この記事は2026年10月28日時点の和歌山県・厚生労働省・テクノエイド協会の公式情報に基づきます。
「見守りセンサーを入れたいが、和歌山県の補助金はいくら出るのか」「介護ソフトの更新に補助が使えるのか」「申請はもう締め切られたのか」。和歌山県内の特養・老健・グループホーム・有料老人ホーム・デイサービス・訪問介護の施設長や事務長から、同じ問いが続いています。県のページを開いても補助率や上限額の表は無く、数値は「申請の手引き」と交付要綱のPDFに分かれて載っているため、全体像をつかむだけで時間がかかります。
結論は3行です。和歌山県の令和8年度(2026年度)「介護テクノロジー定着支援事業補助金」は、県内の介護保険サービス事業所と養護・軽費老人ホームが対象で、補助率は補助対象経費の5分の4です。上限は見守り機器など1機器30万円、移乗・入浴支援・インカムは1機器100万円、介護ソフトは職員数に応じて1事業所100万〜250万円、パッケージ型は400万円、業務改善支援は48万円です。申請期間は令和8年6月29日〜7月31日で、県公式サイトは「令和8年度の募集は終了しました」と表示しています(2026年10月28日確認)。
この記事で分かることは、制度の正式名称と根拠、対象施設と対象機器、機器区分ごとの上限額、交付決定から1月31日の事業完了までのスケジュール、和歌山県特有のセミナー受講・業務改善計画の要件、予算超過時の優先順位、リース・クラウド・併用の扱いです。令和9年度(2027年度)に向けて「今から何を準備するか」が分かる構成にしています。

結論:和歌山県の介護テクノロジー定着支援事業補助金は誰が・いくら・いつまで・どこへ
この章では、令和8年度の制度の要点を1つの表にまとめます。
誰が:和歌山県内に所在する介護保険法に基づくサービスを提供する全てのサービス事業所(訪問介護事業所や居宅介護支援事業所を含む)と、老人福祉法に基づく養護老人ホーム・軽費老人ホーム
いくら:補助対象経費の5分の4。上限は1機器30万円(見守り等)/100万円(移乗・入浴・インカム)/介護ソフトは1事業所100万〜250万円(職員数別)/パッケージ型400万円/業務改善支援48万円
いつまで:令和8年6月29日(月)〜7月31日(金)必着。県公式サイトは「令和8年度の募集は終了」と表示。交付決定は9月下旬〜10月上旬、事業完了は令和9年1月31日まで
どこへ:業務改善計画は和歌山県介護生産性向上総合相談センターへ、その他の書類は県指定の電子申請フォームで和歌山県長寿社会課へ
| 事業名 | 令和8年度 和歌山県介護テクノロジー定着支援事業補助金(旧「介護ロボット等導入支援事業補助金」) |
|---|---|
| 実施主体 | 和歌山県(福祉保健部 長寿社会課)。国の「令和8年度(令和7年度からの繰越分)介護保険事業費補助金(介護テクノロジー導入・協働化・経営改善等支援事業)」に基づく「介護テクノロジー定着支援事業」を県が実施 |
| 対象施設 | 県内の介護保険法に基づく全サービス事業所(訪問介護・居宅介護支援を含む)、老人福祉法に基づく養護老人ホーム・軽費老人ホーム |
| 対象機器 | TAISで「介護テクノロジー」として選定された機器等(移乗・移動・排泄・見守り・コミュニケーション・介護業務支援・機能訓練・食事栄養・認知症ケア等)、同水準と知事が判断した機器、介護ソフト・インカム、バックオフィスソフト、パッケージ型導入、業務改善支援 |
| 補助率・上限 | 補助率5分の4。1機器30万円/100万円、介護ソフト1事業所100万〜250万円(Wi-Fi・タブレット併用で+15万円、ケアプランデータ連携で+5万円)、パッケージ型400万円、業務改善支援48万円 |
| 申請期間 | 令和8年6月29日(月)〜7月31日(金)必着(受付終了) |
| 窓口 | 和歌山県長寿社会課(〒640-8585 和歌山市小松原通一丁目1番地、電話073-441-2519、メール e0403001@pref.wakayama.lg.jp)。相談先は和歌山県介護生産性向上総合相談センター(和歌山市手平2丁目1-2 県民交流プラザ和歌山ビッグ愛7階、電話073-435-5225、平日9:00〜17:00) |
| 公式URL | 「介護テクノロジー定着支援事業補助金」について(和歌山県長寿社会課) |
和歌山県には政令指定都市が無いため、県内のどの市町村の事業所も申請先は県の長寿社会課に一本化されています。和歌山市は中核市ですが、この補助金の申請窓口は変わりません。制度全体の位置づけは介護テクノロジー導入支援事業の全体像でも整理しています。
制度の全体像:国の介護保険事業費補助金と「定着支援」への改称
この章では、和歌山県の補助金が国のどの制度に基づき、令和8年度に何が変わったかを説明します。
和歌山県の補助金の根拠は、県の「介護テクノロジー定着支援事業補助金交付要綱」第1条にあります。国の「令和8年度(令和7年度からの繰越分)介護保険事業費補助金(介護テクノロジー導入・協働化・経営改善等支援事業)交付要綱」(令和8年5月7日付 厚生労働省発老0507第2号)と、「令和8年度(令和7年度からの繰越分)介護テクノロジー定着支援事業実施要綱」(令和8年4月7日付 老発0407第3号 別紙1)を受けて、県が予算の範囲内で交付します。国実施要綱は、地域医療介護総合確保基金で実施する「介護テクノロジー導入支援事業」やIT導入補助金など他の補助金で助成されている機器を本事業の対象外としており、令和8年度の和歌山県の補助金は基金事業とは別の国の補助金(介護保険事業費補助金)を財源に交付されます。
令和8年度の国実施要綱は「見守り機器・介護記録ソフト・インカム」を重点機器と位置づけ、小規模事業者も含めて集中的に支援すると明記しています。和歌山県の交付要綱第2条も「重点機器」を見守り機器・介護ソフト・インカムと定義し、予算超過時の選定順位に直結させています。県の事業名は旧「介護ロボット等導入支援事業補助金」から「介護テクノロジー定着支援事業補助金」に変わり、要綱は令和8年6月16日施行で令和8年度の補助金から適用されています。
過去の補助実績として、県公式サイトは令和7年度が121事業所に227,176千円、令和6年度が86事業所に190,073千円と公表しています。1年で採択事業所が35件増えており、県内での申請競争は強まっています。国の制度の変遷は厚生労働省「介護ロボットの開発・普及の促進」にまとまっています。なお同ページの「補助上限額1機器30万円、移乗支援・入浴支援ロボットは100万円」は令和4年9月30日時点の記載で、令和8年度はインカムも100万円区分に入っています。
対象施設と対象機器:介護ロボット・見守りセンサー・介護ソフト・インカムとTAIS登録要件
この章では、和歌山県で補助対象になる事業所と機器の範囲を、県の手引きと国実施要綱の原文に沿って整理します。
対象施設:介護保険の全サービス事業所と養護・軽費老人ホーム
対象は「介護保険法に基づくサービスを提供する全てのサービス事業所」と「老人福祉法に基づく養護老人ホーム及び軽費老人ホーム」です。特養・老健・介護医療院・グループホーム・特定施設の有料老人ホーム・デイサービス・訪問介護・居宅介護支援事業所のいずれも対象に含まれます。Q&Aでは、1法人の申請数に制限は無く、許可または指定を受けた事業所番号ごとに1事業所と数え、複数のサービス種別で指定を受けている事業所は一括で申請すると示されています。
一方で、特定施設の指定を受けていない有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅について、同じ建物にある訪問系サービス事業所が機器を購入し、その住宅で使う形は対象外とQ&Aが明記しています。福祉用具貸与事業所が貸与用に購入する福祉用具も対象外です。申請時点で許認可等を受けている県内事業所であることが条件です。
対象機器:TAIS掲載の「介護テクノロジー」と知事が同水準と判断した機器
TAIS(福祉用具情報システム)とは、公益財団法人テクノエイド協会が運営する福祉用具のデータベースで、介護テクノロジーとして選定された製品がカテゴリ別に掲載されています。和歌山県の対象機器は、TAIS 福祉用具情報システム(テクノエイド協会)で「介護テクノロジー」として選定された機器等、またはこれと機能等が同水準と和歌山県知事が判断した機器等です。TAISに未掲載の機器を申請する場合は、導入する介護テクノロジーの概要が分かる資料を添付します。
区分は次のとおりです。見守りセンサーの機種選定は見守りセンサーの比較・選び方、記録ソフトは介護記録ソフトの比較が参考になります。
- 介護テクノロジー等の導入支援:移動支援・排泄支援・見守り・コミュニケーション・介護業務支援(介護ソフト・インカムを除く)・機能訓練支援・食事栄養管理支援・認知症生活支援・認知症ケア支援、移乗支援・入浴支援・インカム、介護ソフト
- その他機器等:介護従事者の身体的負担の軽減や間接業務時間の削減等につながると知事が判断した機器等。例としてバックオフィスソフト(電子サインシステム・給与・勤怠管理等)
- パッケージ型導入支援:介護業務支援分野の機器(または同水準と判断した機器)と、連動して効果を高める介護テクノロジーを併せて導入する場合。例は介護ソフト+見守り機器、介護ソフト+インカム
- 導入支援と一体的に行う業務改善支援:生産性向上に係る知識・経験を持つ第三者から業務改善支援を受ける費用。コンサルティング会社や介護生産性向上総合相談センターによる支援
介護ソフトは「記録業務・情報共有業務・請求業務を一気通貫で行えるもの」が条件で、既存ソフトと組み合わせて一気通貫になる場合も対象です。インカムのみの導入も「介護業務支援」分野として対象になるとQ&Aが答えています。
補助率5分の4と機器区分別の上限額:見守り30万円・移乗100万円・介護ソフト最大250万円
この章では、県の手引きと国実施要綱の表2・表3から補助額の計算方法を整理します。
補助額は「実支出額に5分の4を乗じた額」と「基準額(上限額)」を比較して少ない方です。基準額は補助額そのものの上限であり、経費の上限ではないため、見守り機器1台の補助は最大30万円、移乗支援1台は最大100万円と読むのが正確です。算出額に1,000円未満の端数があれば切り捨てます(県交付要綱第4条)。
| 区分 | 対象 | 上限額(基準額) | 付帯経費(Wi-Fi・タブレット等) |
|---|---|---|---|
| 導入支援① | 移動支援・排泄支援・見守り・コミュニケーション・介護業務支援(介護ソフト・インカム除く)・機能訓練支援・食事栄養管理支援・認知症生活支援・認知症ケア支援 | 1機器あたり30万円 | 対象(主となる機器と併せて導入する場合) |
| 導入支援① | 移乗支援・入浴支援・介護業務支援(インカムのみ) | 1機器あたり100万円 | 対象 |
| 導入支援① | 介護業務支援(介護ソフトのみ) | 1事業所あたり100万〜250万円(契約方法・職員数で変動) | Wi-Fi・タブレット等を併せて導入する場合+15万円 |
| その他機器等② | バックオフィスソフト | 1事業所あたり100万〜250万円 | 対象外 |
| その他機器等② | その他(知事が有効と判断した機器) | 1機器あたり100万円 | 対象外 |
| パッケージ型導入支援 | 介護業務支援機器+連動する介護テクノロジー | 1事業所あたり400万円 | 介護ソフト導入に伴うWi-Fi・タブレット等は+15万円 |
| 業務改善支援 | 第三者による事前評価・助言指導・事後評価 | 1事業所あたり48万円 | ― |
介護ソフト・バックオフィスソフトの職員数別上限額
| 職員数(申請時点) | ソフトのみ | Wi-Fi・タブレット等を併せて導入 |
|---|---|---|
| 1名〜10名 | 100万円 | 115万円 |
| 11名〜20名 | 150万円 | 165万円 |
| 21名〜30名 | 200万円 | 215万円 |
| 31名以上 | 250万円 | 265万円 |
| 職員数でライセンス数が変動しない契約 | 250万円 | 265万円 |
職員数は申請時点の常勤換算で算出し、小数点以下は四捨五入します。訪問介護員・居宅介護支援専門員など居宅を訪問する職員と、管理者・生活相談員は実人数(常勤・非常勤を問わない)で数えても差し支えないと国実施要綱の注記にあります。Q&Aも「訪問介護等の直接処遇職員だけでなく、介護ソフトの活用が見込まれる管理者や生活相談員等も含み、常勤・非常勤の別は問わない」と答えています。居宅サービス事業所・居宅介護支援事業所(介護予防を含む)が令和8年度中に「ケアプランデータ連携システム」で5事業所以上とデータ連携する場合は、基準額に5万円を加算します。
計算例(編集部の試算)
- 見守り機器を1台25万円で導入:25万円×4/5=20万円。基準額30万円より少ないので補助額20万円
- 見守り機器を1台50万円で導入:50万円×4/5=40万円。基準額30万円を超えるので補助額30万円
- 職員15名の事業所が介護ソフト150万円とタブレット・Wi-Fi 50万円を導入:200万円×4/5=160万円。基準額165万円より少ないので補助額160万円
Q&Aは複数機器の按分例として「見守り機器5台(10万円×5台)とサーバー1台(10万円)を導入した場合、1機器あたりの費用は(10万円×5+10万円)÷5=12万円」と示しています。台数の上限は「事業形態や定員数を考慮し、適当と認められる台数まで」で、台数の固定上限はありません。補助金の基本的な考え方は介護テクノロジー補助金の完全ガイドで解説しています。

申請の流れと締切:交付申請→交付決定→契約→令和9年1月31日完了→実績報告
この章では、県の手引き「事業の流れ(予定)」と交付要綱から、申請から支払いまでの順序を整理します。
和歌山県の手引きは「県からの交付決定通知日後に契約(発注)を行ってください」と明記し、交付決定前に事業着手した際の費用は補助対象外と例示しています。交付決定とは、県が申請内容を審査して補助金を交付することを正式に通知する手続きで、この通知日より前に発注・契約した機器は対象になりません。メーカーの都合で納期が遅れそうな場合も、交付決定通知を受け取った後に契約し、原則として令和9年1月31日までに納品・支払いを完了させる必要があるとQ&Aが答えています。
| 時期 | 手続き | 主体 |
|---|---|---|
| 令和8年6月29日〜7月31日 | 交付申請書提出(オンラインセミナー視聴期間と同じ) | 申請者 |
| 9月下旬〜10月上旬頃 | 県から交付決定 | 和歌山県 |
| 交付決定後〜令和9年1月31日 | 契約・発注・納品・支払い(事業実施) | 申請者 |
| 事業完了後30日経過日または2月10日の早い方 | 実績報告書提出 | 申請者 |
| 2月下旬頃 | 額の確定 | 和歌山県 |
| 3月上旬頃 | 補助金の請求 | 申請者 |
| 3月下旬 | 補助金支払 | 和歌山県 |
| 補助を受けた翌年度から3年間 | 業務改善効果の報告 | 申請者 |
申請書類は最大18点、業務改善計画だけ提出先が違う
手引きの申請書類は、交付申請書(別記第1号様式)、通帳の写し、介護保険法または老人福祉法に基づくサービス提供が分かる書類、介護テクノロジー定着計画書(別記第2号様式)、SECURITY ACTIONの自己宣言完了が分かる書類、施設系サービス事業所のみ委員会設置が確認できる書類、居宅介護支援・居宅サービス事業所のみケアプランデータ連携システムの利用開始を宣言した書類、業務改善支援を受ける場合のみ支援内容の資料、TAIS未掲載機器のみ概要資料、通信環境整備を行う場合のみ工事図面の写し、所要額調書(別記第3号様式)、職員数が分かる書類、見積書の写し、収支予定額内訳書(別記第4号様式)、役員名簿、同意書、見積書が事業所宛ての場合の誓約書、業務改善計画及び補足資料の18点です。
提出先は2つに分かれます。「業務改善計画及び補足資料」は和歌山県介護生産性向上総合相談センターのページから提出し、「その他の書類」は県指定の電子申請フォームで県へ提出します。必要書類の一般的な準備手順は補助金申請の流れ・必要書類で確認できます。
見積書で差し戻される6パターン
手引きは複数の業者から見積書を取るなど妥当性の確認を求め、次の記載は不明瞭として避けるよう示しています。「○○一式」や諸費用等の詳細が分からないもの、「○○は本体に含む」の記載があるもの、工事費や送料等を要するのに記載が無いもの、機器本体価格に付帯費用を含めているもの、機器の型番が無いもの、複数ソフトで構成されたシステムで構成要素のソフトが不明なものの6つです。実績報告の写真も、導入した全機器の名称・台数が分かるように撮影し、シリアルナンバーや製品番号が確認できること、梱包箱のみは不可とQ&Aが定めています。
和歌山県特有の注意点:セミナー受講・業務改善計画・優先順位・リース・併用
この章では、国の共通ルールに加えて和歌山県が独自に課している要件と、予算超過時の選定基準を整理します。
補助要件は9項目、オンラインセミナーの受講とアンケートは事業所ごとに必須
手引きの補助要件は、①LIFEによる情報収集への協力、②業務改善で収支が改善した場合に職員の賃金へ適切に還元しその旨を周知すること、③厚生労働省や県の効果検証事業への協力、④厚生労働省のガイドライン等を参考に業務改善に取り組み業務改善計画を作成すること、⑤業務改善計画の作成にあたり和歌山県介護生産性向上総合相談センターへ相談すること、⑥IPA「SECURITY ACTION」の一つ星または二つ星の宣言、⑦施設系サービス事業所は利用者の安全・サービスの質の確保・職員の負担軽減を検討する委員会の設置、⑧居宅介護支援・居宅サービス事業所は令和9年1月31日までにケアプランデータ連携システムの利用開始、⑨相談センター主催のセミナー受講の9つです。
和歌山県介護生産性向上オンラインセミナーは令和8年6月29日〜7月31日の視聴期間で公開され、補助金の申請には「事業所毎の受講及びアンケートへの回答が必須」と手引きが強調しています。セミナーは補助金申請の有無に関わらず視聴でき、相談センターのページで公開されました(和歌山県介護生産性向上オンラインセミナー公開及び業務改善計画書について(和歌山県福祉人材センター))。相談センターは和歌山県社会福祉協議会の福祉人材センターが運営し、現場からの相談対応、専門家による伴走支援、先進事業所への見学マッチング、セミナー開催の4業務を担っています(和歌山県介護生産性向上総合相談センター)。
LIFEとは科学的介護情報システムの略で、ケアの内容や利用者の変化に関する情報を蓄積する厚生労働省のデータベースです。ケアプランデータ連携システムは、居宅介護支援事業所と居宅サービス事業所の間でケアプランを電子的にやり取りする国保中央会の仕組みで、Q&Aは「令和9年1月31日までにデータ連携の実績が必要(令和8年度〜)」と答えています。居宅療養管理指導の事業所は、ケアプランのデータ連携を行う計画がある場合に限り要件になります。
予算超過時の優先順位は6段階、重点機器が先
手引きの「調整について」は、申請額が予算額を超えた場合は補助額・補助台数を調整し「申請すれば必ず補助が受けられるということではありません」と明記しています。選定順位は次のとおりです。
- 新規事業所の重点機器(見守り機器・介護ソフト・インカム)
- 直近の補助実績が古い事業所の重点機器
- 新規事業所の重点機器以外の機器
- 直近の補助実績が古い事業所の重点機器以外の機器
- 新規事業所の業務改善支援
- 直近の補助実績が古い事業所の業務改善支援
同順位の事業所が複数ある場合、①③⑤は抽選、②④⑥は過去の補助累計額が低い順です。重点機器とその他機器を併せて申請した場合、重点機器のみ選定されることがあり、パッケージ型で導入する重点機器以外の機器は重点機器と同順位で扱います。初めて申請する事業所が見守り・ソフト・インカムから入る形が最も通りやすい構造です。
リース・クラウド・保守・通信費の扱い
- リース・レンタル:申請額は月割で、導入日から年度内(3月31日)までの経費が対象。1月31日までに納品・支払いが完了した分に限られ、翌年度以降に支払うリース料は対象外
- クラウド型介護ソフトの月額費用:3月31日までの経費で、かつ原則1月31日までに納品・支払いが完了した分のみ。保守・サポート・セキュリティ対策等の月額費用のうち翌年度相当分は対象外
- 5年分のライセンス一括購入:購入時に一括して費用を支払うため、パッケージ型介護ソフトの購入と同質と考えられ全額対象
- 通信費・メンテナンス費・保険料・プリンター等の端末:県交付要綱の別表で補助対象外経費
- タブレット単体・通信環境のみ:既に導入している介護テクノロジーと一体的に使うために新たに追加する場合は対象外
- 2回目以降の申請:1回目に対象となった機器のリース代・保守・サポートの恒常的な費用は対象外。補助金の交付申請は一つの業務改善計画につき1回
他の補助金との併用と財産処分
県交付要綱第3条は「他の補助金等によって助成されているものについては、本事業の対象外」と定め、国実施要綱も経済産業省のIT導入補助金等で助成されている機器は対象外としています。同じ機器に二重に補助を受けることはできません。単価30万円以上の機器は、厚生労働大臣が定める期間を経過するまで知事の承認なく譲渡・交換・貸付・担保・廃棄ができず、帳簿は事業完了年度の翌年度から5年間保存します。事業所の閉鎖・譲渡・移転で事業所番号が変わる場合は財産処分の手続きが必要になることがあるため、事前に県へ相談するようQ&Aが求めています。

大阪府・奈良県・三重県との違いと令和9年度に向けた準備
この章では、隣接府県の制度と比べたときの和歌山県の特徴と、次年度に向けて今できる準備を整理します。
補助率5分の4と、見守り30万円・移乗100万円・介護ソフト職員数別100万〜250万円の骨格は、国実施要綱に基づくため大阪府の介護補助金、奈良県の介護補助金、三重県の介護補助金と共通です。和歌山県の独自色は、パッケージ型の上限を国の範囲(400万〜1,000万円)の下限である400万円に設定している点と、オンラインセミナーの視聴期間を申請期間と完全に一致させている点です。三重県がパッケージ型を1,000万円としているのに対し、和歌山県は複数機器の大型導入より重点機器の小規模な導入を広く支援する設計になっています。
令和9年度(2027年度)の募集は、2026年10月28日時点で県から発表されていません。令和8年度は6月16日に要綱が施行され、6月29日に募集が始まりました。令和7年度の要綱施行も6月25日で、年度初めから募集までは2か月半ほどしかありません。今から準備できるのは、SECURITY ACTIONの自己宣言、施設系なら委員会の設置、居宅系ならケアプランデータ連携システムの利用準備、見積書の型番・付帯費用の分離、相談センターへの事前相談の5つです。東京都や愛知県の制度との違いは東京都の介護補助金、愛知県の介護補助金、兵庫県の介護補助金で比較できます。
よくある質問
この章では、和歌山県の介護施設から多い5つの質問に公式資料の記載で答えます。
和歌山県の介護テクノロジー定着支援事業補助金は令和8年度にまだ申請できますか
できません。申請期間は令和8年6月29日〜7月31日必着で、県公式サイトは「令和8年度の募集は終了しました」と表示しています(2026年10月28日確認)。二次募集の案内は公式サイトにありません。令和9年度の募集時期は未発表のため、県公式サイトと相談センターのお知らせを確認してください。
見守りセンサーを10台入れたい場合、補助はいくらになりますか
見守り機器は1機器あたり30万円が上限で、補助額は実支出額の5分の4と比較して少ない方です。台数の上限は「事業形態や定員数を考慮し、適当と認められる台数まで」で、固定の上限台数はありません。ただし予算超過時は補助台数が調整されることがあります。
交付決定前に機器を発注してしまったら対象になりますか
対象外です。県交付要綱の別表は「補助金の交付決定前に発注又は契約を締結したもの」を補助対象外経費に挙げ、手引きも交付決定通知日後に契約するよう求めています。交付決定は9月下旬〜10月上旬頃の予定です。
介護ソフトの職員数には管理者や非常勤職員も含めますか
含めます。Q&Aは「訪問介護等の直接処遇職員だけでなく、介護ソフトの活用が見込まれる管理者や生活相談員等も含み、常勤・非常勤の別は問わない」と答えています。申請時点の常勤換算で算出し、訪問系職員と管理者・生活相談員は実人数でも差し支えありません。
IT導入補助金と和歌山県の補助金を同じソフトで併用できますか
できません。国実施要綱は「経済産業省が実施しているIT導入補助金等、他の補助金等によって助成されているものは本事業の補助対象外」とし、県交付要綱第3条も同じ規定を置いています。機器ごとに使う補助金を分けて申請してください。
まとめ:和歌山県の介護施設が今日決めること
この章では、本記事の要点を3つにまとめます。
- 制度と金額:令和8年度の和歌山県介護テクノロジー定着支援事業補助金は補助率5分の4、見守り30万円・移乗入浴インカム100万円・介護ソフト100万〜250万円・パッケージ型400万円・業務改善支援48万円が上限です
- 締切と流れ:申請は6月29日〜7月31日で受付終了。交付決定後に契約し、令和9年1月31日までに納品・支払いを完了させ、実績報告は完了後30日以内または2月10日の早い方です
- 令和9年度への準備:SECURITY ACTION宣言、委員会設置またはケアプランデータ連携の準備、見積書の整備、相談センターへの事前相談を進め、重点機器から申請すると優先順位が高くなります
補助金は申請すれば必ず交付されるものではなく、審査と予算超過時の調整があります。最新の要綱・様式・募集時期は和歌山県長寿社会課の公式ページで必ず確認してください。問い合わせは長寿社会課(電話073-441-2519)、導入計画の相談は和歌山県介護生産性向上総合相談センター(電話073-435-5225、平日9:00〜17:00)です。
出典(2026年10月28日確認)
- 和歌山県長寿社会課「介護テクノロジー定着支援事業補助金」について
- 令和8年度和歌山県介護テクノロジー定着支援事業補助金 申請の手引き(PDF)
- 介護テクノロジー定着支援事業補助金交付要綱(和歌山県・PDF)
- 介護テクノロジー定着支援事業補助金に関するQ&A(令和8年6月29日・PDF)
- 令和8年度(令和7年度からの繰越分)介護テクノロジー定着支援事業実施要綱(厚生労働省・PDF)
- 和歌山県長寿社会課
- 和歌山県介護生産性向上総合相談センター(和歌山県福祉人材センター)
- 和歌山県介護生産性向上オンラインセミナー公開及び業務改善計画書について
- 厚生労働省「介護ロボットの開発・普及の促進」
- 福祉用具情報システム(TAIS)公益財団法人テクノエイド協会
この記事は2026年10月28日時点の公式情報に基づきます。補助率・上限額・締切は年度ごとに変わるため、申請前に必ず和歌山県の公式サイト(公募要領)でご確認ください。
