、居宅介護支援専門員等)および管理者や生活相談員等は、従事する職務の性質上、実人数(常勤・非常勤の別は問わない)としても差し支えない、と定められています。

台数の上限は金額ベースです。留意事項は「介護テクノロジー等の導入に伴う1事業所当たりの限度台数は、事業所等の業務内容及び規模に照らして適当であると認められる台数であって、全ての機器に係る補助額(付帯して必要となる経費を含む)の合計が1,000万円以下とする」と定めています。同じ金額ベースの上限を採る県は他にもあり、たとえば広島県の介護補助金も1事業所1,000万円という設計です。

介護ソフトだけに課される要件(一気通貫・ケアプランデータ連携・LIFE・SECURITY ACTION)

山口県では、介護ソフトを申請する場合にのみ追加で求められる機能要件があり、サービス種別によって中身が変わります。

まず全サービス共通の前提として、留意事項は介護ソフトを「記録業務、情報共有業務(事業所内の情報連携のみならず、居宅サービス計画やサービス利用票等を他事業所と連携する場合を含む。)、請求業務を一気通貫で行うことが可能となっているものであること(転記等の業務が発生しないものであること)」と定義しています。「なお、既に導入している介護ソフト等と組み合わせて一気通貫が実現できていれば補助対象とする」とあるため、ゼロから全部入れ替える必要はありません。介護記録等のデータをCSV・JSON等の変換が容易なデータ形式で出力・入力できる機能は「備えていることが望ましい」という努力目標の位置づけです。

その上で、居宅介護支援事業所・介護予防支援事業所・居宅サービス事業所・介護予防サービス事業所が介護ソフトを申請する場合は、追加要件①として、国民健康保険中央会のベンダー試験結果および厚生労働省の「介護ソフトの機能調査結果」において、(I)「ケアプランデータ連携標準仕様」に準じたCSVファイルの出力・取込機能を有していること、(II)国民健康保険中央会が運営する「ケアプランデータ連携システム」の活用促進のためのサポート体制が整っていることが確認できるもの、とされています。

施設サービス事業所(介護福祉施設サービス・介護保健施設サービス・介護医療院サービス)および地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護事業所の場合は、追加要件②として、厚生労働省の「介護ソフトの機能調査結果」において、科学的介護情報システム(LIFE)の「CSV連携仕様書(LIFE)」に準じたCSVファイルの出力機能を有していることが確認できるもの、と定められています。居宅系はケアプランデータ連携、施設系はLIFE、と覚えておくと整理しやすいはずです。

さらに交付要綱第7条(7)により、介護事業所等は独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施するSECURITY ACTIONの「★一つ星」または「★★二つ星」のいずれかを宣言することが求められます。SECURITY ACTIONとは、中小企業・小規模事業者等が自ら情報セキュリティ対策に取り組むことを自己宣言する制度です。Q&A要件10は「『SECURITY ACTION』の『★一つ星』又は『★★二つ星』のいずれかを宣言しなければ当事業の補助を受けることができません」と明言しています。SECURITY ACTION対象外の事業所については、同等の対策(一つ星or二つ星)を講じていることを宣言することとされています。

ケアプランデータ連携は「実績」が要件

第7条(5)は、訪問介護・通所介護・居宅介護支援など43のサービスについて、令和8年度内に「ケアプランデータ連携システム」の利用を開始することを交付条件としています。

Q&A(ケアプランデータ連携システム1)は、「補助要件に『ケアプランデータ連携システムの利用を開始していること』とあるが、データ連携実績がなくてもよいのか」という問いに対し「システムの利用を開始し、連携実績があることが補助要件となります」と回答しています。単に契約・登録しただけでは足りず、実際に連携した実績が求められる点に注意が必要です。利用が分かるよう、業務改善計画様式の「⑥ケアプランデータ連携システムの利用」にチェックを入れること(年度内に利用見込の場合も含む)とされています。

なお居宅療養管理指導については、ケアマネジャーによる給付管理サービスの対象外でサービス利用票を送付することがないため、システムの利用は原則として補助要件とされません。ただしケアプランデータの連携を行う計画となっている場合に限り、システムを使用することが補助要件になります。

山口県特有の注意点:前年度受給・1機種限り・端末単独不可

山口県の要綱には、他県では見かけにくい3つの制限があり、計画段階で知らないと申請自体ができなくなります。

1つ目は前年度受給の事業所は対象外という制限です。交付要綱第4条のただし書きは「本要綱に基づく補助を過去に受けたことがある介護事業所等は対象外とする」と定めています。Q&A(交付申請等5)はこれを補足し、「令和7年度に本補助金の交付を受けた事業所・施設は、今年度は補助対象外となります。ただし、本補助金の利用の有無は、事業所・施設単位で判断しますので、昨年度利用いただいた法人であっても、昨年度に補助を受けていない事業所・施設については申請可能です」と説明しています。あわせて「※本補助金はより多くの事業所・施設に活用していただくことを目的としています」とも記されています。判定は法人単位ではなく事業所・施設単位なので、法人内に未利用の事業所があればそちらで申請する組み立てが可能です。なお令和6年度までの旧3制度(介護テクノロジー導入支援・介護ロボット導入支援・介護事業所ICT導入推進)の受給歴は、Q&A(交付申請等4)が「過去の申請回数や補助額に関わらず申請可能です」としています。

2つ目は「補助は1機種限り」です。留意事項は「第5条(1)、(2)において、同一年度内に複数の機種を同一の目的のために導入する場合、複数の機種への補助は認めない(補助は1機種限り)」と定めています。たとえば記録ソフトを2社分、同じ目的で導入して両方申請する、という組み立てはできません。

3つ目は端末・Wi-Fi単独では申請できないという制限です。前述のQ&A要件15・18のとおり、PC・タブレットの単体申請も通信環境整備のみの申請も対象外。さらに交付要綱第7条(1)は、交付の条件として「見守り機器、インカム又は介護ソフトのいずれか1種以上を必ず導入すること」と定めています(既に導入済みの場合、または本要綱に基づかずに当年度中に導入する場合はこの限りではない、との例外付きです)。端末やWi-Fiだけを更新したい、という需要は、この要綱では受け止められません。

他の補助金との併用、リース・ライセンス、複数事業所の按分

併用については、交付要綱第5条の柱書が「ただし、他の補助金等を受けて導入する機器等については、本補助事業の対象とならない」と明記しています。同じ機器にIT導入補助金など他の補助金を充てる場合、その機器は本補助金の対象になりません。

リース・月額契約・ライセンスの扱いは、Q&Aの【対象期間】に3問まとまっています。リースの場合(歳出科目で「使用料及び賃借料」に該当する場合)は、リース期間にかかわらず当該年度の3月末までが対象(書類等の提出は2月末まで)。毎月費用を支払う介護ソフトも同じく当該年度の3月末までが対象です。5年間の使用権(ライセンス)を購入する場合は、「購入時に一括して費用を支払うものであり、性質としては買い切り型介護ソフトの購入と同質であると考えられ」るため、一括して支払うことが一般的な購入方法である場合には、購入した年度の2月末までに支払った全額を補助対象経費として扱って差し支えない、と整理されています。

複数事業所での共用機器は按分です。Q&A(交付申請等14)は「1つの機器を、同じ法人内の複数の事業所で使用する場合、機器購入代は按分して申請するのですか」に対し「合理的な計算方法で按分して申請をしてください。申請書に具体的な按分方法を記載した資料(様式任意)を添付してください」と回答しています。また同一敷地内に特別養護老人ホームと通所介護事業所が併設されている場合は「指定ごとに1事業所としてカウントするため、2事業所と計算してください」(Q&A対象事業所2)とされ、機器の共用自体は差し支えないものの、実質的に特定の事業所のみで活用されるような、2事業所を対象に補助をした目的に反する活用にならないよう留意が求められます。

なお交付要綱には財源の名称(地域医療介護総合確保基金など)の記載がなく、2026年11月7日時点で確認できませんでした。府県によって財源の立て方は異なり、たとえば大阪府の介護補助金や兵庫県の介護補助金とは申請単位や締切の考え方も違います。隣県との比較で自県の位置づけを把握したい場合は介護テクノロジー補助金の完全ガイドが入口になります。

申請の流れと締切から逆算したスケジュール

山口県は交付決定の翌日以降でないと契約できないため、見積もり取得から運用開始までを2月末から逆算して組む必要があります。

Q&A(交付申請等13)は「対象となるテクノロジー機器等はいつ購入またはリース契約すればよいですか」に対し、「交付決定日の翌日以降に契約をお願いします(交付決定前に契約したものは補助の対象外となりますのでご注意ください)。また、事業の完了については、当該年度の2月末までに契約、支払い、納品、運用開始の全てを完了させてください」と回答しています。「運用開始」まで2月末に含まれる点が、山口県のスケジュールで最も見落とされやすい条件です。

交付申請は交付要綱第8条により第1号様式で行い、Q&A(交付申請等3)は「申請は事業所ごとになりますが、申請書の提出は法人ごとにとりまとめのうえご提出ください」としています。提出は原則メールで、添付ファイルを含めて10MB以内(超える場合はファイルを分割するか容量を縮小)。センターに到着した場合は3営業日以内に受信確認の返信があり、返信メールが届かない場合は必ずセンターに問い合わせるよう求められています。これから開設する事業所については、申請書の提出日時点で対象事業所が開設されている必要があります(Q&A交付申請等2)。

実績報告は交付要綱第11条により、補助事業が完了した日から20日を経過した日または当該年度の2月末日のいずれか早い期日までに提出します。ここでいう「補助事業の完了」には第7条に掲げる交付条件の充足を含む、と要綱に明記されています。つまり研修の受講やSECURITY ACTIONの宣言が済んでいなければ、機器が納品されていても完了とは扱われません。

山口県の介護ソフト・ICT申請 逆算スケジュール(令和8年度の運用を基準にした目安)
時期の目安 やること 根拠
募集開始の2〜3か月前 法人内で前年度受給の有無を事業所単位で確認。未利用の事業所を洗い出す 第4条ただし書き/Q&A交付申請等5
同時期 山口県介護生産性向上総合相談センターへ相談し、業務改善計画の作成に着手 第7条(2)・第14条
同時期 介護ソフトが一気通貫か、居宅系はケアプランデータ連携標準仕様、施設系はLIFE標準仕様に対応しているかをベンダーに確認 第5条留意事項①②
申請前 SECURITY ACTION(★一つ星/★★二つ星)を宣言し、完了メールを保管 第7条(7)/Q&A要件10
申請前 見積書を取得(契約はまだしない)。複数事業所共用なら按分資料(様式任意)を準備 Q&A交付申請等13・14
受付開始後すみやかに 事業所ごとに申請書を作成し、法人ごとにとりまとめて10MB以内のメールで提出。3営業日以内の受信確認返信をチェック 第8条/Q&A交付申請等3・8・9
交付決定の翌日以降 機器・ソフトの契約、発注 Q&A交付申請等13
当該年度の2月末まで 契約・支払い・納品・運用開始をすべて完了。研修受講も実績報告書提出日までに完了 Q&A交付申請等13/第7条(2)
完了日から20日後または2月末日の早いほう 事業実績報告書(第4号様式)を提出 第11条
翌年度から3年間 業務改善計画に対する効果を県に報告 第15条

交付申請書・実績報告書の一般的な書き方や添付書類の考え方は補助金申請の流れ・必要書類にまとめています。受付初日に予算額を超える県では、募集告知を見てから準備を始めると間に合わないことがあり、同じく人気が集中しやすい福岡県の介護補助金でも事前準備の前倒しが鍵になります。

交付決定後に機種を変えたくなったら

Q&A(交付申請等11)は「交付決定後、導入予定の介護テクノロジー機器等を変更することはできますか」に対し、「原則変更はできません。ただし、当該機器が申請書提出後、販売中止や廃盤、在庫切れとなった場合はこの限りではありません。その場合は、交付要綱第9条により変更の承認の手続きを行う必要があります」と回答しています。軽微な変更として扱われるのは、補助金の交付目的に反しない事業内容の変更と、交付決定額の20パーセント以内の増減の2つです(第9条第2項)。

また第7条(12)により、購入またはリースにより取得した機器等を3年を経過せずに処分またはリース契約を解除した場合は、既に受けた補助金の全額を返還しなければなりません(県が定める財産処分承認基準で県納付に関する条件を付さずに承認する場合、もしくはリース機器を購入するためにリース契約を解除した場合を除く)。30万円以上の機械・器具等の処分は、事前に山口県長寿社会課介護政策班へ問い合わせるようQ&A(交付申請等15)が求めています。

関門橋と下関市街の眺め
写真: TT mk2 / Wikimedia Commons (CC BY-SA 3.0)

研修受講と業務改善計画:山口県では「相談」が条件に組み込まれている

山口県は、補助金の交付条件そのものに「相談センターへの相談」と「研修受講」を組み込んでいます。

交付要綱第7条(2)は、生産性向上に向けた課題解決につなげ、介護テクノロジーの活用を継続的に行えるようにするため、次の支援を受けることを条件としています。1つは第14条に規定する業務改善計画の作成等を行うにあたり、山口県介護生産性向上総合相談センターに相談を行うこと。もう1つは、令和8年4月1日から第11条に規定する事業実績報告書を提出する日までの間に、次のいずれかの研修を受講することです。

  • 厚生労働省委託事業「介護現場の生産性向上に向けた介護テクノロジー等の開発・実証・普及調査広報事業(都道府県支援事業・リビングラボ事業)」の相談窓口が実施する研修
  • 厚生労働省委託事業による「生産性向上ビギナーセミナー」「生産性向上フォローアップセミナー」および「デジタル中核人材養成研修」
  • 山口県介護生産性向上総合相談センターが実施する研修
  • 県が実施する「介護テクノロジー定着セミナー」その他、介護生産性向上に関する研修

Q&A(要件4)は「令和8年度の補助申請にあたっては、令和8年度に実施する研修の受講をお願いしています。厚生労働省のオンライン研修も対象になりますので、実績報告までに受講するようにお願いします」と回答。さらにQ&A(要件11)は「必ず令和8年度に研修を受講してください。過年度に全く同じ内容の研修を受講している場合には、他の担当者が受講する等工夫してください」としています。前年度に受講済みでも当年度の受講が必要、という運用です。

相談センターの連絡先は、厚生労働省が公表する介護生産性向上総合相談センターの一覧にも掲載されており、山口県は電話083-920-0926(8時30分〜17時/土日祝日を除く)です。

このほかの交付条件として、施設系・居住系など16のサービスには、利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会(名称は問わない)の設置が求められます。Q&A(要件12)は「委員会は、3か月に1回以上開催し利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策の検討を行ってください」と、開催頻度まで示しています。設置のみで開催していない状態は条件を満たしません。

また第7条(6)は、業務の改善・効率化が進み収支の改善が図られた場合には職員の賃金へも適切に還元し、その旨を職員等に周知することを条件とし、第15条で定める報告により確認する、としています。

よくある質問

令和8年度の山口県の介護ソフト・ICT補助金は、まだ申請できますか?

できません。令和8年度山口県介護テクノロジー定着支援事業補助金は、当初は令和8年11月30日17時必着の予定でしたが、「受付済みの申請を精査した結果、申請額が予算額に達したことが確認されたため」として令和8年9月9日に受付が終了しています。県は未申請の案件についても今後の導入に向けての相談対応を継続するとしており、令和8年9月28日〜10月9日には次年度以降のニーズ把握アンケートも実施されました。令和9年度の実施有無・予算額・受付開始日は2026年11月7日時点で未発表です。最新情報は山口県の公式サイト(かいごへるぷやまぐち)と相談センターでご確認ください。

タブレットやWi-Fiだけを導入したい場合も補助の対象になりますか?

対象になりません。Q&A(要件15)は「PCやタブレット端末等の単体での申請は不可とします」とし、同18は「通信環境整備のみの申請は対象になりません」としています。交付要綱第7条(1)も、見守り機器・インカム・介護ソフトのいずれか1種以上を必ず導入することを交付条件としています(既に導入済みの場合、または本要綱に基づかずに当年度中に導入する場合を除く)。逆に、介護ソフトと一体的に使用する端末やWi-Fi環境整備は第5条(1)イとして対象になり、介護ソフトの基準額が第3欄(115万〜265万円)に上がります。

月額課金のクラウド型介護ソフトやリース契約も対象になりますか?

対象になり得ます。Q&A(対象期間2)は、毎月費用を支払う介護ソフトについて「当該年度の3月末までが対象です。ただし、書類等の提出については、当該年度の2月末までの提出をお願いしています」としています。リース(歳出科目で「使用料及び賃借料」に該当する場合)も、リース期間にかかわらず当該年度の3月末までが対象です。5年間の使用権(ライセンス)購入型については、一括して支払うことが一般的な購入方法である場合には、購入した年度の2月末までに支払った全額を補助対象経費として扱って差し支えない、と整理されています。いずれも要件を満たすかは公募時点の要領と相談センターへの確認が必要です。

令和7年度にこの補助金を使った事業所は、令和8年度も申請できますか?

同じ事業所・施設では申請できません。交付要綱第4条は「本要綱に基づく補助を過去に受けたことがある介護事業所等は対象外とする」と定めています。ただしQ&A(交付申請等5)が「本補助金の利用の有無は、事業所・施設単位で判断しますので、昨年度利用いただいた法人であっても、昨年度に補助を受けていない事業所・施設については申請可能です」としているため、法人内の別事業所であれば申請できます。なお令和6年度以前の旧制度(介護テクノロジー導入支援事業補助金・介護ロボット導入支援事業補助金・介護事業所ICT導入推進事業補助金)の受給歴は、過去の申請回数や補助額に関わらず申請可能とされています。

IT導入補助金など他の補助金と併用できますか?

同じ機器については併用できません。交付要綱第5条の柱書が「他の補助金等を受けて導入する機器等については、本補助事業の対象とならない」と明記しています。導入計画を立てる段階で、どの機器をどの補助金に充てるかを切り分けておく必要があります。判断に迷う組み合わせは、申請前に山口県介護生産性向上総合相談センター(083-920-0926)へご相談ください。

まとめ:山口県のICT補助金は「事業所単位の1回」をどこで使うかの設計が決め手

山口県の介護ソフト・ICT導入補助金は、山口県介護テクノロジー定着支援事業補助金1本に統合されています。補助率は5分の4、介護ソフトは職員数に応じて基準額100万〜250万円、タブレット・Wi-Fi・ベンダーサポートを併せれば115万〜265万円。居宅系でケアプランデータ連携を5事業所以上行えば5万円の加算もあります。

一方で、本要綱に基づく補助を過去に受けた事業所は対象外という制限があるため、「法人内のどの事業所で、どの年度に使うか」を先に設計しておくことが、山口県では特に重要です。あわせて、交付決定の翌日以降でないと契約できないこと、2月末までに運用開始まで終える必要があること、研修受講とSECURITY ACTIONの宣言が交付条件に含まれることも、見積もり取得の前に押さえておきたい条件です。

令和8年度は受付が終了していますが、業務改善計画の作成や相談センターへの相談、介護ソフトの機能確認(一気通貫・ケアプランデータ連携標準仕様・LIFE標準仕様)は、募集を待たずに進められます。県全体の制度像は山口県の介護テクノロジー補助金、国の制度との関係は介護テクノロジー導入支援事業の全体像、申請実務は補助金申請の流れ・必要書類をあわせてご覧ください。

補助率・上限額・要件・締切は年度ごとに変わります。実際の申請にあたっては、必ず山口県の公式サイト(かいごへるぷやまぐち)に掲載される最新の交付要綱・Q&Aと、山口県介護生産性向上総合相談センターでご確認ください。交付決定前の契約・発注は対象外です。要件を満たしても予算の範囲内での交付となり、申請すれば必ず補助を受けられるわけではありません(Q&A交付申請等1)。

この記事は2026年11月7日(JST)時点の公式情報に基づきます。

出典(すべて公式)


この記事の制作・監修
河原 将太(株式会社Tip 代表取締役社長)
国・和歌山県・各市町村の公式情報(公募要領・公式サイト)を確認したうえで制作しています。補助率・上限・締切は年度や公募回で変わるため、最新は各実施主体の公式サイトでご確認ください。 運営者情報 / 補助金を使ったWeb集客の無料相談(30分)
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