「徳島県の特養で見守りセンサーを入れたい。県の補助金はあるはずなのに、長寿いきがい課のページを開くと出てくるのは『要望調査』の文字ばかりで、肝心の金額がどこにも書いていない」——そんな状態で稟議書の前で手が止まっていませんか。
徳島県の介護テクノロジー補助金でつまずく理由ははっきりしています。事業名が「導入支援」ではなく「介護テクノロジー定着支援事業」であり、補助率や上限額は県ホームページの本文ではなく、交付要綱PDFの別表1〜3にしか書かれていないからです。検索キーワードと事業名がずれているので、一般的な「介護ロボット 補助金 徳島」では公式ページにたどり着きにくいのです。
先に結論を3行でお伝えします。
- 徳島県の介護テクノロジー補助金は「徳島県介護テクノロジー定着支援事業費補助金」が中心。補助率は5分の4で、事業所の自己負担は5分の1です。
- 上限は1法人あたりではなく補助内容ごと。移乗支援・入浴支援の機器は1機器100万円、介護ソフト等は職員数に応じて最大265万円、パッケージ型導入は1,000万円、業務改善支援は48万円が補助基準額です。
- 令和8年度(2026年度)は、交付申請の前段に「要望調査」があり、提出期限は令和8年7月10日(金)でした。期日までに必要書類を提出していない法人は、令和8年度の交付申請が認められません。
この記事では、徳島県保健福祉部長寿いきがい課が公開している交付要綱・交付要領・Q&A(令和8年6月16日更新)の原文をもとに、誰が・いくら・いつまでに・どこへ出すのかを、施設長と事務長が稟議にそのまま使える粒度で整理します。あわせて、公式Q&Aに書かれている「県予算の範囲内で優先的に採択される事業所の3条件」という、まとめサイトにはまず載っていない情報も取り上げます。ここを知らないまま要望調査を出すと、同じ予算のなかで後回しになります。
この記事は2026年10月30日時点の公式情報に基づきます。

結論|徳島県の介護テクノロジー補助金は「定着支援事業」1本・補助率5分の4
徳島県内の介護事業所が使う県の介護テクノロジー補助金は、名称を「徳島県介護テクノロジー定着支援事業費補助金」といい、窓口は保健福祉部長寿いきがい課です。
| 事業名 | 介護テクノロジー定着支援事業(補助金名:徳島県介護テクノロジー定着支援事業費補助金) |
|---|---|
| 実施主体 | 徳島県(保健福祉部 長寿いきがい課 介護支援担当) |
| 根拠 | 徳島県介護テクノロジー定着支援事業費補助金交付要綱/同交付要領(いずれも令和8年4月1日施行)、徳島県補助金交付規則(昭和58年徳島県規則第53号) |
| 対象施設 | 徳島県内に所在する、介護保険法に基づく全サービスを提供する事業所、老人福祉法に基づく養護老人ホーム及び軽費老人ホーム。交付対象者はこれらを運営又は開設する法人(法人本部で使用するものは補助対象外) |
| 対象機器 | 公益財団法人テクノエイド協会の「福祉用具情報システム(TAIS)」に介護テクノロジーとして登録された機器、介護ソフト、タブレット端末、通信環境整備などの付帯経費ほか |
| 補助率・上限 | 補助率5分の4(自己負担5分の1)。上限は補助内容ごとに設定(別表1=1機器100万円/30万円ほか、別表2=1,000万円、別表3=48万円)。1法人あたりの上限額はなし |
| 申請期間 | 令和8年度は要望調査の提出期限が令和8年7月10日(金)。要望調査後に県が金額の「内示」を通知し、その範囲内で交付申請(受付時期は県から別途案内) |
| 窓口 | 徳島県保健福祉部長寿いきがい課 介護支援担当/電話 088-621-2213/FAX 088-621-2840/choujuikigaika@pref.tokushima.lg.jp |
| 公式URL | 令和8年度「介護テクノロジー定着支援事業」の実施にかかる要望調査について(徳島県) |
注意したいのは、県ホームページの本文には補助率も上限額も書かれておらず、数字はすべて添付PDFの「交付要綱」別表1〜3に入っているという点です。ページだけを見て「情報が足りない」と判断せず、必ず要綱PDFまで開いてください。全国共通の枠組みから押さえたい方は介護テクノロジー導入支援事業の全体像を先に読むと、徳島県の独自ルールがどこなのか一目で分かります。
制度の全体像|地域医療介護総合確保基金と徳島県「定着支援事業」の関係
徳島県の定着支援事業は、国の基金で動く「介護テクノロジー導入支援事業」とは別枠で、同じ機器に重ねて使えない設計になっています。
介護ロボットやICTの補助金は、もともと国の地域医療介護総合確保基金(消費税財源を使って都道府県に置かれた基金。医療・介護の提供体制づくりに充てられます)を原資に、都道府県が「介護テクノロジー導入支援事業」として実施してきました。徳島県の交付要綱も、この国の事業の存在を前提に書かれています。
具体的には、交付要綱第3条第2項に次の趣旨が明記されています。他の補助金等を受けて導入する機器、および地域医療介護総合確保基金で実施する「介護テクノロジー導入支援事業」により補助を受けて導入する機器等に関する経費は、定着支援事業の補助対象にはなりません。つまり、同じ機器を両方の制度で二重に補助してもらうことはできない、という整理です。
徳島県の様式(交付要領別紙1「介護テクノロジー導入計画」)には、過年度の交付実績を書く欄が並んでいます。令和2年度〜令和5年度は「介護ロボット導入支援事業」と「ICT導入支援事業」の2本立て、令和6年度・令和7年度は「介護テクノロジー定着支援事業」——という欄構成になっており、徳島県が令和6年度にロボットとICTを統合し、名称も「定着支援」に切り替えた経緯が様式から読み取れます。「定着」という言葉が入っているのは、買って終わりではなく業務改善と効果検証までを一体で求める制度だからです。
この点は、制度の呼び名が県ごとに違う典型例です。制度名が違っても国の枠組みは共通しているので、全国的な考え方は介護テクノロジー補助金の完全ガイドで確認し、徳島県の個別要件はこの記事で押さえる、という読み分けが効率的です。近隣県の制度設計と比べたい場合は兵庫県の介護補助金や広島県の介護補助金も参考になります。
なお、徳島県には政令指定都市がありません。札幌市や横浜市のように市独自の介護ロボット補助金が県事業と並走する構図にはならず、県内の介護事業所はまず県の制度を見ればよいというのが徳島県の分かりやすい点です(市町村が独自に上乗せする制度の有無は、各市町村の介護保険担当にご確認ください)。
対象になる施設・事業所と対象機器|TAIS登録が入口
対象はサービス種別で絞られておらず「介護保険法に基づく全サービス」が入りますが、機器の側はTAIS登録という明確な線引きがあります。
対象施設・事業所
交付要綱第1条が定める対象は、徳島県内に所在する、介護保険法に基づく全サービスを提供する事業所、老人福祉法に基づく養護老人ホーム及び軽費老人ホームです。特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・グループホーム・特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム)・通所介護はもちろん、訪問介護事業所や居宅介護支援事業所も対象に含まれます。交付対象者は、これらの事業所を運営または開設する法人です。
ただし公式Q&AのA2に、法人本部で使用するものは補助対象外と明記されています。本部の事務用パソコンやバックオフィス機器を本部名義で買う計画は通りませんので、あくまで事業所単位で使う機器として計画してください。
対象になる介護テクノロジー
交付要綱別表1は、補助対象となる「介護テクノロジー」を、公益財団法人テクノエイド協会が提供する福祉用具情報システム(TAIS)に掲載された機器と定義しています。TAISは、福祉用具・介護機器の仕様や企業情報を登録・公開している国内唯一の公的データベースで、製品ごとに登録番号が付与されています。公式Q&AのA12も「『福祉用具情報システム(TAIS)』に介護テクノロジーとして登録されている機器が対象」としたうえで、テクノエイド協会のTAIS検索サイトで確認するよう案内しています。制度や協会全体の情報はテクノエイド協会の公式サイトから確認できます。
TAIS上の分類でいうと、移乗支援(装着型・非装着型)、入浴支援、見守り・コミュニケーション、介護業務支援などが該当します。見守り機器そのものの選び方は見守りセンサーの比較・選び方で製品タイプごとに整理しています。
介護ソフト・ICT・付帯経費
介護ソフトやタブレット端末も別表1の対象です。要綱では、介護テクノロジーの利用にあたって必要となる通信環境整備(配線工事、Wi-Fi環境整備のための有線LAN設置工事、モデム・ルーター、アクセスポイント、システム管理サーバー、ネットワーク構築等)や、介護ソフトとあわせて導入するタブレット端末等が、機器導入に付帯して必要となる経費として位置づけられています。
ここで必ず押さえてほしいのが公式Q&AのA8です。通信環境整備を単体で実施することは補助対象外で、本事業で介護テクノロジーを導入した場合、またはパッケージ型導入をした場合の付帯費用としてのみ対象になります。「まずWi-Fiだけ直したい」という計画は通りません。記録ソフトの選定基準は介護記録ソフトの比較もあわせてご覧ください。
別表1には「その他」の機器区分もありますが、公式Q&AのA13は要綱に例示してあるもののみを対象とすると明確に限定し、判断できない場合は様式の「質問票」に記入のうえ介護事業所等からメールで問い合わせるよう求めています。グレーな機器は、要望調査の前に必ず照会してください。
補助率と上限額|機器区分ごとの補助基準額一覧
補助率はすべての区分で5分の4に統一されており、違いが出るのは補助基準額(上限)の側です。
| 補助内容(交付要綱の別表) | 補助率 | 補助基準額(上限) |
|---|---|---|
| 別表1 介護テクノロジーの導入/TAISで「移乗支援(装着型・非装着型)」「入浴支援」に掲載されているテクノロジー、「介護業務支援」に掲載されているインカム | 5分の4 | 1機器につき100万円 |
| 別表1 介護テクノロジーの導入/TAISで「介護業務支援」に掲載されている介護ソフト、1(3)で示す機器のうちバックオフィスソフト | 5分の4 | 別表1-2の職員数別基準額(下表) |
| 別表1 介護テクノロジーの導入/上記以外の機器等 | 5分の4 | 1機器につき30万円 |
| 別表2 介護テクノロジーのパッケージ型導入 | 5分の4 | 1,000万円(機器の導入に付帯して必要となる経費を含む) |
| 別表3 導入支援と一体的に行う業務改善支援 | 5分の4 | 48万円(1介護事業所あたり) |
見落とされやすいのがインカムの扱いです。インカムはTAISの分類では「介護業務支援」ですが、補助基準額は介護ソフトの別表1-2ではなく、移乗支援・入浴支援と同じ1機器につき100万円の区分に置かれています。また、別表1の「その他」(1(3))の機器については、要綱の補助基準額欄に「1(3)で示す機器のうちバックオフィスソフト以外は1機器につき100万円」と「1(3)で示す機器のうち上記以外のものは1機器につき30万円」の両方の記載があるため、どちらの区分に当たるかは要望調査の前に長寿いきがい課へ照会してください。
いずれも、算定額に千円未満の端数が生じた場合はこれを切り捨てます。公式Q&AのA5は、事業所の負担割合は5分の1であると端的に答えています。また公式Q&AのA3は、1法人あたりの補助上限額は設けていない(上限は補助内容ごと)と明記しています。複数事業所を持つ法人にとっては、ここが徳島県の大きな特徴です。
介護ソフト等の補助基準額(別表1-2)
職員数に応じて必要なライセンス数が変動するなど、職員数により合計金額が変動する契約の場合、基準額は次の表で決まります。
| 職員数 | 介護ソフト・バックオフィスソフトのみを導入する場合 | 介護ソフトの導入とあわせて別表1(2)の支援を活用する場合 |
|---|---|---|
| 1名以上10名以下 | 100万円 | 115万円 |
| 11名以上20名以下 | 150万円 | 165万円 |
| 21名以上30名以下 | 200万円 | 215万円 |
| 31名以上 | 250万円 | 265万円 |
それ以外の方式の契約の場合は、一律250万円が基準額です。さらに加算が1つあります。訪問介護事業所等の居宅サービス事業所または居宅介護支援事業所(介護予防も含む)であって、令和8年度中に「ケアプランデータ連携システム」により5事業所以上とデータ連携を実施する場合は、基準額に5万円を加算します。
職員数の数え方にも細かい指定があります。職員数には訪問介護員等の直接処遇職員だけでなく、ICTの活用が見込まれる管理者や生活相談員等の職員も算入して差し支えないとされ、人数は原則として申請日の属する月の前月末日時点での常勤換算方法による算出人数です(小数点以下は四捨五入)。ただし、居宅を訪問してサービスを提供する訪問介護員・居宅介護支援専門員等、および管理者や生活相談員等は、従事する職務の性質上、常勤換算ではなく実人数(常勤・非常勤の別は問わない)としても差し支えないとされています。稟議書に書く金額が1段変わるポイントなので、数え方は事前に窓口へ確認しておくと安全です。
パッケージ型導入(別表2)という大きな選択肢
上限1,000万円のパッケージ型導入は、単品購入とは発想が違います。別表2は、TAISで「介護業務支援」に分類されるテクノロジー等と、それと連動することで効果が高まると判断できるテクノロジーを組み合わせて導入する場合の支援と定義し、通信環境整備にかかる経費も支援対象に含むとしています。
要綱が挙げている例は次の3つです。「介護業務支援」に該当する機器+「見守り・コミュニケーション」に該当する機器/「介護業務支援」に該当する複数の機器/介護記録ソフト+インカム 等。記録ソフトとインカム、記録ソフトと見守りセンサーをセットで入れる計画なら、1機器単位の上限ではなくパッケージ型の枠で組み立てた方が、上限に当たりにくくなります。ただし採択は審査と県予算の範囲内であり、満額が保証されるものではありません。
業務改善支援(別表3)は「受けること」が要件
別表3の業務改善支援(補助基準額48万円、1介護事業所あたり)は、単なる上乗せメニューではありません。要綱は、本事業で介護テクノロジーを導入する場合は、(1)コンサルティング会社等による業務改善支援、または(2)とくしま介護現場DXサポートセンター等による業務改善支援を受けることを要件としたうえで、その費用を補助すると書いています。
(1)は、生産性向上ガイドラインに基づき、生産性向上に係る支援について知識・経験を有する第三者から、個別の契約に基づいて①事前評価(課題抽出)、②業務改善に係る助言・指導等、③事後評価(導入後の定着支援を含む)等の支援を受けるものです。メーカーや販売店等による機器の操作説明は対象としないと明記されています。(2)は、とくしま介護現場DXサポートセンターが実施する研修、厚生労働省委託事業の相談窓口が実施する研修、厚生労働省委託事業による「生産性向上ビギナーセミナー」「生産性向上フォローアップセミナー」「デジタル中核人材養成研修」、その他県が業務改善支援にあたるとした研修のうち、1つ以上を受講する形です。公式Q&AのA10は、該当する研修はとくしま介護現場DXサポートセンターが「業務改善支援にあたる」と明示している研修だと答えています。

申請の流れと締切|要望調査を出していないと交付申請ができない
徳島県で最も事故が起きやすいのは、交付申請ではなくその手前の「要望調査」です。
令和8年度の要望調査(提出期限:令和8年7月10日)
県は毎年度、交付申請の前段として要望調査を行います。令和8年度分は県ホームページで令和8年6月16日に更新版が公開され、提出期限は令和8年7月10日(金)、提出方法は徳島県電子申請サービスからの提出でした。調査票は「介護テクノロジー」「パッケージ」「業務改善支援」の3種類に分かれ、ほかに申請事業所一覧表、参考様式1・2(介護ソフトの要件確認用)、質問票が用意されています。
県ページに書かれている注意書きは、かなり強い表現です。「期日までに必要書類の提出がない場合は、この事業による補助金の交付申請を認めません」と明記されており、要望調査への回答は事実上の参加資格です。さらに、見積書に事業完了予定年月日の記載がない場合は、要望調査に回答していないものとみなされます。見積書の様式まで確認して提出する必要があります。
一方で、回答すれば採択されるわけでもありません。県ページは「御回答いただいた内容がそのまま補助の対象となるものではないこと、調査の結果、県予算の範囲を超える場合は、御希望に沿えない場合がある」と明記しています。
公式Q&Aが示す「優先して採択される事業所」の3条件
これは他県の制度紹介ではまず見かけない情報です。公式Q&AのA4は、県予算の範囲内での補助となるため、下記の事業所を優先して採択するとして3つを挙げています。
- 補助申請内容が見守り機器、インカム、介護ソフトである事業所
- とくしま介護現場DXサポートセンターの伴走支援を令和7年度に受けた事業所、もしくは令和8年度に受ける予定がある事業所
- 当課(長寿いきがい課)が実施する介護テクノロジー関係の補助事業を受けたことがない事業所
裏を返せば、過去に何度も県の補助を受けている法人が、移乗支援機器だけを単品で、サポートセンターと無関係に申請する——という組み立ては、同じ予算のなかで優先順位が下がりやすいということです。徳島県で通りやすい計画を作るなら、見守り機器・インカム・介護ソフトを軸に、DXサポートセンターの伴走支援をセットで組むのが王道です。
手続きの順序と必要書類
徳島県は県ホームページの「補助を受けるにあたっての流れ」で順序を明記しています。①事業者が要望調査票を作成して県に提出する、②県が内容を確認・審査し、県予算等の範囲内で事業所に金額の「内示」を通知する、③事業者は「内示」の金額の範囲内で交付申請書等を提出する、④県が「交付決定」を行う、⑤事業者は「交付決定」を受けた日から、機器等の購入などの事業を開始できる、⑥事業完了後に実績報告書等を県に提出する、⑦県が「額の確定」を通知し補助金を支払う——という流れです。交付決定前に発注・購入した機器は対象になりませんので、見積取得の段階で発注時期を調整してください。一般的な手順と添付書類の考え方は補助金申請の流れ・必要書類にまとめています。
交付申請時に求められる書類は、交付要綱第5条と交付要領第5条で定められています。要綱側は、補助金申請額総括表、補助金所要額調書、導入計画書、業務改善計画、当該補助金に係る歳入歳出予算書(見込書)抄本、見積書の写し及びカタログ等。要領側は、介護テクノロジー導入計画(別紙1)、パッケージ型導入計画(別紙2)、導入支援と一体的に行う業務改善支援計画(別紙3)、業務改善計画(別紙4)です。
実績報告は、要綱第9条で補助金精算額総括表、補助金精算額調書、実績報告書、歳入歳出決算書(見込書)抄本、納品書・領収書の写し及び写真等、要領第6条で導入実績報告(別紙5)、パッケージ型導入実績報告(別紙6)、業務改善支援実績報告(別紙7)とされています。納品書・領収書だけでなく写真も必要な点は、現場で撮り忘れが起きやすいので導入当日に段取りしておきましょう。
締切から逆算したスケジュール
令和8年度の期限は公式Q&AのA1に明記されています。令和9年1月末までに事業を完了し、令和9年2月12日までに実績報告を提出。間に合わない場合は補助を打ち切られることがあります。交付要綱第9条第3項も、実績報告は補助事業完了日から起算して30日を経過した日、または交付決定のあった年度の3月31日のいずれか早い期日までと定めています。
| 時期 | やること | 社内で詰めておくこと |
|---|---|---|
| 令和8年6月〜7月10日 (2026年6月〜7月10日) |
要望調査を徳島県電子申請サービスから提出(1法人1申請) | 事業完了予定年月日を書き込んだ見積書の取得。3種類の調査票と事業所一覧表の作成 |
| 要望調査後 | 県から金額の「内示」を受け、その範囲内で交付申請(別紙1〜4を添付) | SECURITY ACTIONの宣言、業務改善支援の受け方の決定、DXサポートセンターへの相談 |
| 交付決定後 | 契約・発注、機器導入、職員研修、運用開始 | 納品書・領収書・設置写真の保管ルール。委員会設置やケアプランデータ連携の着手 |
| 令和9年1月末 (2027年1月末) |
事業完了の期限 | 年度末の納期逼迫を見込んだ発注前倒し |
| 令和9年2月12日 (2027年2月12日) |
実績報告の提出期限 | 別紙5〜7の作成、精算額調書の作成 |
| 補助を受けた翌年度から3年間 | 業務改善計画に対する効果確認の報告 | 報告担当者の引き継ぎ。計測する指標の決定 |
令和9年度(2027年度)の実施有無や要望調査の時期は、本記事の確認時点では公表されていません。例年どおりであれば年度初めに県ホームページで案内が出るため、令和9年度を狙う法人は、春先に長寿いきがい課のページを定点観測するのが現実的な備えです。
徳島県特有の注意点|SECURITY ACTION・ケアプランデータ連携・3年間の効果報告
徳島県の交付要領第2条は、補助金交付の条件を9項目並べており、ここが他県との最大の差分です。
交付の条件(交付要領第2条)
- 賃金への還元:導入・活用により生産性向上が図られ、収支の改善が図られた場合には、職員の賃金へも適切に還元し、その旨を職員等に周知すること。
- LIFEへの協力:科学的介護情報システム(LIFE)による情報収集に協力すること。タブレット端末等のみを導入する場合も同様。
- SECURITY ACTION:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の「★一つ星」または「★★二つ星」のいずれかを宣言すること。事業所単位で単一の法人番号を有していない場合は、法人単位として、または事業所の代表者を「個人事業主」として申し込む。対象外の事業所は同等の対策を講じていることを宣言する。
- 業務改善支援を受ける:要綱別表3の(1)コンサルティング会社等による業務改善支援、または(2)とくしま介護現場DXサポートセンター等による業務改善支援を受けること。
- 業務改善計画の作成:厚生労働省が発行する「介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン」「介護サービス事業所におけるICT機器・ソフトウェア導入に関する手引き」「介護ソフトを選定・導入する際のポイント集」「介護ロボットのパッケージ導入モデル」「介護現場で活用されるテクノロジー便覧」を参考に業務改善に取り組み、業務改善計画(別紙4)を作成すること。
- 効果検証への協力:厚生労働省等が実施する効果検証事業等に可能な限り協力すること。
- 委員会の設置:要領別記1に掲げるサービス(短期入所生活介護、特定施設入居者生活介護、小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院ほか)を行う事業所等は、利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会(名称は問わない)を設置すること。
- ケアプランデータ連携:要領別記2に掲げるサービス(訪問介護、通所介護、居宅介護支援、福祉用具貸与ほか多数)を行う事業所等は、令和8年度内に「ケアプランデータ連携システム」の利用を開始すること。公式Q&AのA11は、令和8年度内に「利用及び連携」を開始するよう求めています。
- 公表システムへの入力:介護サービス情報公表システムの対象事業所は、「事業所の特色」のうち「生産性向上のための業務改善の取組」で「タブレット端末やインカム等のICT活用や見守り機器等の介護ロボットやセンサー等の導入による業務量の軽減」を、「事業所の詳細」のうち「所在地等」で「ケアプランデータ連携システム(国保中央会)の利用登録の有無」を入力すること(対象サービスのみ)。
特に見落とされやすいのがSECURITY ACTIONの宣言とケアプランデータ連携システムの利用開始で、どちらも機器を買うだけでは満たせない「手続き」です。申請前にどちらも着手の目処を立てておいてください。国の施策全体の位置づけは厚生労働省の介護テクノロジー(介護ロボット・ICT)に関するページで確認できます。
業務改善計画と3年間の効果報告
交付要領第3条は、介護テクノロジー等の導入を行う介護事業者は別紙様式により業務改善計画を作成して徳島県に提出するものとし、当該計画の作成や取組の実施にあたっては、原則として、とくしま介護現場DXサポートセンターに相談するものとすると定めています。
さらに第4条で、導入を行った介護事業者は補助を受けた翌年度から3年間、業務改善計画で定めた内容に対する効果を確認するための報告を徳島県に行うものとされています。補助金を受け取って終わりではなく、3年間の宿題が付いてくる制度だと理解しておきましょう。報告内容・方法・期限は県から別途通知されます。
とくしま介護現場DXサポートセンター
県が社会福祉法人健祥会に委託して開設している相談拠点です。所在地は徳島市国府町東高輪字天満356-1(健祥会プレゼンテーション内)、受付時間は午前9時から午後4時まで(土日祝・年末年始を除く)。とくしま介護現場DXサポートセンターの開設案内(徳島県)に案内チラシが掲載されています。前述のとおり、ここの伴走支援を受けている(受ける予定がある)ことは優先採択の条件の一つでもあります。
リース・クラウド・複数事業所の扱い
交付要綱別表1・別表2の「その他」欄に、実務で効く細かいルールが並んでいます。
- リース:補助対象経費にはリース費用も含むが、当該年度中に係る経費のみを対象とする。複数年契約でも初年度分だけ、という整理です。
- ランニングコスト:本事業や他の補助金等により過年度に導入した機器・介護ソフト等のランニングコストは補助対象外。
- メンテナンス費・通信費:機器等のメンテナンスに係る経費および通信に係る経費は補助対象外。クラウド型ソフトの月額利用料のうち何が対象になるかは、見積の内訳の切り方で判断が変わるため、事前照会をおすすめします。
- 同一目的の複数機種:同一年度内に複数の機種を同一の目的のために導入する場合、補助は1機種限りで、複数の機種への補助は行わない。
- 市販品であること:販売価格が公表されており、一般に購入できる状態にある機器等が補助対象。開発に要する経費は対象外。
- 台数:介護テクノロジーの導入に伴う限度台数は、知事が必要と認める台数。
複数事業所を持つ法人の申請方法は、公式Q&AのA6が答えています。電子申請は1法人1申請で行い、要望調査のExcelファイルは様式ごとに1ファイルにまとめ、シートで事業所名が分かるように入力します。補助申請金額はA7のとおり1事業所ごとに千円未満を切り捨てた金額で記入します。事業所ごとにバラバラに申請しないよう、本部側で取りまとめる体制を先に決めておきましょう。
変更・財産処分・書類保存
交付要綱第7条は、知事の承認を要しない「軽微な変更」を、補助対象経費の区分相互間における20パーセント以内の金額の変更と定めています。これを超える変更は変更承認申請が必要です。第13条で帳簿および証拠書類の保管期間は補助事業完了日等の属する年度の翌年度から起算して5年間、第14条で財産処分の制限がかかる財産は取得価格30万円以上の機械器具(期間は減価償却資産の耐用年数等に関する省令で定める耐用年数)とされています。導入した機器を途中で他事業所へ移す、処分するといった場合は、事前に県へ相談が必要です。

よくある質問
徳島県の介護事業所から特に多い5つの論点を、公式文書の記載に沿って整理します。
徳島県の介護テクノロジー定着支援事業は、いつまでに申請すればよいですか?
令和8年度(2026年度)は、交付申請の前段である要望調査の提出期限が令和8年7月10日(金)でした。期日までに必要書類の提出がない場合、県はこの事業による補助金の交付申請を認めないとしています。交付申請そのものの受付時期は県から別途案内されるため、最新の状況は徳島県の公式ページまたは長寿いきがい課(088-621-2213)でご確認ください。事業完了は令和9年1月末まで、実績報告は令和9年2月12日までです。
1法人あたりの上限額はありますか?
公式Q&AのA3は「1法人あたりの補助上限額は設けておりません」と回答しています。上限は補助内容ごとで、交付要綱の別表1〜3に定められています。ただし県予算の範囲内での補助であり、審査があります。要望に沿った額が必ず交付されるものではありません。
介護ソフトだけ、タブレット端末だけの導入でも対象になりますか?
介護ソフトは別表1の「介護業務支援」に該当し、職員数別の補助基準額(100万円〜250万円、別表1(2)の支援を併用する場合は115万円〜265万円)が適用されます。タブレット端末は介護ソフトの利用に伴って導入する付帯経費としての位置づけです。なお、交付要領第2条(2)は、タブレット端末等のみを導入する場合もLIFEによる情報収集に協力することを条件としています。通信環境整備については、公式Q&AのA8のとおり単体での実施は補助対象外です。
交付決定前に契約・発注した機器は対象になりますか?
対象になりません。徳島県は県ホームページの「補助を受けるにあたっての流れ」で、事業者は「交付決定」を受けた日から、機器等の購入などの事業を開始できると明記しています。交付決定前に発注・購入した機器は補助対象として扱われませんので、見積取得の段階で発注時期を販売店と調整し、判断に迷う場合は長寿いきがい課(088-621-2213)にご確認ください。
他の補助金と併用できますか?
交付要綱第3条第2項により、他の補助金等を受けて導入する機器、および地域医療介護総合確保基金で実施する「介護テクノロジー導入支援事業」により補助を受けて導入する機器等に関する経費は、この補助金の対象になりません。同じ機器に二重に補助を受けることはできないという整理です。別の機器・別の経費であれば制度ごとに判断されますので、組み合わせを検討する場合は事前に県へご相談ください。
まとめ|徳島県で動くなら「見守り・インカム・介護ソフト+DXサポートセンター」
徳島県の介護テクノロジー補助金は、数字そのものより「条件の多さ」が攻略ポイントです。
補助率は5分の4で、1法人あたりの上限がないという点だけを見れば、全国的にも使い勝手のよい制度です。一方で、要望調査への回答が交付申請の前提になっていること、SECURITY ACTIONの宣言・ケアプランデータ連携システムの利用開始・委員会の設置・業務改善計画の作成・3年間の効果報告という9つの交付条件が付くこと、そして公式Q&Aが優先採択の条件を明示していることを踏まえると、「どの機器を買うか」より先に「どの条件を社内で満たせるか」を決めた法人が有利になる制度だといえます。
今日から動くなら、①自施設のサービス種別が要領別記1(委員会設置)と別記2(ケアプランデータ連携)のどちらに該当するかを確認する、②SECURITY ACTIONの宣言状況を確認する、③とくしま介護現場DXサポートセンターに相談の予約を入れる——この3つを先に片付けてください。機器の見積はその後で十分間に合います。
要件の全体像をもう一度確認したい方は令和8年度の介護テクノロジー導入支援事業、申請書類の作り方は補助金申請の流れ、機器選定は見守りセンサー比較と介護ソフト比較をご覧ください。他県の運用と見比べたい方には大阪府の介護補助金、京都府の介護補助金、愛知県の介護補助金、東京都の介護補助金も参考になります。
本記事の金額・期限は徳島県が公開する交付要綱・交付要領・Q&Aの記載を写したものですが、年度途中で改正されることがあります。申請前には必ず最新の公募要領と長寿いきがい課(088-621-2213)でご確認ください。この記事は2026年10月30日時点の公式情報に基づきます。
出典(公式)
- 徳島県|令和8年度「介護テクノロジー定着支援事業」の実施にかかる要望調査について(令和8年6月16日更新)
- 徳島県介護テクノロジー定着支援事業費補助金交付要綱(令和8年度・PDF)
- 介護テクノロジー定着支援事業費補助金交付要領(令和8年度・PDF)
- 令和8年度「介護テクノロジー定着支援事業」に係るQ&A(令和8年6月16日更新・PDF)
- 徳島県|「とくしま介護現場DXサポートセンター」の開設について
- 厚生労働省|介護テクノロジー(介護ロボット・ICT)の導入支援
- 公益財団法人テクノエイド協会/福祉用具情報システム TAIS
- 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)|SECURITY ACTION
